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賃貸物件を経営していると、大学生を受け入れることもあるのではないでしょうか。
しかし、大学生の中には、初めて親元を離れたことでつい羽目を外して、騒音トラブルを引き起こす人もいるため注意が必要です。
騒音主である大学生を強制退去させることは可能ですが、法的手順を踏まないと逆に大家が訴えられる可能性があります。
また大学生をすぐに強制退去させられないからといって、大家が騒音の対応を放置すると、ほかの入居者が退去したり、損害賠償を請求されたりするおそれがあるため注意が必要です。
この記事では、騒音で大学生を強制退去させる方法や法的手続きの手順、強制退去をするときの注意点を解説します。
大学生による騒音にお悩みの大家は、ぜひ参考にしてください。
賃貸物件に住む大学生の騒音により、ほかの入居者に迷惑をかけている場合、大家は大学生を強制退去できます。
入居時に交わす賃貸借契約書には、入居者が騒音等で迷惑行為を行った場合、契約を解除できる旨の一文が記載されていることが多いためです。
この賃貸借契約書に基づき、大家は契約解除ができる可能性があります。
もし賃貸借契約書に、騒音等の迷惑行為による契約解除の旨が記載されていなくても、民法594条1項と民法616条に記載されている「用法遵守義務違反」が適用されるでしょう。
しかし、騒音を理由に大学生を強制退去させるには、条件や手続きがあるので注意が必要です。
騒音の事実を確認せず、大家が大学生を犯人扱いして無理矢理賃貸物件から追い出そうとすると、逆に大家が訴えられてしまう可能性があります。
出典:e-Govポータル|民法
騒音主の大学生が騒音を認め、穏便に退去してくれれば問題ありません。
しかし、騒音主の大学生が退去に同意しなかったり騒音の改善に努めなかったりする場合は、強制退去のための法的手続きを取る必要があります。
法的手続きにより強制退去が認められる条件は次の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
騒音主の大学生を強制退去させるための条件の1つとして、騒音が受忍限度を超えるものであることが必要です。
受忍限度とは、社会共同生活を送る上で、我慢すべきだと評価される範囲のことをいいます。
騒音に対する受忍限度の判断基準は明確ではありません。
騒音が受忍限度を超えるかどうかは、次の内容を基に総合的に判断されます。
大学生が大きな音を出したからといって、すぐに用途義務違反になるわけではないことを覚えておきましょう。
また、騒音が受忍限度を超えるかどうかは、個人の感覚では判断できません。
騒音の調査会社など専門家に対応してもらいましょう。
騒音主の大学生を強制退去させるための条件の1つとして、大家と大学生の信頼関係が壊れていることを証明する必要があります。
受忍限度を超えた騒音があっても、1度だけでは、信頼関係が破綻していると判断されません。
大家と大学生の信頼関係の破綻を認めてもらうためには、以下の実績や証明が必要です。
上記の実績や証明を総合的に考慮し、大家と大学生の「信頼関係の破綻」を裁判所に認めてもらわなければなりません。
大学生による騒音が強制退去が認められる条件に該当する場合、法的手続きを取って大学生を強制退去をさせることができます。
騒音主の大学生を強制退去するときの流れは次の通りです。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
騒音主の大学生に電話や手紙で注意をしても何の反応がない場合は、騒音の改善を求める内容証明郵便を送ります。
内容証明郵便で送ると以下の内容を郵便局が証明してくれます。
上記の内容を謄本に残し郵便局が保管するため、「大家が騒音に対する注意を大学生に行った」という証拠を残すことが可能です。
また内容証明郵便に、「騒音の改善に応じないのであれば、法的手段を取る」という内容を記載することで、注意を無視し続ける大学生に対し精神的プレッシャーを与える効果も期待できるでしょう。
内容証明郵便の送付は、明渡請求訴訟の手続きに必要な「信頼関係破壊の証拠」の1つにもなります。
