遺産相続の弁護士費用は誰が払う?遺産分割調停や裁判の相場も解説【弁護士監修】

遺産相続の弁護士費用は誰が払う?相場や支払い費用について詳しく解説

「相続を弁護士に依頼したいけれど、費用が高そうで不安……」「どのくらいかかるのか目安がわからない」と悩んでいませんか。

相続問題では、調停や裁判に発展すると費用も高額になる可能性があり、事前に費用の内訳や相場を知っておくことが重要です。

この記事では、相続に関する弁護士費用の種類ごとの相場や、費用を抑えるための方法、支払いに困ったときの対処法まで解説します。

遺産相続の弁護士費用について詳しく知りたい方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。

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目次

【誰が払う?】遺産相続の弁護士費用を払う人

弁護士費用

遺産相続に関する問題解決を弁護士に依頼する場合、原則として依頼した本人がその費用を負担します。

これは、弁護士と依頼者の委任契約の原則に基づくものであり(民法第648条)、弁護士費用は「当事者費用」として各自が負担すると定められているからです。

また、裁判所への手数料などの「訴訟費用」は民事訴訟法第61条により敗訴した当事者の負担ですが、弁護士費用は含まれません

遺産相続に関する各手続きの弁護士費用の負担者は、以下の通りです。

手続き費用負担者
遺言書作成遺言者
遺言執行原則として相続財産(遺言書に別の定めがある場合はその内容に従う)
相続放棄・限定承認申立人
遺産分割協議依頼者
遺留分侵害額請求申立人

それぞれの手続きにおける弁護士費用の負担者について、詳しく説明します。

遺言書作成は遺言者が支払う

遺言書を作成する際の弁護士費用は、原則として遺言者が負担します

遺言書とは

死後における自身の財産の分配や相続人を指定するために作成する書類です。

遺言書の作成を弁護士に依頼するメリットは、次の通りです。

  • 法的に有効な遺言書が作成できる(無効リスクを回避)
  • 相続人同士の争いを防ぐための適切な内容を提案してもらえる

遺言書作成にかかる弁護士費用の目安は、以下の通りです。

費用項目相場
相談費用1万円程度(初回無料の法律事務所もあり)
遺言書作成費用10万~20万円

遺言書の作成費用は一例であり、法律事務所によって異なります。

遺言書の書き方については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:遺言書の書き方・必須項目・注意点【例文付き】

遺言執行費用は相続財産から支払う

遺言執行者を弁護士に依頼する際、その費用は民法第1021条により、原則として相続財産から支払われます

遺言執行とは

遺言の内容を実現するための手続きで、財産の名義変更や遺産分割を進める役割を担います

遺言執行費用は相続財産から支払われますが、相続税の計算における「債務控除」の対象にはなりません。

つまり、遺言執行費用は、相続税の課税額を減らす要因とはならない点に注意が必要です。

遺言書の探し方については、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:遺言書があるかどうかを確認する方法は?

