遺産分割調停は弁護士なしで可能か?手続きの流れと依頼するメリット

遺産分割調停は弁護士なしで可能か?手続きの流れと依頼するメリット

相続人同士での遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。

しかし、遺産分割調停は弁護士なしで自分一人でできるのか調停はどのように進められるのか、弁護士費用はどれくらいなのかなどと、不安に感じる方も多いでしょう。

制度的には弁護士に依頼しなくても遺産分割調停はできますが、弁護士なしで自分だけで遺産分割調停を進めることは難しい場合も多いことは事実です。

本記事では、自分一人で調停手続きを進められるかと悩んでいる方のために、遺産分割調停の進め方や遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット・費用などを解説します。ぜひ最後までご覧ください。

権利を守るためには、知識と力が必要です。

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目次

遺産分割調停の基礎知識

基礎知識

最初に遺産分割・遺産分割調停とは何かについて説明します。

1.遺産分割・遺産分割協議とは

遺産分割とは、共同相続人が協議して遺産の全部又は一部の分割をすることです(民法907条1項参照)。

遺産分割は、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、全員の意見が一致しなければ成立しません

しかし、当事者だけで話し合いを続けても合意に至らない場合も多いでしょう。

たとえば、次のような場合です。

  • 被相続人が多額の生前贈与をしていた
  • 遺言によって相続財産を受け取れない・受け取る額が大きく減少する

上記のような場合は、遺産分割をめぐって争いになることもよくあります。

2.遺産分割調停と

遺産分割調停は、家庭裁判所の「家事調停」で取り扱われます

第三者である家庭裁判所の調停委員を介して話し合い、調停委員が解決案を提示し合意形成を目指すものです。

相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用できます。

調停が不成立になった場合は自動的に遺産分割の審判手続へ移行され、裁判官が双方の事情を考慮し、最終的な判断を下します(民法907条2項家事事件手続法272条4項)。

民法907条2項(遺産の分割の協議又は審判)
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。(後段略)

家事事件手続法272条(調停の不成立の場合の事件の終了)
4 (略)調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。

出典:e-Govポータル|民法907条
出典:e-Govポータル|家事事件手続法272条4項

出典:裁判所|遺産分割調停

遺産分割については、次の記事で詳しく解説しています。

併せてご覧ください。

関連記事:【遺産相続でもめたら?】もめた場合の対処法・遺産分割協議のスムーズな進め方

遺産分割調停は弁護士なしで可能か?

調停は弁護士なしで可能か

遺産分割調停は弁護士なしでも可能かはケース・内容により異なりますが、一般的には次のようにいえるでしょう。

制度的には弁護士なしでも遺産分割調停は可能

遺産分割調停は、制度的には弁護士に依頼しなくても申し立てることは可能です。

法律や制度の制限・問題はなく、必ずしも弁護士に依頼しなければならないわけではありません。

調停の手続きや必要書類をインターネットなどで調べて、自分で調停を申し立てることもできます。

しかし、調停になる場合は、相続人間の話し合いが難航している場合であり、思うほど容易でないことも事実です。

たとえば、調停委員に、相続人の範囲、遺産の全貌や分割方法についての考え方などを正確にわかりやすく説明する必要があります。

弁護士なしでの遺産分割調停は難しい場合も多い

実際には法律の専門家以外の方が、弁護士なしで自分だけで遺産分割調停を進めることは難しい場合も多いでしょう。

相続人間の協議がもめて遺産分割調停になる場合、遺言や生前贈与の有効性などをめぐる争いも多く、場合によっては遺留分侵害の問題が絡むケースもあり、複雑で面倒な場合があるのです。

そのような場合、相続に関する法律の正確な知識・理解が必要で、判例などの実務を踏まえた検討が必要になることもあります。

調停不調の場合は審判になるため、調停でも審判を見据えて、きちんとした説明・主張が必要です。

調停の手続きや進め方に不案内な場合、不安感から精神的に大きな負担になる懸念もあります。

無理をせずに、弁護士の力を借りた方がよい場合も多いでしょう。

遺産分割調停の流れ・進め方

遺産分割調停の進め方

遺産分割調停の流れ・手続きの進め方は、概ね次のようになります。

1.遺産分割の前提(遺言の有無・相続人・相続財産の確認)

