奨学金による借金でも自己破産はできるが他の手続きも視野に入れるべき理由について

大学や大学院に進学する時に使う奨学金。

今や大学・大学院進学者の半数が奨学金を使っています。

奨学金といっても実質は一般の借金と何も変わりありません。

当たり前ですが、借金なので大学や大学院卒業後に返済しないといけません。

高度経済成長期の日本ならば、就職口も多くあり、企業の業績も良く、月収やボーナスも多くもらえましたが、今の日本は経済が伸び悩み、どこの企業も青色吐息です。

今の時代は就職できない、就職できてもブラック企業などで収入が全然期待できません。

自分の生活費もままならないのに高額な借金を返していくのは至難の業です。

このような理由から奨学金を返せない人が年々増えています。

なんとか借金生活から抜け出したいと自己破産に着手する人もいますが、奨学金の場合はそう簡単に事が運びません。

奨学金も借金なので自己破産は可能ですが、ほぼ確実に連帯保証人を付けているので自己破産すると債務が連帯保証人に行きます。

奨学金の連帯保証人は両親や祖父母がなることが多いので、本人が自己破産しても借金が両親や祖父母に行くだけです。

結局、借金を返済する人が親族の中で変わるだけなのです。

今回は、奨学金による借金でも自己破産が出来ること、自己破産しても連帯保証人になっている両親や祖父母に債務が行くことについて、詳細に解説していきます

目次

奨学金でも自己破産可能!ただし、両親などに迷惑が・・・

奨学金も借金に変わりはないので、自己破産可能です

自己破産すれば奨学金の返済がすべて免除されます

もちろん、新たな借金が出来ない、クレジットカードが作れない、マイカーローンや住宅ローンを組めないなどの制限はあります。

また、職業の制限もあります。

弁護士や公認会計士などの士業になれなかったり、銀行・証券・保険会社の就職が制限されたりします。

上記のような制限があっても、借金苦から脱したいと思ったならば自己破産するのもいいでしょう。

ただ、奨学金での自己破産の場合、事はそんなに簡単ではありません

奨学金を借りる場合、ほとんどのケースで両親や祖父母を連帯保証人にしろと迫られます。

連帯保証人は債務者が借金を支払えなくなった場合、借金を肩代わりしなければいけません。

債務者である本人の借金はなくなっても、結局、親族である両親や祖父母が借金を背負うことになるのです

そもそも両親や祖父母に資金があれば、奨学金を借りる必要はないわけです。

進学のための資金がないからこそ奨学金を借りているのに、これでは親子共倒れになってしまいます。

このように奨学金による借金を自己破産でチャラにできるものの、現実は借金を親族内で押し付けあっているだけなのです。

奨学金による借金を自己破産で解消するのが、いかに難しいかお分かりいただけたでしょうか?

個人再生や任意整理などの債務整理も使えない

自己破産が無理なら他の債務整理、例えば個人再生や任意整理が使えないかと考える方もいるでしょう

こちらの方法も現実的に適用するのは非常に厳しいものとなります

個人再生は自己破産のように借金がゼロにはなりませんが、借金を5分の1程度に減額できる制度です。

一見魅力的な制度に見えますが、こちらも連帯保証人に減額した分を請求されてしまうので、借金全額を本人(債務者)と連帯保証人が共同で支払うことになるだけです。

自己破産のように全額連帯保証人が支払うか、本人と連帯保証人が共に支払うかの違いだけなのです。

任意整理は、将来利息をカットしてもらえる制度ですが、奨学金はそもそも低金利であり、そんなに利息は多くありません。

元本返済に苦労している人が任意整理をしてもメリットがほとんどないのです。

上記で見てきたように自己破産も個人再生も任意整理もどれもあまり奨学金による借金に効果的ではありません

奨学金の返済を回避するのは、それだけ難しいということです

自己破産するより救済制度の活用を!

奨学金を自己破産するのは非常に厳しいと説明してきましたが、全く救済措置がないわけではありません

奨学金を貸し出している日本学生支援機構は3つの救済制度を設けています

救済制度は、減額返還制度・返還期限猶予制度・返還免除制度に分かれています。

減額返還制度は、月々の返済額を減額してもらえる制度です。

ただし、元本を減額してくれるわけではないので、月々の返済額が減る分、返済期間は延びます。

返済期間が延びても遅延金や利息の上乗せはないので安心してください。

収入は少ないが、小額なら返済できる人にお勧めの方法です。

返還期限猶予制度は、一定期間返済を待ってもらえる制度です。

申請すると基本的に1年の猶予期間が与えられ、最大10年猶予期間が与えられます。

こちらの制度も返済期間が延びても遅延金や利息の上乗せはありません。

病気や失職、転職などで生活が苦しいときに使用すると良い制度です。

返還免除制度は、本人が死亡した場合や重度の障害により返済ができない場合に免除となる制度です。

この制度は、たとえ金銭苦でも健常者なら適用されませんのでご注意ください。

本人が死亡するなどの場合を除き、奨学金の返済が免除されるわけではありませんが、支払期間を延長できたり、月々の返済が楽になったりするので、生活が苦しくて奨学金の返済ができない場合は積極的に活用していきましょう

奨学金による借金に限っては、自己破産等の債務整理をするより、日本学生支援機構の救済制度を活用する方が効果的です

まとめ

奨学金による借金苦から逃れるために自己破産することも可能です

ただし、奨学金には連帯保証人を付けることがほぼ必須なので、結局は連帯保証人である両親や祖父母に借金の請求がいくことになります

親族内で借金を押し付けあうことは果たして良いことなのでしょうか?

奨学金による借金の場合、自己破産をするよりも日本学生支援機構の救済制度を活用した方が断然いいです

基本的に元本を減らすことは出来ませんが、返済期間を猶予してもらえたり、月々の返済額を減らしてもらえたりするので、こちらを上手く利用してみてください

それでも、どうしても自己破産をしたいという方は、自己破産に詳しい弁護士にご相談ください。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、借金問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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