強制退去になるまでに家賃費用が払えないとどうなる?解決策の制度を解説

強制退去になるまでに家賃費用が払えないとどうなる?解決策の制度を解説

「経済状況が苦しく、家賃が払えない…」
「家賃をどれくらい滞納していると強制退去になる?」
「家賃を払えないときの対処法と、費用をまかなえる制度について知りたい!」

上記のような悩みを抱えていませんか。

本記事では強制退去の条件や、費用を捻出するための方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

本記事の内容を理解して、家賃が払えないときの次のアクションを明確にしましょう。

目次

強制退去の条件:3ヶ月以上の家賃滞納が続き、信頼関係が破壊された

指を刺している男性

強制退去の条件は、過去の判例に基づくと3ヶ月以上の滞納が目安とされています。

賃貸借契約の解除条件は通常、契約書に「違反による解除条項」として明記されているため、確認しましょう。

ただし、敷金や礼金を支払う物件では1ヶ月程度の滞納では大家が実質的に受ける損害がほとんどないと判断されることが一般的です。

裁判所は大家と入居者の信頼関係が破壊されたと判断されなければ、賃貸借契約の解除を認めません。

ただ、3ヶ月以上の家賃滞納がある場合、信頼関係が破壊されたと判断されるケースが多いです。

強制退去になるまでに家賃が払えないとどうなる?

悩んでいる男性

強制退去になるまで家賃滞納すると、次の5つのリスクがあります。

リスク具体例
法的措置の実行賃貸契約の解除訴訟
未払い家賃の回収訴訟
裁判費用や弁護士費用の負担
信用情報の悪化信用情報機関への登録
新しい賃貸物件の契約が困難に
クレジットカード発行やローン審査への悪影響
強制退去の実行裁判所の執行官による強制退去
住まいを失うリスク
財産の差し押さえ銀行口座や給与、その他の財産の差し押さえ
生活費や他の支払いが困難になる
再居住の困難強制退去の履歴が新しい賃貸契約の障害に
条件の悪い物件しか選べない可能性が高まる

強制退去では最悪の場合、大家から法的措置が実行されて、裁判にいたるケースもあります。

裁判の詳細の流れは下記記事をご参照ください。

関連記事:家賃滞納問題で裁判に至るまでの流れとは?

【強制退去になる前に】家賃滞納の解決方法

提案している女性

家賃を滞納しても、少しずつ支払うことが大切です。滞納が続くと請求額が増え、パニックに陥る恐れがあるためです。

大家からの督促に対処するのは精神的につらく、対応が困難になるでしょう。

延滞料が加算されることで支払額が増えるため、滞納を放置しないことがポイントです。

ここからは「強制退去になる前に対処できる方法」について具体的に7つの例を挙げて解説します。

いきなり8つを同時に取り組むのは大変であるため、まずは自分にとって取り組みやすいものを1つ選んでみましょう。

月に支払うべき項目の整理

家賃を少しずつ支払う際には、無計画に支払うのではなく、家賃はもちろん光熱費やその他の月々の支払いを整理することがポイントです。

もちろん家賃は最優先で支払うべき項目であり、滞納が続くと住まいを失うリスクがあるため、ほかの支払いよりも優先しましょう。

次に月々の支払い額や、待ってもらえる支払いをリスト化し、目に見える形で整理します。リストをもとに、現実的な支払い計画を立てることが大切です。

もし複数の支払い先がある場合、支払い計画が複雑になるため、支払い計画の立案や整理が難しい場合は、弁護士に無料相談することをおすすめします。

大家と交渉する

支払い計画を立てた後は大家と交渉し、翌月からいくら支払えるかを話し合いましょう。

いきなり翌月から家賃を全額支払うことや、滞納分を上乗せして支払うことは難しいためです。

大家に自分の状況を説明することが大切で、支払いが厳しくなった理由や、滞納状況がいつまで続くかを具体的に伝えましょう

支払猶予期間や分割払いについても相談し、双方が納得できる支払い計画を立てることが目標です。

交渉は簡単には進まないこともありますが、場合によっては新しい支払いについて契約書を交わす必要が出てくるかもしれません。

交渉が難しいと感じる場合は、弁護士の無料相談を利用することをおすすめします

専門家のアドバイスを受けることで、交渉時の注意点や適切な対策を提案してもらえます。

失業手当や傷病手当を受給する

家賃が払えない理由が会社の倒産や突然の解雇である場合、失業手当(失業保険)を受給できます。

ただし、支給開始は7日間の待期期間後なので、該当する場合は早めに手続きを進めましょう

また、病気やけがで仕事を休まざるを得ない場合、傷病手当金を受け取れる可能性があります。受給要件は以下の通りです。

  • 業務外の原因での病気やけがによる休業
  • 仕事に就けない状態であること
  • 連続して3日間休業し、4日目以降も休職が必要なこと
  • 休業期間中に給与の支払いがないこと

上記の要件をすべて満たす場合、全国健康保険協会に申請することで、傷病手当金を受け取れます。

住居確保給付金制度を活用する

離職や廃業によって家賃を支払えない場合、住居確保給付金制度を利用できる可能性があります。

本制度では各自治体が定める上限額をもとに、家賃を原則として3ヶ月間、最大で9ヶ月分支給されます。

次の要件を満たしている場合は、市区町村役場の福祉課で相談できるため、当てはまる場合は問い合わせてみましょう。

  • 主たる生計維持者が離職・廃業してから2年以内、または自身の責任外の理由で収入が減少していること
  • 直近の世帯収入が、基準額と家賃の合計額を超えていないこと
  • 世帯の預貯金合計が基準額の6ヶ月分を超えず、かつ、100万円を超えていないこと
  • ハローワークに求職の申し込みをするなど、誠実に求職活動をしていること(自営業者の場合は、事業再生のための活動でも可)

参考:厚生労働省 住居確保給付金

引っ越しをする

引っ越しを視野に入れる場合、支払計画に基づいて支払える賃料の範囲を計算しましょう。

初期費用がかからないUR賃貸などの選択肢を検討することも有効です。

■UR賃貸とは?