相続放棄や限定承認は申立人が支払う

相続放棄や限定承認の手続きを弁護士に依頼する場合、その費用は申立人自身が負担するのが原則です。

相続放棄や限定承認は、家庭裁判所に申し立てる必要があります

相続放棄は、被相続人の財産も負債も一切引き継がない手続きです。

一方、限定承認は相続財産の範囲内でのみ負債を支払う制度で、プラスの財産を超える借金を負わずに済みます。

どちらも相続開始を知った日から3カ月以内に、家庭裁判所へ申立てが必要です。

以下に、相続放棄・限定承認にかかる弁護士費用の相場を示します。

手続き内容弁護士費用の相場
相続放棄1人あたり10万円程度
限定承認10万円~30万円程度

なお、ここで挙げた相続放棄・限定承認の費用は一例であり、法律事務所によって金額は異なります。

相続放棄の手続きについて知りたい方は、こちらの記事をお読みください。

関連記事:【相続放棄の手続きの流れ】相続放棄の基本・申述費用・メリット・デメリット

遺産分割協議は依頼者が支払う

遺産分割協議を弁護士に依頼する場合、基本的に依頼者が弁護士費用を支払います。

遺産分割協議とは

法定相続人全員で被相続人の財産の分け方を話し合う手続きです。

協議で合意した内容は「遺産分割協議書」として書面に記録され、合意を明確にするために相続人全員が署名・押印します。

遺産分割協議書は合意した内容を証明するとともに、不動産の名義変更や預貯金の解約など、相続手続きを進める際に必要な書類です。

弁護士費用は、相続財産の総額や案件の難易度によって決まるケースが多いです。

遺産分割協議の弁護士への依頼は、法的な知識に基づいた適切なアドバイスが受けられるため、不利な合意となることを防げます

また、弁護士は法律の専門家の立場から、相続人間の合意形成を促し、トラブルの予防に貢献します。

遺産分割協議が調停へ発展した場合の詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事:遺産分割調停での相続の流れは?申し立ての方法・有利な進め方

遺留分侵害額請求は申立人が支払う

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合、原則として申立人が弁護士費用を負担します

遺留分侵害額請求とは

法定相続人のうち、遺留分が認められる者(配偶者・子・直系尊属)の取り分が侵害された場合、侵害した相手に対して金銭を請求できる制度です。

遺留分侵害額請求の弁護士費用には、着手金と成功報酬があります。

着手金は、依頼を受けた事件の弁護活動に着手するにあたっての弁護士費用で、一般的に請求額の5〜8%が相場です。

成功報酬は、実際に回収できた金額に応じて算出します。

通常、依頼者から着手金を受け取った後、弁護士は、弁護活動に着手します。

しかし、遺留分侵害額請求する上で、着手金の支払いが依頼者の負担となり、弁護士への依頼をためらうケースも少なくありません。

そこで、弁護士法人アクロピースでは、遺留分侵害額請求のご依頼を着手金無料でお受けしています。

アクロピースでは、安心してご依頼いただくために、初回60分の相談は無料のうえ、遺留分侵害額請求をする場合には、着手金不要でお受けしております。

遺留分侵害額請求を検討している方は、ぜひ一度弁護士法人アクロピースにご相談ください。

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遺留分侵害額請求についてわかりやすい解説は、次の記事をお読みください。

関連記事:遺留分侵害額請求をわかりやすく解説!計算方法・請求のやり方、注意点

遺産相続における弁護士費用の相場・内訳

弁護士費用相場

遺産相続の問題を弁護士に依頼する際は、費用の相場や内訳について事前の理解が必要です。

弁護士費用にはさまざまな種類があり、依頼内容や法律事務所によって金額が異なります。

一般的な弁護士費用の内訳は、以下の通りです。

相談料|30分あたり5,000円~

相続問題で弁護士に相談する際の法律相談料は、一般的に30分あたり5,000円程度が相場です。

ただし、法律事務所によって料金設定が異なり、初回無料相談を実施しているところもあります

法律相談する際の注意点は、次の通りです。

  • 30分ごとの時間制が一般的だが法律事務所によって料金設定が異なる
  • 初回の相談を無料にしている法律事務所がある
  • 相続トラブルの内容によって、相談時間が長くなる場合もある

無料相談を活用して、費用や進め方を事前に確認してから依頼するとよいでしょう。

弁護士法人アクロピースでは、初回相談が60分無料です。

弁護士法人アクロピースでは、相続の際に生じるトラブルの解決はもちろん、登記や相続税に関する手続きにも対応しており、皆様からの相談には幅広く対応可能です。

お気軽にお問い合わせください。

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着手金|20万円~

着手金とは、弁護士が案件対応を開始するために依頼時に支払う費用です。

弁護士に相続事件を依頼する際、着手金は20万円〜が相場です。

ただし、実際の金額は法律事務所の料金体系や案件の複雑さによって異なります。

着手金は、以下の要素で金額が変動します。

着手金の変動要素内容
遺産の総額遺産の評価額が高いほど、弁護士費用が高くなる傾向
相続人の数相続人が多いと意見調整が難しくなり、手続きが複雑化
争いの程度遺産分割の協議が円満か、それとも訴訟に発展するかなど
案件の複雑さ不動産や事業継承などの特殊な財産が含まれるかなど

