追突事故の示談とは?手続きの流れや注意点・受け取れる示談金の内訳・相場を解説

「追突事故の被害に遭ってしまったが、今後の流れがわからない」
「保険会社から提示された示談金は適正なのだろうか?」
追突事故は予期せぬタイミングで発生し、被害者は怪我の治療と並行して、加害者側との示談交渉に直面します。十分な知識がないまま交渉を進めると、本来受け取れるはずの賠償金を受け取れないまま、不本意な形で解決してしまうリスクがあります。
本記事では、追突事故における示談の基礎知識から具体的な手続きの流れ、交渉時に損をしないための重要ポイントまでを徹底解説します。
弁護士 佐々木一夫突然の事故で不安を抱えている方は、ぜひ本記事を参考に、納得のいく解決への第一歩を踏み出してみてください。
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追突事故の示談とは?被害者が知っておくべき基礎知識
追突事故の被害者が直面する「示談」とは、裁判所を介さずに当事者同士の話し合いで解決を図る手続きのことです。
ここでは、追突事故特有の性質や、被害者が知っておくべき前提知識について解説します。
追突事故は「過失割合10対0」が基本原則
信号待ちや停車中に後ろから追突された場合、基本の過失割合は原則として「加害者10:被害者0」となります。被害者に落ち度がないため、発生した損害の全額を加害者(または加害者の保険会社)に請求可能です。
一般的な事故と追突事故の違いを以下の表で整理します。
| 項目 | 一般的な事故(双方過失) | 追突事故(もらい事故) |
|---|---|---|
| 過失割合 | 双方に過失あり(例:8対2) | 加害者10:被害者0 |
| 賠償額 | 自分の過失分が減額される | 損害額の全額を請求可能 |
| 保険料 | 自分の保険を使うと等級ダウン | 自分の保険を使わなければ等級据え置き |
ただし、急ブレーキをかけた場合や駐停車禁止場所に停めていた場合などは、被害者にも過失が問われることがあります。
関連記事:過失割合10対0事故の示談金相場と増額交渉の注意点を解説
被害者の過失がゼロなら保険会社の「示談代行」が使えない
追突事故で注意すべき点は、被害者が加入している自動車保険の「示談代行サービス」が利用できないことです。
自動車保険とは、契約者が他人に損害を与えた場合(賠償責任が発生した場合)に、保険会社が代わりに交渉や支払いをする仕組みです。
しかし、被害者の過失がゼロの場合、被害者に賠償責任が発生しないため、保険会社は法的に交渉へ介入できません。結果、被害者は以下の状況に立たされます。
- 自力交渉:加害者側の保険担当者(交渉のプロ)と直接やり取りする必要がある
- 精神的負担:治療中にも関わらず、電話対応や書類確認に追われる
- 知識格差:専門知識がないため、相手に有利な条件で押し切られやすい
追突事故の被害者は「過失がない」という有利な立場である一方、交渉においては「孤独な戦い」を強いられる構造的な不利がある点を覚えておきましょう。
【ステップで解説】追突事故発生から示談成立までの流れ
追突事故が発生してから示談が成立し、賠償金が支払われるまでには一定の手順があります。全体の流れを把握し、現在の自分がどの段階にいるのかを確認しましょう。
主なステップは以下の通りです。
以下、それぞれ具体的に解説します。
関連記事:交通事故の示談交渉の流れは?押さえておきたい重要ポイントや注意点を解説
ステップ1|警察・保険会社に連絡する
事故直後は、車を止めて負傷者を救護した後、必ず警察へ届け出を行いましょう。
警察への届け出は道路交通法第72条で義務付けられています。また、警察への届け出がないと、交通事故証明書が発行されず、保険金請求ができなくなる恐れがあります。
また、自身の保険会社にも速やかに連絡を入れましょう。自身の過失がゼロであっても、以下の特約を利用できる可能性があります。
- 弁護士費用特約:弁護士への依頼費用を補償する特約
- 搭乗者傷害保険:乗車中の怪我に対して定額が支払われる保険
- 人身傷害補償保険:過失割合に関わらず実際の損害額を補償する保険
ステップ2|症状固定まで治療(通院・入院)をする
怪我をした場合は、医師の指示に従い、完治または「症状固定」となるまで治療を継続します。症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことです。
治療期間中に意識すべきポイントは以下の通りです。
