交通事故の休業損害とは?計算方法や請求の流れ・注意点を弁護士が徹底解説

「交通事故の怪我で仕事を休まざるを得なくなり、今月の生活費が心配だ」
「保険会社から提示された休業損害の金額が、実際の給料より低い気がする」
突然の事故による身体的な痛みだけでなく、収入が減ってしまうことへの経済的な不安は計り知れません。適切な計算式や請求方法を知らなければ、本来受け取れるはずの正当な補償を受け取れずに損をしてしまう可能性があります。
この記事では、休業損害の正しい計算方法や職業別の注意点、請求の流れなどを弁護士の視点でわかりやすく解説します。生活の基盤を守り、安心して治療に専念できる環境を整えるための知識として、ぜひ参考にしてみてください。
休業損害は収入の補償が目的:事故による怪我で働けなくなり、実際に減少した収入(または有給使用分)を補填するもの。精神的苦痛への「慰謝料」とは別物。
計算式は「1日あたりの基礎収入 × 休業日数」:計算式は「1日あたりの基礎収入 × 休業日数」とシンプルだが、基礎収入の算出方法や休業日数の認定範囲で揉めることが多いため注意が必要。
職業ごとに計算方法が異なる:原則として給与所得者は直近3か月の給与・自営業は確定申告書・主婦(主夫)は賃金センサス(平均賃金)を基準にして算出する。ただし、主婦の場合には男女別の全年齢平均の給与額を基準として算出する(通常日額1万円を超えることになる)。
3つの基準で金額が変わる:自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの基準がある。自賠責基準(最低限)よりも、弁護士基準(実損害ベース)の方が高額になる。
休業損害を受けるには「休業損害証明書」が必須:会社員は勤務先に作成を依頼し、事故前後の収入を源泉徴収票などの客観的資料とセットで提出する必要がある。
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交通事故の「休業損害」とは?基礎知識を解説
交通事故における金銭的な補償には似たような用語が多く存在するため、混乱しやすいのが実情です。
まずは「休業損害」が具体的に何を指すのか、他の補償制度との違いを明確にしておきましょう。
弁護士 佐々木一夫監修者コメント
交通事故の休業損害は、被害者の生活を支える重要な補償です。しかし、計算方法や請求の仕方を誤ると、本来受け取れる金額よりも低くなってしまう可能性があります。
また、有給休暇を使った場合や、主婦(主夫)・自営業の方の休業損害は見落とされやすく、正しく主張しなければ補償されないことも少なくありません。保険会社の提示内容を鵜呑みにせず、一つひとつ根拠を確認することが重要です。
休業損害とは
休業損害とは、交通事故による怪我が原因で仕事を休まざるを得なくなり、結果として生じた収入の減少を補償するものです。事故に遭わなければ本来得られていたはずの利益を埋め合わせるものであり、消極損害の一部として扱われます。
具体的には、以下のようなケースが補償の対象です。
- 入院や通院のために会社を欠勤し、給料が減額された
- 怪我の痛みで以前のように働けず、残業代や歩合給が減った
- 有給休暇を使って通院や療養をした(有給消化分も損害とみなされる)
重要なポイントは、実際に減収が発生している(または有給という権利を失った)事実が必要な点です。無職の方や、事故後も給料が減っていない会社役員などは、原則として請求が認められない傾向にあります。



しかし、主婦(主夫)のように、現金の収入がなくても家事労働に支障が出た場合は、請求可能です。
このことを主婦休損と慣例的に呼んでいますが、弁護士基準では主婦休損の賠償額は1日あたり1万円を超えます。
「休業補償(労災)」との違い
休業損害とよく混同される言葉に「休業補償」がありますが、補償の出どころと適用される制度がそれぞれ大きく異なります。
両者の主な違いは、以下のとおりです。
| 項目 | 休業損害 | 休業補償 |
|---|---|---|
| 根拠 | 自賠責保険・任意保険 | 労災保険 |
| 対象 | すべての交通事故 | 業務中・通勤中の事故 |
| 補償額 | 損害額の100%(過失相殺あり) | 給付基礎日額の80%(特別支給金含む) |
※出典:厚生労働省|3-5 休業(補償)等給付の計算方法を教えてください。
休業補償は、業務中や通勤中の事故に対して適用される労災保険(労働者災害補償保険)から支払われる給付金のことです。
通勤中の事故などの場合、被害者はどちらの保険を使うかを選択できますが、両方から満額を二重取りすることはできません。
一般的には、労災保険のほうが過失割合による減額がないなどのメリットがあるため、状況に応じて使い分ける必要があります。