着手金は、成功・不成功にかかわらず支払いが必要で、原則として返還されません。

報酬金|弁護士事務所によって異なる

報酬金は、弁護士の介入によって得られた経済的利益に応じて変動する費用です。

相続における経済的利益には、受け取った遺産の金額だけでなく、遺産分割協議で確定した相続分や、回収した遺留分の額なども含まれます。

経済的利益に基づく報酬体系は、依頼者の利益に応じた費用負担となるため、依頼者と弁護士双方にとって合理的な仕組みといえます。

また、相続案件における弁護士費用の中で報酬金は大きな割合を占めるため、計算方法だけでなく、発生条件や支払時期についても明確な合意をしておくことが重要です。

実費|5万円~7万円程度

実費とは、相続案件の調査や手続きに必要な費用で、弁護士費用とは別に発生します。

主に、交通費や郵便代、裁判所に納める手数料(印紙代)などで、案件の進行に応じて必要です。

相続案件の実費は、一般的に5万〜7万円程度が目安とされていますが、手続きの内容によっては、それ以上になる可能性があります。

主な実費の内訳は、以下の通りです。

実費内訳内容
交通費裁判所や関係機関への移動費用
郵便代相続人との連絡や必要書類の送付費用
印紙代裁判所に提出する手数料

依頼前に実費に関する見積もりを確認し、追加費用が発生する可能性についても相談しておくとよいでしょう。

日当|移動距離や拘束時間によって金額が変動

日当とは、弁護士が事件処理のために事務所外へ移動する際に発生する費用や事件処理のための準備に必要な拘束時間に対して発生する費用です。

主に、以下の2種類があります。

日当内訳内容
出張日当弁護士が遺産調査や相続人との交渉、関係機関への対応のために出張する際にかかる費用
出廷日当弁護士が裁判所へ出廷し、遺産分割や相続トラブルの審理及びその準備に対応する際に発生する費用

日当は、移動距離や拘束時間によって金額が変動し、法律事務所ごとに設定基準が異なります。

遺産相続を弁護士に依頼する流れについては、こちらの記事をお読みください。

関連記事:遺産相続を弁護士に依頼する場合の流れ・相談した方がいいケース

【ケース別】遺産相続の弁護士費用の相場

弁護士費用の相場

遺産相続における事務手続きは、相続人の調査や遺産の整理、遺産分割協議書の作成など、法律の専門的な知識が求められる作業です。

弁護士への依頼によって、法律に基づく適切な手続きを進められるため、相続人同士の認識のズレや書類の不備によるトラブルを未然に防止できます。

以下は、法律の専門知識が必要な相続の事務手続きです。

遺産分割の調停にかかる費用

家庭裁判所を通じて遺産分割調停を行う場合、弁護士に依頼することで交渉を有利に進めたり、精神的負担を軽減したりすることが可能です。

調停は複数回にわたることが多く、期間も半年〜1年程度に及ぶケースがあるため、全体で50万〜100万円以上を見込んでおきましょう。

遺産分割の調停にかかる弁護士費用の内訳は以下のとおりです。

遺産分割調停の費用内訳相場
着手金・30万円〜50万円程度が相場
・経済的利益(争っている遺産額)によって変動
報酬金調停成立により依頼者に利益が生じた場合、その経済的利益の10〜16%程度
実費郵送費、収入印紙代、交通費などで、数千円〜数万円ほど
日当(必要に応じて)裁判所への同行などで日当が発生する場合、1日あたり3万円〜5万円ほど

