人身事故の慰謝料は?支払い基準や計算方法・ケース別の相場を弁護士が解説
「人身事故の被害に遭ったが、提示された慰謝料が適正かわからない」
「保険会社の提示額に納得がいかないが、どう交渉すればいい?」
予期せぬ交通事故に遭い、治療の痛みや不安の中で、専門用語が飛び交う示談交渉に直面するのは大きなストレスです。
実は、交通事故の慰謝料には「3つの計算基準」が存在します。どの基準を使うかで受取額が大きく変わるため注意が必要です。
この記事では、人身事故の慰謝料の仕組みや計算基準、ケース別の相場などを弁護士の視点でわかりやすく解説します。適正な賠償金を受け取り、これからの生活を安心して再建するための知識として、ぜひ参考にしてみてください。
慰謝料の金額は「3つの基準」で大きく変わる:自賠責(最低限)/任意保険(保険会社の提示)/弁護士基準(裁判例ベースで最も高額)。提示額が適正かは、まず「どの基準か」を見抜くのが出発点。
「示談金=慰謝料」ではない:示談金(損害賠償金の総額)の内訳に慰謝料・治療費・休業損害・逸失利益などが含まれる。総額だけでなく内訳、とくに慰謝料の計算根拠を確認すべき。
入通院は「通った事実」が重要:入通院慰謝料は治療期間と実通院日数で算定され、症状があるのに通院不足は減額要因。医師の指示に沿い、治療実績を積み上げることが適正額獲得の土台。
後遺障害は「等級認定」が重要:痛みの主張だけでは足りず、症状固定→診断書→必要検査→等級認定の流れが重要。等級次第で慰謝料が数百万円単位で変わる。
示談書にサインすると原則やり直せない:最終合意後の追加請求は難しい。提示額・過失割合・治療費打ち切り等に疑問があれば、署名前に専門家へ相談するのが安全策。
人身事故に関するお悩みを抱えている方は弁護士法人アクロピースにご相談ください。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、個々のケースに合わせて適切な解決方法を提案いたします
初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
\ 相談実績7000件以上/
【無料相談受付中】365日対応
人身事故の慰謝料とは?基本情報を解説
交通事故におけるお金の問題は複雑で、多くの被害者が用語の定義を誤解したまま損をしているケースが見受けられます。
まずは「慰謝料」が具体的に何を指すのか、示談金や損害賠償金といった似た言葉とどう違うのかを整理しましょう。
弁護士 佐々木一夫監修者コメント
慰謝料は、「どの基準で計算されているか」で金額が大きく変わります。とくに人身事故は治療の通い方や後遺障害等級の取り方で、数十万〜数百万円単位の差が出ることも珍しくありません。
示談書にサインする前に、3つの基準と相場感を押さえ、根拠を持って判断できる状態にしておきましょう。
慰謝料は「精神的苦痛」に対する賠償金
慰謝料とは、事故によって被害者が受けた「精神的苦痛」をお金に換算して償うための賠償金のことです。怪我の治療費や、仕事を休んだことによる給与の補償とは明確に区別されます。
具体的には、以下のような精神的なダメージが補償の対象です。
- 事故の恐怖や衝撃によるストレス
- 入院や通院を余儀なくされたことへの不便さや苦痛
- 完治せず後遺症が残ってしまったことによる将来への絶望感
精神的な辛さは目に見えないため、客観的な数値で測ることが困難です。実務では「通院期間」や「後遺障害の等級」といった一定の物差しを用いて金額を算定するのが一般的です。



「痛いからいくら」という主観ではなく、治療実績に基づいた計算が行われる点を理解しておきましょう。
※特に症状が重かったり、事故態様により恐怖感が大きかったりする場合には一定の金額が加算されることがあります。
示談金との違い
示談金とは、加害者側から被害者へ支払われるお金の総額を指す言葉であり、慰謝料はその一部に過ぎません。示談で合意した結果として支払われるため、慣用的に「示談金」と呼ばれます。
示談金の内訳は多岐にわたり、主に以下のような項目で構成されています。
| 項目名 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 慰謝料 | 精神的苦痛への補償 | 入通院、後遺障害、死亡の3種類 |
| 積極損害 | 事故で実際に出費した費用 | 治療費、通院交通費、入院雑費など |
| 消極損害 | 事故がなければ得られた利益 | 休業損害、逸失利益など |
提示された金額を見る際は、総額だけでなく「慰謝料が適切に計算されているか」という内訳のチェックが不可欠です。
損害賠償金との違い
損害賠償金とは、不法行為(交通事故)によって生じた損害を埋め合わせるために支払われる金銭の「法的な正式名称」です。
実質的な意味合いとしては示談金とほぼ同じと考えて問題ありませんが、使われる文脈が少し異なります。
両者の使い分けは以下のとおりです。
