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アパートのオーナー様の中には「建物の老朽化を理由に入居者に立ち退いてもらいたい」と考える方も多いでしょう。
「建物の老朽化」が立ち退きの正当事由として認められれば、立ち退き交渉を有利に進められるかもしれません。
立ち退き交渉をスムーズに進めて、建物の建て替えを実現したいオーナー様は、この記事を最後まで読んで参考にしてください。
賃貸借契約中のアパートの入居者に立ち退いてもらう場合、その前提として、賃貸借契約を終了させなければなりません。
賃貸借契約を終了させる方法としては、契約期間満了時に契約の更新を拒絶する、もしくは期間満了前に解約を申し入れることが考えられます。
また、入居者との賃貸契約を終了させるためには、借地借家法26条により賃貸借契約期間満了の1年前から6か月前までの間に、入居者に対して契約を更新しない旨を通知します。
その通知期間が過ぎてしまうと契約が更新されるため、期間に遅れないよう注意しましょう。
さらに、借地借家法27条により、オーナーから賃貸借契約の解約を申し入れた場合は、解約の申入れの日から6ヶ月を経過したときに契約が終了します。
もっとも、法律上、契約の更新拒絶や解約の申入れが認められるためには、その「正当の事由」が必要となります(借地借家法28条)。
そして、建物の老朽化は、契約の更新拒絶や解約申入れの正当事由に該当します。
アパートなどの老朽化が進むことで、次の事態が考えられます。
これらが発生すると、入居者の生活に大きな影響が及ぶため、老朽化が気になる場合は早めに手を打たなければいけません。
ただし、建物の老朽化を理由に立ち退き交渉を行うためには、具体的に建物のどの部分が老朽化しているかを明確にする必要があります。
築40年を経過したアパートの立ち退きに関しては、以下の記事をチェックしてください。
関連記事:築40年アパートの立ち退きの正当事由と大家が払う退去費用
建物の老朽化は立ち退きの正当事由になると解説しましたが、老朽化だけでは賃貸借契約の更新を拒絶することは難しいとされています。
そのため、多くの事例では老朽化という正当事由だけでなく、立退料の支払いにより正当事由が認められています。
立退料の金額は、法律で明確には認められていません。
一般的には、入居者の引っ越し代や新居の契約金などを合わせた金額が支払われますが、個々の状況やケースにより異なります。
また、建物の老朽化が進んでいる場合でも、現実的に倒壊の危険が迫っていると認められない場合には、立退料が支払われるケースが多いです。
建物の老朽化を正当事由として、立ち退き交渉を進める流れは以下のとおりです。
それぞれのステップを解説します。
老朽化を正当事由として立ち退きを要求する場合、まずは契約期間満了の6か月前から1年前に更新しない旨の通知をする必要があります。
その際に重要なポイントは、建物の老朽化によって、いかに建て替えが必要なのかを丁寧に説明することです。
建て替えを行わなければ、入居者の安全が守られないことも付け加えると良いでしょう。
また、更新拒絶の通知をする際に立退料を提示することがありますが、このタイミングで提示するかどうかは賃貸人の考え方次第です。
立退料を支払わなくても退去の合意が取れる入居者もいるため、立ち退きの予算をできるだけ抑えたい場合は、入居者から立退料を請求されたときに、初めて立退料を提示する方法も考えられます。
また、もし書面で更新拒絶の通知をする場合、できれば内容証明郵便を利用しましょう。
内容証明郵便は「誰が、何を、いつ、誰に」郵便で送ったのかが証明される郵便のため、事前に更新を拒絶する通知をしたという公的な証明ができるからです。
入居者との立ち退き交渉が終了し合意が取れれば、合意した内容を立ち退き合意書にまとめます。
立ち退き合意書を作成することで、オーナーと入居者のトラブルを回避できるでしょう。
立ち退き合意書は、主に以下の内容が記載されます。
立ち退き合意書は自分で作成することが可能ですが、作成方法や記載内容がわからない場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
立ち退きをスムーズに進めるためにも、入居者の転居サポートを行うと良いでしょう。
入居者からすると、老朽化が原因で仕方なく退去するとは言え、引越しを強いられるのは大きなストレスとなります。
そのため、オーナー側が転居先の物件探しや引越し業者の手配などをサポートすれば、入居者が協力的になることが期待できます。
転居先の物件探しは、不動産会社に相談すると効果的です。
入居者が希望する家賃や初期費用、エリアなどを考慮し、物件を提案しましょう。
転居先が無事見つかれば、入居者に退去してもらいます。
荷物の整理や新居の家具家電の用意など、引っ越しの準備には相応の期間が必要なため、立ち退き合意書で定めた日程を基準に立ち退いてもらいましょう。
引越しが完了すれば、入居者立ち会いのもとで室内を確認します。
残存物の確認や鍵の返却など、最後まで気を抜かずに手続きを行うことが重要です。
老朽化による立ち退きの際、入居者とトラブルになることがあります。
トラブルを避けるためには、以下のポイントを心がけると良いでしょう。
ここからは、入居者とのトラブルを避けるコツを解説します。
立ち退きのトラブルを回避する1つ目のコツは、日常的に入居者と良好な人間関係を築いておくことです。