遺産相続の裁判・審判にかかる費用

調停で合意に至らなかった場合、審判や訴訟(裁判)に発展することがあります。

審判・訴訟は解決までに1年以上かかることもあり、総額で100万円〜200万円以上になることも珍しくありません。訴訟段階では、事実関係や法律解釈を裁判所が判断するため、より高度な法的対応が求められ、費用も高額になりやすいのが特徴です。

遺産相続の裁判・審判にかかる費用の内訳は下記のとおりです。

遺産相続の裁判・審判の費用内訳相場
着手金40万円〜80万円程度
争点が複雑な場合や高額な遺産が対象のときは、それ以上の金額になることも
報酬金判決・和解によって得られた利益の10〜20%程度が目安
実費印紙代(請求額に応じて数千円〜数万円)、郵券代、鑑定費用
日当(必要に応じて)期日の都度発生する可能性あり。1日3万〜5万円ほど

特に注意したいのは、「費用倒れ」のリスクです。得られる利益と費用が釣り合わない場合もあるため、弁護士に事前相談してシミュレーションを行うことが重要です。

裁判になると費用も大きくなります。費用面に不安を感じたら、まずは相続問題に強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。

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相続人調査の費用

相続人調査とは、被相続人の戸籍謄本をもとに、法定相続人を確定する手続きです。

相続手続きを進めるためには、すべての相続人を正確に把握し、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

相続人調査は、被相続人の出生から死亡するまでの戸籍の収集が必要です。

特に、戸籍が複数の自治体にまたがる場合や、養子縁組・認知などの複雑な事情があるケースでは、弁護士に任せることで収集漏れを防ぎ、手続きをスムーズに進められます。

相続人調査を弁護士に依頼する場合の手数料は、一般的に3万円以上が相場です。

ただし、戸籍の収集範囲や相続関係の複雑さによって費用は変動します。

財産目録の作成費用

財産目録とは、被相続人の相続財産の詳細を一覧にまとめた書類です。

遺産分割協議をスムーズに進めるためには、預貯金・不動産・有価証券・負債など、すべての財産を正確に記載した財産目録の作成が重要です。

財産の種類が多岐にわたる場合や、不動産評価が必要なケースでも、弁護士への依頼によって正確な目録が作成できます。

弁護士に財産目録の作成を依頼する手数料は、財産の種類や調査の範囲によって異なりますが、一般的に3万〜10万円程度が目安です。

遺産分割協議書の作成費用

遺産分割協議書は、相続人全員で話し合い、合意した遺産の分割内容を記録する書類です。

不動産の名義変更や銀行手続きの際も必要となり、正確かつ法的に有効な形で作成しなければなりません。遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼すれば、文言の不備や記載漏れを防ぐなど、正確な書類作成が可能です。

また、相続人の意見が対立している場合でも、弁護士が中立的な立場で調整し、円滑な合意形成をサポートします。

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼するときの費用相場は、4万〜10万円程度です。ただし、遺産の種類や相続人の数、協議の複雑さによって金額は変わります。

遺産分割協議がスムーズに進まない場合の対策は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:相続で印鑑を押してくれない時はどうする?対処法・NG行為

相続弁護士費用の「成功報酬」とは?

弁護士費用のなかで、最も金額が大きくなりやすいのが「成功報酬(報酬金)」です。これは、依頼した案件が成功裏に終わった際に、その成功の度合いに応じて支払う報酬を指します。

成功報酬は弁護士事務所により異なる

成功報酬の料率は法律事務所によって様々です。一般的には、獲得した経済的利益の10%~20%(税込で11%~22%)の範囲で設定されていることが多いですが、これはあくまで目安に過ぎません。

遺産の総額や事案の難易度によって料率が変動する事務所もあります。契約前には必ず複数の事務所から見積もりを取り、料金体系について詳細な説明を受けることが不可欠です。

