交通事故で保険会社にはどう対応すべき?注意点・対応が悪い時の対処法を徹底解説

「交通事故に遭ったけど、保険会社への対応はどうすればいい?」
「相手の保険会社の対応が悪い場合、どう対処すべきか分からない」
交通事故後の保険会社への対応は、その後の賠償額や解決までの期間に直結します。知識がないまま相手のペースで話を進めると、本来受け取れるはずの賠償金が減額されるなど、不利な条件を飲まされるかもしれません。
この記事では、交通事故の被害に遭った際、保険会社にどう対応すべきかを解説します。事故発生から示談成立までの流れ、保険会社から連絡が来ない理由と対処法、対応が悪い場合の具体的な相談先まで紹介しています。
弁護士 佐々木一夫保険会社のペースに巻き込まれず冷静かつ毅然と対応するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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【ステップ解説】交通事故発生から示談成立まで|保険会社とのやり取りの全体像
交通事故の解決までには、多くのステップと時間が必要です。
全体像を把握しておくことで、今自分がどの段階にいて、次に何をすべきか、保険会社と何を話すべきかを冷静に判断できます。
ここでは、事故発生から示談成立までの流れを5つのステップで解説します。
関連記事:交通事故の示談交渉の流れは?押さえておきたい重要ポイントや注意点を解説
ステップ1:事故発生直後|警察・保険会社への初期連絡
事故が起きたら、まずは負傷者の救護と安全確保を行い、すぐに警察(110番)に通報しましょう。
負傷者の救護と安全確保・警察への届出は法律上の義務(道路交通法第72条)であり、保険会社の賠償手続きに必要な「交通事故証明書」の発行にも不可欠です。
同時に、自身が加入している保険会社にも事故の第一報を入れます。相手方の氏名、連絡先、保険会社名、車のナンバーなども必ず確認・記録しておきましょう。



できれば被害や道路状況などについてスマートフォンで写真に撮るなどしておくのも良いでしょう。
ステップ2:治療開始〜症状固定|治療費の支払い対応
怪我をしている場合は、すぐに病院で診察を受けましょう。治療費は、相手方の保険会社が病院に直接支払う「一括対応」が一般的です。
保険会社には、通院する病院名を伝え、治療費の支払い対応を依頼します。その後は医師の指示に従い、治療に専念することが大切です。
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態(症状固定)になれば、保険会社との交渉が本格化します。
ステップ3:後遺障害等級認定
症状固定の診断を受けても、後遺症が残ってしまった場合は、「後遺障害」の等級認定を申請します。医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、必要書類とともに自賠責保険会社へ提出しましょう(被害者請求)。
認定された等級(1〜14級)に応じて、後遺障害慰謝料や逸失利益の賠償額の請求ができます。等級認定の結果は賠償額全体に極めて大きな影響を与えるため、医師や弁護士の判断のもと適切に対処することが大切です。
ステップ4:損害賠償額の算定と提示|保険会社からの示談案
症状固定の診断が下りるか、後遺障害等級が確定した時点で損害全体が確定します。このタイミングで、相手方の保険会社は「損害賠償額計算書(示談案)」を作成し、被害者に提示してきます。
「損害賠償額計算書(示談案)」に記載されている主な項目は、以下のとおりです。
- 治療費
- 通院交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
この提示額を参考に、示談交渉が始まります。
ステップ5:示談交渉〜示談成立|免責証書の取り交わし
保険会社から「損害賠償額計算書(示談案)」が提示されたら、まずは内容を精査しましょう。とくに慰謝料の金額や過失割合について、相手方の主張が妥当かどうかを慎重に検討することが重要です。
提示額に納得できなければ、以下のような客観的な根拠をもとに交渉を行います。
- 医師の意見書・診断書
- カルテ・検査結果・画像資料
- 後遺障害等級認定の資料
- 通院・治療実績を示す資料
- 休業損害・逸失利益に関する資料
- 事故状況・過失割合に関する資料
- 過去の裁判例・賠償額算定基準
双方が合意に至れば、「示談書(免責証書)」に署名・捺印しましょう。示談が成立すると、後日、合意した賠償金が指定の口座に振り込まれます。
保険会社との交渉を有利に進めるためのチェックリスト
保険会社は交通事故対応のプロフェッショナルです。
交渉を対等かつ有利に進めるためには、感情論ではなく、チェックリストに基づいた「客観的な証拠」と「法的根拠」を用意することが欠かせません。
下記を参考に、適切に準備できているかを確認してみてください。
- 過失割合の根拠が書面で確認できているか
- 入通院・後遺障害の書類に漏れがないか
- 提示額が「自賠責基準 or 任意基準 or 弁護士基準」の内どれか
- 打ち切りを理由に治療を中断していないか
- 必要書類(事故状況の客観資料)が揃っているか
とくに賠償額の算出基準については注意が必要です。低額な自賠責基準や各社の任意基準で提示されていないかを確認しましょう。
また、過失割合についても、警察の実況見分調書などと照らし合わせて納得できるまで書面での説明を求める姿勢が求められます。
準備不足のまま示談に応じる前に、まずは現状を冷静に整理しましょう。
交通事故で保険会社から連絡が来るタイミングは?
交通事故後、相手方(加害者)の保険会社から連絡が来るのは、一般的に事故発生から数日〜1週間程度が目安です。
ただし、これは相手方が事故後すぐに自身の保険会社へ事故報告を行った場合です。
被害者から相手の保険会社に直接連絡することも可能ですが、基本的には加害者からの報告を受けて保険会社が動き出します。
そのため、加害者の報告が遅れれば、保険会社からのファーストコンタクトも遅れることになるでしょう。
交通事故で保険会社から連絡が来ない・遅い場合の主な理由
事故から1週間以上経過しても保険会社から連絡が来ないと、不安になるのは当然でしょう。ただ、慌てて不利な行動を取る前に、まずは状況を冷静に分析することが重要です。
ここでは、保険会社からの連絡が遅延する主な理由を4つ解説します。
自身の状況がどれに該当するかを確認してみてください。
理由1:相手方(加害者)が保険会社に事故報告をしていない
交通事故で保険会社から連絡が来ない・遅い理由として多いのが、加害者本人による保険会社への報告遅れです。
保険会社は、契約者である加害者から報告がなければ事故を認知できず、被害者への対応を開始できません。
自動車保険の契約者は、事故発生時に速やかに保険会社へ通知する義務を負っています。ところが、加害者が事故を軽く考えていたり、気が動転していたりして報告を怠るケースは少なくありません。