日頃から入居者と積極的にコミュニケーションを取り、良い関係が築けていれば、老朽化による立ち退きを要求する際も、立ち退きの必要性に納得してもらえる可能性が高まります。
その反面、オーナーと入居者の人間関係が希薄な場合は、オーナーの立ち退き要求を聞き入れてもらえないおそれがあります。
その場合は、老朽化した建物に住み続ける危険性や事情を丁寧に説明し、立ち退きを受け入れてもらうために立退料を支払うなどの条件を提示すると良いでしょう。
できるだけ早い時期から立ち退き交渉を開始することも、トラブルを避けるコツです。
入居者側からすると、生活の場所を変えることは大きな負担につながるので、立ち退き交渉をスムーズに進めるためにも、時間にゆとりを持つことが重要です。
立ち退きを進めるためには、以下のステップを踏む必要があります。
上記の作業を行うためには、時間や気持ちにゆとりを持たなければいけません。
オーナーと入居者が納得して立ち退きを進めるためにも、少しでも早く立ち退き交渉を始めましょう。
老朽化による立ち退きでトラブルを回避する3つ目のポイントは、立ち退きに関する予算を多めに見積もっておくことです。
立ち退き交渉が難航した場合は、立退料の上乗せで立ち退きを目指すことが考えられます。
その際に予算が足りなければ、立退料を支払えず立ち退きの期間が伸びて、当初の計画が破綻してしまうおそれがあります。
そのため、入居者に立ち退きを要求する初期段階では、できる限り低い立退料を提示して立ち退きの合意を取っていくことが望ましいでしょう。
立ち退き交渉を落ち着いて冷静に行うことも、トラブルを回避するコツです。
立ち退き交渉では、入居者が個人であるケースがほとんどのため、お互い感情的になることが多いです。
感情的になってしまうと落ち着いた議論ができないので、交渉の記録を残しながら丁寧に説明するようにしましょう。
もし「自分が建物のオーナーだから入居者が立ち退いて当然」という態度で交渉に臨むと、入居者側も感情的になり立ち退き交渉が難航しやすくなります。
入居者との関係性が良好でなく、冷静な交渉ができないと判断した場合は、弁護士などの専門家に依頼してスムーズに立ち退き交渉を進めてみましょう。
入居者とのトラブルを避ける5つ目のコツは、転居先のサポートを丁寧に行うことです。
引越しの際に親身になって転居の手伝いをすれば、入居者も納得して手続きに協力してくれるようになるでしょう。
オーナーが引越し代金を支払う条件の場合、引越し業者を選定する際に相見積もりを取れば費用を抑えられます。
中には、申込みフォームに情報を入力するだけで、複数社に見積もりを依頼できるサイトもあります。
また、引越し時期を閑散期である8月や12月にすれば、引越し代金を節約できるでしょう。
入居者に誠心誠意サポートする姿勢を見せるのと同時に、オーナー側の費用負担を軽減する工夫も忘れないようにすることが重要です。
立ち退きのトラブルを回避する6つ目のポイントは、立ち退き交渉の経験が豊富な弁護士に、早い時期から相談することです。
老朽化による立ち退きは不慣れなケースが多く、慣れないまま交渉を行うと入居者との関係が悪化してしまうおそれがあります。
弁護士にも得意・不得意分野があり、不動産法務に詳しい弁護士であれば立ち退きの分野に強いため、安心して任せられるでしょう。
また、個々の状況によって異なる立退料のアドバイスももらえるので、早い段階から堅実な資金計画を立てることができます。
立ち退き交渉には、オーナー側にも多大な時間や手間、労力がかかるため、立ち退き交渉のプロである弁護士に依頼すれば、ストレスなく手続きを進められるでしょう。
立ち退き交渉が難航した場合は、次の2つを検討してみましょう。
それぞれの方法を詳しく解説します。
1つ目の対処方法は、立退料を増額して退去の合意を得る方法です。
入居者の中には、今住んでいる物件が気に入っているので退去を拒否している人がいます。
その場合は、転居先の家賃を上げれば、希望するレベルの転居先が見つかる可能性が高いため、丁寧に引っ越しのサポートをすると同時に、立退料の上乗せを提案してみましょう。
一方、転居先の家賃や初期費用が高額なため、立ち退きを拒否する入居者もいます。
その場合、今の家賃と転居先の家賃の差額を数年分負担するなどして、合意を得る方法が考えられます。
立退料の支払いでうまく立ち退きの合意を得るためには、初期段階で高すぎる立退料を提示せず、交渉とともに徐々に金額を上げていく方法を取りましょう。
立ち退き交渉が難航する場合は、裁判を起こすことも考えられます。
裁判所がオーナーと入居者の間に入ることで、立ち退きの合意を得られる場合があります。
また、合意が得られない場合でも、判決により立ち退きが認められるケースがあるのです。
裁判を起こすと時間がかかるというイメージがありますが、難航する交渉を続けるよりは案外早く解決するケースもあります。
弁護士に相談すれば、裁判の必要性についてもアドバイスがもらえるので、早めに相談することをおすすめします。
この記事では、立ち退きの正当事由として、老朽化が当てはまるのかについて解説しました。
建物の老朽化を理由に入居者に退去してもらうためには、まず全体の流れを把握することが重要です。
そして、立ち退きに対する準備を入念に行い、冷静かつ丁寧に交渉を進めていかなければいけません。
しかし、慣れない立ち退き交渉で入居者との関係が悪化し、立ち退き交渉が難航することが考えられます。
そうなると当初の計画がずれ込んでしまい、余計な出費がかかることもあるでしょう。
弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。