遺産整理の費用相場は?費用を抑える方法や手続き内容を解説

相続が発生すると、預貯金や不動産、有価証券などの財産を相続人へと引き継ぐための「遺産整理」を行うのが一般的です。

しかし、いざ手続きを進めようとすると、気になるのがその費用ではないでしょうか。

遺産整理には名義変更や税務申告など多くの工程があり、依頼方法や財産の内容によって費用が大きく異なるため、事前に相場や料金体系を理解しておくことが大切です。

遺産整理を円滑に進めるには、手続きの全体像を正しく把握し、必要に応じて専門家の力を借りることが重要です。

本記事では、遺産整理の費用相場や費用を抑える方法などについて詳しく解説します。

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目次

遺産整理とは

遺産整理

遺産整理とは、被相続人(亡くなった人)が生前に所有していた預貯金や不動産などの相続財産を確認し、相続人へと引き継ぐために必要な手続きを行うことです。

相続財産の内容を調査し、各財産の名義変更や解約、払い戻しなどの手続きを進め、相続税の申告・納付を行います。

遺産整理は単なる事務手続きにとどまらず、遺産の分け方に関する相続人同士の合意形成や、遺言書の有無の確認、負債の処理なども含まれるため、法律・税務・不動産といった多岐にわたる知識が求められる場面も少なくありません。

加えて、相続人の人数や関係性、財産の分布状況によって対応が大きく異なるため、全体像を的確に把握したうえで、適切な順序と方法で進める必要があります。

一般に「遺産整理」という言葉は、こうした相続に関する諸手続きをまとめた総称として使われています。

関連記事:生前整理とは?メリットデメリット始めるタイミングも解説

遺産整理の費用パターンと相場

費用相場

遺産整理の費用パターンは、主に下記の3つです。

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

定額制(パッケージ料金)

定額制は、相続人の間にトラブルがなく、必要な手続きが一通り確定している場合に適した料金体系です。

たとえば、戸籍の収集や相続関係図の作成、遺産目録の整理、遺産分割協議書の作成、各種名義変更や口座の解約・払い戻しまで、一連の相続手続きをセットで依頼できます

メリットは、費用が明確であるために「想定外の請求が来るのではないか」という不安を抱えることなく依頼できることです。

相続の全体像がシンプルなケースでは、コストパフォーマンスも高く、時間的な負担も大幅に軽減されます。

ただし、パッケージの中に含まれる業務範囲が決まっていることに注意が必要です。

たとえば、途中で新たな財産が見つかった場合や、税務申告や登記業務が必要になった場合には、別途料金が発生することが多いため、依頼前に「どこまでが定額料金に含まれるのか」を確認しておきましょう。

財産額に応じた報酬制

財産額に応じた報酬制は、相続財産の総額に比例して報酬が決まる仕組みです。

依頼者の状況に応じて柔軟に対応できるのが特徴で、遺産整理にかかる手続きをトータルでサポートしてもらいたい方に適しています

たとえば、弁護士法人アクロピースでは、相続人間で争いがなく協議がスムーズに進むケースにおいて、総遺産額の1%(税込1.1%)が基本の手数料(ただし最低報酬99万円(税込))とされています。

この方式のメリットは、財産が多くても少なくても一定の比率で報酬が計算されるため、費用の目安がつけやすく、相続内容が多岐にわたる場合でも対応してもらいやすい点です。

また、法律や税務に関する専門家との連携がしっかりしているため、高度な対応力が期待できます。

手続きごとの個別料金制

手続きごとの個別料金制は「必要な部分だけ専門家に任せたい」という人に向いている料金体系です。

各手続きに対して単独で費用が設定されており、不動産の名義変更には5万円程度、銀行の相続手続きは1件につき2〜3万円といった形で、明朗な価格設定になっています

ただし「やはり別の手続きも依頼したい」「後から新たに財産が見つかった」などの場合、その都度料金が加算されるため、結果的に定額制よりも費用が高くつくこともあります。