ひどい場合には、保険料の等級ダウンを恐れて意図的に報告しない加害者も一定数存在しています。
理由2:保険会社側の事務処理に遅れが生じている
保険会社側の事情も、連絡が遅れる代表的な理由の一つです。
たとえば、大規模な自然災害が起きた直後は車両保険の請求などが殺到するため、事故対応部門全体の業務が麻痺状態になることがあります。
また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの大型連休明けは事故報告が集中しやすく、担当者の割り当てや初期対応に時間がかかる傾向があります。
この場合は、加害者が報告を済ませていても、事務処理の遅延によって被害者への連絡が滞りやすいのが特徴です。
理由3:相手方が任意保険に加入していない可能性がある
相手方が任意保険に加入しておらず、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のみの場合、当然ながら「相手の任意保険会社」からの連絡は来ません。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に基づく強制保険であり、人の生命・身体への損害に対する最低限の補償を目的としています。
物損(車の修理代など)は補償対象外であり、治療費なども被害者自身が相手の自賠責保険会社に直接請求(被害者請求)しなければなりません。
この場合、交渉相手は加害者本人となるため、対応は困難になります。相手が無保険の可能性がある場合は、早急に弁護士など専門家への相談が必要です。
理由4:警察への届出が完了しておらず、事故情報が確定していない
警察への事故届出が完了していないと、保険会社が対応を開始できない場合があります。保険会社は、賠償手続きを進めるために「交通事故証明書」を必要とするためです。
この証明書は、警察への届出がなければ発行されません。警察が事故を認知し、人身事故か物損事故かの切り分けや、当事者情報の確認を終えて初めて、保険会社は事故の事実確認が取れます。