どちらを優先すべきかは個別の事情によるため、弁護士など専門家に相談しましょう。
「慰謝料」との違い
休業損害と慰謝料は、どちらも加害者側に請求できる金銭ですが、補償の目的が根本的に異なります。
休業損害が経済的なマイナス(収入減)に対する補償であるのに対し、慰謝料は精神的な苦痛に対する賠償金です。
両者の性質の違いを整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 休業損害 | 慰謝料(入通院慰謝料) |
|---|---|---|
| 補償対象 | 仕事を休んだことによる減収 | 怪我や通院による精神的苦痛 |
| 計算根拠 | 実際の収入×休業日数 | 通院期間や実通院日数 |
| 支払条件 | 減収の事実があること | 人身事故で怪我をしていること |
たとえ仕事を休んでいなくても、怪我をして通院していれば慰謝料は請求できます。しかし、休業損害は請求できません。逆に、仕事を休んで収入が減った場合は、慰謝料と休業損害の両方を合わせて請求できます。



示談の際は、これらが明確に区別されて計算されているか、内訳をしっかりと確認することが大切です。
関連記事:交通事故の慰謝料とは?計算方法や慰謝料相場・注意点を弁護士が徹底解説
交通事故の休業損害の計算方法
休業損害の金額は適当に決められるものではなく、一定の計算式に基づいて算出されます。しかし、計算に用いる基準によって、最終的な受取額に大きな差が生じるため注意が必要です。
ここでは、基本となる計算式と、金額を左右する3つの算定基準について解説します。
基本の計算式:基礎収入(日額)×休業日数
休業損害の計算式は、シンプルで分かりやすい構造になっています。
基本的には、1日あたりいくら稼いでいるかを表す数字に、事故のせいで何日休んだかの日数を掛け合わせて算出します。
計算式は、以下のとおりです。
休業損害額=1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入と休業日数は、それぞれ以下のように定義されます。
| 1日あたりの基礎収入 | 事故直前の収入状況を基に算出した日額です。 会社員であれば直近3か月の給与、自営業者は前年の確定申告所得などが基準になります。 ※自賠責基準では、6,100円と定められています。 |
|---|---|
| 休業日数 | 事故による怪我が原因で、実際に仕事を休んだ日数です。 全休だけでなく、早退や遅刻をした時間分も対象になる場合があります。 |
実務上では、基礎収入をどう設定するかや、休業の必要性をどこまで認めるかで争いになりがちです。保険会社は低めの金額で計算してくることが多いため、提示された計算根拠を鵜呑みにしない姿勢が重要になります。
金額が大きく変わる「3つの算定基準」
休業損害の計算には、慰謝料と同様に3つの基準が存在し、どの基準を採用するかで1日あたりの基礎収入の上限や考え方が異なります。
各基準の特徴と計算方法は、以下のとおりです。
| 基準名 | 計算内容・特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 原則6,100円×休業日数 | 収入証明があれば1.9万円まで増額可 |
| 任意保険基準 | 各保険会社独自の基準(非公開) | 実際の減収額に近いが、上限がある場合も |
| 弁護士基準 | 基礎収入日額×休業日数 | 実損害をフルにカバーできる可能性が高い |
※出典:国土交通省|自賠責保険・共済の限度額と補償内容
自賠責基準は最低限の補償であり、日額6,100円を超える収入がある人にとっては不十分な金額となります。
一方、弁護士基準(裁判基準)では、事故前の実際の収入を日割り計算して基礎収入とするため、実態に即した適正な補償を受けられます。