- 通院頻度:自己判断で中断せず、医師の指示通りに通う
- 一貫性:事故直後から痛む箇所はすべて医師に伝える
- 記録:通院にかかった交通費や休業日数などをメモしておく
治療費や慰謝料は、通院期間や実通院日数をベースに計算されます。仕事が忙しいからといって通院を疎かにすると、適正な賠償金を受け取れなくなるため注意が必要です。
ステップ3|後遺障害等級認定の申請をする(後遺症が残った場合)
治療を続けても痛みや痺れなどの後遺症が残った場合は、「後遺障害等級認定」の申請を行いましょう。等級が認定された場合、症状の内容や労働への影響に応じて、通常の傷害慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」が認められる可能性があります。
後遺障害等級認定の申請方法には、以下の2つが存在します。それぞれの特徴を理解し、適切な申請方法を選択することが大切です。
| 申請方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 事前認定 | 加害者側の保険会社に任せる | 手間がかからない | 書類内容を確認できず透明性が低い |
| 被害者請求 | 被害者が自ら書類を提出する | 納得いく資料を提出できる | 書類収集などの手間がかかる |
適切な等級を獲得するためには、医師による後遺障害診断書の作成が不可欠です。自覚症状を詳細に伝え、画像所見(MRI画像・レントゲン写真)・神経学的所見(関節可動域検査・徒手筋力検査)などの客観的な証拠を揃えることが重要になります。
ステップ4|保険会社に提示された示談案をもとに交渉する
治療が終了し、損害額が確定すると、加害者側の保険会社から示談案(賠償額の提示)が届きます。この段階から本格的な示談交渉がスタートします。
交渉時の主な確認項目は、以下のとおりです。
- 治療費や通院交通費に漏れはないか
- 休業損害(仕事を休んだ補償)は正しく計算されているか
- 慰謝料の計算基準は適切か(低額な基準で計算されていないか)
- 過失割合は「10対0」になっているか
保険会社の提示額は、あくまで「保険会社の基準」で計算された最低限の金額であるケースがほとんどです。すぐに合意せず、内容を精査する必要があります。
ステップ5|示談書の取り交わしで示談金の入金を待つ
双方が賠償金額や条件に合意したら、「示談書(免責証書)」を作成します。示談書に署名・捺印をして返送すると、通常2週間程度で指定口座に示談金が振り込まれます。
示談書を取り交わした後は、原則として追加の請求はできません。「後から痛みが出てきた」といっても覆すことは難しいため、慎重に判断しましょう。
示談の期間については、以下の記事で詳しく解説しています。どれくらいの期間で解決できるか気になる人は、ぜひ参考にしてみてください。
追突事故の示談交渉を進めるうえで注意すべきポイント
追突事故の被害者が不利益を被らないために、交渉過程で特に注意すべきポイントを4つ解説します。
これらを知っているかどうかで、最終的に受け取る金額や解決までの精神的負担が大きく変わります。必ず確認しておきましょう。
痛みがある場合は必ず「人身事故」として処理する
事故直後は興奮状態で痛みを感じにくいことがありますが、少しでも痛みや違和感がある場合は、必ず警察に「人身事故」として届け出てください。
「物損事故」のまま処理してしまうと、以下のリスクが生じます。
- 治療費の打ち切り:怪我がないとみなされ、治療費が支払われない可能性がある
- 慰謝料請求不可:人身事故の証明ができず、慰謝料を請求できない
- 過失割合のトラブル:実況見分調書が作成されないため、過失割合で揉めた際に証拠が不足する
後から人身事故へ切り替えることも可能です。
ただし、事故から時間が経過すると「事故と怪我の因果関係」の立証が困難になり、警察が受理しない可能性もあるため、初動で医師の診断を受け、人身事故として処理することが重要です。
保険会社の提示額を鵜呑みにして安易にサインしない
保険会社の提示額を鵜呑みにして安易にサインしないことも大切です。加害者側の保険会社は営利企業であるため、支払う保険金をできるだけ抑えようとする傾向があります。
担当者が「当社の規定ではこれが上限です」「相場通りです」と言っても、「自賠責基準」や「任意保険基準」など低い基準での算出かもしれません。
弁護士が交渉に介入した場合に用いる「弁護士基準(裁判基準)」で計算し直すと、金額が大幅に増額する可能性もあります。



提示された金額が適正かどうかを第三者の専門家に確認してから、示談書にサインするようにしましょう。