まず相続人と相続財産・遺言書の有無などを確認します。

戸籍調査等を行い法定相続人を確認する

法定相続人とは、次の人です(民法890条887条889条)。

  • 被相続人の妻(常時)
  1. 子(第1順位)
  2. 直系尊属(第2順位)
  3. 兄弟姉妹(第3順位)

なお、法定相続人には、法定相続分があります民法900条)。

遺産分割の前提となる相続財産を確認する

借入金やローンなどの可分負債も相続されますが(民法896条)、相続開始と同時に法定相続分に応じて承継されるため遺産分割の対象にはなりません(裁判所|昭和34年6月19日最高裁第二小法廷判決参照)。

一方、不可分債務(例:共有物を売却した場合の引渡義務、共同賃借人の賃料支払義務)は共同相続人の全員に帰属し、各相続人が債務全体について責任を負います。

遺言書の有無を確認する

遺言書があれば、基本は遺言書で指定された内容(指定相続分)に沿って遺産分割を行います(民法902条1項)。

そのため、遺言書の有無の確認は重要です。

出典:e-govポータル|民法

遺言書の確認方法については、次の記事で詳しく解説しています。

ぜひ、併せてご覧ください。

関連記事:遺言書があるかどうかを確認する方法

2.遺産分割協議

遺産分割は、通常、調停・審判の前にまず当事者である相続人間で遺産分割協議をします。

被相続人の遺言書がある場合、遺言内容に相続人が異論なければ遺産分割は基本必要ありません。

しかし、遺言自体に異論はなくても、内容が具体的でなければ、どの財産をどのように分けるかを協議する必要があります。

遺言がない場合は、基本は法定相続分での相続になりますが、遺言の有無にかかわらず、全員が合意すれば異なる遺産分割も可能です。

また生前贈与への疑義・寄与分の主張などがある場合も遺産分割協議が必要ですが、難航することが多いでしょう。

遺産分割協議の進め方については、次の記事で詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。

関連記事:遺産分割協議がまとまらない!スムーズに解決するための方法

3.遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらなければ、相続人は家庭裁判所へ調停を申し立てることができます。

遺産分割調停での話し合いで相続人全員が合意すれば調停成立です。

調停委員を介して話し合っても、相続人間の意見がまとまらず調停不成立になることもあるでしょう。

遺産分割調停が不成立になった場合、自動的に家庭裁判所での審判に移行します。

遺産分割調停の流れについては、次の記事で詳しく解説しています。

ぜひ、併せてご覧ください。

関連記事:【遺産分割調停】起こす際の流れ・注意点・弁護士費用

4.遺産分割の審判

遺産分割審判は、遺産分割の方法を裁判官が決定する手続きです。

調停とは違い、当事者の合意を目指す手続きではありません。

審判では、双方が証拠の提出や主張を行います。

裁判官は、提出された資料、当事者の主張などを考慮に入れて審判を下します。

審判には執行力があり家事事件手続法75条、金銭支払いや登記移転などの命令が出されれば、審判書に基づいて、強制執行が可能となります。

遺産分割調停の申立方法

申立方法

遺産分割調停の申立方法は次の通りです。

1. 申立人共同相続人
包括受遺者
2.申立先相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(当事者が合意で定める家庭裁判所も可)
3.申立費用収入印紙1200円分
連絡用の郵便切手(申立先の家庭裁判所に確認)
4.必要書類申立書及びその写し(裁判所用と相手方用(全員分))
申立添付書類(被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、代襲者の全戸籍謄本)
相続人全員の住民票又は戸籍附票・遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し(ある場合)
遺産証明書(登記事項証明書・固定資産評価証明書・預貯金残高証明書等)
5.申立書を提出直接持参又は郵送
出典:裁判所|遺産分割調停

