後遺障害等級認定は厳しい?非該当になる典型例や異議申し立てのポイントを弁護士が解説

後遺障害等級認定は厳しい?

「後遺障害等級認定の審査は厳しいのだろうか?」
「後遺障害等級認定の結果に納得できなかったらどうすればいい?」 

交通事故の被害に遭い、強い痛みやしびれなどの症状が残っているにもかかわらず、後遺障害等級認定の非該当通知を受け取って途方に暮れる方は少なくありません。

後遺障害等級認定の審査は、被害者の方が想像する以上に厳格かつ形式的な基準で行われるため「厳しい」という声があがることもあります。 

この記事では、なぜ後遺障害等級認定のハードルが高いのか、その構造的な背景と、非該当を避けるために押さえておくべき重要なポイントを弁護士の視点で解説します。

適正な認定を受けるための正しい知識として、ぜひお役立てください。

記事の要点・結論

画像所見と通院実績が認定結果に大きく影響する:レントゲンやMRIによる他覚的な異常所見(画像証拠)と、事故直後からの継続的かつ十分な頻度の通院実績が認定の必須条件となる。

医師任せの診断書はリスクが高い:医師は治療の専門家であり、後遺障害等級認定の専門家ではない。そのため、審査に必要な記載が漏れていることが多々ある。

非該当通知後の異議申し立ては難関:一度下された結果を覆すには、前回提出できなかった「新たな医学的証拠」が必要であり、同じ資料での再審査は通用しない。

弁護士の早期介入が成功の鍵:申請前の段階で診断書の内容精査や不足検査の指摘を受けることで、認定の可能性を最大化し、納得のいく補償獲得につながる。

後遺障害等級認定の申請や結果にお悩みの方は、弁護士法人アクロピースへお任せください。 

認定システムの構造を熟知した弁護士が、適正な等級獲得に向けて、証拠収集から申請手続きまでを徹底的にサポートします。

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目次

後遺障害等級認定が厳しいと言われる2つの理由

後遺障害等級認定は被害者救済のための制度ですが、賠償実務においては大きな金銭的負担を伴うため、その審査は極めて慎重かつ厳格に行われます。

損害保険料率算出機構の公表データ(2024年度)によると、後遺障害等級ごとに認定された数は以下の表に記載された通り、等級ごとに大きく差があるのが実情です。

損害保険料率算出機構2024年度 自動車保険の概況
出典:損害保険料率算出機構|2024年度 自動車保険の概況

適正な認定を受けるためには、審査機関の視点や構造的な背景を理解することが不可欠です。本章では、なぜ後遺障害等級認定のハードルが高いのか、主な2つの要因について解説します。

後遺障害等級認定が厳しいと言われる2つの理由

スムーズに手続きを進めるためにも、審査の壁となる要素を事前に把握しておきましょう。

弁護士 佐々木一夫

監修者コメント
医療現場と認定審査では、求められる視点が異なります。

医師は治療を最優先しますが、審査機関は損害の確定を目的に書類を確認します。そのため、治療技術に優れた医師であっても、認定に有利な診断書の作成に精通しているとは限りません。

医師任せにせず、認定基準を熟知した弁護士の視点を取り入れることが重要です。

完全書面審査で行われるから

後遺障害の等級認定は、実務上、提出された資料に基づく書面による審査が行われています。

審査員が被害者と面談を行ったり、患部の状態を直接確認したりする機会は、通常設けられていません。(ただし、自賠責保険・共済紛争処理機構における紛争処理手続きなど、一部の手続きでは例外的な取扱いがなされる場合があります。)

書面審査特有の厳しさとして、主に以下の法的・実務的な制約が挙げられます。

書面審査の法的・実務的な制約
  • 書類の不備が結果に直結する(診断書や画像等の資料に不足があれば、それだけで非該当となる可能性が高まる)
  • 事後の口頭補足が認められない(提出後に事情を口頭で説明する機会はなく、書類のみで全てを語る必要がある)
  • 主観よりも書類の整合性を重視される(本人の訴え以上に、医学的所見や検査結果との整合性が厳格に審査される)

