債務整理をすると車は差し押さえで没収されるのか解説
合法的に借金を整理することができる制度である債務整理ですが、良いことばかりではありません。
債務整理のデメリットは色々ありますが、その一つに個人財産の没収・売却があります。
特に自己破産は最低限の生活必需品を除き、資産価値のあるものは全て没収されてしまいます。
当たり前ですが、資産価値のあるものを残して借金をゼロにすることはできません。
没収されると生活に多大なる影響を与えるものが家と車です。
車は地方に住んでいる方にとってはライフラインでもあるため、没収されると死活問題になります。
債務整理をすると基本的に車は没収されてしまいますが、例外則があるので、車をどうしても残したい方にもチャンスはあります。
今回は、どの債務整理を選択した場合に車が没収されるのか、車を残す方法はあるかなどについて、詳細に解説していきます。
債務整理の処理方法は3種類ある
債務整理と一言でいっても3種類の処理方法があります。
債務整理は、任意整理と個人再生と自己破産に大別できます。
ここでは簡単に各債務整理の特徴を解説します。
任意整理は将来利息や遅延損害金をカットしてもらえる制度で、頻用されます。
個人再生は借金を5分の1程度に減額してもらえる制度ですが、手続きは一番複雑で時間もかかります。
自己破産は全ての借金をゼロにできる制度です。
ポイントだけ見ると自己破産が一番いいように感じるかもしれませんが、デメリットも一番多いのが自己破産です。
また、ほぼ確実に車を没収されるのも自己破産です。
例外は、車の評価額が低い時のみです。
借金をゼロにできるというメリットの多いシステムにも、それなりの代償を支払う必要があるということです。
債務整理をすると車は差し押さえで没収されるのか?車の扱いについて
債務整理には3種類あると説明しましたが、車の扱いに違いはあるのでしょうか?
債務整理をすると基本的に資産やローンで買った物品は没収されてしまいます。
つまり、債務整理をすると例外を除き、車も没収されます。
ただし、原則があれば例外があるように、車を残す方法も存在します。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
任意整理の場合
まずは任意整理から見ていきましょう。
ローン完済車か現金一括で買った車は手放す必要がなく、手元に残しておけます。
一方で、自動車ローンがある場合は車をローン会社に没収されてしまいます。
ローンを返済するまで車の所有者は購入者ではなく、ローン会社にあるからです。
どうしても車を残したい場合は自動車ローンを支払わなければなりません。
自動車ローン以外にも借金をしているがどうしても車を残したい場合は、他の借金だけ任意整理してもらい、利息分や遅延損害金を自動車ローンに回すという方法があります。
個人再生の場合
個人再生に関しても、ローン完済車か現金一括で買った車は、原則手放す必要がありません。
ただし、任意整理と異なるところは、借金の額と自動車の額に注意が必要な点です。
高額な自動車の場合、個人再生で処理した後に返済金が高くなってしまうリスクがあります。
これを清算価値保障の原則といい、個人再生では注意すべきポイントです。
一方、個人再生もローンが残っていると車を没収されてしまいます。
ローンが残っていると基本的に車を残すことは難しくなります。
また、車をなんとか残そうと個人再生前に自動車ローンを完済することも禁じられていますのでご注意ください。
自己破産の場合
最後は、自己破産に関してです。
自己破産は借金をゼロにできるので基本的に車を残すことができません。
ローン完済後でも現金一括購入の車でも没収されてしまいます。
車は資産(換価財産)なので、強制的に売却されてしまうのです。
ただし、例外があります。
それは車の価値が20万円以下の場合です。
車の評価額が20万円以下の場合は手元に残すことが可能です。
外車などの高級車は無理ですが、中古の国産車や軽自動車などは没収されずにすむ可能性があります。
この辺は難し事案なので、必ず弁護士などの専門家に相談しましょう。
まとめ
債務整理は3種類ありますが、種類によって車に関しての扱いは異なります。
基本的に債務整理をすると、車は没収されますが例外もあります。
自動車ローン完済車や現金一括で買った車は、任意整理や個人再生では没収されません。
ただし、個人再生時に高級車を残す場合は、返済金が高額になるのでお気を付けください。
自動車ローンが残っている場合は任意整理や個人再生でも車を没収されてしまいます。
また、自己破産する場合は、原則車が没収されてしまいます。
例外は、車の評価額が20万円以下の場合のみです。
車を残せる例外規定はあるものの、各債務整理ともなかなか厳しい条件をクリアしなければいけません。
どうしても車を残したいという方は、債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。
相談者様の借金の額や資産状況、車の種類によって、選択すべき債務整理は変わってきます。
ベストな債務整理を選択するためにも、まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。