収入が平均より高い方や長期の休業を余儀なくされた方は、弁護士基準での請求を検討しましょう。
関連記事:【交通事故損害賠償額算定基準】交通事故の損害賠償額が変わる3つの算定基準を詳しく解説
休業損害が受け取れる期間はいつまで?休業日数の対象と範囲
休業損害は、仕事を休めば無制限にいつまでも受け取れるわけではありません。医学的な観点から休業が必要と認められる期間に限られており、その終期を見極めることが重要です。
一般的に、休業損害が認められる期間は、最長でも以下のいずれかの時点までとなります。
- 治癒した日:怪我が完治し、治療の必要がなくなった日
- 症状固定日:治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないと医師が判断した日
症状固定という概念が非常に重要です。症状固定と診断されると、たとえ痛みが残っていても、それ以降の治療費や休業損害の支払いは打ち切られます。
また、症状固定前でも、症状の程度からして休業するほどの状態ではないと判断される場合にはその時点で休業損害が打ち切られます。
症状固定後に残った障害による減収については、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益(後遺障害に対する補償)に切り替わり、別途請求することになります。
休業日数のカウントについても注意が必要です。会社を休んだ全ての日数が自動的に認められるわけではありません。



主治医の指示や診断書に基づき、医学的に休業が必要であったことを証明できる期間のみが対象となる点を理解しておきましょう。
関連記事:後遺障害の逸失利益とは?等級別の相場や計算方法を弁護士が解説
【職業別】休業損害の計算のポイントと基礎収入の考え方
弁護士基準の休業損害の計算において複雑なのが、1日あたりの基礎収入の算出です。職業や雇用形態によって収入の証明方法が異なるため、自分の属性に合った正しい計算方法を知っておく必要があります。
ここでは、主要な職業形態ごとに計算のポイントを紹介します。
以下、それぞれ具体的に解説します。
会社員・パート・アルバイト(給与所得者)
給与所得者の場合、基礎収入は事故直前の過去3か月分の給与を基準に計算するのが一般的です。給与所得者は、給与明細や源泉徴収票など客観的な収入証明資料が揃っているため、比較的スムーズに計算できます。
具体的な計算式は、以下のとおりです。
基礎収入日額=事故前3か月間の給与総額(額面)÷稼働日数(または90日)
この計算における重要なポイントは、以下のとおりです。
- 手取りではなく額面:税金や社会保険料が引かれる前の総支給額を使う
- 各種手当を含む:残業手当・通勤手当・家族手当なども含めて計算(一部例外あり)
- 稼働日数ではなく暦日:分母は実際の出勤日数ではなく、土日を含めた90日で割るのが基本
アルバイトやパートの方で勤務日数が少ない場合は、90日で割ると日額が不当に低くなってしまうことがあります。
その場合は、「直近3か月の給与総額÷実際の稼働日数」などの計算式を用いて、実態に近い日額を主張する調整が行われます。
自営業・フリーランス(事業所得者)
個人事業主やフリーランスの場合は毎月の収入が変動しやすいため、前年度の確定申告書をベースに年収を算出し、それを365日で割って日額を出します。
計算式は、以下のとおりです。
基礎収入日額=(前年の確定申告所得額+損害として認められた固定費)÷365日
ここでの固定費とは、事業を休んでいても発生し続ける必要経費(家賃・人件費・減価償却費など)のことです。
休業中も支払わなければならない必要経費は損害とみなされるため、所得額に加算して計算することが認められています。
しかし、実際の生活実態と申告額が乖離している場合、立証のハードルが上がる可能性があります。過度な経費計上で所得を低く見せていると、休業損害も低く算定されてしまうため、注意が必要です。
家事従事者
専業主婦(専業主夫)や兼業主婦(兼業主夫)も、家事という労働に従事しているため休業損害を請求できます。
現実には給料をもらっていませんが、国交省告示の支払基準で「家事労働には経済的な価値がある」と認められているためです。
基礎収入の算出には、厚生労働省が公表している賃金センサス(賃金構造基本統計調査)を使用するのが一般的です。
- 専業主婦(主夫)の場合:賃金センサスの記載額を365日で割った額
- 兼業主婦(主夫)の場合:実際のパート収入と賃金センサスの平均賃金を比較し、高い方を採用
しかし、保険会社は主婦(主夫)の休業損害について積極的に案内してこないことが多いため、被害者自身が知識を持って請求する必要があります。
出典:国土交通省|自動車損害賠償保障事業が行う損害の塡補の基準
出典:休業損害は主婦でももらえる?通院日数ごとの計算方法やパート勤務の場合も解説【弁護士監修】
学生・無職・その他の場合
学生や無職の方の場合、原則として減収が発生しないため、休業損害は認められにくいのが現状です。
しかし、状況によっては例外的に認められるケースがあります。各ケースの考え方は以下のとおりです。
| 学生(アルバイトあり) | アルバイトを休んだ分の減収は請求可能 |
|---|---|
| 就職内定者 | 事故により入社が遅れたり、内定が取り消されたりした場合は、初任給の見込み額をベースに請求できる可能性がある |
| 無職(就労意欲あり) | 現在は無職でも、就職活動中であり就労の蓋然性が高いと認められれば、失業前の収入や賃金センサスを参考に認められることがある |
失業者であっても、働く能力と働く意欲・具体的な予定があったことを証明できるかが重要です。ハローワークの登録カードや面接日程のメールなどが重要な証拠となるため、必ず残しておきましょう。
【ステップで解説】休業損害を請求する手順・流れ
休業損害をスムーズに受け取るためには、適切な書類を準備し、正しい手順で保険会社に申請する必要があります。
ここでは、一般的な会社員を例に、請求までの具体的なステップを解説します。
ステップ1|勤務先に「休業損害証明書」の作成を依頼する
まずは、保険会社から送られてくる「休業損害証明書」の用紙を勤務先の担当部署(人事・総務など)に提出し、記入を依頼します。
証明書には、以下の項目を記入してもらいましょう。
- 休んだ日付と時間
- 欠勤か、有給休暇かの種別
- 事故直前3か月の給与支給状況(総支給額・付加給など)
- 社会保険料や税金の控除額
この書類は、従業員が事故のためにどれだけ休み、どれだけ給料を減らした(または有給を使った)かの事実を証明する重要な書類です。



