不倫誓約書とは?法的効力や書き方をテンプレート付きで解説【弁護士監修】
「不倫した配偶者に、もう二度と裏切らないと誓ってほしい」
「慰謝料の支払いを法的に約束させたい」
配偶者の不倫が発覚したとき、二度と不倫をしないように誓う書面である「不倫誓約書」の作成を考える方は多いのではないでしょうか。
不倫誓約書は、関係再構築や慰謝料請求の第一歩となる重要な文書です。 しかし、その法的な効力を正しく理解せずに作成すると、いざという時に証拠として機能しなかったり、かえって将来の請求権を失ったりする危険性もあります。
本記事では、不倫誓約書の法的な効力や示談書との違い、効力を最大化する公正証書化、具体的な書き方まで、弁護士視点で詳しく解説します。
不倫問題を法的に正しく整理し、関係の再構築や慰謝料の請求といった確実な一歩を守るための知識を身につけましょう。
弁護士法人アクロピースでは、法的に有効な不倫誓約書の作成や、より強制力を持たせるための公正証書化の手続きをサポートしております。
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不倫の誓約書とは?役割や示談書との違い
不倫誓約書は、不貞行為の再発防止や慰謝料請求の証拠として重要な文書です。 しかし、法的な役割を理解せず作成すると、期待した効力を発揮できない恐れがあります。
ここでは誓約書の具体的な役割と、混同されやすい示談書(合意書)との明確な違いを解説します。
不倫誓約書とは「不貞行為の再発防止を約束させる文書」
不倫誓約書とは、不貞行為(不倫)の事実を加害者に認めさせ、書面で約束させる文書です。主な目的は、不倫の再発防止や慰謝料請求を行う場合の証拠にすることにあります。
夫婦関係を再構築するために作成するケースもあれば、離婚や慰謝料請求の証拠確保のために用いるケースもあります。
目的に応じた誓約書の役割は以下のとおりです。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 事実の確認 | 不貞行為があったことを本人に認めさせ、証拠として残します |
| 謝罪の表明 | 不倫した側が謝罪の意を示します |
| 不倫の再発防止 | 不倫相手との接触禁止(電話、メール、SNSを含む)などを約束させます |
| ペナルティの設定 | 再度不倫をした場合の違約金(慰謝料)を定めます |
不倫誓約書と示談書(合意書)の違い
不倫誓約書と似ている文書に「示談書(合意書)」があります。示談書(合意書)を含む広い概念として不倫誓約書という言葉を使う場合もありますが、ここでは不倫誓約書と示談書(合意書)を、以下のように作成の目的やタイミングが違う文書として理解して説明をします。
誓約書は主に「将来の再発防止」や事実確認を目的とし、示談書は慰謝料の支払いをもって「過去の問題を最終的に解決」する目的で作成します。
| 項目 | 不倫誓約書 | 示談書(合意書) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 将来の不倫の再発防止不貞行為の事実確認 | 過去の不倫問題の最終的な解決慰謝料支払いの確定 |
| 作成タイミング | 不倫発覚直後夫婦関係の再構築を目指す過程 | 慰謝料の交渉がまとまった時離婚が成立する時 |
| 単独で作成するか、契約か | 単独 | 契約 |
| 清算条項 | 含めない | 含むことが一般的 |
清算条項とは、示談書(合意書)に一般的に含まれるもので、「本書面に定める内容のほかは、今後お互いに金銭的な請求などをしない」と約束する条項です。これにより、過去の問題を法的に最終解決させる役割があります。
誓約書というタイトルの書面でも清算条項が定められていることがありますが、これは示談書(合意書)という意味で(不倫)誓約書という言葉が利用されている場合であるといえます。
以上のように、不倫誓約書と示談書(合意書)の役割は異なります。目的が、不倫をした配偶者や不倫相手に将来不倫を行わないことを約束させることであれば不倫誓約書を利用しましょう。
一方で、目的が不倫をした配偶者や不倫相手に慰謝料を支払ってもらうことであれば、示談書(合意書)を作成して、終局的に問題を解決できるようにしましょう。
不倫誓約書に法的効力はある?