いかに自覚症状が重篤であっても、診断書等の書面に記載がなければ、審査上は存在しないものとして扱われるリスクがあります。

申請前の段階で記載漏れや曖昧な表現を排除し、証拠価値を高めるための準備が不可欠です。

関連記事:後遺障害等級は誰が決めるの?症状固定と後遺障害等級認定(事前認定・被害者請求)に関して

医学的証明が必須だから

認定を得るには、単に症状があるだけでなく、画像所見(レントゲン・MRI)や神経学的検査などの客観的な医学的所見による裏付けがあること(自賠責保険支払基準第3条)を客観的に満たすことが求められます。

自覚症状の訴えだけでは医学的な証明とはみなされず、将来にわたりその症状が残存する状態であると客観的に立証しなければなりません。

この客観的な裏付けが不足しているケースが、非該当となる主要な原因です。

弁護士 佐々木一夫

医師の診断だけでなく、検査結果や就労状況を示す資料を揃え、要件を満たしている事実を明確に示す必要があります。

後遺障害等級認定で非該当になりやすい5つの典型ケース

後遺障害等級認定の審査は厳格であり、申請すれば必ず認められるものではありません。認定に至らないケースには、いくつかの共通した否認要因が見受けられます。 

本章では、後遺障害等級認定の審査でマイナス評価を受けやすい5つの要因を解説します。

ご自身のケースがこれらの典型的なパターンに該当していないか、事前に確認し対策を講じましょう。

画像所見(他覚所見)がない

後遺障害等級認定の実務においては、他覚的所見(画像等による客観的な裏付け)が重視されます。

特にむちうちや腰椎捻挫といった神経症状では、他覚的所見の有無によって審査結果が左右されることも少なくありません。

検査の種類と、それぞれの役割・特徴は以下のとおりです。

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検査の種類役割と特徴
レントゲン骨折の有無は判別できるが、神経や筋肉などの軟部組織は写りにくい
CT骨の微細な骨折などを詳細に確認できるが、神経症状の立証には限界がある
MRI椎間板ヘルニアや神経根の圧迫など、神経症状の原因を確認する上で有用性が高い

ただし、これは法令上の絶対要件ではなく、個別事案における総合的判断の一要素であることも理解しておきましょう。

通院実績が不足している

後遺障害等級認定の実務上、症状固定までに相当期間の治療実績と、傷害の態様に応じた実治療日数が考慮されます。

治療期間が6ヶ月未満の場合や、通院頻度が著しく低い場合(例:週1回以下)には、症状の程度や治療の必要性について慎重に審査される傾向です。

ただし、これらは法令上の明文規定ではなく、個別事案の状況により判断は異なります。例えば、以下のようなケースでは、後遺障害等級認定において不利に働く可能性があります。

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認定に不利になる可能性があるケース通院状況の例
通院期間が不足している治療期間が半年未満で終了している
通院頻度が低すぎる仕事の多忙等を理由に、通院が週1回以下である
治療内容が希薄であるリハビリを行わず、湿布の処方のみで漫然と経過している

痛みが残存している事実を客観的に証明するためには、継続的かつ十分な頻度での通院実績を積み重ねることが不可欠と言えるでしょう。

事故と症状の因果関係が疑わしい

現在の症状と交通事故との間に相当因果関係が認められる必要があります。

審査では、事故の規模や態様、被害者の身体状況、医学的所見等を総合的に考慮し、事故と症状との間に相当因果関係があるかを判断します。

特に以下のような事情がある場合、事故との関連性が否定されるリスクが高まるでしょう。

事故と症状の因果関係が疑われるケース
  • 事故前から同じ部位にヘルニアや慢性的な痛みを持っていた場合(既往症がある場合)
  • 加齢による自然な骨や軟骨の変化と、事故による損傷の区別がつかない場合
  • 車両の損傷がほとんどない接触事故など、身体への衝撃が小さいとみなされる場合

