過払い金の時効は10年、過払い金請求を急ぐべき理由

過払い金は、消費者金融やクレジットカード会社からの借金を、利息制限法の上限金利15%~20%以上で返済した場合に発生する、「払い過ぎた金利」のことです。

長期間にわたって返済をしていた場合には、過払い金が大きな額になっているケースもあります。過払い金は、法的な手続きをおこない貸金業者から返してもらうことが可能です。

しかし、過払い金の返還請求には時効があり、時効消滅後は1円も取り戻すことができなくなります。

過払い金の基礎知識とともに、過払い金の可能性がある場合、早急に弁護士に相談すべき理由をお伝えします。

目次

過払い金とは

過払い金はグレーゾーン金利から発生した

以前は貸金業者がお金を貸し付けるときの法律が2つあり、定められた上限金利が異なっていました。

「出資法」では、上限金利29.2%を超えて貸し付けた場合には罰則が設けられていました。

「利息制限法」では上限金利は20%に定められていましたが、それを超えても29.2%以内であれば罰則はありませんでした。「罰則がない」ことを巧みに利用した多くの貸金業者が、出資法の上限29.2%ギリギリの金利で貸し付けていました。

「利息制限法の上限は超えているものの、刑事罰を課せられない金利」、これがグレーゾーン金利と呼ばれているものです。

過払い金の対象になる可能性

2007年以前に借入をしていた場合

自分に過払い金が発生しているかどうか、わからない人も多いでしょう。判断基準の1つになるのは、2007年以前に借金をしていた場合、過払い金が発生している可能性が高くなるということです。

2007年以降は利息制限法の改定が決まり、アコムやプロミスといった大手貸金業者をはじめ、ほとんどの業者が利息制限法の上限、最大20%に金利を引き下げたため、グレーゾーン金利がなくなり過払い金は発生しなくなりました。

銀行系カードローンは該当しない

銀行系のカードローンが適用する法律は、「銀行法」であり、貸金業者とは異なります。2007年以前も法律を守った金利で貸し付けていたので、銀行系のカードローンには過払い金は発生していません。

可能性があればまず確認を

弁護士の無料相談を活用する

過払い金が発生している可能性を少しでも感じた場合は、弁護士の無料相談などを利用して、相談することをお勧めします。過払い金が発生しているかどうか、過払い金の金額、返還請求ができるか、などを明確にしていけます。

本来は払う必要がない法律外の金利を何十万円も払っていた可能性があるのです。返してもらうべきお金です。

請求を急いだほうがいい理由

10年時効で請求の権利が消滅する

過払い金の返還請求ができるのは、貸金業者と「最後に取引をした日から10年」と定められていて、10年を超えると時効が成立し、請求できる権利がなくなります。

「最後に取引した日」は、借入の契約日ではなく、最後に返済した日(完済日)のことです。

2007年以前に借り入れをしていたとすれば、ほとんどの場合、借金を完済して何年も経過している状況にあるでしょう。そうなると、時効までの時間に猶予はありません。

貸金業者が倒産すると請求できなくなる

過払い金を請求する貸金業者が倒産した場合、過払い金を回収することが難しくなります。

2007年以降は、過払い金返還請求をする人が増加し、多額の過払い金を支払うことが原因で倒産や廃業、経営悪化に見舞われる貸金業者が数多く出たのです。

貸金業者の経営体力によって返還率がかわる

貸金業者の財源にも限りがあります。経営体力のあるうちに返還請求をしないと、返してもらえる金額がどんどん少なくなる可能性があります。

経営状態が悪い貸金業者の場合、裁判で大きく抵抗する、なかなか返還に応じないといったケースもあります。また経営不振の業者は、返還率が低い傾向にあります。

過払い金請求の方法と流れ

貸金業者と交渉する

過払い金が発生している事実がわかったら、早急に返還請求をおこないます。基本的に請求手続きは、貸金業者と話し合いをして合意する方法になるため、弁護士に依頼するのが一般的です。

貸金業者へ受任通知を送付

弁護士に依頼後、すぐに各貸金業者へ「受任通知」を発送します。弁護士が代理人となって、払い金の返還請求をおこなうことを知らせる通知です。

現在も返済中の借金の場合は、受任通知によって返済や取り立ては一定期間ストップします。

請求額を算出

借入れの契約や支払い状況など、詳細が記録されている「取引履歴書」を貸金業者から

取り寄せ、最大20%の法定金利で引き直し計算をおこない、請求すべき過払い金の金額を算出、確定します。

「過払い金返還請求書」を送付

算出した過払い金額を基に、「過払い金返還請求書」を作成し、貸金業者へ送付します。返還日についても交渉をします。

過払い金の返還

貸金業者との交渉が和解したら、和解内容を記載した「合意書」を交わします。交渉で決まった返還日に入金が確認できれば手続きは無事完了です。

過払い金の請求から、返還までにかかる期間は概ね2ヶ月~3ヶ月です。

交渉が成立しない場合は裁判をおこなう

貸金業者と交渉をしても、返還金額や支払い期限などが納得できない場合や、貸金業者が交渉自体に応じないなど、双方の話し合いでは和解が成立しない場合には、裁判所に訴状を提出し、訴訟をおこない、解決を判決にゆだねることになります。

まとめ

  • ①過払い金は法律の上限金利(15~20%)を超えた高金利で払った利息。(グレーゾーン金利)
  • ②2007年以前の借金返済は、過払い金が発生している可能性が高い。
  • ③過払い金の請求権には時効があり、時効が過ぎると請求は一切できなくなる。
  • ④時効は最終返済日(完済日)から10年。

過払い金があるかもしれない・・・と思ったら、放置せずに早急に弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。長期間にわたって多額の借金を返済している場合には、過払い金の額も多額になっています。

「遠い昔の借金を証明するものがない」「記憶があいまいで借金の額がわからない」、このような場合でも過払い金を調べることが可能です。あきらめずに相談してください。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、借金問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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