相続した不動産の管理会社を変えたい!変更の流れやトラブルの予防法とは

遺産として、マンションなどの不動産物件を相続することがあります。
しかし様々な理由で、今の管理会社を変更したいと考える場合もあるでしょう。

ここでは、相続した不動産の管理会社を変更する際の手順や、トラブルの事例対処方法などをご紹介します。

目次

相続後に管理会社を変更できる?

相続した不動産の管理会社を変えることは、もちろん可能です。
相続登記を済ませてからであれば、問題なく変更できるでしょう。

ただし、管理会社との契約内容を見直し、特約事項などの記載があれば注意しましょう。
契約を解約する場合の条件などが記載されている可能性があります。

管理会社との間で起きやすいトラブルとは

オーナーと管理会社の間でよく生じるトラブルと、その対策としてできるかもしれない具体策をいくつかご紹介しましょう。

1.サブリース契約

近年急増しているトラブルが、サブリース契約に関するものです。
サブリース契約とは、家賃の20%程度の管理委託費用を支払うことで空き室になっても家賃収入を保証してくれるという、いわば保険のようなサービスです。

しかし、当初の家賃よりも大幅に減額した家賃での保証となるなど、オーナーにとっては思わぬ落とし穴のような保証を実施する管理会社によるトラブルが増えています。

実際の契約書には、「〇年間は家賃保証するが、その後賃料を見直すこととする」「見直しに応じないなら、サブリース契約は解約することとする」などの一文が記載されていますが、トラブルを起こしている管理会社のほとんどが、これらについてはあえて説明をしていないようです。

オーナーとしてできる契約前の自衛策としては、契約書の類に隅から隅まで目を通すこと、家賃保証の減額はありうるのか、あるとしたらどのような規定に基づいてどれほど減額するのかなど、詳細な点を徹底的に聞き出しておくことです。

サブリース契約は、管理会社自体が倒産などしてしまったら元も子もありません。
設立後間もなく管理業務実績も浅い会社よりも、管理会社としての実績と経験をある程度の期間保有している堅実な会社を選ぶこともトラブルを防ぐために有効でしょう。

【ワンポイント豆知識:サブリース契約は法的に解約できない場合あり】

なお、サブリースを行っている不動産会社の中には、サブリースの解除に応じない会社があるため注意が必要です。
そもそもサブリースという言葉を使っていますが、法的には所有者が不動産会社にその物件を貸して、不動産会社がそれをまた貸し(転貸)するというのがサブリースの仕組みです。
そのため、不動産会社に対し部屋を貸している状態のため、やむを得ない理由がなければ解除をすることができないのです。

サブリース契約書に解除違約金の記載があることもありますが、法的には「正当事由」がなければならないとされています。
そのため、自分で使いたい、管理会社を変更したいといった理由は正当事由として認められないので注意が必要です。

サブリース契約は家賃が保証されるという意味では非常にメリットがある契約ですが、一方で、自分の所有物でも自分の自由にできない部分が多いです。
もしも、サブリース契約を結ぶ際には、契約書の内容を十分確認しましょう。

2.高額な維持費用

オーナーであれば、入居者の退去後には部屋の修繕を行ったり、場合によってはリフォームを行ったりする場合もあるでしょう。
それらの業務を管理会社に一任することも多いと思いますが、その際に請求される費用が高額なために、管理会社との間でトラブルになることもあります。

トラブルを防ぐには、オーナー自身が相場を理解しておくことも必要です。
あまりに相場よりも高い費用を請求されるようなら、「相場はこれくらいだが、なぜこの費用が必要になるのか」と問いただすことができるでしょう。

不動産管理だけでなくリフォームや建築も手掛けているような大手の管理会社であれば、この点はやや安心できるかもしれません。

3.管理業務の怠慢

オーナーと管理会社との間のトラブルで最も多いとも言えるのが、管理会社の業務における怠慢さです。
例えば、家賃滞納を何カ月も放置している、清掃がおろそかである、ライフラインや消防設備などの設備点検を行っていない、入居者からのクレームや対応依頼に対するレスポンスが著しく遅い、管理人の教育が行き届いていない、などです。

オーナーにとってだけでなく、入居者の生活の質や安全をも脅かしかねない問題が多数あり、しかも一向に改善される様子がない場合は、思い切って管理会社を変更するのも良策かもしれません。

管理会社を変更する時の流れ

では実際に、管理会社を変更しようと思い立ってから変更が完了するまでの流れを見てみましょう。
ここでは、管理組合が組織されている一棟のアパート、マンションの例をとり上げます。