記入漏れやミスがあると審査が遅れる原因になるため、会社から返却されたら自分でも内容を確認しましょう。
ステップ2|源泉徴収票や確定申告書を用意する
休業損害証明書の記載内容が正しいことを裏付けるために、客観的な収入証明資料を添付する必要があります。
職業によって必要な書類が異なるため、漏れなく準備しましょう。
| 職業 | 必須となる添付書類 |
|---|---|
| 会社員・パート | 前年度の源泉徴収票(なければ賃金台帳や給与明細) |
| 自営業 | 前年度の確定申告書の控え、課税証明書 |
| 主婦(主夫) | 世帯全員の住民票(家族構成と家事従事の証明のため) |
これらの書類は、基礎収入の日額を決定するための重要な根拠となります。紛失している場合は、勤務先に再発行を依頼したり、税務署で手続きを行ったりしましょう。
ステップ3|保険会社へ提出し、審査を受ける
書類が揃ったら、相手方の保険会社へ郵送にて提出しましょう。
保険会社は提出された書類と医療機関からの診断書などを照らし合わせ、休業の必要性や金額の妥当性を審査します。
審査のポイントは、以下のとおりです。
- 診断書の治療期間と休業期間が整合しているか
- 通院実日数に対して休業日数が多すぎないか
- 計算ミスや記載漏れがないか
問題がなければ、提出から数週間程度で支払いが行われるケースが多いですが、書類不備や確認事項がある場合には、追加の事情説明や資料提出を求められることもあり、合計1か月以上かかることもあります。
また、下で記載するように保険会社との見解の相違により休業損害の額や期間に疑義がある場合には、確定するまで長期間支払われない場合もあります。