治療の必要があるうちは「治療費の打ち切り」に応じない
通院が数か月続くと、保険会社から「そろそろ治療費の支払いを終了します(打ち切り)」と連絡が来ることがあります。
これは、長期間治療をすることは会社としても治療費・入通院慰謝料の負担があるためです。しかし、治療の終わりは医師が決めることであり保険会社が決めることではありません。
治療費の支払い打ち切りを打診された場合、対応策として以下の行動を検討しましょう。
- 医師に確認:治療継続の必要性を医師に診断してもらう
- 健康保険への切替:打ち切られた場合は、健康保険を使って自費で通院を続け、後で請求する
- 交渉:医師の意見を根拠に、保険会社へ期間延長を交渉する
治療を途中でやめてしまうと、入通院慰謝料が減額されるだけでなく、後遺障害認定の申請においても不利になります。医師の判断のもと、適切な期間治療を受けましょう。
関連記事:保険会社が治療の打ち切りを連絡してきた!治療費打ち切りが通達されたときの対応方法
不安なことがあればすぐに弁護士に相談する
前述の通り、追突事故(もらい事故)では自分の保険会社が交渉してくれないため、被害者はプロの保険担当者と直接対峙しなければなりません。専門用語や複雑な計算式を並べられ、言いくるめられてしまう被害者は多いです。
交渉に不安を感じたら、すぐに弁護士への相談を検討しましょう。弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
- 精神的負担の軽減:すべての窓口対応を弁護士に一任できる
- 賠償額の増額:最も高額な「弁護士基準」での交渉が可能になる
- 適切な後遺障害認定:申請書類の作成や証拠収集をサポートしてもらえる
- 自賠責保険に被害者請求を行う:自賠責保険から給付を受けることができる
自動車保険で「弁護士費用特約」に加入していれば、特約の限度額(一般的に300万円程度)の範囲内で弁護士費用が補償されます。



ただし、限度額や適用範囲は保険契約により異なるため、自身の保険証券または保険会社に事前に確認しましょう。
関連記事:交通事故で弁護士に依頼するメリットは?デメリットや依頼の適切なタイミングも解説
追突事故で弁護士に相談・依頼すべきタイミング
弁護士への相談は早ければ早いほど良いですが、示談書にサインをする前であれば、どの段階でもメリットを得られます。
なかでも、以下の3つのタイミングでの相談がおすすめです。
- 事故直後・治療中
- 治療費打ち切り・症状固定のとき
- 示談案の提示を受けた時
事故直後・治療中に相談することで、今後の警察対応や、慰謝料減額を防ぐための適切な通院頻度についてアドバイスを受けられ、初期対応のミスを防げます。
また、治療費打ち切り・症状固定のときであれば、保険会社との治療期間延長の交渉や、後遺障害等級認定の申請手続きについて、専門的なサポートを受けることが可能です。
示談案の提示を受けた際に弁護士に相談すると、過去の判例に基づいた「弁護士基準」での増額が可能かを確認できます。
一度示談成立(サイン)してしまうと、原則として撤回はできません。提示額を鵜呑みにせず、必ず合意前に相談しましょう。
示談書にサインする前に確認|示談交渉のチェックリスト
示談書(免責証書)へのサインは、法的に「これですべて解決しました」という最終合意を意味します。一度提出してしまうと、原則として撤回や追加請求は一切できません。
後悔しないためにも、ハンコを押す前に以下の5つの項目を必ずチェックしてください。
以下、それぞれ具体的に解説します。
提示された慰謝料等の額は適切か
まず確認すべきは、提示された示談金の「計算根拠」です。
保険会社からの提示額は、自社基準(任意保険基準)や自賠責基準で算出されていることがほとんどで、本来受け取れる金額よりも低い可能性があります。
とくに、「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」は、計算基準によって金額が2倍〜3倍も変わる項目です。提示額を鵜呑みにせず、弁護士基準(裁判基準)で計算した場合にいくらになるのか、一度シミュレーションしてみましょう。
弁護士の無料相談を活用し、提示額との差額を確認することが大切です。差額を知ったうえで、納得できる金額かどうかを判断しましょう。
医師の判断がおりるまで治療を継続したか
示談を急ぐあまり、治療が完全に終わっていない状態で示談書にサインしてしまうのは厳禁です。示談成立後に「やっぱりまだ痛い」と訴えても、治療費や慰謝料を追加で請求できません。