1.新管理会社の募集

まずは、新しい管理会社を探しましょう。
今の管理会社を変更したいと思う理由を明確にしておき、それらの問題点を改善できる管理会社を探すことが大切です。
検討しても良いと思える管理会社がある程度絞られてきたなら、見積もり作成を依頼します。

2.候補会社による現地調査・見積もり作成

見積もりを作る際には、物件での現地調査が必須となります。
候補となる管理会社と予定を調整し合い、現地調査の日程を決めましょう。

物件オーナーの立ち合いが必須ではない管理会社であっても、調査当日はできるだけ立ち会いましょう。調査に来たスタッフの質もその管理会社の業務の質をある程度反映しているかもしれませんから、直接会っておくことは重要です。
また、物件の特徴や現状の悩み、現管理会社を変更したい理由などを伝えておくことで、こちらの意向を明確に理解してもらうこともできるでしょう。

見積もりは、たいてい現地調査から3週間程度で届きます。

3.管理会社の選考・内定

各社の見積もりをもとに、具体的な選考を行います。
各管理会社のプレゼンによっても、その管理会社の業務姿勢やレベルを知ることができるでしょう。

その会社が、今の管理会社に対する不満点を解消できる管理会社かどうか、じっくりと選考しましょう。
最終的に1社に絞られたら、内定を出します。

4.内定管理会社との最終調整

内定を出してもまだ契約確定ではなく、管理会社変更のための臨時総会を開催して決議を行って初めて、契約確定となります。

その臨時総会の段階では、具体的な業務内容の調整も済んでいる必要があります。
例えば物件によっては、今の管理人よりも出勤日数を増やしてほしい、減らしてほしいなどの要望や、管理費を下げたいので清掃回数を減らし、植樹などを簡素化してほしいなど、入居者から細かい要望が出される場合があります。
このような細かい部分の調整を内定した管理会社との間で行ってから、臨時総会にのぞみます。

5.重要事項説明会および臨時総会の開催

管理会社と交わしている「管理委託契約」を変更する際には、事前に重要事項説明が必要とされています。

そのため、臨時総会に先立って重要事項説明会を開催します。
内定管理会社から具体的な契約内容の説明を受けた後に、臨時総会にて管理会社変更の決議が取られることとなります。
総会参加者の過半数が賛成すれば、可決となります。

6.新管理会社との契約・解約通知

いよいよ、新しい管理会社との正式な契約の段階です。
まずは、現管理会社へ解約通知をします。解約通知のタイミングについては各管理会社によって違いがあります。契約書の事前通知期間を確認し、十分前もって通知を行いましょう。

7.現管理会社から新管理会社への業務引継

解約通知をしたら、現管理会社から新管理会社へ管理業務が引き継がれます。
通常は、理事の立ち会いのもと行われます。

8.新管理会社での管理開始

一般的には1から8までのプロセスを、4カ月~10カ月ほどかけて行うことになるでしょう。物件の規模や、各プロセスがいかにスムーズに進むかによって、所要期間は大きく異なります。

管理会社変更が決まったら、変更3カ月前には入居者へ通知を

管理会社が変わることは、入居者にとっても大きな変化となります。
生活サービスの問い合わせ先や、家賃の入金先などを変更しなくてはならないでしょう。

1カ月前などの急な通知は、入居者にとっては非常に迷惑になります。時には、それが物件所有者への不信感や不満の一因ともなってしまうでしょう。
ご自身が入居者だったら、ぜひ早めに通知して欲しいと思われるのではないでしょうか?

一般的には、どんなに遅くとも2カ月前には通知するべき、とされています。
しかし可能であれば3カ月前には初回の通知を済ませ、1カ月前にリマインダーとして再度通知するなど複数回に渡って通知するなら、入居者への周知率も上がりトラブルも抑えることができるでしょう。

不動産トラブルは、不動産問題に強い当事務所へご相談を

不動産の管理会社とのトラブルは相手方が会社であることもあり、非常に厄介です。
契約書や重要事項説明書などに、ワナのような一文が仕掛けられていることも無いわけではありません。

管理会社を注意深く選考しても、トラブルに巻き込まれてしまうことはあり得ます。

そんな時は、不動産問題に強い当事務所へどうぞご相談下さい。
我々弁護士は法律のプロとして、オーナー様に有利な結果を勝ち得ることができるよう共に戦います!

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

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