父親が親権を勝ち取るために知らなければならないこと

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささきかずお)

日本は、父親が子どもの親権を取ることが非常に困難な国です。
平成29年の厚生労働省の調べによれば、平成27年の離婚件数のうち、未成年者の子どもを抱える家庭は全体の58.4%で、そのうち妻が親権者になったケースは84.3%にも上ったそうです。

このような現状の中でも「どうしても親権が欲しい」という方は多くいらっしゃることと思いますが、今回の記事では「なぜ父親は親権を取りにくいか」「親権を取るためにはどう動いたらいいか」「もし親権が取れなかったらどう動くべきか」などについて紹介していきます。

なぜ父親は親権を取りにくいのか

日本で父親が親権を取りにくいのはなぜなのでしょうか。その理由は以下のようなものがあります。

フルタイムで働いている状態で子どもの面倒を見るのは難しいから

父親はフルタイムで仕事をすることが多く、子どもの面倒を見ることが難しいと考えられていることが1つ目の理由です。
父親が仕事の間は保育園や学童、民間の保育施設に預けるほかありませんが、フルタイムの仕事をしていればその迎えに行くことも一苦労です。

急な残業や社外との付き合いなどが発生すれば、何らかの形で対応しなければならないからです。
特にこの傾向は、管理職に就いているなど社会的な地位が高い場合であればなおさら強くなるでしょう。
保育園は17時が定時ですが、このような事態が発生すればとてもこの時間に迎えに行くことは不可能です。

母親からの養育費が期待できない

父子家庭と違い、収入の少ないことが多い母親側から養育費を取ることが困難と見なされているのも理由の一つです。

女性の社会進出が進み、女性と男性の社会的地位の格差が少なくなっている現在でも、依然としてこの考えは支配的です。
2011年の調査では、父子家庭が母親側から養育費を受け取っている割合は全体の4.2%しかいませんでした。

子ども自身が母親を選ぶと考えられている

帰りが遅くなることが多い父親より、子どもと過ごす時間が長い母親を子どもは選ぶし、裁判でもそんな母親を「愛情を持って子育てができる」と見なすと考えられていることが理由です。

これまでの判例が、母親を親権者としてきたから

裁判は過去の判例を重視するため、同じような状況では母親を親権者にする場合が多くなります。
特に乳幼児に関しては、その育成に「母性」が必要不可欠とされているため、その傾向が強くなります。

親権を取っても生活スタイルは変わらない

仕事が忙しい父親が親権をとったとしても、周囲の理解が得られたり、会社側が親権を得て子どもを一人で育てようとする男性社員を援助するような措置を取るとは限りません。
こういった父親が親権を得ても、その生活スタイルは容易に変化することは難しいという見方があります。

親権獲得のポイントは「子どもの幸せ」

裁判官や調停委員は「子どもの親権をどちらに預ければ子どもは幸せになるか」という観点で、親権を父母どちらに渡すかを決めます。
一般的には「子どもと同居している方」「子どもが幼ければ母親」が有利とされていますが、これはあくまでも一要素であって、すべてのケースの判断基準になるわけではありません。

この「子どもの幸せ」を念頭に入れて親権を主張すれば、父親でも親権者になれる可能性はあります。
また「夫婦の問題は子どもの幸せに直接関係しない」と考えられているため、不貞行為など離婚の原因を作った方に親権が認められることも充分考えられます。

もちろん、有責配偶者に対する裁判官の心証が悪いのは確かなので、家庭への関わり方次第では親権の所在を左右する可能性があるということは心に留めておいてください。

「親権を得た後も、子どもの幸せを守る」とアピールする

親権を得た後も、子どもの幸せを守り続けるための具体的なプランがアピールできれば、さらに裁判官や調停委員の心証は良くなり、親権を得られる可能性は高くなるでしょう。
例えば、このようなプランが挙げられます。

  • 毎日送り迎えをする
  • 休日は子どもと出かける
  • 相手には子どもの状況を伝える
  • 子どもの希望があれば環境を変えない(転校、転勤など)
  • 料理を覚える
  • 酒やタバコ、ギャンブルをやめる

親権がもし認められなかったら…「面会交流権」

もしいろいろ手を尽くしても親権が得られなかった場合でも、もう子どもに会えなくなるわけではありません。
親権が取れなくても、協議や調停の場で「面会交流権」を確保しておけば、定期的に子どもに会うことができます。

「同居していない親と子どもとが会ったり、連絡をとりあったりする権利」が面会交流権なのですが、これは「子どもが親と会う権利」なので、親権者の意思で面会を拒むことができないのです。
このような形で親子の絆を保ち続けるのも、一つの手段です。

父親の親権取得は困難、だから弁護士に相談

これまで見てきたとおり、父親が子どもの親権を取得することは、並大抵の苦労ではありません。とてもご自身お一人では対処できない問題です。

当事務所にお任せいただければ、依頼者様とお子様にとって、より良い今後の方策をご提示いたします。

なお、父親が親権を獲得するためには、様々なポイントとコツがございます。
ただ、それらの内容については、直接お電話をいただいたり、ご来所いただかないとお話しできないようなデリケートな情報も含んでいます。

これについては、お電話でご相談いただいた際にきちんとご説明いたします。
無料相談も受け付けておりますので、できるだけお早めにご相談ください。

親権が決定される際のポイントや注意点については、下記ページで更にわかりやすく説明しておりますので併せてご覧ください。

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