事故直後に警察へ連絡しなかった場合は、これが原因で保険会社の対応が止まっている可能性があるでしょう。
交通事故後に保険会社から連絡が来ないときに取るべき行動
保険会社から連絡が来ない場合、ただ待ち続けるのは得策ではありません。被害者側から能動的に行動することで、状況を打開できる可能性があります。
ここでは、連絡が来ないときに取るべき具体的な行動を3つ紹介します。
自身の状況に合わせて、できることから着手してみてください。
自分の保険会社に状況を相談する
まずは、自身が加入している任意保険会社に連絡しましょう。
たとえ自分に過失がない「もらい事故」であっても、契約者として事故報告をする義務があります。通知を怠ると、契約内容によっては保険金が支払われないことがあるため、速やかに報告することが重要です。
その際、「相手の保険会社から連絡がない」という状況を具体的に伝えることが大切です。
事情を説明すれば、自分の保険会社の担当者が相手の保険会社に連絡を取り、状況確認や報告の催促をしてくれるでしょう。また、今後の対応手順についてのアドバイスも受けられます。
この際、「弁護士費用特約」や「人身傷害保険」など、自分が使える保険の内容も確認しておくと、その後の対応もスムーズになります。
出典:日本損害保険協会|事故が発生したときの契約者などの義務とは?
相手方の保険会社が分かっている場合は連絡する
事故現場で相手の保険会社名や連絡先、証券番号などを確認できている場合は、被害者から直接連絡することも効果的です。連絡する際は、以下の情報を準備しておきましょう。
- 事故が発生した日時と場所
- 相手方(加害者)の氏名、連絡先、車のナンバー
- ご自身の氏名と連絡先
- 事故の状況(簡潔に)
担当部署に繋いでもらい、加害者からの事故報告が上がっているかを確認しましょう。報告がまだであれば、加害者に連絡して早急に報告するよう伝えてもらう必要があります。



感情的にならず、あくまで「状況確認」として冷静に問い合わせることが重要です。
「内容証明郵便」の送付も検討する
相手本人にも、相手の保険会社にも連絡がつかない、または誠実な対応が見られない場合、次の手段として「内容証明郵便」の送付が考えられます。
内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出したか」を郵便局が証明する制度です。これを利用し、損害賠償を請求する旨の書面(請求書)を送付します。
法的な強制力はありませんが、相手に心理的なプレッシャーを与え、対応を促す効果が期待できるでしょう。
また、内容証明郵便を送付することで、送付時から6か月間、時効の完成を猶予することが可能です(民法第150条第1項)。ただし、この6か月以内に裁判上の請求等を行わなければ時効が更新されない点には注意しましょう。



文書の作成には法的な知識が必要なため、この段階に至る前に弁護士へ相談することを推奨します。
出典:e-Gov法令検索|民法
【ケース別】交通事故で保険会社の対応が悪い場合の対処法
保険会社の担当者も人間なため、高圧的な態度を取ったり、被害者の状況を顧みない不誠実な対応をしたりする担当者も存在します。しかし、相手のペースに飲まれて感情的になってはいけません。
ここでは、保険会社の対応が悪い典型的なケースと、その具体的な対処法を解説します。冷静な対応を心がけ、自身の権利を守りましょう。
ケース1|「治療費の打ち切り」を一方的に通告された場合
まだ痛みがあり治療中であるにもかかわらず、保険会社から「来月で治療費の支払いを打ち切ります」と一方的に通告されることがあります。
これは、保険会社が「治療費の支払いを抑えたい」と考えていることが理由です。
この場合は、以下のように対処しましょう。
- 主治医の意見を確認する
- 医師の意見を保険会社に伝える
- 健康保険での治療に切り替える
治療の必要性を判断するのは保険会社ではなく、医師です。まずは主治医に「まだ治療が必要か、症状固定か」の医学的見解を求めましょう。
主治医が「まだ治療が必要」と判断した場合は、その旨を保険会社に明確に伝え、治療継続の交渉を行います。
交渉が決裂しても、自己判断で治療を中断してはいけません。一旦、自身の健康保険を使って治療を継続し、かかった費用は後で示談交渉の際に請求することが大切です。
関連記事:保険会社が治療の打ち切りを連絡してきた!治療費打ち切りが通達されたときの対応方法
ケース2|提示された「過失割合」に納得できない場合
保険会社が提示してきた過失割合に納得できないケースも、多く見られるトラブルです。
過失割合は賠償額全体に影響する(自身の過失分が減額される)ため、安易に同意してはいけません。保険会社は、自社(加害者側)に有利な過去の判例をもとに割合を提示してくることがあります。
この場合の対処法は、以下のとおりです。
- 過失割合の根拠を明確にするよう求める
- 客観的な証拠を提示して反論する
まずは、根拠としている過去の判例や事故状況の解釈について、書面での説明を求めましょう。その後、ドライブレコーダーの映像や事故現場の写真、警察が作成した「実況見分調書」など、客観的な証拠を集めます。



