自己破産すると退職金は没収される!没収される割合を詳しく解説

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

退職金は非常にまとまった大金ですが、自己破産した場合は、どうなってしまうのでしょうか?

残念ながら自己破産すると、原則退職金は没収されます。

ただし、退職金を受け取る時期によって没収される割合が異なります。

例えば、自己破産時にすでに退職金を受け取っていて手元にある場合は、すべて没収されてしまいます。

この記事では、自己破産時に退職金は没収されるか、没収される割合はどのくらいか、退職金をどうしても残したい場合の対処法などについて、詳細に解説していきます。

自己破産すると、原則退職金は没収される

自己破産をすると、原則退職金は没収されます

退職金は没収されますが、退職金を受け取る時期により没収される割合が異なります

すでに退職しており、退職金をすべて受け取っている場合は、全額没収されます。

今後退職する予定がある、退職する予定がないなど、退職金をまだ受け取っていない場合は、退職金の一部が没収対象になります。

どちらにせよ全額か一部、退職金は没収されてしまいます。

退職金を没収されたくないなら自己破産以外の債務整理をご検討ください。

債務整理に強い弁護士に相談すると、どの債務整理がベストか提案してもらえます。

退職金の受け取り時期により没収割合は異なる

自己破産すると原則退職金は没収されますが、退職金の受け取り時期で没収割合が異なります

大別すると3パターンあります。

「すでに退職していて退職金をもらっている場合」「退職金をもらっていないが退職手続き中の場合」「退職予定がない場合(退職金をもらっていない)」の3パターンです。

どの場合でも、全額または一部が没収されてしまいます。

ここでは、パターンごとに解説していきます。

退職金をもらっている場合は全額没収される

退職金をすべて受け取っている場合は、全額没収されます

退職金を受け取った時点で、ただの財産(現金)とみなされてしまうからです

普通の現金、貯金と同等の扱いを受けます。

ただし、退職金をほとんど使ってしまい、その他の貯金・現金と合わせて20万円以下ならば、没収されません

20万円を超える場合は、管財事件として処理され、管財人に調査されます。

退職金を含む財産や現金に関する細かい規定については、以下の記事で解説していますので、ご参照ください。

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退職金をもらっていないが退職手続き中の場合は、4分の1が没収される

退職金をもらっていないが、退職手続き中の場合や退職予定の場合は、退職金の4分の1が没収対象となります

例えば、1000万円の退職金なら250万円が没収されます。

退職予定がない場合は、8分の1が没収される

退職する予定がない場合(退職金を受け取っていない)は、8分の1が没収されます

例えば、1000万円の退職金なら125万円が没収されます。

没収されない退職金もある

例外的に、共済制度による退職金は没収されませんまた、確定拠出年金も没収されません

これらは、自由財産として扱われるので、処分対処に該当しないのです

自己破産する時は財産目録を提出しなければならない

自己破産する時は、財産目録を裁判所に提出する必要があります

自己破産の処理方法は「同時廃止」「管財事件」の2種類ありますが、退職金のようなまとまった大金は管財事件で処理しなければならないので、このような手続きが必要になります。

同時廃止と管財事件の違いについては、以下の記事をご参照ください。

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財産目録には、退職金の見込み額を書かなければなりません。

基本的には勤めている会社から退職金見込額証明書をもらい財産目録に記載します

自分で計算する方法もありますが、非常に複雑なので専門家に相談することをお勧めいたします。

財産目録への記載方法など、詳細につきましては、自己破産手続きに詳しい実務経験豊富な弁護士にご相談ください。

退職金を残したい場合の対処法

自己破産は原則退職金が没収されてしまいますが、どうしても退職金を残したいと考えるなら、自己破産以外の債務整理を検討しましょう

自己破産以外の債務整理は「任意整理」「個人再生」などがありますが、退職金が没収されないのは任意整理だけです

任意整理は、全てが免除される自己破産と違い、利息分だけが免除になる制度です。

借金の元本だけを返済する方法なので、退職金が没収されることはありません。

どうしても退職金を残したい場合にはお勧めの方法です。

自己破産ではなく任意整理で借金を処理したい場合は、債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

退職金を守りたい時は、弁護士にご相談ください

退職金を守りたい場合は、弁護士に必ず相談する必要があります

なぜなら自己破産手続きにおいて、破産管財人が債務者の資産を調べるときに、退職金見込額証明書や財産目録などが必要になるからです

個人でこれらを全て調べて、正確に申請するのは事実上不可能です。

どの債務整理が適しているのか、退職金はどのくらい残せるかなどは、自己破産手続きをする前に、必ず弁護士に相談してください。

相談者様の状況にマッチした最適なプランをご提示いたします。

まとめ

自己破産をすると退職金は原則没収されてしまいます

ただし、退職金を受け取る時期によって没収される割合が異なりますので注意が必要です

退職金をすでに受けとっている場合は、全額没収されます。

退職予定の場合は、退職金の4分の1が没収されます。

退職する予定がない場合は、退職金の8分の1が没収されます。

どうしても退職金を残したい場合は自己破産以外の債務整理を考えましょう。

債務整理の中で唯一退職金が残るのは任意整理だけです

自己破産以外の債務整理で借金問題を処理したい時は、債務整理に強い実務経験が豊富な弁護士に相談すると良いでしょう

相談は何度でも無料/取り立てストップ/借金問題は法的に減額・解決できます!

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