- 示談金:話し合い(示談)で解決した場合に支払われるお金
- 損害賠償金:示談・調停・裁判など、解決手段を問わず支払われるお金の総称
たとえば、示談や和解協議が決裂して裁判で判決が出た場合、支払われるお金は「示談金」ではなく「損害賠償金」と呼ばれます。



いずれにせよ、どれも「自分が受けた損害(マイナス)をゼロに戻すためのお金」であることに違いはありません。
人身事故で請求できる慰謝料の主な種類
人身事故の慰謝料は、被害の状況や段階に応じて大きく3つの種類に分類されます。
すべての事故で3つとも受け取れるわけではなく、要件を満たした場合にのみ請求権が発生する点が特徴です。自身の状況がどれに当てはまるかを確認しながら読み進めてみてください。
1. 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
入通院慰謝料は、怪我の治療のために入院や通院をしたことによる精神的苦痛に対する補償です。
金額算定の主な要素は以下の2点です。
- 治療期間(事故日から治療終了日までの期間)
- 実通院日数(実際に病院へ行った日数)
重傷で入院期間が長いほど、また通院期間が長期に及ぶほど、精神的苦痛が大きいとみなされ金額は高くなります。
一方で、仕事が忙しいからといって通院を怠ると、「治療の必要性が低い」と判断されて慰謝料が減額されるリスクがあります。



適正な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従い、適切な頻度で通院を継続することが重要です。
2. 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、治療を尽くしても完治せず、身体に障害が残ってしまった場合に請求できる慰謝料です。
しかし、単に「痛みが残っている」と主張するだけでは認められません。請求するためには、以下の条件をクリアする必要があります。
- 医師から「症状固定(これ以上良くならない状態)」の診断を受ける
- 損害保険料率算出機構の「自賠責損害調査事務所」による審査を受け、後遺障害等級(1級〜14級)の認定を受ける
等級は障害の程度によって決まり、最も重い1級から比較的軽度の14級まで分類されています。認定された等級に応じて慰謝料の基準額が決まっているため、何級に認定されるかで金額が大きく左右するのが特徴です。
なお、等級認定されなかった場合は受け取れないため、申請手続きは慎重に行いましょう。
困難な事例では、弁護士に後遺障害等級認定をサポートしてもらった方が良い場合もあります。
関連記事:後遺障害等級とは?等級一覧表から申請方法、慰謝料の相場まで弁護士が徹底解説
3. 死亡慰謝料
死亡慰謝料は、被害者が事故によって亡くなられた場合に、被害者本人および遺族が受ける精神的苦痛に対する補償です。
亡くなった本人は請求できないため、相続人である遺族が権利を引き継いで請求します。
金額は、被害者の家庭内での役割(属性)によって変動するのが一般的です。
- 一家の支柱(家計を主に支えていた人)
- 母親・配偶者
- その他(独身、子供、高齢者など)
一家の大黒柱が亡くなった場合、遺族の精神的・経済的ダメージが甚大であると考慮され、高い金額が設定される傾向にあります。



命の対価に金額をつけることは本来できませんが、遺族の今後の生活を守るために重要な慰謝料です。
関連記事:交通事故で死亡した場合の慰謝料は? 子どもや高齢者の死亡事故とその慰謝料相場について
人身事故の慰謝料額が決まる「3つの基準」とは
交通事故の慰謝料には、計算に用いる「3つの基準」が存在します。
どの基準で計算するかによって、最終的な受取額に大きな開きが出る点が特徴です。以下、それぞれ具体的に解説します。
関連記事:交通事故の慰謝料はどうやって計算する?弁護士基準の相場と通院期間ごとの早見表【弁護士監修】
自賠責基準|最低限の補償
自賠責基準は、すべての自動車保有者に加入が義務付けられている自賠責保険に基づく計算基準です。
この保険の目的は、被害者に対して「最低限の救済」を行うことにあります。
自賠責基準の特徴は以下のとおりです。
| 金額 | 3つの基準の中で最も低い |
|---|---|
| 限度額 | 傷害分は120万円までという上限がある |
| 計算式 | 1日あたり4,300円 × 対象日数(実通院日数の2倍など) |
あくまで国が定めた最低保証額であり、実際の損害をカバーするには不十分なケースがほとんどです。
加害者が任意保険に入っていない場合などはこの基準が適用されますが、十分な補償とは言えません。
任意保険基準|保険会社独自の提示額
任意保険基準は、各損害保険会社が独自に定めている内部的な支払い基準です。具体的な計算式は一般に公開されていません。
任意保険基準の特徴は、以下のとおりです。
| 金額 | 自賠責基準よりは高いが、後述する弁護士基準よりは大幅に低い |