重要なのは、保険会社の担当者が決める「治療打ち切り日」ではなく、主治医が決める「症状固定日(または治癒日)」まで治療を続けることです。
医師が「まだ治療の効果がある」と判断している間は、治療費の支払いを継続してもらうよう交渉しましょう。
過失割合の修正(10対0以外)を主張されていないか
追突事故では「10対0」が基本ですが、保険会社から「90対10」などの修正案を提示されるケースがあります。
「急ブレーキをかけた」「ブレーキランプが切れていた」といった理由をつけられ、被害者にもわずかな過失があると主張されることも珍しくありません。
もし1割でも過失を認めると、以下のデメリットが発生します。
- 賠償金の減額:受け取る示談金全体から10%が差し引かれる
- 保険料の増額:相手の修理費を負担するために自分の保険を使うと、等級が下がる
事実と異なる過失割合が記載されている場合は、絶対にサインしてはいけません。ドライブレコーダーの映像や目撃証言など、客観的な証拠を用意して反論しましょう。
関連記事:交通事故の過失割合納得いかない!適正化を弁護士に任せるべき理由
休業損害や逸失利益の漏れがないか
示談金の内訳項目において、本来請求できるはずの「消極損害(将来得られたはずの利益)」が漏れていることがあります。
とくに見落としがちなのが、以下の項目です。
| 項目 | 内容 | 見落としがちなケース |
|---|---|---|
| 休業損害 | 事故による欠勤で減った収入 | 専業主婦(主夫)も家事従事者として請求可能 |
| 逸失利益 | 後遺症により将来減る収入 | 減収がない場合でも、労働能力喪失として認められる場合あり |
「会社員ではないから休業損害はない」「給料は減っていないから逸失利益はない」といった保険会社の説明を鵜呑みにしてはいけません。



主婦や学生、アルバイトであっても、条件を満たせば請求できる正当な権利です。
自身の自動車保険に「弁護士費用特約」があるか
示談書にサインする直前であっても、自身の自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯されていないか、最後にもう一度確認してみてください。この特約があれば、最大300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
もし提示内容に少しでも不満や疑問があるなら、サインを保留し、特約を使って弁護士に交渉を依頼しましょう。弁護士が介入することで、慰謝料が弁護士基準に引き上げられ、示談金が大幅に増額される可能性が高まります。
「もう示談書が送られてきたから遅い」ということはありません。サインする前であれば、いつでも弁護士に依頼して交渉をやり直すことが可能です。
追突事故の示談について悩んでいる方は、一度弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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関連記事:交通事故で弁護士特約は使った方がいい?トラブルで利用できる「弁護士費用特約」についてわかりやすく解説
追突事故の示談金の額を決める「3つの基準」
示談交渉において重要な事実は、「賠償金の計算基準は1つではない」ということです。実は、誰が計算するかによって、示談金の額は大きく変動します。
ここでは、示談金額を左右する3つの算定基準について解説します。
適切な示談金を受け取れるよう、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
自賠責基準
自賠責基準は、すべての車所有者に加入が義務付けられている「自賠責保険」に基づく基準です(自動車損害賠償保障法第5条)。
被害者に対する「最低限の補償」を目的としており、3つの基準の中で最も低い金額設定となります。
主な特徴は、以下のとおりです。
- 特徴:国が定めた最低限の救済基準
- 慰謝料:1日あたり4,300円(実通院日数×2または通院期間の少ない方)※
- 限度額:傷害による損害(治療関係費・休業損害・慰謝料の合計)は被害者1人につき120万円まで
※令和2年4月1日以降に発生した事故に適用されます。同日より前に発生した事故は4,200円です。
加害者側の保険会社が最初に提示する金額は、この基準に近いケースが多く見られます。
出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