内容証明郵便で改善を求めても大学生の騒音が改善されず、任意退去もしない場合、裁判所で明渡請求訴訟の手続きをします。
明渡請求訴訟の手続きには、次の2つの証明が必要です。
これら2つを証明する証拠として、以下の書類を準備しましょう。
手続きに不備がなければで裁判所の判決が下り、さらに裁判所での強制執行手続を経て、騒音主である大学生を強制退去させることができます。
大学生が和解の申し出をしたり、争う意思を見せたりした場合は、強制退去までに時間を要することもあります。
騒音主の大学生に対し、大家が強制退去を求めるときに注意すべき点が2つあります。
対処法を間違えてしまうと、逆に訴えられたり騒音トラブルが拗れたりするため、強制退去を検討する前に確認しましょう。
騒音主が大学生である可能性が高いとしても、騒音の事実確認と騒音の程度確認は必ずしましょう。
騒音レベルが受忍限度を超えていない可能性もあるためです。
騒音が受忍限度に達していなければ、「用法遵守義務違反」に適用しないため、大学生を法的手続きで強制退去できません。
また、騒音が事実でないのにもかかわらず、騒音主が大学生であると大家が決めつけて退去を促すと、大家が訴えられ損害賠償請求されてしまう可能性があります。
騒音主の大学生が騒音を認めず、改善をしないからといって、大家が無理矢理追い出そうとするとトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
たとえば、大家が裁判の手続きを取らず、次のような 実力行使をすると罪に問われてしまう可能性があります。
実力行使の内容 | 問われる罪 |
---|---|
大家が騒音主の大学生の部屋のカギを勝手に変える | 住居侵入罪 |
大家が騒音主の大学生の部屋に居座る | 器物損壊・住居侵入罪 |
大家が騒音主の大学生の家財道具を処分する | 不退去罪 |
大家が再三に渡って注意しても、騒音主の大学生が改善や退去に納得しない場合は、実力行使をせず専門家に相談しましょう。
大学生による騒音トラブルは、入居者同士で解決させるのではなく大家が責任を持って収めなければなりません。
その理由は次の通りです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
賃貸物件を所有する大家には、使用収益させる義務があります。これは民法601条で定められています。
(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
出典:e-Govポータル|民法
大家は入居者から家賃を得る代わりに、入居者に安全で平穏な生活環境を提供しなければならない義務が生じます。
そのため、所有する賃貸物件で大学生が騒音を出し他の入居者の生活を脅かしている場合、大家は使用収益させる義務に基づき、騒音の改善に努めなければなりません。
大家が大学生による騒音に対応しなかったり、対応が遅れてしまったりすると生活を脅かされたほかの入居者が退去する可能性があります。
大学生による騒音トラブルがいつまでも改善されないと、ほかの入居者は「うるさい環境で生活するよりも静かな環境に引っ越しをした方がよい」と考えてしまうためです。
騒音主の大学生ではなく、何も悪いことをしていない入居者が退去してしまうのは、大家にとって大きな痛手になるでしょう。
住民の退去に伴い家賃収入が減るのはもちろんのこと、退去した入居者が「騒音により退去せざるを得なかった」と周りに言えば風評被害につながり、賃貸物件の運営が危うくなる可能性もあります。
大学生の騒音への対応を大家が怠り、他の入居者の平穏な生活環境を脅かしてしまった場合、大家は入居者から損害賠償を請求される可能性があります。
大学生の騒音を放置すると、大家は他の入居者に対して使用収益させる義務を果たしていないことになり、賃貸借契約の債務不履行になりかねないためです。
騒音トラブルを放置した大家が賃貸借契約の債務不履行とみなされると、ほかの入居者は民法415条に従い、大家に損害賠償を請求することができます。
(賃貸借)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
出典:e-Govポータル|民法