既往症がある場合でも、事故により既存の障害が加重されたことを医学的に立証できれば、加重後の等級に対応する保険金から既存の等級に対応する金額を控除した額が支払われます。(参照:損害保険料率算出機構|自賠責保険の支払基準

なお、立証には、医師の意見書や画像所見等の客観的証拠が必要です。

症状の一貫性・連続性がない

事故直後から症状固定(治療終了)に至るまで、症状が一貫して継続していることが認定の必須条件です。

カルテ等の医療記録を精査し、受傷当初から一貫した訴えが記載されているかどうかが確認されます。

以下のように症状の経過に不自然な点がある場合、後遺障害等級認定は困難となるでしょう。

認定が困難になる可能性があるケース
  • 当初は首の痛みのみを訴えていたにもかかわらず、途中から腰痛を主張し始めた
  • 通院が1ヶ月以上途切れており、その間に治癒したか、別の原因で症状が出たと疑われる

痛いときだけ通院するのではなく、症状が続いている限りは継続して受診し、医師へ正確に症状を伝え続けることが大切です。

診断書の記載内容が不十分

後遺障害診断書は審査の判断材料そのものであり、その記載内容は認定結果を左右する極めて重要な要素です。

しかし、医師は治療の専門家であっても、後遺障害等級認定手続きの専門家ではないため、必ずしも審査に有利な書き方を熟知しているとは限りません。

その結果、以下のような記載不備によって非該当となるケースが散見されます。

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記載不備の例詳細
自覚症状の記載漏れ患者が訴えている具体的な症状(痺れの範囲や程度など)が反映されていない
検査結果の空欄実施すべき神経学的検査(ジャクソンテスト等)が行われていない、または結果が未記載である
後遺障害を否定する表現「治癒の見込みあり」「緩解」など、後遺障害を否定するような表現が含まれている
弁護士 佐々木一夫

診断書を受け取った際はそのまま提出せず、記載内容に漏れや誤りがないかを入念に確認し、必要であれば修正を依頼する姿勢が必要です。

関連記事:被害者請求とは?手続きの流れや必要書類・注意点を弁護士が徹底解説

後遺障害等級認定が厳しい結果だったときの対処法

後遺障害等級認定の結果が非該当であったとしても、直ちに諦める必要はありません。

認定結果に不服がある場合、被害者はその判断を争うための複数の手続を利用することができます。

具体的には、不足していた証拠を補強して再審査を求める方法や、中立的な第三者機関の判断を仰ぐ方法などが挙げられます。詳細は以下のとおりです。

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対処法詳細
審査機関に対して異議申立て(再審査)を求める実務上、回数制限なく申請が可能とされているが、認定を覆すには有力な新しい医証等の証拠資料の追加提出が求められる
指定紛争処理機関(自賠責保険・共済紛争処理機構)に調停を申請する無料で利用でき、専門家で構成された紛争処理委員会が中立・公正な立場から審査を行う
裁判所に訴えを提起する時間と費用を要するが、当事者が主張・立証を尽くすことで、裁判所が終局的な判断を示す

それぞれの手続きには一長一短があり、解決までの期間やコストも異なります。

どの手段を採用すべきかは、事案の複雑さや新たな証拠の有無によって慎重に判断する必要があるため、必要に応じて弁護士へ相談しましょう。

後遺障害等級認定の結果に納得できず悩んでいる方は、弁護士法人アクロピースへご相談ください。 

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関連記事:後遺障害の悩みは弁護士に相談・依頼すべき?メリットや費用・タイミングを徹底解説