|---|---|
| 性質 | 保険会社が「示談案」として最初に提示してくる金額 |
保険会社は、任意保険基準に基づいて慰謝料の金額を計算し、被害者に提示してきます。被害者が知識を持たずに交渉に応じると、低い金額で示談が成立する可能性があるため注意が必要です。



「保険会社の提示だから正しいはず」と鵜呑みにせず、次に紹介する弁護士基準で慰謝料を受け取れないか確認しましょう。
弁護士基準|最も高額な法的基準
弁護士基準(裁判基準)は、過去の裁判例に基づいて設定された、法的に適正とされる計算基準です。弁護士が代理人として交渉する場合や、裁判になった際に使用されます。
弁護士基準を利用するメリットは、以下のとおりです。
- 3つの基準の中で最も高額(自賠責や任意保険基準の2倍〜3倍になることも)
- 裁判所の考え方がベースになっており、正当性が高い
本来、被害者が受け取るべき適正な賠償額は、この「弁護士基準」で計算された金額です。
しかし、被害者個人が保険会社に「弁護士基準で払ってほしい」と主張しても、拒否される可能性が高いでしょう。
実務上、保険会社が最初から弁護士基準で提示することは多くないため、弁護士に依頼して交渉することで弁護士基準に近づけやすいのが一般的です。
人身事故の慰謝料相場は?ケース別に解説
では実際、どれくらいの慰謝料が受け取れるのでしょうか。怪我の程度や後遺障害の有無など、代表的なケースごとの相場を見ていきましょう。
※以下の金額はあくまで目安であり、個別の事情により増減します。
むちうち・打撲(軽傷)の慰謝料相場
追突事故などで多い、むちうち(頸椎捻挫)や打撲の場合の入通院慰謝料です。骨折などの重傷がなく、他覚所見(レントゲンやMRIでの異常)がないケースを想定します。
自賠責基準は「日額4,300円×対象日数」で計算されるのが特徴です。このときの対象日数は、「治療期間」と「実通院日数の2倍」の少ない方が選択されます。
弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』の「別表Ⅱ(軽傷用)」を用いて計算するのが特徴です。通院期間に対して通院日数が少ない場合は、実通院日数の3〜3.5倍で計算することもあります。
通院期間60日(実通院日数20日)として計算した場合、慰謝料の相場は以下のとおりです。
| 計算基準 | 入通院慰謝料の相場 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 17万2000円 |
| 弁護士基準 | 36万円 |
※弁護士基準は日弁連交通事故相談センター『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』の「別表Ⅱ(軽傷用)」を参考
軽傷であっても、弁護士基準を適用することで約20万円の増額が見込まれる場合があります。
ただし、通院頻度が極端に少ない場合や、漫然と治療を続けた場合は、期間が長くても減額される可能性があるため注意が必要です。
出典:国税庁|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
骨折・重傷(入院あり)の慰謝料相場
事故で骨折をし、手術や入院が必要になったケースです。苦痛の度合いが大きいとみなされ、むちうち等の軽傷よりも高い算定表(別表I)が使用されます。
仮に、入院1か月・通院6か月(実通院日数60日)の合計7か月かかった場合の示談金相場は、以下のとおりです。
| 計算基準 | 入通院慰謝料の相場 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 77万4000円 |
| 弁護士基準 | 149万円 |
※弁護士基準は日弁連交通事故相談センター『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』の「別表Ⅰ(重傷用)」を参考
入院が伴うような重傷事案では、基準ごとの差額がより顕著になります。数十万円単位で金額が変わるため、安易な妥協は禁物です。
後遺障害が残った場合の等級別相場
治療を終えても障害が残り、後遺障害等級が認定された場合に加算される「後遺障害慰謝料」の相場です。
等級は1級〜14級まであり、数字が小さいほど重篤な障害となります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 要介護1級 | 1,650万円 | 2,800万円を超える事例あり |
| 要介護2級 | 1,203万円 | 2,370万円を超える事例あり |
| 第1級 | 1,150万円 | 2,800万円 |
| 第2級 | 998万円 | 2,370万円 |
| 第3級 | 861万円 | 1,990万円 |
| 第4級 | 737万円 | 1,670万円 |
| 第5級 | 618万円 | 1,400万円 |