また、手続きの進行や管理を自分自身で行う必要があるため、時間的な負担や知識面の負荷も無視できません。

関連記事:遺産相続の弁護士費用は誰が払う?相場や支払い費用

遺産整理をプロに依頼するメリット

専門家

遺産整理をプロに依頼することには、下記のメリットがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

手続き漏れを防げる

相続手続きには、相続人の確定や財産の調査、遺産分割協議、税金の申告など、期限付きかつ多岐にわたる業務が含まれています。

経験がなければ、どのタイミングで何をすべきかがわからないうえに、重要な手続きを失念してしまう恐れがあります。

専門家に依頼すれば、法的な知識と豊富な実務経験に基づき、手続き全体を見通した的確なサポートを受けられます。

時間と手間を大幅に削減できる

相続に関わる手続きは、必要書類の収集、役所や金融機関とのやり取り、申請書の作成など、細かく煩雑な作業の連続です。

ご自身で対応する場合、何度も役所に足を運んだり、各機関とのやり取りに時間を取られたりと、多大な労力がかかります。

特に、仕事や家庭で忙しい方、相続地から遠くに住んでいる方にとっては大きな負担になります。

専門家に依頼すれば、そうした手間をほとんど代行してもらえるため、精神的にも時間的にも余裕を持って対応することが可能です。

専門知識が必要な場面にも対応できる

遺産整理では、相続税の計算と申告、不動産の名義変更、相続放棄や限定承認の選択など、専門的な判断が求められる場面が少なからず存在します。

これらを誤って処理すると、思わぬ税負担が発生したり、財産のトラブルに発展したりする可能性があります。

弁護士、税理士、司法書士といった専門家であれば、それぞれの領域における正確な対応が可能であり、状況に応じた最適な解決策を提案してくれます。

相続人間のトラブルを防ぎやすい

相続は感情が絡みやすい問題のひとつであり、遺産の分け方や手続きの進め方をめぐって相続人同士の対立が生じることも珍しくありません。

特に、金額の大きな財産や不動産が含まれる場合、互いの主張がぶつかり、円満に話し合いを進めることが難しくなるケースもあります。

こうした場面で専門家が第三者として介入することで、当事者同士が直接交渉する必要がなくなり、冷静かつ客観的に物事を進めやすくなります

弁護士などの専門家が手続きを代行することで、法律や税制に基づいた公正な判断がなされ、相続内容に対する納得感や透明性が保たれます。

誰かが一方的に得をしていると感じさせない対応をとることで、将来的な不信感や揉めごとに発展するリスクを最小限に抑えることができるのです。

関連記事:相続手続きの代行は誰に頼めばいい?対応範囲や依頼先と費用相場

遺産整理の費用を抑える方法

費用節約

遺産整理には多くの手続きが必要となり、それに伴ってさまざまな費用が発生します。

パッケージで一括して専門家に依頼すれば手間は省けますが、その分費用が高額になることも少なくありません。

費用を抑えたい場合は「自分でできる部分は自分で行い、専門的な対応が必要なところだけを依頼する」という方法も検討しましょう。

たとえば、被相続人の戸籍謄本などの収集は、ある程度の時間と手間をかければ自分で進めることも可能です。

ただし、戸籍の取得には本籍地への請求や複数の役所を回る必要があります。

また、相続人全員で協議を行う必要がある「遺産分割協議書」は、自分たちで作成できるものの、専門知識がない方の場合、時間や労力がかかる作業といえます。

そのため不安がある、相続で揉めそうな場合には弁護士などの専門家に依頼した方が、精神的な負担も減り安心して遺産整理を進めることができるでしょう。

遺産整理の依頼先

弁護士

遺産整理の依頼先は下記のとおりです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

銀行・信託銀行

銀行や信託銀行では、相続人に代わって遺産整理を一括して代行する「遺産整理業務」と呼ばれるパッケージ型のサービスを提供しています。

相続関係の書類の収集から口座解約、不動産の名義変更、相続人への払い戻しに至るまでを一括で対応するため、忙しい人や遠方に住んでいる人にとっては非常に便利です。