それらの証拠をもとに、相手の主張する事実認定の誤りを具体的に指摘し、再考を促すことが大切です。
関連記事:交通事故の過失割合を徹底解説|ケース別の相場と納得できない時の対処法
ケース3|担当者の態度が高圧的・不誠実な場合
高圧的な言動や、折り返しの連絡が極端に遅いなど、不誠実な対応をされるケースも珍しくありません。このような担当者と直接やり取りを続けるのは、精神的に大きな負担となります。
この場合の対処法は、以下のとおりです。
- やり取りをすべて記録する
- 担当者の変更を申し入れる
通話の場合は録音し、電話の日時・担当者名・会話内容を詳細にメモします。「言った・言わない」のトラブルを避けるため、メールや書面でのやり取りも残しておきましょう。
その後、保険会社の「お客様相談窓口」や「コンプライアンス室」に担当者の資質に問題がある旨を連絡します。具体的な言動や事実を伝え、担当者の変更を要求しましょう。
関連記事:交通事故で相手の保険会社の対応が悪いときの対処法と弁護士に相談するメリット
保険会社の対応に不満がある場合の相談先は?
保険会社の担当者や上司に訴えても状況が改善しない場合、中立的な第三者機関や法律の専門家に相談する道があります。
当事者間での交渉が行き詰まった場合、これらの機関を利用することで、公正な解決が図れる可能性が高まるでしょう。
主な相談先は、以下の4つです。
それぞれの機関に特徴があるため、自身の状況や目的に合わせて選択しましょう。
そんぽADRセンター|中立的な立場でサポート
そんぽADRセンター(一般社団法人日本損害保険協会)は、保険業法に基づき、金融庁長官の指定を受けた指定紛争解決機関です。保険会社とのトラブルに関する苦情を受け付け、中立・公正な立場で和解のあっせんを行ってくれます。
保険会社の対応自体への不満や苦情を申し立てたい場合に効果的な窓口です。ただし、あくまで「あっせん」であり、法的な強制力を持つ判断を下す場所ではありません。
日弁連交通事故相談センター|無料で法律相談が可能
日弁連交通事故相談センターは、日本弁護士連合会が運営する機関です。全国の弁護士会に相談所が設置されています。
交通事故の被害者であれば、原則として5回まで無料で弁護士による面談相談を受けることが可能です。また、2022年4月からは電話相談(月〜金10:00〜19:00)も無料で利用できます。
日弁連交通事故相談センターは、賠償額の計算方法や、保険会社の主張が法的に妥当かなど、専門的なアドバイスを受けたい場合に適しています。