ここでは、不倫誓約書の法的効力や、その効力を最大限に高めるにはどうすればよいのかを見ていきましょう。
強制執行力はないが裁判における「不貞行為の証拠」としては有効
不倫の誓約書自体には強制執行力がありません。よって、相手が慰謝料や違約金の支払いを怠っても、誓約書だけでは相手の給与や財産を差し押さえられない点に注意が必要です。
ただし、誓約書は裁判において、以下の事実を示す極めて強力な「証拠」として機能します。
- 本人が「不貞行為の事実」を認めた証拠
- 「不倫相手と接触しない」と約束した証拠
不倫誓約書を作成することで、裁判時に「不倫の事実はない」といった相手の主張を封じ込める効果が期待できるでしょう。
効力を最大化するなら「公正証書」化を検討する
公正証書とは、公証役場の公証人が作成する信頼性の高い公文書を指します。
誓約書や示談書を公正証書にするメリットは非常に大きく、特に金銭の支払い約束がある場合に推奨されます。主なメリットは以下のとおりです。
| 公正証書化するメリット | 概要 |
|---|---|
| 強制執行力の付与 | 「強制執行認諾文言」を記載すれば、裁判を経ずに相手の財産(給与・預金など)を差し押さえできます |
| 高い証拠能力 | 公証人が本人確認と意思確認を行うため、「無理やり書かされた」などの言い逃れがほぼ通用しなくなります |
| 違反の抑止力 | 「約束を破れば差し押さえもあり得る」という公文書の重みが、相手に強い心理的プレッシャーを与えます |
違約金の支払いを確実なものにしたい場合は、公正証書化を検討しましょう。
【テンプレートあり】不倫誓約書の書き方とは?
不倫誓約書を法的に有効なものにするには、記載すべき項目を押さえる必要があります。
曖昧な内容では、後で「そんなつもりではなかった」と言い逃れされるかもしれません。 ここでは、誓約書に必須の重要項目と、ケース別のテンプレート(雛形)を具体的に解説します。
不倫誓約書に必ず記載すべき7つの重要項目
不倫誓約書の目的がどのようなものであれ、法的な証拠能力を持たせるために必須となる項目があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表題 | 「誓約書」または「合意書」と明記 |
| 当事者の氏名 | 誓約する側(不倫した配偶者・不倫相手)と、誓約を受ける側(あなた)の氏名を正確に記載 |
| 不貞行為の事実 | いつ、誰と、どのような不貞行為(肉体関係など)を行ったかを具体的に明記し、事実を認めさせる(最も重要) |
| 謝罪の言葉 | 不貞行為に対する謝罪の意を記載 |
| 誓約内容 | 不倫相手との一切の接触禁止(電話、メール、LINE、SNS、面会など)。 |
| 違約金 | 誓約内容(特に接触禁止)に違反した場合に支払うペナルティの額を定める |
| 日付と署名・押印 | 作成年月日を記載し、少なくとも誓約する側が自筆で署名し、押印(認印可、実印尚良)する |
これらの記載が漏れていたり、内容が曖昧だったりすると、誓約書自体の効力が弱まる可能性があります。 どのようなケースでも、これら7つの重要項目は必ず盛り込むようにしてください。
【テンプレート1】夫婦間で再構築を目指す場合の誓約書(配偶者用)
不倫をした配偶者に書かせる場合のテンプレート(雛形)は以下のとおりです。
誓 約 書
私は、以下のとおり自身の不貞行為を認め、以下のとおり誓約する。
- 私は、令和〇年〇月頃から令和〇年〇月頃までの間、□□ □□(不倫相手の氏名)と不貞関係(肉体関係)にあった事実を認め、△△△△(不倫された人の氏名)に対し深く謝罪する。
- 私は、今後、□□ □□ とは、私的・公的を問わず一切の連絡(電話、メール、SNS等を含む)及び接触(面会等)を行わないことを誓約する。
- 私は、前条の誓約に違反した場合、違約金として△△△△に対し金〇〇万円を支払う。
- 私は、△△△△との円満な夫婦関係の再構築に努めることを約束する。
本誓約書作成の証として、本書面2通を作成し、署名捺印の上、1通を△△△△に交付する。
令和〇年〇月〇日
(甲)住所: 氏名: 〇〇 〇〇 (印)
夫婦関係の再構築を目指す場合、誓約書の主な目的は「不貞行為の事実確認」と「将来の再発防止」になります。
不倫相手との接触禁止を明確に約束させ、違反した場合のペナルティ(違約金)を定めることが重要です。
【テンプレート2】不倫相手に書かせる誓約書(接触禁止)
不倫相手に書かせる場合のテンプレート(雛形)は以下のとおりです。
誓約書
私は、〇〇〇〇(不倫された方)の配偶者である △△ △△(不倫した配偶者)と私との不貞行為に関し、以下のとおり誓約する。
- 私は、令和〇年〇月頃から令和〇年〇月頃までの間、甲の配偶者である △△ △△ が既婚者であると知りながら不貞関係(肉体関係)を持った事実を認め、〇〇〇〇に対し深く謝罪する。