| 第6級 | 512万円 | 1,180万円 |
| 第7級 | 419万円 | 1,000万円 |
| 第8級 | 331万円 | 830万円 |
| 第9級 | 249万円 | 690万円 |
| 第10級 | 190万円 | 550万円 |
| 第11級 | 136万円 | 420万円 |
| 第12級 | 94万円 | 290万円 |
| 第13級 | 57万円 | 180万円 |
| 第14級 | 32万円 | 110万円 |
出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
表を見てわかる通り、最も軽い14級であっても、弁護士基準(110万円)と自賠責基準(32万円)では約3倍以上の差が開きます。適切な等級認定を受け、かつ弁護士基準で交渉することがいかに重要かがわかるでしょう。
被害者が死亡した場合の慰謝料相場
不幸にして被害者が亡くなられた場合の死亡慰謝料です。前述のとおり、被害者の属性によって基準額が異なります。
死亡慰謝料の相場は、以下のとおりです。
| 被害者の属性 | 自賠責基準(遺族1人の場合) | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 一家の支柱 | 950万円※ | 2,800万円 |
| 母親・配偶者 | 950万円※ | 2,500万円 |
| 独身・子供など | 950万円※ | 2,000万円〜2,500万円 |
※弁護士基準は、書籍『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準|(公財)日弁連交通事故相談センター東京支部編集』から引用。上記基準額は遺族分も含めた死亡慰謝料総額の目安。
※出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
これらはあくまで慰謝料のみの金額であり、これに加えて「逸失利益(生きていれば得られたはずの将来の収入)」が請求されます。



死亡事故の損害賠償額は数千万円〜億単位になることも珍しくなく、専門家による厳密な算定が不可欠です。
関連記事:死亡事故で弁護士への相談は必要?メリット・費用・選び方を専門家が徹底解説
過失割合があると慰謝料はどうなる?減額の仕組みを解説
交通事故では、加害者が100%悪い(10対0)ケースばかりではありません。
「被害者側にも不注意があった」とされる場合、その割合に応じて受け取れる金額が減らされてしまいます。
ここでは、被害者にも過失がある場合に慰謝料にどう影響するのか、過失割合に納得できない場合はどう対処すべきかを解説します。
関連記事:もらい事故で慰謝料はいくらもらえる? 相場や計算方法、請求の流れを解説【弁護士監修】
被害者にも過失がある場合の慰謝料計算
過失相殺は、慰謝料だけでなく、治療費や休業損害などを含めた「損害賠償金の総額」に対して行われる点が特徴です。
以下の条件で詳しく計算します。
- 損害賠償総額:1,000万円
- 過失割合:被害者20%:加害者80%
この場合、被害者の過失分である20%(200万円)が総額から差し引かれます。
計算式:1,000万円 ×(1 – 0.20)= 800万円
最終的に受け取れる金額は800万円です。被害者の過失割合が大きい場合、相手方の車の修理費などを逆に賠償しなければならないケースも発生します。



「慰謝料は満額もらえる」と思い込んでいると、最終受取額を見て驚くことになるため注意が必要です。
関連記事:交通事故の過失割合を徹底解説|ケース別の相場と納得できない時の対処法
過失割合に納得できない場合の対処法
過失割合は、警察が決めるものではありません。基本的には、過去の判例を集めた「判例タイムズ」などの資料を基に、保険会社同士の話し合いで提案されます。
しかし、保険会社の提示する過失割合が、必ずしも事故の実態を正確に反映しているとは限りません。
納得できない場合は、以下の証拠を集めて反論する必要があります。
- ドライブレコーダーの映像
- 事故現場周辺の防犯カメラ映像
- 目撃者の証言
- 実況見分調書(警察が作成した資料)
個人の力だけで「過失割合がおかしい」と主張しても、保険会社を覆すのは困難です。
弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいて正しい過失割合を主張し、不当な減額を防げます。過失割合が「1割」変わるだけで受取額が数百万円変わることもあるため、できるだけ弁護士に相談しましょう。
人身事故に関するお悩みを抱えている方は弁護士法人アクロピースにご相談ください。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、個々のケースに合わせて適切な解決方法を提案いたします
初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