遺産分割調停申立後の流れ

申立後の流れ

遺産分割調停申立後の流れは、概ね次のようになります。

出典:裁判所|遺産分割調停を申し立てる方へ

1. 調停期日の通知

通常、調停申立後、2週間程度で調停期日通知書が送られてきます。

調停期日通知書には、1回目の調停期日の日時・場所・持ち物などが記載されています。

調停期日は、裁判所の開庁時間内で裁判所が指定する日で、第1回期日は申立てから1~2か月前後が一般的です。

2. 第1回の調停期日

調停期日当日は、呼び出されるまで待合室で待機しましょう。

申立人と相手方は別々の待合室で待ち、調停委員が調停室で交互又は同時に話を聴きながら調停を進めていきます。

調停の時間は、1〜2時間程度です。

当日の主な持ち物は、次の通りです。

  • 調停期日通知書
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 印鑑(認印でよい)
  • 調停期日通知書で指定された書類(指定があった場合)
  • 調停で話したいことをまとめたメモなど

3. 第2回以降の調停に出席する

ほとんどの場合、1回で終わることはなく、何回か調停を行い合意形成を目指すことになるでしょう。

調停期日は通常1〜2か月に1回のペースで行われます。

解決までには相応の時間を要することもあるでしょう。

司法統計年報によれば、遺産分割事件の審理期間は6月~1年以内、期日回数は6~10回が最も多くなっています。

出典:裁判所|令和5年司法統計年報(家事編)「遺産分割事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所

4. 調停の終了

調停は、次のいずれかの形で終了します。

  • 調停成立:話し合いで合意できた場合、調停成立となる
  • 調停不成立:合意ができなかった場合、調停委員会の判断により調停不成立として終了
    (調停が必要なくなった場合は、いつでも取下げが可能)

5.審判の開始

調停不成立の場合、自動的に審判が開始されます。

審判では、提出された証拠・資料、当事者の主張などを考慮して、裁判官が審判(決定)を下します。

審判は執行力があり家事事件手続法75条、金銭支払いや登記移転などの命令が出されれば、審判書に基づいて、強制執行が可能となります。

審判の決定に不服がある場合は、2週間以内に高等裁判所に即時抗告できます。

遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットは

メリット

遺産分割調停を弁護士に依頼すれば、次のようなメリットがあります。

手続きをすべて任せられる

調停は、申立書をはじめ、添付書類など数多くの書類の作成・提出が必要です。

弁護士に依頼すれば、書類の作成・収集から提出まですべてスムーズに代行できます。

交渉を一任できストレスも軽減される

当事者が直接話し合っても感情的に対立し進まないことも多いものです。

弁護士に協議段階の交渉から調停・審判まですべて任せれば、感情的対立を避け、スムーズに話し合いを進められます

精神的な負担も軽減されるでしょう。

調停・審判になっても、法律や判例に熟知した弁護士がタイミングを逃さず的確に対応できます。

有効なアドバイスをもらえる

調停に臨む前に、相手への提案や相手からの提案への対応など、状況に応じた適切なアドバイスをしてもらえます。

調停への出席や発言も可能

調停期日では、自分一人では話すべき内容をうまく整理できないことや、つい感情的になることもあるでしょう。

弁護士が同行してアドバイスや発言することも可能です。

代理人として出席することもできます。

結果として有利な遺産分割を期待できる

遺産分割では、対象財産・特別受益や寄与分等、難しい問題がある場合も多いでしょう。

弁護士は専門知識を活用してこれらの問題にも的確に対応可能です。

有利な遺産分割になることが期待できます。

遺産相続を弁護士に依頼するメリットについては、次の記事で詳しく解説しています。

ぜひ、併せてご覧ください。

関連記事:遺産相続を弁護士に相談した方がいいケース・メリット・弁護士の選び方

遺産分割調停を弁護士に依頼した場合の費用相場

弁護士費用

遺産調停の弁護士費用の相場は法律事務所により異なりますが、概ね次のようになるでしょう。

スクロールできます
相談料30分5000円程度が一般的
無料相談がある事務所も多い
着手金調停の結果にかかわらず発生する
30~50万円程度(遺産総額の5~8%程度の場合もある)
報酬金決め方はいろいろある
調停により依頼者が得た遺産額の一定割合(6~16%程度)が多い
日当・実費実費:事件処理に実際にかかる費用(印紙代、切手代、交通費など)
日当:出張費用(日額5万円程度)