- 私は、今後、△△ △△ とは、私的・公的を問わず一切の連絡(電話、メール、SNS等を含む)及び接触(面会等)を行わないことを誓約する。
- 私が前条の誓約に違反した場合、違約金として甲に対し金〇〇万円(※慰謝料とは別に定める)を支払う。
本合意書作成の証として、本書面2通を作成し、署名捺印の上、1通を〇〇〇〇に交付する。
令和〇年〇月〇日
(甲)住所: 氏名: 〇〇 〇〇 (印)
以上は不倫相手に対して、あなたの配偶者との接触禁止を約束させることを目的とした誓約書です。
一方で、不倫相手に対して慰謝料の支払いを求める場合には、示談書(合意書)を作成しましょう。慰謝料の支払義務の確認や支払方法の定め、清算条項(支払いをもって問題を最終的に解決するための条項)などを盛り込んで作成することとなります。
不倫誓約書が無効になるケース(脅迫・過度な違約金・公序良俗違反)
不倫誓約書は、当事者間の合意があればどのような内容でも法的に認められるわけではありません。
作成時の状況や記載された条項が民法上の「公序良俗」や「強迫」に該当する場合、文書そのものが無効と判断される、あるいは特定の条項のみ効力を失う可能性があります。
特に法的効力が否定されやすいのは、相手の基本的人権を著しく侵害しているケースや、自由な意思決定が妨げられた状況です。
裁判等で無効とみなされる主な具体例は以下のとおりです。
| 無効となる主な要因 | 具体例 |
|---|---|
| 強迫・強要 | 大声で怒鳴る、部屋に鍵をかけて監禁するなど、恐怖を与えて無理やり署名させた場合(民法|第96条) |
| 公序良俗違反(人権侵害) | 「会社を退職させる」「絶対に離婚しない」など、身体や職業選択の自由を不当に制限する場合(民法|第90条) |
| 過度な違約金 | 一般的な慰謝料相場を大幅に超える金額(数千万円など)や、相手の資力に対し支払いが明らかに不可能な額を設定した場合 |
このように、相手への制裁感情が強すぎるあまり法的な許容範囲を超えてしまうと、作成した誓約書が証拠としての価値を失いかねません。
法的効力を確実に持たせるためには、一時の感情を抑え、現実的かつ適法な範囲内で条件を定める冷静さが不可欠です。
不倫誓約書を作成する際の注意点3つ
不倫誓約書は、作成方法を誤ると法的な効力を失うリスクがあります。 感情的に作成を進めると、脅迫とみなされ無効になったり、トラブルが拡大したりする恐れも否定できません。
後で後悔しないためにも、作成時には以下の3つの注意点を必ず守ってください。
不貞行為の事実を具体的に記載する
誓約書の証拠能力を担保する上で、不貞行為の事実を具体的に記載することは最も重要です。
「配偶者を傷つけたことを謝罪します」といった曖昧な表現は避けましょう。後日、「不倫はしていないが、疑いを招く行動を謝罪しただけ」と言い逃れされる余地を残してしまうためです。
証拠としての価値を確実なものにするには、以下の要素を明記し、事実関係を特定する必要があります。
- 不倫の期間(いつからいつまで)
- 不倫相手の氏名
- 「肉体関係(不貞関係)があった」という明確な事実
これらを具体的に記載させることが、証拠としての価値を確実なものにします。
感情的にならず、冷静な場で署名を求める
不倫が発覚した直後は、怒りやショックから感情的になりがちです。しかし、相手を問い詰めて無理やり署名させることは避けてください。
脅迫的な言動や行動で無理やり署名させた場合、以下のような法的リスクが生じかねません。
| 行き過ぎた言動の例 | 想定される法的リスク |
| 「署名しなければ会社にバラす」 「実家に言いふらす」と脅す | 民法上の「強迫」や「公序良俗違反」にあたると判断され、その誓約書は法的に無効となる可能性 |
|---|---|
| 胸ぐらをつかむ、部屋に閉じ込める 大声で長時間怒鳴り続ける | 刑法上の「強要罪」や「恐喝罪」に該当し、刑事事件になりかねないリスクもある |
誓約書は必ず冷静に話し合える場で、相手の自由な意思に基づいて署名・押印してもらいましょう。
署名を拒否された場合は無理強いしない
相手が誓約書への署名・押印を拒否することもあります。この場合、最もやってはいけないのが「無理強い」です。
強迫によって得た署名は法的に無効と判断されるため、何の効力も持ちません。相手が拒否した場合は感情的にならず、一度冷静になることが大切です。
その上で、以下の対処法を検討しましょう。
| 対応策 | 詳細 |
|---|---|
| 拒否する理由を聞く | 金額や事実など、内容に不満があるのか、誓約書自体を拒否しているのかを確認する |
| 法的措置に切り替える | ・当事者同士での交渉が難しい場合、弁護士を立てて交渉を行う ・不貞行為の証拠がある場合、誓約書に固執せず、慰謝料請求の調停や訴訟に進む方が早いことがある |