最低報酬額の設定がある弁護士事務所が多い

非常に重要なのが「最低報酬額」の存在です。多くの法律事務所では、成功報酬に「最低〇〇万円」といった下限を設けています

例えば、「成功報酬は経済的利益の10%、ただし最低報酬額は200万円」という契約だったとします。この場合、仮にあなたが獲得した経済的利益が500万円だったとしても、報酬は10%の50万円ではなく、最低報酬額である200万円を支払う必要があります。

経済的利益が小さいと見込まれる案件では、この最低報酬額が負担になることもあります。契約書にサインする前に、必ず確認すべき項目の一つです。

遺産相続の弁護士費用の支払いが難しいときの対処法

支払いの対処法

弁護士に遺産相続の手続きを依頼したいが、費用の負担が難しい場合には、いくつかの方法で対処できます。

以下の手段を活用し、無理のない範囲で弁護士のサポートを受けてください。

無料相談を利用する

法律相談を受けたいが、費用が気になる場合は「初回相談無料」の法律事務所を活用するとよいでしょう。法律事務所によっては、30分〜1時間程度の無料相談を実施しているところがあります。

ただし、無料相談では法律的なアドバイスや手続きの流れの説明までです。具体的な書類作成や代理交渉などを依頼する場合は、契約が必要で費用が発生します。

限られた時間で無料相談を有効に活用するには、事前に相談内容を整理しておくことが大切です。また、相談後に依頼を検討する際は、費用の詳細や支払い方法についても確認しておきましょう。

弁護士費用の分割払いを相談してみる

弁護士費用の支払いが負担に感じる場合は、分割払いに対応している法律事務所を検討するのも一つの方法です。相続問題は手続きが長期間にわたるケースもあり、無理なく支払える方法の選択が重要です。

分割払いの可否や支払い回数の上限などは法律事務所ごとに異なるため、法律事務所へ支払い方法を確認してください。

費用の一括払いが難しい場合でも、分割払いが可能な法律事務所を活用すれば、弁護士のサポートを受けられます。

着手金無料の法律事務所を利用する

弁護士への依頼を検討しているものの、着手金の負担が気になる場合は、着手金無料の法律事務所を利用してください。

着手金が無料の法律事務所なら、初期費用を抑えながら弁護士への依頼が可能です。

たとえば、弁護士法人アクロピースでは、遺産分割や遺留分侵害額請求について着手金無料の料金体系も準備しております。

弁護士法人アクロピースでは、安心してご依頼いただくために、初回60分の相談は無料のうえ、遺留分侵害額請求をする場合には、着手金不要でお受けしております。

遺留分侵害額請求を検討している方は、ぜひ一度弁護士法人アクロピースにご相談ください。

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遺産相続で弁護士と司法書士でどちらに依頼するか迷っているなら、次の記事を参考にしてください。

関連記事:【遺産相続は弁護士と司法書士のどっちに相談する?】業務内容の違い

法テラスの立替制度を利用する

経済的な余裕がない方のために、法テラス(日本司法支援センター)は「民事法律扶助制度」を設けています。この制度を利用すると、弁護士への相談料が無料になったり、着手金や実費などを立て替えてもらえたりします。

ただし、利用には収入や資産が一定の基準以下であるといった条件があります。そして、重要なのは、この制度はあくまで「立替」であるという点です。免除されるわけではなく、原則として分割で返済していく必要があります。

とはいえ、経済的な理由で泣き寝入りする必要はありません。まずはご自身の状況で利用可能か、法テラスの窓口や弁護士に相談してみる価値は十分にあります。

弁護士費用はトラブルの原因になった人に請求できるわけではない

弁護士費用請求できない

遺産相続のトラブルで弁護士を依頼した場合、弁護士費用は基本的に依頼者自身が負担します。たとえ相手の主張が不当であったとしても、遺産相続に関する弁護士費用は、相手に請求できないのです。