弁護士法人アクロピースでは、着手金を無料とする料金体系もあります

遺産分割に強い弁護士を選ぶ3つのポイント

選ぶ3つのポイント

遺産に強い弁護士を選ぶ3つのポイントを解説します。

  1. 遺産など相続分野の解決実績が豊富:
  • 弁護士は法律全般の専門家ですが弁護士にも得意分野がある
  • 遺産分割の問題は特に相続分野に強い弁護士に依頼する
  • 弁護士事務所の公式サイトで、相談実績などを見て相続問題に精通している弁護士か確認する
  1. 弁護士費用・料金体系が明確:
  • 弁護士に依頼した場合の費用・料金体系は事務所によって異なる
  • どのような料金体系がよいかは相談者の状況によるため一概にはいえない
  • HPなどで料金体系が明示されていなければ比較検討できない
  • 料金体系を選択できる事務所に頼む方が安心
  1. 初回相談時の対応も重要:
  • 初回相談料無料などを利用して、弁護士や事務所の対応を確認する
  • 相談者の話をしっかり聴き、具体的な解決策を提示してくれるようであれば安心

遺産分割調停は早めに弁護士へ相談を

弁護士へ相談

遺産分割調停は早めに弁護士と相談しましょう。

遺産分割問題は、親族間の感情的対立でもめて、深刻な対立に発展することがよくあります

相手方との交渉でもめれば、調停や審判で争うことになりますが、準備や対応に多くの時間と労力が必要です。

自分一人でもできると思うかもしれませんが、法律の知識も必要なため、弁護士の力を借りた方が間違いなく、しかも論理的に適切な対応ができます。

弁護士費用はかかりますが、弁護士に相談すれば、前述「遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット」のようなメリットがあります。

何よりも、遺産をきちんと受け取れる可能性が高まるでしょう。

早く弁護士に依頼することで、相方との交渉段階からすべて任せてスムーズに対応ができ、調停から審判になっても有利な解決が期待できます。

まとめ

遺産分割調停を弁護士なしで行うことについてまとめます。

本記事のまとめ
  • 遺産分割は相続人全員で話し合う必要(遺産分割協議)、全員の意見が一致しなければ成立せず、争いになることも多い
  • 遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員を介して話し合い、合意形成を目指す家事調停
  • 遺産分割調停は制度上は弁護士なしでも可能、実際には弁護士なしでは難しい場合が多い
  • 遺産分割の進め方は、まず分割協議、合意が見込めないときは調停申立、調停不成立の場合は自動的に審判に移行する
  • 弁護士に遺産分割調停を依頼するメリットは、手続きをすべて任せられる・交渉を一任できストレスも軽減・タイミングを逃さず的確に対応できることなど
  • 遺産分割に強い弁護士を選ぶポイントは、相続分野の解決実績が豊富・弁護士費用が明確・初回相談時の対応がよいこと

遺産分割は合意が容易でなく、法律に関する専門的な知識が必要なうえ、面倒な手続きもあります。

遺産分割調停など相続についてわからないことやもめごとがあるときは、相続分野に精通している弁護士に早めに相談した方がよいでしょう。

相続問題で相手方との交渉をスムーズに解決するためには、法律知識や経験が必要です。

弁護士法人アクロピースは、相続問題に強い弁護士があなたに最適な解決方法をご提案します。

私たちは誰がなんと言おうとあなたの味方です。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」「最高の税務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、法務と税務の両面から最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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