弁護士法人アクロピースでは、ご依頼者様の状況に合わせた最適な誓約書の作成から、相手方との交渉・締結まで幅広く対応しております。
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不倫誓約書に違反されたらどうすればいい?とるべき行動
誓約書を取り交わした後も、相手が不倫を続けるなど誓約違反が起こる場合があります。 その際は、以下の手順で冷静に対応しましょう。
| 手順 | 詳細 |
|---|---|
| 1. 違反の証拠を確保する | 相手が誓約に違反した証拠(写真やSNSの履歴など)を収集します。 |
| 2. 誓約書に基づき請求する | 誓約書に定めた違約金を請求します。 内容証明郵便などで正式に請求するのが賢明です。 |
| 3. 法的手段を検討する | 相手が請求に応じない場合は、法的手続きに移ります。 |
なお、法的手段は誓約書の形態によって異なります。
「公正証書(強制執行認諾文言付)」で作成した場合、裁判を経ずに強制執行(給与や預金の差し押さえ)が可能です。 一方、「私文書(当事者間のみ)」の場合は、誓約書を証拠として裁判を起こす必要があります。
いずれの場合も、証拠収集と法的手続きが不可欠です。 手続きを有利に進めるため、早めに弁護士へ相談することを推奨します。
不倫の誓約書に関するよくある質問
不倫の誓約書に記載する違約金の相場はいくら?
慰謝料は法律で明確な金額が定められているわけではなく、個別のケースにおける精神的苦痛の程度に応じて変動するものです。そのため、違約金についても厳密な「法的な相場」は存在しません。
ただし、一般的な慰謝料の相場(数十万~300万円)から著しく逸脱した高額な設定(例:5,000万円など)は、公序良俗違反(民法第90条)として無効になるリスクがあります。
現実的なラインとして、慰謝料相場と同程度か、それより少し高額(100万~300万円)に設定するのが一般的です。
不倫誓約書の公正証書化にかかる費用はどのくらい?
公証役場に支払う手数料が必要です。金額は、誓約書に記載する慰謝料や違約金の額(目的の価額)に応じて変動します。以下は手数料の目安です。(※別途、証書の枚数に応じた費用などが加算されます)
| 目的の価額(慰謝料・違約金の合計額など) | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超 200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超 500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 20,000円 |
参照:日本公証人連合会|手数料
なお、弁護士に公正証書の作成代行や内容の確認を依頼する場合は、これらの手数料とは別に弁護士費用が必要です。
不倫・浮気の誓約書は手書きでも良いですか?
不倫・浮気の誓約書は、手書きでも法的には問題ありません。手書きにするメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | 本人の筆跡が残り証拠力が高まる |
|---|---|
| デメリット | 法律的に無効な条項を書いてしまうリスクがある |
より確実に作成をするのであれば、本文は弁護士に相談してPC等で作成し、署名のみを本人が自筆(手書き)で行いましょう。この方法であれば、手書きの証拠力と法的な正確性の両方を確保しやすくなります。
なお、押印した印鑑で契印・割印をしておくとより書面が証拠として信用されやすくなります。
不倫相手に誓約書を書いてもらうことは可能ですか?
同意があれば不倫相手にも誓約書を書いてもらうことは可能です。
不倫は配偶者と不倫相手の2人による「共同不法行為」(民法第719条)にあたります。そのため、不倫相手に対しても慰謝料を請求する権利があります。
この権利に基づいて請求をし話合いをする中で、不倫相手が誓約書に署名することを承諾してくれる可能性もあります。
まとめ|不倫誓約書に法的効力を持たせるなら弁護士に相談しよう
不倫誓約書は、不貞行為の強力な証拠にはなりますが、それ自体に慰謝料の支払いを強制する力はありません。
しかし、専門知識に基づいて適切に作成すれば、強力な武器になります。
ご自身の未来を守る確実な一歩として、離婚問題に精通した弁護士に相談するのが最も確実な方法です。専門家の力を借りることで、感情的な負担を軽減しつつ、法的に有効な誓約書を作成できます。
弁護士法人アクロピースでは、不倫誓約書を公正証書化する手続きの代行、相手方との交渉まで幅広く対応しております。
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