\ 相談実績7000件以上/
【無料相談受付中】365日対応
関連記事:交通事故の過失割合納得いかない!適正化を弁護士に任せるべき理由
人身事故の慰謝料請求から受け取りまでの流れ
交通事故の被害に遭ってから実際に慰謝料を受け取るまでには、いくつかの重要なフェーズを経る必要があります。
流れを理解していないと、必要な検査を受け忘れたり、交渉のタイミングを間違えて損をする可能性があるため注意が必要です。
ここでは、事故発生から振込までの手順を6つのステップに分けて解説します。
ステップ1|事故発生・警察への届出
事故直後の対応は、後の慰謝料請求における「証拠作り」のために重要です。
必ず警察へ連絡する必要があります。警察に届け出ないと、保険請求に必須となる交通事故証明書が発行されません。
また、怪我をしている場合は、できる限り人身事故として届け出ましょう。当初はあまり痛みがなかったなどの理由で物損事故として届け出ている場合、物損事故のままにしておくと、治療費や慰謝料がスムーズに支払われないリスクが高まります。
痛みがある場合は、事故から数日以内に病院を受診し、医師の診断書を警察へ提出して切り替え手続きを行いましょう。
ステップ2|症状固定まで治療・通院
治療開始後は、怪我が完治するか、「症状固定」と診断されるまで通院を継続します。
症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことです。この段階に至るまでの期間が、入通院慰謝料の計算対象となります。
仕事が忙しいからといって、通院を中断しないことが大切です。通院実績(日数や頻度)が少ないと「怪我は軽微だった」と判断され、慰謝料が減額される原因になります。
なお、整骨院への通院を希望する場合は、必ず整形外科医の許可を得て、定期的(少なくとも診察の間が30日以上空かないように)に医師の診察を受けるようにしてください。
ステップ3|後遺障害等級認定(該当する場合)
症状固定の診断を受けても痛みや機能障害が残っている場合、後遺障害等級の認定申請を行います。
この手続き方法には、以下の2種類が存在します。
- 保険会社任せにする「事前認定」
- 被害者自身で行う「被害者請求」
透明性を確保し、適正な等級を獲得するためには、手間がかかっても被害者請求を選ぶことが大切です。
医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、MRI画像などの検査結果とともに損害保険料率算出機構へ提出しましょう。
ここで認定される等級(1級〜14級)によって、後遺障害慰謝料の額が数百万円単位で変わるため、非常に重要なステップです。
後遺障害の認定申請を考えている場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。
ステップ4|示談交渉
全ての損害額が確定した後、加害者側の保険会社と示談交渉を開始します。
通常、保険会社から計算書と示談案が送られてきますが、これはあくまで「任意保険基準」の低い金額です。「金額に納得がいかない」「過失割合がおかしい」と感じる場合は、必ず主張しましょう。
しかし、個人の被害者が交渉しても、保険会社は容易に増額に応じません。弁護士が介入することで、初めて「弁護士基準」による交渉ができます。



適切な金額かどうかを判断するためにも、一度弁護士に相談することが大切です。
ステップ5|示談成立と示談書の取り交わし
双方が賠償金額や条件に合意すると、示談が成立します。
保険会社から「免責証書」や「示談書」が送付されるため、内容を最終確認して署名・捺印を行いましょう。
一度示談書にサインをしてしまうと、原則として後から追加請求ができなくなるため注意が必要です。「やっぱりあそこも痛かった」「計算が間違っていた」と後悔しても、後から覆すことは難しいでしょう。
内容に不明点や納得できない条項がないか、隅々までチェックしてから返送することが大切です。
ステップ6|慰謝料の振込
示談書を保険会社に返送し、書類に不備がなければ、手続きは完了です。返送から約2週間程度で、指定した銀行口座に示談金(慰謝料を含む賠償金の総額)が一括で振り込まれます。
振込が完了したら、事前に送られてくる支払明細書と通帳の入金額を照らし合わせ、金額に間違いがないかを確認しましょう。
弁護士に依頼していた場合は、弁護士の預かり口座に振り込まれ、そこから弁護士費用を差し引いた残金が被害者の口座へ送金されるのが一般的です。



これで、事故発生から続いた一連の手続きがすべて終了となります。
慰謝料はいつ振り込まれる?事故から受け取りまでにかかる期間
「生活費が苦しいため、なるべく早く慰謝料を受け取りたい」と願う被害者は少なくありません。しかし、慰謝料は原則として「すべての治療が終わり、損害額が確定してから」支払われる後払い制です。
以下のように、事故の程度によって受け取りまでの期間は大きく異なります。