任意保険基準
任意保険基準は、各保険会社が独自に定めている社内基準です。非公開であり、保険会社によって金額にばらつきがあります。自賠責基準よりは少し高めに設定されていますが、本来認められる額には遠く及びません。
主な特徴は、以下のとおりです。
- 特徴:保険会社独自の支払基準
- 金額:自賠責基準+α程度(弁護士基準よりは大幅に低い)
- 交渉の余地:被害者個人での交渉では、この基準を超えることは難しい
保険会社は「当社の基準ではこれが精一杯です」と主張しますが、それは法的な上限額ではありません。次に紹介する弁護士基準で計算すると、さらに高額な示談金が見込めます。
弁護士基準(裁判基準)
弁護士基準は、過去の裁判例に基づいて算出される、裁判をした場合に認定される額の基準です。弁護士が交渉に介入した場合や、裁判になった場合にのみ適用されます。
3つの基準を比較すると、以下のようになります。
| 基準名 | 算出元 | 金額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 自賠責基準 | 国(法令) | 低い | 最低限の補償 |
| 任意保険基準 | 保険会社 | 中 | 保険会社が被害者に提示する額 |
| 弁護士基準 | 裁判所 | 高い | 本来受け取るべき適正額 |
とくに「慰謝料」や「後遺障害逸失利益」において、弁護士基準は他の基準と比べて2倍近い差が生じることがあります。



適正な賠償金を受け取るためには、この「弁護士基準」で交渉することが不可欠です。
【事例別】追突事故による示談金の相場
追突事故による示談金は、結局どれくらいもらえるのでしょうか。ここからは、具体的な事例別の相場を紹介します。
ただし、実際の金額は怪我の程度や収入、過失割合によって変動するため、あくまで目安としてご覧ください。
追突事故に多い「むちうち」で通院した場合の相場
追突事故で多い「むちうち(頚椎捻挫)」で、3か月間通院した場合の入通院慰謝料の相場を解説します。
ここでは、自賠責基準と弁護士基準を比較しました。
【前提条件】
- 怪我:むちうち(他覚所見なし)
- 通院期間:3か月(90日)
- 実通院日数:30日
| 基準 | 計算式・目安 | 慰謝料額 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 4,300円 × (30日 × 2) | 25.8万円 |
| 弁護士基準 | 赤い本(別表Ⅱ)を参照 | 約53万円 |
このように、弁護士基準で計算するだけで、慰謝料が約2倍になる可能性があります。
通院期間が長期間に及ぶ場合や、他覚所見のある重傷と判断された場合、差額はさらに広がります。むちうちであっても、弁護士基準で計算することが大切です。
関連記事:追突事故でむちうちになったら?事故後の対応や慰謝料請求で損しない方法を弁護士が解説
後遺障害等級が認定された場合の相場
治療を尽くしても後遺症が残り、後遺障害等級が認定された場合は、別途「後遺障害慰謝料」が請求できます。
追突事故によるむちうちで認定されやすい「14級9号」と「12級13号」の相場は以下の通りです。
| 等級 | 症状の目安 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 14級9号 | 画像等の所見はないが、症状が医学的に説明できる | 32万円 | 110万円 |
| 12級13号 | MRI画像などで神経症状が医学的に証明できる | 94万円 | 290万円 |
出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
ここでも、弁護士基準と自賠責基準には約3倍の開きがあります。
認定されるかどうか、そしてどの基準で計算するかによって、受け取れる金額が数百万円単位で変わると覚えておきましょう。
関連記事:後遺障害等級認定とは?手続きの流れ・適切な等級獲得のポイントを弁護士が解説
被害者が死亡した場合の相場
不幸にも被害者が死亡してしまった場合、死亡慰謝料が発生します。被害者の家庭内での立場(一家の支柱か、独身かなど)によって金額が異なる点が特徴です。
死亡慰謝料の目安は、以下のとおりです。
| 被害者の属性 | 自賠責基準(遺族1人の場合) | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 一家の支柱 | 400万円※ | 2,800万円 |