UR賃貸は、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が提供する賃貸住宅で、多くの特徴があります。

まず保証人が不要で、礼金や仲介手数料もかかりません。さらに、長期間の契約が可能で、契約更新時に更新料が発生しないため、初期費用や更新費用を抑えられます。

また多様な物件が揃っており、自分のライフスタイルや予算に応じた選択ができます。

可能であれば、一時的に実家など賃料がかからない場所へ引っ越すのが望ましいです。

引っ越しをしても滞納分は帳消しにならないため、引き続き支払いを続ける必要があります。

そのため、自分の支払い能力と相談しつつ、計画的に進めていきましょう。

生活保護制度を利用する

困窮状態から抜け出せない場合、生活保護制度を利用することも一つの選択肢です。

この制度は、困窮度合いに応じた支援を受け、自立を支援してもらえるものです。

生活保護を受けるための要件としては、次の5つを全て満たす必要があります

  • 生活に必要のない資産を処分し、預貯金を充当しても生活費が不足していること
  • 病気やけがなどの理由で働けないこと
  • 他の給付金制度が利用できず、年金ももらえないこと
  • 援助してくれる親族がいないこと
  • 上記4つの条件を満たし、月収が最低生活費を下回っていること

弁護士に相談する

家賃はもちろん、複数の借金問題で悩んでいる場合は弁護士に相談することをおすすめします

弁護士はあなたの状況に合った債務整理の方法を提案してくれるためです。

債務整理によって、無理なく返済できる計画を立てることや、場合によっては債務が0円になることもあります。

弁護士に依頼すると大家からの督促が止まります。家賃トラブルの解決を依頼すれば、裁判手続きや大家との交渉も代行が可能です。

強制退去の費用や家賃滞納に関するよくある質問

家とお金

強制退去の費用や家賃滞納に関する疑問点について回答します。

先に悩みを解決して、家賃滞納の不安を少しでも減らすことで次の行動に移すための準備をしましょう。

過去に3度家賃を滞納してしまった場合、強制退去になりますか?

家賃を三度滞納したとしても、短期間で支払いを済ませ、その後は滞納がない場合は、強制退去になる可能性は低いです

強制退去が認められるかどうかは、総合的な判断で決まります。

たとえば、過去に滞納があり督促に応じて支払ってきた場合でも、強制退去になるかどうかは「大家との信頼関係が維持されているかどうか」が争点になるでしょう。

前述しましたが、もし3ヶ月以上家賃の滞納が続いており、大家との信頼関係が破綻している場合は、強制退去をしなければなりません

家賃滞納をしたら生活にどう影響しますか?

数ヶ月の家賃滞納により、個人信用情報(ブラックリスト)に掲載されることで、生活に多大な影響を与えます。

■ブラックリストとは?

ブラックリストとは個人の信用情報に事故情報が登録された状態を指し、家賃滞納の記録は10年前後にわたり保持されます。

ブラックリストに載ると、次のような影響があります。

  • クレジットカードが作成できなくなる
  • 既存のクレジットカードが利用停止となる
  • クレジットカードの申請や使用が制限される
  • 賃貸物件の入居審査も厳しくなる

家賃滞納の時間を少しでも短くして、ブラックリスト入りしないようにしましょう。

強制退去が決まる前に夜逃げをしました。家賃の時効はあるのでしょうか?

時効はあります

賃料債権を含め、債権の消滅時効は、債権者が権利行使ができることを知ったときから5年、もしくは権利行使ができるときから10年です(民法166条1項・2項)。

ただし、上記の時効期間のうちに大家が賃料請求の訴訟を起こし、判決が確定すると、時効期間はリセットされ、その時点から10年間の時効期間が始まります。

つまり、大家が家賃滞納に対して何らかの行動を起こすと、時効期間が再び10年間延長されるのです。

まとめ|強制退去で費用が払えないなら早めに専門家へ相談しよう

握手している男性と女性
  • 強制退去の条件は3ヶ月以上の家賃滞納が続き、大家との信頼関係が破壊された状態
  • 少しずつ家賃を支払っていくための方法は、次の3ステップ
    1. 現在の滞納額を把握し、大家に連絡して支払い計画を相談する
    2. 支払い計画に基づき、毎月少しずつでも支払いを続けることで、信頼関係を保つ
    3. 可能であれば、家賃支払いのための公的支援や助成金制度を利用することも検討する
  • 強制退去における大家との交渉や手続きが不安なら弁護士に相談する

強制退去で費用が払えないのであれば、プロの弁護士に相談することをおすすめします。

大家との交渉を代行し、滞納家賃の分割払いや延納について話し合ってくれることで、精神的負担が軽減されるためです。

家賃以外にも負債がある場合は、弁護士に債務整理を依頼するのがおすすめです。

負債があり家賃が支払えない場合は、一人で悩まずに弁護士に相談するのが良いでしょう。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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