| ケース | 治療期間の目安 | 示談期間 | 合計期間(事故〜振込) |
|---|---|---|---|
| 軽傷(打撲・軽度むちうち) | 3か月 | 1〜2か月 | 約4〜5か月 |
| 通常(骨折・むちうち) | 6か月 | 2〜3か月 | 約8〜10か月 |
| 重傷・後遺障害あり | 6か月〜1年以上 | 3〜6か月 | 約1年〜1年半以上 |
以下のようなケースでは、さらに期間が長引く可能性があります。
- 過失割合や慰謝料額で揉めている
- 訴訟に発展している
どうしても当面の資金が必要な場合は、「被害者請求」や「仮渡金(かりわたしきん)」制度を利用して自賠責保険から一定額を先に受け取ることも可能です。



自身の状況に合わせ、長期戦になる可能性も視野に入れて資金計画を立てましょう。
関連記事:交通事故の示談期間はどれくらい?ケース別の目安期間や長引く原因・短縮方法を解説
人身事故の慰謝料請求に時効はある?
交通事故の損害賠償請求権には時効があり、一定期間を過ぎると請求できなくなります。
2020年4月の民法改正により、人身事故(生命・身体への侵害)に関する時効期間が見直されました(民法第724条の2)。権利を無駄にしないよう、正確な期限を把握しておくことが重要です。
人身事故の消滅時効は、以下のとおりです。
| 起算点(いつから) | 時効期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 損害および加害者を知ったとき | 5年間 | 「損害」と「加害者」を知った時点から起算(事故日や症状固定日とは限らない) |
| 事故(不法行為)のとき | 20年間 | 加害者が不明な場合 |
時効が迫っている場合、以下の措置をとることでカウントをリセット、または一時停止できます。
- 時効の完成猶予:内容証明郵便で「催告」を行う(6か月の猶予)
- 時効の更新:訴訟の提起、または加害者に債務(賠償義務)があることを認めさせる(承認)
治療が長引いたり、後遺障害の認定争いが続くと、気づかないうちに数年が経過してしまうことがあります。「まだ大丈夫」と放置せず、専門家に時効の確認を依頼することが大切です。
人身事故の慰謝料に関する注意点
適正な慰謝料を受け取るためには、事故直後から示談終了まで、一貫して慎重な行動が求められます。
知識不足による些細な行動が、数百万円の損失につながることも珍しくありません。
とくに、以下の3つのポイントには注意が必要です。
以下、それぞれ具体的に解説します。
適切な頻度で通院し、治療を継続する
入通院慰謝料は、原則として「入通院した期間と日数」に基づいて計算されます。痛みを我慢して通院を控えたり、逆に必要以上に通院しすぎたりすると、適正な評価を受けられません。
たとえば、1か月以上通院が空いてしまうと、「その時点で怪我は治った」とみなされ、それ以降の治療費や慰謝料が認められない可能性があります。
理想的な通院頻度は、怪我の状態にもよりますが、週2〜3回程度、少なくとも月10日以上が目安です。
仕事や家事が忙しい場合でも、自分の身体と補償のために通院時間を確保しましょう。医師と相談しながら、リハビリを含めて計画的に治療を続ける姿勢が大切です。
後遺障害等級の認定を適切に受ける
後遺症が残った場合、等級認定を受けられるかどうかが賠償額を大きく左右します。
しかし、主治医は治療のプロであって、「後遺障害等級認定のプロ」ではありません。漫然と書かれた診断書をそのまま提出すると、本来認められるべき等級が非該当になるケースが多々あります。
適切な認定を受けるためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 自覚症状を詳細かつ一貫して医師に伝える(「雨の日だけ痛い」などはNG)
- 必要な検査(MRIやCT、神経学的検査)を漏れなく受ける
- 弁護士に依頼し、診断書の記載内容をチェックしてもらう(被害者請求)
等級認定は、書面審査が基本です。正当な補償を受けるためにも、書類の完成度を高めることが欠かせません。
保険会社からの「治療費打ち切り」打診に安易に応じない
通院してある程度経つと、保険会社から「治療費の支払いを終了します」と連絡が来ることがあります。症状固定の合図だと勘違いし、治療を辞めてしまう被害者は少なくありません。
しかし、治療が必要かどうかを判断するのは保険会社ではなく医師です。医師が「まだ治療が必要」と判断しているなら、保険会社に通院継続の必要性を主張しましょう。
仮に一方的に打ち切られた場合でも、健康保険を使って自費で通院を続け、後から示談金として請求する方法があります。相手のペースに流されず、身体が治るまでしっかり治療を受けましょう。
関連記事:保険会社が治療の打ち切りを連絡してきた!治療費打ち切りが通達されたときの対応方法
人身事故の慰謝料についてよくある質問
人身事故の慰謝料は誰が払う?