日本の民事訴訟では、敗訴者に勝訴者の弁護士費用を負担させる「敗訴者負担制度」は原則適用されません。
(参照:訴訟費用について|裁判所

そのため、こちらに非がないにもかかわらず相続トラブルで裁判になった場合でも、弁護士費用は依頼者が自己負担します。

弁護士費用は誰が支払うのかについては、こちらの記事をご覧ください。

相続の弁護士費用はいくらかかる?誰が払うのかと安く抑える方法も解説

相続で弁護士費用が高額になる3つのパターン

弁護士費用が想定以上にかさんでしまうケースには、いくつかの共通点が存在します。その背景にある本質を理解することで、無用な費用の増大を避けられるかもしれません。

遺産の評価額が高い

これは、弁護士費用が高額になる最も直接的なパターンです。多くの法律事務所が採用する料金体系は、弁護士の活動によって依頼者が得られる「経済的利益」に比例して、着手金や成功報酬が算出される仕組みになっています。

例えば、取得を目指す遺産額が1,000万円の場合と1億円の場合とでは、同じ料率(パーセンテージ)を適用しても、算出される弁護士費用の絶対額は10倍になります。

この料金体系の背景には、高額な資産を取り扱うこと自体の難しさとリスクがあります。資産が高額であるほど、弁護士が負う専門家としての責任は格段に重くなります。

遺産の評価・調査が複雑である

相続財産が現預金だけであれば評価は容易です。しかし、複数の不動産(土地・建物)、非上場株式、美術品といった評価が難しい財産が含まれている場合、状況は一変します

不動産鑑定士などの専門家による評価が必要になったり、財産の全容を調査するのに多大な時間を要したりするため、その分の費用が上乗せされる場合もあります。

相続人の数が多く、関係性が希薄である

相続人の数が多ければ多いほど、全員の合意形成は困難になります。加えて、一部の相続人が遠方に住んでいたり、連絡が取りづらかったり、あるいは面識すらなかったりすると、手続きは煩雑を極めます。

書類の郵送や連絡調整だけでも相当な手間と時間(弁護士の稼働)がかかり、費用増加の一因となります。

遺産相続を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリット

相続問題は、財産の分割や手続きの進め方など、複雑な課題が多いため、弁護士のサポートにはいくつもの利点があります。

遺産相続の手続きを弁護士に依頼するメリットは、次の通りです。

法律の専門知識を活かし交渉してもらえる

弁護士は、相続問題に関する専門的な知識と実務経験を活かし、法的根拠に基づいて依頼者の利益を守るための交渉を行います

遺産相続では、遺産分割の意見対立や遺留分侵害額請求など、法的な争いに発展するケースも少なくありません。

弁護士の交渉によって、相続人同士の感情的な対立を抑えつつ、公正な解決を目指せます

交渉のストレスが軽減される

相続問題では、遺産の分割や権利関係をめぐり、相続人同士の話し合いが難航するケースがあります

意見の衝突があると、冷静な判断が難しくなり、精神的な負担も増してしまいます。

しかし、弁護士に依頼すれば、代理人として他の相続人と交渉を進めてもらえるため、直接対話する必要がなくなり、精神的な負担の軽減が可能です。

相続問題のスムーズな解決のために、経験と実績が豊富な弁護士を活用してください。

他の専門家との連携によりワンストップで問題が解決できる

相続手続きは、法律だけでなく税務や不動産の問題もかかわるため、弁護士は他の専門家との連携によって、スムーズな解決を図ります

弁護士は、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家と協力しながら、相続税申告、登記手続き、不動産評価などを一括で対応できる体制を整えています。

これにより、依頼者は複数の専門家を個別に探す手間を省き、安心して手続きを進められるのです。

相続に関する問題を一括で解決するためには、ワンストップ対応が可能な弁護士への依頼が有効です。

相続手続きを弁護士に依頼するメリットとデメリットについては、こちらの記事もお読みください。

関連記事:相続手続きを弁護士に任せるメリット・デメリットは?弁護士の選び方

遺産相続の弁護士費用についてよくある質問

弁護士と司法書士ではどちらが安い?