| 母親・配偶者 | 400万円※ | 2,500万円 |
| 独身・子供など | 400万円※ | 2,000万円〜2,500万円 |
※弁護士基準は、書籍『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準|(公財)日弁連交通事故相談センター東京支部編集』から引用
※出典:国土交通省|自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
これに加え、生きていれば得られたはずの収入(逸失利益)や葬儀費用なども請求可能です。総額では数千万円〜1億円を超えるケースもあります。
物損事故のみの場合の相場
怪我のない「物損事故」の場合、原則として「慰謝料」は発生しません。慰謝料は精神的苦痛に対する賠償ですが、物は修理や買い替えで損害が回復すると考えられているためです。
物損事故の示談金として請求できる主な項目は、以下の通りです。
- 修理費:適正な修理にかかる費用
- 買替差額:修理不能(全損)の場合、時価額と売却価格(スクラップを売却した代金)の差額
- 代車費用:修理期間中にレンタカーが必要な場合の費用(必要性が認められる場合のみ)
- 評価損:修理しても事故歴がつき、車両価値が下がった分の損害(認められるハードルは高い)
「大切にしていた車が傷ついた」という精神的ショックは考慮されず、あくまで車の修理に関する項目のみ認められるのが一般的です。
ただし、被害物が財産的価値以外に特別な精神的価値を有し、それが社会通念上是認される場合には、例外的に慰謝料が認められることがあります(ペットの死傷、家宝・形見の毀損など)。



個々のケースによって異なるため、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
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追突事故の示談に関するよくある質問
追突事故の示談交渉にかかる期間はどれくらい?
怪我の程度によりますが、治療終了から1〜3か月程度で合意に至るケースが一般的です。
具体的なタイムラインの目安は以下のとおりです。
- 治療終了:事故から3〜6か月後
- 示談案の提示:治療終了から約2週間〜1か月後
- 交渉期間:案の提示から1〜2か月程度
後遺障害認定を申請する場合は、結果が出るまでにさらに2〜3か月かかります。
相手方が過失割合を争ったり、提示額に納得できなかったりする場合は、解決まで半年以上かかることも珍しくありません。
示談書にサインした後でも撤回はできる?
整骨院への通院は慰謝料の対象になる?
整骨院(接骨院)への通院も慰謝料の対象になりますが、医師の指示または同意が必要です。
保険会社は「医療機関(整形外科など)」での治療を重視するため、整骨院のみの通院は治療費として認められないリスクがあります。
- 整形外科:月1回以上は必ず受診し、経過観察を受ける
- 整骨院:医師の指示や同意を得たうえで併用する
上記の体制を整えることで、治療費の打ち切りを防ぎやすくなります。
軽い追突事故でも弁護士に相談して問題ない?
「怪我が軽いのに弁護士に頼むのは大げさでは?」と考える必要はありません。被害総額が少ない場合でも、弁護士に依頼するメリットは十分にあります。
特約を利用すれば、相談料や着手金は保険会社が負担してくれます。受け取れる示談金が少なくても、安心して弁護士に相談することが可能です。
また、金額の多寡に関わらず、交渉のプロである保険会社とのやり取りはストレスです。治療に専念するためにも、弁護士に依頼するとよいでしょう。



軽微な事故であっても、まずは無料相談を利用してみることが大切です。
まとめ|追突事故の示談を有利に進めるためにも、弁護士に相談しよう
追突事故は、被害者に過失がない分、保険会社の示談代行が使えず、被害者自身が交渉の矢面に立つ必要があります。
加害者側の保険会社は、交渉のプロフェッショナルです。知識のない個人が対等に渡り合い、適正な賠償金を勝ち取るのは容易ではありません。
少しでも不安を感じているなら、一人で悩まずに弁護士へ相談しましょう。専門家のサポートを得ることで、精神的な負担を減らせるうえ、本来受け取るべき正当な賠償金を得られます。



まずは、弁護士事務所の無料相談を活用し、状況に合ったアドバイスを受けることから始めましょう。
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