基本的には、加害者が加入している任意保険会社が支払います。示談交渉や手続きも、加害者本人ではなく保険会社の担当者と行うのが一般的です。
加害者が任意保険に入っていない場合は、自賠責保険に請求するか、加害者本人に直接請求することになります。
なお、業務中の事故や会社所有の車両による事故であれば、加害者の勤務先企業に対して「使用者責任」や「運行供用者責任」を問い、会社に支払いを求めることも可能です。
専業主婦や学生でも慰謝料はもらえる?
専業主婦や学生でも慰謝料はもらうことが可能です。慰謝料は精神的苦痛に対する対価であるため、職業や収入に関係なく請求権が発生します。
さらに、専業主婦(主夫)の場合は、家事ができなかったことに対する損害として「休業損害」も請求可能です。
賃金センサス(統計上の平均賃金)を基に計算されるため、実際には日額1万円以上の休業損害が認められるケースも珍しくありません。



「働いていないから請求できない」と諦める必要はないと覚えておきましょう。
相手が任意保険に加入していない場合の対処法は?
相手が無保険(自賠責のみ)の場合、十分な賠償金を受け取れないリスクが高まります。
まずは、自賠責保険の上限額(傷害120万円)まで請求を行いましょう。上限額を超える損害については、自身が加入している自動車保険の「人身傷害補償特約」や「無保険車傷害特約」を使えないか確認することが大切です。
自分の保険を使うことで、加害者の支払い能力に関わらず、保険会社から補償を受けられる場合があります。



上記が使えない場合は、加害者本人への請求や財産差し押さえを検討しましょう。
軽い怪我でも弁護士に相談するべき?
弁護士費用特約に加入しているなら、怪我の程度に関わらず相談することが大切です。保険会社が弁護士費用を負担してくれるため、自己負担ゼロで弁護士基準による増額交渉が可能になります。
弁護士費用特約がない場合は、増額分よりも弁護士費用の方が高くなる(費用倒れ)可能性があります。慰謝料の増額見込みが20万円〜30万円以下の場合は注意が必要です。
法律事務所によっては「無料相談」で費用対効果を試算してくれるので、まずは一度相談してみることをおすすめします。
関連記事:
交通事故で弁護士に依頼するメリットは?デメリットや依頼の適切なタイミングも解説
交通事故の弁護士費用はいくらかかる?弁護士費用特約や費用倒れしないコツも紹介【弁護士監修】
人身事故に関するお悩みを抱えている方は弁護士法人アクロピースにご相談ください。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、個々のケースに合わせて適切な解決方法を提案いたします
初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
\ 相談実績7000件以上/
【無料相談受付中】365日対応
まとめ|適正な人身事故の慰謝料を受け取るためにも弁護士に相談しよう
人身事故の慰謝料は、計算基準の違いだけで数十万円から数百万円もの差が生まれる可能性があります。しかし、保険会社を相手に、個人が独力で「弁護士基準」の支払いを認めさせるのは困難です。
「保険会社の提示額にモヤモヤする」「手続きが不安で仕方ない」という方は、示談書にサインをする前に、ぜひ一度交通事故に強い弁護士に相談してみてください。プロのサポートを得ることで、納得のいく解決につながる可能性を高められるでしょう。
人身事故に関するお悩みを抱えている方は弁護士法人アクロピースにご相談ください。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、個々のケースに合わせて適切な解決方法を提案いたします
初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
\ 相談実績7000件以上/
【無料相談受付中】365日対応