一般的に、司法書士のほうが費用は安くなる傾向にあります。ただし、対応できる業務範囲が異なるため、単純な比較はできません。

司法書士・登記手続き(相続登記など)や書類作成業務が中心
・交渉や調停・裁判には原則として関与できない
弁護士相続人間のトラブル対応、遺産分割協議・調停・訴訟など、法律上の代理権を持って広範囲に対応できる。

「登記だけお願いしたい」など事務的な手続きのみ依頼したい場合は、司法書士でも問題ない場合がほとんどです。

ただし、相続人との対立や感情的なトラブルが絡む場合は、最初から弁護士に依頼するのが安全かつ結果的に費用対効果が高くなる可能性があります。

遺産分割の弁護士費用が3分の1になるって本当?

弁護士費用が3分の1になるのは限定的な条件下での話で、すべてのケースに当てはまるわけではありません。

費用が安くなる可能性があるのは、以下のようなケースです。

ケース詳細
法テラス(日本司法支援センター)を利用する場合一定の収入・資産要件を満たせば、弁護士費用の立替や減額制度が利用可能
遺産の規模が小さく、争いが少ない場合短期間で解決できるケースでは、結果的に報酬もおさえられる

「3分の1」という表現はあくまで一例であり、費用は案件の内容や法律事務所によって大きく異なるため、個別に見積もりを取るのが確実です。

遺産分割の弁護士費用が3分の1になるケースについては、下記の記事でも解説しているのであわせてご覧ください。

遺産分割の弁護士費用3分の1とは?弁護士に依頼するメリットとデメリットも解説

裁判で負けた場合の自分が依頼している弁護士に支払う費用は?

着手金は、弁護士が案件に着手し、代理人として活動を開始するための対価です。これには、事案の調査、戦略の立案、訴状などの書類作成、裁判の準備といった、結果にかかわらず必要となる業務への報酬が含まれています。

そのため、たとえ裁判で敗訴したとしても、弁護士が業務を行った事実には変わりないため、着手金が返還されることは原則としてありません。

成功報酬は、その名の通り「事件が成功に終わったこと」を条件として発生する報酬です。 ここでの「成功」とは、一般的に「金銭などの経済的利益を確保できたこと」を指します。

したがって、裁判で完全に敗訴し、経済的利益が全く得られなかった(0円だった)場合、成功報酬は発生しないのが一般的です。

まとめ|遺産に関するトラブルは相続問題に強い弁護士に相談しよう

弁護士への依頼は費用がかかりますが、それを超えるメリットが得られます。

本記事では、弁護士の費用相場と誰が負担するのかについて解説しました。

  • 遺言者の作成を弁護士に依頼する費用は遺言者が負担し、遺言執行費用は相続財産から支払われる
  • 相続放棄や限定承認は申立人が弁護士費用を負担する
  • 遺産分割協議は依頼者、遺留分侵害額請求は申立人が費用を支払う
  • 弁護士費用はトラブルの原因になった人が払うわけではなく、依頼者の自己負担となる
  • 弁護士費用の内訳には、相談料、着手金、報酬金、実費、日当、などがある
  • 遺産相続の事務手続きには「相続人調査」「相続目録の作成」「遺産分割協議の作成」などがあり弁護士に数万円〜10万円程度で依頼できる
  • 弁護士費用の支払いが難しいときは、相談料や着手金無料、分割払いに応じてもらえる法律事務所を選ぶとよい

遺産相続によるトラブルが発生したら、一人で悩まずに弁護士に相談しましょう。

弁護士は依頼者に寄り添い、最適な解決策を提案してくれます。

相続では、相続人調査や財産調査、さらには相続登記や相続税申告など、様々な手続きが必要となります。

権利を守るためには、知識と力が必要です。

弁護士法人アクロピースでは、60分の無料相談を実施中です!

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私たちは誰がなんと言おうとあなたの味方です。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」「最高の税務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、法務と税務の両面から最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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