ただし、実際の手続きは銀行自体が行うのではなく、提携している司法書士や税理士、弁護士といった士業に外部委託するのが一般的です。

そのため、サービス全体の費用はやや高くなりがちです。

また、「すべて任せられる」と思っていても、税務申告や遺品整理、相続人間の交渉などは別料金で対応するケースが多いため、依頼範囲や費用体系を事前に確認することが必要です。

司法書士

司法書士は、特に不動産の相続に関して強みを持つ専門家です。

相続登記や名義変更を行うには、法律上、司法書士または弁護士の関与が必要であるため、不動産が遺産に含まれる場合には頼れる存在です。

登記手続きに加え、戸籍収集や相続関係図の作成、遺産分割協議書の作成などにも対応しており、相続人が複数いる場合にも中立的な立場から整理を進めてもらえます。

また、一定の条件下で「財産管理人」として遺産を換価し、分配する業務も行うことができます。

税理士

相続財産に多額の資産が含まれていたり、税務申告が必要な場合には、税理士のサポートが不可欠です。

相続税の申告は、原則として相続開始から10ヶ月以内に行う必要があり、基礎控除の計算や財産評価、控除の適用可否など高度な専門知識が求められます

税理士に依頼すれば、こうした複雑な申告業務を正確に代行してもらえるうえに、節税のためのアドバイスも受けられます。

また、亡くなった方に給与所得や事業所得があった場合には、4ヶ月以内に準確定申告が必要です。これも税理士が申告書の作成、提出まで担当できます。

弁護士

相続人同士で意見が対立していたり、遺留分の請求や遺産分割をめぐる法的トラブルが生じている場合には、弁護士への依頼が適切です。

弁護士は交渉代理や調停、訴訟といった法的手続きまで一貫して対応できる唯一の専門家で、相続をめぐる紛争の解決において頼れる存在です。

相続する財産が多様で、トラブルの種があるようなケースでは、法的な視点からの包括的なサポートを受けられる弁護士への相談が安心です。

また、司法書士と税理士が行う業務も提供している場合があります。そのような事務所は、複数の士業事務所を回る必要がなく大変利便性が高いでしょう。

弁護士法人アクロピースでは、相続税や登記、不動産評価といった周辺手続きにもワンストップで対応できる体制が整っています。

税理士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家と緊密に連携しながら、手続きの煩雑さを大幅に軽減し、依頼者にとって最も有利な形での着地を目指します。

弁護士と司法書士の違いや、対応業務について以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:遺産相続は弁護士と司法書士のどっちに相談する?行政書士との業務内容の違いも解説

まとめ

預貯金や不動産、証券といった財産の名義変更や税務申告を含む業務は、多くの知識と労力を要することから、専門家に依頼するケースが増えています

費用は依頼方法や財産の内容によって異なりますが、それぞれの料金体系や依頼先の特徴を理解しておくことで、納得のいく選択ができるでしょう。

本記事のまとめ
  • 遺産整理は、相続財産を把握し、名義変更や相続税の申告などを通じて法的に引き継ぐための一連の手続きのこと
  • 費用体系は、定額制・報酬制・個別料金制の3パターンがあり、それぞれにメリット・デメリットがある
  • 専門家に依頼することで、手続き漏れの防止や時間・手間の軽減につながる
  • 遺産整理の依頼先には、銀行・信託銀行、司法書士、税理士、弁護士があり、状況に応じて選択することが重要

相続に不安や手間を感じる場合には、信頼できる専門家の力を借りて、円滑に遺産整理を進めましょう。

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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」「最高の税務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、法務と税務の両面から最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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