自賠責保険の後遺障害等級認定で異議申立てを行うときのポイント

自賠責保険の後遺障害等級認定に不服がある場合、損害保険料率算出機構に対して異議申立て(再審査請求)ができます。

ただし、初回の審査と同じ資料を再提出するのみでは、審査結果が変わらない可能性が高いことに留意が必要です。

再審査に向けた戦略として、以下の3点をおさえておきましょう。

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項目内容
通知書の内容を確認する保険会社から送付された通知書の記載内容を確認し、認定結果の根拠を把握する
医学的証明を補強する新たな検査結果や医師の診断書・意見書を用い、医学的証明を追加する
法的書面を活用する弁護士等の専門家に相談し、手続きや資料の整理について助言を受けることも可能(任意)

単なる感情的な訴えではなく、客観的な新事実を提示して審査に挑む姿勢が不可欠です。

弁護士 佐々木一夫

ご自身での対応が難しいと感じる場合は、交通事故分野に強い弁護士への相談も検討しましょう。

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後遺障害等級認定や厳しい審査に関するよくある質問

後遺障害が非該当でも示談金はもらえますか?

後遺障害に関する補償は対象外となりますが、怪我の治療に対する傷害部分の賠償請求権は失われません。(参照:自動車損害賠償保障法|第13条

具体的には、以下のようなものが請求可能です。(自賠責保険における傷害による損害の支払限度額は120万円)

後遺障害が非該当でも請求できる示談金の例
  • 治療費(診察料、手術代、投薬料など)
  • 休業損害(怪我で仕事を休んだことによる減収分)
  • 入通院慰謝料(入院や通院を強いられた精神的苦痛に対する補償)

なお、非該当という結果はあくまで「後遺症としての等級評価に至らなかった」という意味であり、治療期間や怪我の程度に応じた適正な賠償を受ける権利は残されています。

後遺障害等級認定の連絡が来ないのですがどうすればいいですか?

審査期間は事案により異なり、一般的には数週間から数ヶ月程度を要しますが、医療機関への照会や複雑な因果関係の検討が必要な場合には、半年以上かかることもあります。

長期化する主な要因としては、医療機関への照会に時間を要していることや、事故状況や因果関係が複雑で慎重な検討が行われていることなどが挙げられます。

審査が長期化する場合は、申請を代行している保険会社や自賠責損害調査事務所へ直接問い合わせて進捗を確認してみましょう。

関連記事:弁護士に依頼すると交通事故の解決までの期間は早くなる?期間の目安・早くなる理由を解説

むちうちの後遺障害等級認定が厳しい理由は?

むちうち(頸椎捻挫等)は、画像検査で明確な異常所見が確認しにくい場合があり、後遺障害の等級認定において慎重な医学的判断が求められます。

むちうちで認定される可能性のある主な後遺障害等級は、以下のとおりです。

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状況等級
他覚的所見(画像所見や神経学的検査結果等)により医学的に証明できる場合第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
他覚的所見は乏しいものの、医学的に説明可能な神経症状が残存する場合第14級9号(局部に神経症状を残すもの)

適正な認定を受けるには、早期のMRI撮影や神経学的検査の実施、具体的な症状の一貫した申告と診療録への記載が重要です。

関連記事:交通事故のむちうちで慰謝料はいくらもらえる?相場や計算例を弁護士が解説

まとめ|厳しい認定審査を突破するためにも弁護士に相談しよう

後遺障害等級認定は完全な書面審査であり、被害者の主観的な辛さを訴えるだけでは認定の扉を開くことは困難です。 

適正な等級を獲得するためには、画像所見や通院実績といった客観的証拠を確実に積み重ねなければなりません。 

また、万が一非該当となった場合でも、新たな証拠に基づく異議申立てによって結果が覆る可能性は残されています。

弁護士 佐々木一夫

医学的・法的な観点からの準備に不安を感じる方は、一人で悩まず専門家のサポートを受けることが解決への近道となるでしょう。

後遺障害等級認定でお悩みの方は、弁護士法人アクロピースにご相談ください。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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