債務不履行責任は、騒音被害を被った入居者が退去したからと言って追及されなくなるわけではありません。
大学生の騒音トラブルを放置したことで、入居者が退去を余儀なくされた場合、入居者から退去後に伴う転居費用や騒音に対する慰謝料請求をされる可能性もあります。
大家は入居者から家賃を得る代わりに、平穏な生活環境を提供する責任が生じます。
騒音に対する他の入居者の苦情対応や解決もその1つで、対応を怠ると入居者から損害賠償請求される可能性があるため注意が必要です。
ここからは、所有する賃貸物件で大学生による騒音が発生したときに大家がすべき対応をご紹介します。
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
所有する賃貸物件で大学生による騒音が発生したら、まずは騒音の現状把握・証拠集めをしましょう。
騒音が受忍限度を超えるものでなかったり、苦情元の入居者が大学生に対して嫌がらせをするためウソの報告をしたりする可能性があるためです。
騒音の現状把握・証拠集めをするには、次の方法が有効です。
大学生以外の入居者へヒアリングをするときは、以下の内容を尋ねるとよいでしょう。
これらの情報は、騒音主の大学生に改善を求めるときに必要となります。
事実関係を裏付けるため、ヒアリングするときは、苦情元の入居者に限らず周りの入居者にも実施しましょう。
騒音の事実確認ができたら、騒音主の大学生へ改善を求めましょう。
電話や手紙、訪問で反応がなかったり、大学生の対応が悪い場合には、「大家が騒音に対する注意を大学生に行った」という証拠を残すために内容証明郵便を送付する必要があります。
なお、騒音主の大学生に改善を求めるとき、苦情元の入居者を特定されるような発言をしてはいけません。
騒音主の大学生が逆恨みで、苦情元の入居者に対して直接苦情をいう恐れがあるためです。
トラブルがさらに大きくなる原因となるので気を付けましょう。
騒音主の大学生に改善を求めたら、苦情元の入居者に対応の経緯を報告します。
対応の経緯を報告しないと苦情元の入居者は「大家が使用収益の責任を果たしていない」と思い、そのまま退去したり損害賠償を請求したりする恐れがあるためです。
また報告したとしても、時間が経ってしまうと苦情が感情論になってしまう可能性もあります。
対応の経緯の報告はできる限り早めに行いましょう。
対応が遅くなってしまいそうな場合は、途中経過を報告したり対応に時間がかかることを事前に伝えたりすると、入居者も安心できるでしょう。
所有する賃貸物件で、生活音による騒音トラブルが発生したら専門家に相談しましょう。
環境省が2024年2月に発表した「令和4年度騒音規制法等施行状況調査の結果」を確認すると、公共団体に寄せられた騒音の苦情件数は2万件を超えます。
《令和4年度騒音規制法等施行状況調査の結果》
これは公共団体に寄せられた騒音の苦情なので、大家や管理会社に寄せられた騒音の苦情件数を合わせると、相当な数になることが予想されます。
賃貸物件による騒音の苦情はいつどこで起きてもおかしくないのです。
また大家が自力で騒音トラブルを解決しようとすると、解決までに時間を要したり、誤った対応で逆に訴えられたりする可能性があります。
騒音トラブルが長引きそうな場合は専門家(弁護士)に相談し、早期解決をめざすのがおすすめです。
大家は騒音を引き起こした大学生を強制退去させることができますが、借主である大学生は、借地借家法で守られているため、すぐに強制退去することはありません。
大家は、手間と時間をかけて裁判所で法的手続きをしてください。
騒音の苦情対応や強制退去の手続きを誤ると大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるため注意が必要です。
大家1人で対応するのが難しい場合は、不動産トラブルに強い弁護士法人アクロピースにぜひご相談ください。
強制退去の手続きのサポートはもちろんのこと、騒音主の大学生を話し合いで任意退去させるための法的アドバイスも行っています。
騒音のトラブルが大きくなる前に、お早めにご相談ください。
弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。