一部の相談所では示談あっせん手続きも行っていますが、基本的には法律相談が中心です。
交通事故紛争処理センター|示談あっせんを依頼できる
交通事故紛争処理センターは、交通事故の損害賠償に関する紛争を、中立・公正な立場で解決するために設立された公益財団法人です。無料で弁護士による法律相談や、示談の和解あっせん手続きを利用できます。
あっせんが不成立となった場合でも、審査会に「審査」を申し立てることが可能です。審査会が下す裁定について、センターと協定を締結している保険会社などは裁定を尊重する義務があります。
協定保険会社が相手方の場合、実効性の高い解決手段といえるでしょう。
弁護士(法律事務所)|交渉や法的手続きを一任できる
上記の機関が「中立」であるのに対し、弁護士は唯一「被害者の代理人」として、被害者の利益を最大化するために活動できます。
保険会社との煩雑な交渉窓口をすべて弁護士に一任できるため、精神的な負担が大幅に軽減されるでしょう。また、後遺障害等級認定の申請サポートや、保険会社が提示する賠償額の増額交渉(弁護士基準での請求)も可能です。
自身の保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、多くの場合、費用負担なしで依頼できます。適切に対処するためにも、早い段階で弁護士への相談を検討しましょう。
弁護士費用特約については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:交通事故で弁護士特約は使った方がいい?トラブルで利用できる「弁護士費用特約」についてわかりやすく解説
交通事故で保険会社への対応方法に悩んでいる場合は、弁護士法人アクロピースにお任せください。
交通事故トラブルの解決実績が豊富な弁護士が個々のケースに合わせてアドバイスを提案いたします。
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保険会社との対応で「損をしない」ために知っておくべき注意点
保険会社の担当者は、何百件もの事故処理を行ってきた「交渉のプロ」です。その相手と対等に渡り合うためには、被害者側も最低限の知識を身につけることが欠かせません。
ここでは、保険会社との対応で「損をしない」ために知っておくべき4つの注意点を解説します。
これらを知っているか否かで、最終的な賠償額が大きく変わる可能性もあるため、ぜひ参考にしてみてください。
保険会社が提示する賠償額は「最低基準」である可能性を疑う
保険会社が最初に提示する示談金は、法的に認められる「弁護士基準(裁判基準)」よりも低い金額となっている場合が多いです。
これは、保険会社が自社の支払基準である「任意保険基準」や、最低限の補償である「自賠責基準」で計算していることが理由として挙げられます。
「弁護士基準」と最低限の補償である「自賠責基準」では、賠償額が2倍近く異なるケースも珍しくありません。
たとえば、後遺障害が発生した場合に請求できる後遺障害慰謝料について、等級ごとに自賠責基準と弁護士基準で次のような差がでます。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準(円) | 弁護士基準(円) |
|---|---|---|
| 要介護1級 | 1,650万 | 2,800万を超える事例あり |
| 要介護2級 | 1,203万 | 2,370万を超える事例あり |
| 第1級 | 1,150万 | 2,800万 |
| 第2級 | 998万 | 2,370万 |
| 第3級 | 861万 | 1,990万 |
| 第4級 | 737万 | 1,670万 |
| 第5級 | 618万 | 1,400万 |
| 第6級 | 512万 | 1,180万 |
| 第7級 | 419万 | 1,000万 |
| 第8級 | 331万 | 830万 |
| 第9級 | 249万 | 690万 |
| 第10級 | 190万 | 550万 |
| 第11級 | 136万 | 420万 |
| 第12級 | 94万 | 290万 |
| 第13級 | 57万 | 180万 |
| 第14級 | 32万 | 110万 |
出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
保険会社から提示された金額を見て「こんなものか」と鵜呑みにせず、弁護士基準で計算し直した場合にいくらになるのかを比較検討することが重要です。
算定基準ごとの損害賠償額については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【交通事故損害賠償額算定基準】交通事故の損害賠償額が変わる3つの算定基準を詳しく解説
安易に示談書(免責証書)にサインしない
保険会社が提示する示談書(免責証書)には、「本件に関し、甲乙間には本示談書に定めるもののほか、何らの債権債務関係のないことを相互に確認する」といった清算条項が必ず記載されています。
これは、「一度サインしたら、今後一切、この事故に関して追加の請求はできません」という意味です。もし示談成立後に後遺症が悪化したり、新たな損害が発覚したりしても、原則としてやり直しはききません。
以下の内容をすべて確認し、内容に100%納得するまでサインしないようにしましょう。
- すべての治療が完了(症状固定)しているか
- 後遺障害等級認定の結果は妥当か
- 賠償額の項目(休業損害など)に漏れはないか
医師の指示なく治療を中断しない
保険会社から治療費打ち切りを打診されたことを理由に、自己判断で通院を中断してしまう方がいます。
ただ、通院期間に空白が空くと、保険会社から「その症状は事故と関係ない」と主張され、事故と怪我との因果関係を否定される恐れがあります。
そうなると、それ以降の治療費や慰謝料が支払われない可能性もゼロではありません。