こう言った場合には、弁護士への相談をした方が良いでしょう。
休業損害はいつもらえる?受け取りまでの期間の目安
生活費に直結する休業損害は、いつ手元に入るのかが気になるところです。
原則としては、慰謝料など他の損害賠償金と合わせて「示談成立後」に一括で支払われます。しかし、示談まで何か月も収入がない状態では生活が立ち行かなくなるため、実務上は内払い(仮払い)という対応が取られることが一般的です。
休業損害証明書を毎月提出することで、月ごとに審査・支払いを受けられます。受け取りスケジュールの目安は、以下のとおりです。
| 書類提出 | 毎月の給与締め日後に会社へ証明書作成を依頼し、保険会社へ送付 |
|---|---|
| 審査期間 | 保険会社に到着してから1〜2週間程度 |
| 振込時期 | 審査完了後、数日以内に指定口座へ振込 |
会社によっては証明書の作成に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って依頼することが大切です。もし支払いが遅いと感じたら、保険会社の担当者に審査状況を確認してみましょう。
休業損害が減額される・否認されるケース
休業損害を請求しても、必ず希望通りの金額がもらえるとは限りません。
以下のようなケースでは、保険会社から休業損害を減額されたり、支払いを拒否(否認)されたりする可能性があります。
| 医学的な根拠が乏しい | 医師の診断書に「就労不能」という記載がない場合や、軽傷にも関わらず長期間全休している場合です |
|---|---|
| 漫然とした治療・通院 | 治療効果が見られないのにダラダラと通院を続けていると判断されると、途中から支払いを打ち切られることがあります |
| 事故と減収の因果関係が不明 | 事故とは無関係な会社の業績悪化による減給や、私用での欠勤が含まれている場合などは否認されます |
| 必要以上の長期休業 | デスクワークなど身体への負担が少ない職種にも関わらず、むちうちで何か月も仕事を休んでいる場合などは、休業の必要性を疑われます |



正当な休業損害を受け取れるよう、医師や弁護士と相談のうえ適切な対処を心がけましょう。
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関連記事:交通事故に強い弁護士の選び方!後悔しないポイントや相談の流れを現役弁護士が解説
休業損害を認めてもらうために重要な「証拠」とは
保険会社との交渉において重要なのは、感情ではなく客観的な証拠です。
「痛くて働けない」と口頭で訴えるだけでは不十分であり、それを裏付ける資料を揃えることが大切です。
ここでは、どのような証拠が必要になるかを解説します。
診断書・診療録が重要
休業の必要性を証明する根拠として重要なのは、医師が作成する診断書や診療録(カルテ)です。医師に自分の仕事内容を具体的に伝え、カルテに記録してもらいましょう。
また、診断書には単に頸椎捻挫と記載するだけでなく、「◯日間の自宅療養を要する」「就労は困難である」と具体的に記載してもらうことも大切です。



医師の医学的な判断があれば、保険会社も無下に否定することは難しくなります。
勤務実態・収入実績の立証も大切
とくに自営業やフリーランスの方にとって、収入実績の立証は死活問題です。
確定申告書だけでなく、以下のような資料を補助的に提出することで説得力を高められます。
- 帳簿・売上台帳:日々の取引が記録されたもの
- 預金通帳:入出金の履歴がわかるもの
- 契約書・発注書:事故当時に予定されていた仕事があったことを証明するもの
- 取引先からのメール:事故によりキャンセルせざるを得なかった連絡の記録など
「将来得られるはずの利益」を証明するのは難易度が高いため、弁護士のアドバイスを受けながら証拠収集を行いましょう。
休業損害を請求する際に注意すべきこと
休業損害の請求プロセスには、知らなければ損をするだけでなく、最悪の場合は犯罪になってしまう落とし穴も存在します。
安全かつ確実に補償を受けるために、以下の4つの注意点を守りましょう。
以下、それぞれ具体的に解説します。
有給休暇を使っても休業損害は請求できる
「有給を使えば給料は減らないから、休業損害は請求できない」と勘違いしている方は多くいます。
しかし、有給休暇は労働者が持っている重要な財産権であり、事故のためにそれを使わされたこと自体が損害とみなされます。有給休暇を使って通院や療養をした場合でも、その日数分の休業損害を請求することが可能です。
有給休暇は労働者が本来自由に使える権利であり、事故によってその権利を消費させられたこと自体が損害と評価されます。
給与の支給があるため一見すると「二重に受け取っている」ように見えますが、有給休暇の喪失という別個の損害に対する補償であり、法的に認められています。



弁護士など専門家と相談したうえで、遠慮せずに請求しましょう。
休業損害証明書の虚偽記載は「詐欺罪」になる可能性がある
「少しでも多くお金をもらいたい」と考え、実際には休んでいない日を休んだことにしたり、給与額を水増しして申告したりすることは避けましょう。
保険会社は調査のプロであり、不自然な点があれば徹底的に調査を行います。もし虚偽の申告が発覚した場合、以下のようなリスクがあるため注意が必要です。
- 休業損害の支払いが全額拒否される
- 保険会社から詐欺罪で刑事告訴される(刑法第246条)
- 示談交渉全体が決裂し、他の賠償金交渉にも悪影響が出る
勤務先を巻き込んで虚偽の証明書を作成させると、会社側も共犯に問われる可能性があります。事実に基づいて正直に申告することが大切です。
被害者側に過失がある場合は「過失相殺」が適用される
休業損害も他の賠償金と同様に、被害者に過失がある場合はその割合分だけ減額(過失相殺)されます(民法第722条)。休業損害総額が100万円で被害者の過失が20%の場合、受け取れるのは80万円です。
相手の保険会社が提示した過失割合に納得が行かない場合は、弁護士などに相談して修正してもらいましょう。
一方、労災保険の休業補償給付には過失相殺が適用されません(特別支給金など一部を除く)。
自身の過失割合が大きい事故の場合、自賠責・任意保険ではなく労災保険を優先して利用したほうがよい可能性があります。弁護士に相談し、どちらを選択すべきかを考えましょう。
関連記事:交通事故の過失割合納得いかない!適正化を弁護士に任せるべき理由
関連記事:事故で過失割合9対1に納得いかない場合の対処法は?応じるリスクや注意点を解説
少しでも不明点があれば弁護士に相談する
休業損害の計算は、基礎収入の認定や休業日数の範囲など、専門的な判断が必要な場面が多々あります。
保険会社の提示額が適正かどうかを個人で判断するのは困難であり、知らず知らずのうちに低い金額で合意してしまうリスクもあるでしょう。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 最も高額な弁護士基準での交渉が可能になる
- 基礎収入や休業期間について、法的な根拠をもって主張できる
- 会社への書類依頼や保険会社とのやり取りを任せられる
任意保険の弁護士費用特約に加入している場合は、実質無料で弁護士に依頼できます。一度、加入している保険会社に確認してみましょう。
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関連記事:交通事故で弁護士特約は使った方がいい?トラブルで利用できる「弁護士費用特約」についてわかりやすく解説
交通事故の休業損害に関するよくある質問
会社に休業損害証明書の作成を拒否された場合の対処法は?
会社側が「面倒くさい」「書き方がわからない」などの理由で作成を渋るケースも珍しくありません。
まずは、保険会社の担当者から会社へ直接説明してもらうよう依頼してみましょう。
それでも拒否される場合は、源泉徴収票や給与明細、出勤簿のコピーなどと事情説明書を保険会社に提出することで対応してもらえる場合があります。
むちうちなど目に見えない怪我でも休業損害はもらえる?
むちうちなど目に見えない怪我でも、休業損害は請求可能です。
しかし、骨折などに比べて外見上の判断が難しいため、保険会社から早期の打ち切りを打診されやすい傾向にあります。
MRI画像などの他覚所見がない場合は、通院頻度や医師による就労制限の意見が重要視されます。痛みが続く限りは通院を継続し、医師に症状を訴え続けることが大切です。
事故をきっかけに退職・解雇された場合の補償は?
事故による怪我が原因で働けなくなり退職した場合、退職後も治療が必要な期間については休業損害を請求できます。
しかし、自己都合退職として処理されると不利になることがあるため、医師の診断書や退職証明書などで「事故による退職」であることを証明することが大切です。
不当解雇の場合は、労働問題として別途争う必要が出てくることもあります。弁護士に相談し、適切な判断を仰ぎましょう。
まとめ|適正な休業損害を受け取るためにも弁護士に相談しよう
交通事故の休業損害は、被害者の生活を守るための重要な権利です。しかし、金額は「誰が計算するか(どの基準を使うか)」や「どう立証するか」によって大きく変わってしまいます。
もし少しでも疑問や不安を感じたら、示談書にサインする前に弁護士へ相談することが大切です。専門家のサポートを受けて適正な賠償金を獲得し、安心して社会復帰への道を歩み出しましょう。
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