痛みや違和感がある限り、必ず医師の指示に従い、症状固定の診断が出るまで治療を継続するようにしましょう。
やり取りの記録(日時・担当者名・会話内容)を必ず残す
保険会社の担当者とのやり取りは、すべてを記録する習慣をつけましょう。
とくに電話での会話は、後になって「言った・言わない」のトラブルに発展しやすいポイントです。
電話で話した内容や日時、担当者名は必ずメモしましょう。トラブルになりそうな場合は、相手の同意を得た上で通話を録音することも大切です。
また、重要な合意事項や過失割合の根拠などは、必ずメールや書面(FAX)で送ってもらうよう要求しましょう。これらの記録は、万が一交渉が決裂し、調停や訴訟に移行した場合に、自身の主張を裏付ける強力な証拠となります。
加害者側が無保険(任意保険未加入)だった場合の対応
加害者が任意保険に加入していない場合、まずは相手の自賠責保険へ直接請求を行う「被害者請求」を活用し、最低限の補償確保を目指しましょう。
自賠責の上限を超える治療費等については、自身が加入する「人身傷害保険」でカバーできる可能性があります。
一方で注意が必要なのが「物損」です。自賠責は対人賠償に限られるため、相手に資力がなければ、修理費等は原則として自己負担(または自身の車両保険)となります。
このように無保険者との交渉は難航し、泣き寝入りになるリスクが高いのが現状です。自身の保険に「弁護士費用特約」があれば、迷わず弁護士に依頼しましょう。



費用を気にせず専門的な交渉を一任でき、精神的な負担も大幅に軽減されます。
交通事故の保険会社とのやり取りに関するよくある質問
ここでは、交通事故の保険会社との対応に関して、被害者の方から多く寄せられる質問とその回答をまとめました。いざという時に慌てないよう、事前に確認しておきましょう。
相手が保険会社を介さず直接示談交渉を求めてきた場合の対処法は?
相手が保険会社を介さず直接示談交渉を求めてきた場合、応じてはいけません。加害者が直接交渉を持ちかけてくる場合、任意保険に加入していない可能性があるためです。
この場合、まずは相手が任意保険に加入しているかを確認することが大切です。加入している場合は、「契約している保険会社を通して話してください」と毅然と伝え、直接の交渉を拒否します。
もし未加入(自賠責保険のみ)の場合は交渉が困難になるため、すぐに弁護士に相談することが大切です。
保険会社の担当者を変更してもらうことは可能?
保険会社の担当者を変更してもらうことは可能です。以下のように、正当な理由がある場合は、変更を要求できます。
- 担当者の態度が高圧的で精神的苦痛を感じる
- 説明が二転三転して信用できない
- 何度電話しても連絡がつかない
担当者本人に直接言うのではなく、その保険会社の「お客様相談窓口」や上司(所属部署の責任者)に対し、変更を希望する理由を具体的に伝えましょう。
ただし、担当者が変わっても、賠償額の基準など、会社としての方針自体は変わらない点には留意が必要です。
自分の保険会社にも連絡は必要?
交通事故が発生した場合は、自身が加入している保険会社への連絡が必要です。自身の保険会社が介入できない「もらい事故(過失割合10:0)」であっても、連絡しましょう。
多くの保険約款では、事故報告は契約者の義務とされています。報告を怠ると、後で自身の保険(人身傷害保険など)を使おうとした際、手続きがスムーズに進まない可能性があります。



交通事故が発生したら、必ず自身の保険会社にも事故の連絡を入れることを癖づけておきましょう。
まとめ|交通事故で保険会社の対応に不安があれば、専門家に相談しよう
交通事故の保険会社対応は、被害者にとってストレスのかかるプロセスです。保険会社は交通事故対応のプロですが、彼らはあくまで加害者側の立場や自社の利益に基づいて交渉を進めます。
保険会社は、被害者側の代理人ではなく、自社や契約者(加害者側)の立場を前提に交渉を行う存在です。「被害者の利益だけを最大化してくれる相手ではない」という前提を意識しておくことが重要です。
もし、保険会社の対応に少しでも疑問や不満、不安を感じた場合は、被害者の立場に立ってくれる専門家に相談することが大切です。初回無料相談や保険会社の「弁護士特約」を活用し、まずは弁護士に相談してみましょう。
交通事故で保険会社への対応方法に悩んでいる場合は、弁護士法人アクロピースにお任せください。
交通事故トラブルの解決実績が豊富な弁護士が個々のケースに合わせてアドバイスを提案いたします。
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