遺産分割とは?進め方や割合、応じない相続人への対応を弁護士が解説

遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)が遺した財産を、相続人同士の話し合いによって分け合う手続きのことです。人生で何度も経験することではないため、「何から始めればよいのかわからない」「法定相続分の割合が知りたい」といった疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

さらに、相続人の中に遺産分割協議への参加を拒んだり、連絡をしても何も言ってこなかったりする方がいるケースも少なくありません。協議を放置すると、相続税の申告期限や相続登記の義務化に伴う過料など、思わぬ不利益につながるおそれもあります。

本記事では、遺産分割の基本的な仕組みや法定相続分の割合、遺言書との関係、遺産分割協議の進め方といった基礎知識に加え、相続人が協議に応じてくれない場合に考えられる原因と、弁護士への相談を含めた具体的な対処法まで、幅広く解説します。ご自身の状況に合わせて、手続きを進める際の参考にしてください。

目次

遺産分割とは?

遺産分割という言葉を聞くと、相続人同士で揉めているといったイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。確かに、遺産分割を巡った相続人同士の争いは現実にあります。

遺産分割とは、亡くなった方の財産を残された遺族が引き継ぐことで、生活を安定させるための制度です。相続人が複数いる場合、遺産分割(遺産分割協議)とは、法定相続人が全員参加し、相続財産の分け方を決定する手続きのことを言います。

遺産の分配を決める方法には、大きく分けて2つの方法があります。1つ目は遺言書、2つ目は遺産分割協議です。被相続人(亡くなった人)の遺言書があるときには、遺言書の内容に沿って遺産の分配を進めます。遺言書がないときには、相続人全員が参加しての遺産分割協議で遺産の分配を決めなくてはなりません。

遺産分割は、法定相続人全員の同意があれば、自由に決めることができます。遺産分割協議で全員が納得すれば、相続の割合や財産の分け方などは決まりに従う必要はありません。ただし、遺産分割協議には法定相続人全員が参加する必要があり、1人でも同意を得られない場合は無効になります。

遺言書があった場合には、原則として遺言書の内容が優先されますが、相続人全員の同意がある場合は、遺言書とは異なる分割も可能です。ただし、特定の法定相続人の相続割合が最低限保障される「遺留分」というものがあり、極端な配分をすると問題になることもあるため、注意が必要です。

法定相続分とは?割合

法定相続分とは、民法に規定された相続人の相続割合のことです。簡単に言えば、民法によって定められた遺産分割の目安のことです。

遺言書や遺産分割協議では、必ずしも法定相続分どおりに分配する必要はありません。しかし、遺産分割協議がもめたときや、裁判所での手続きとなったときには法定相続分が基準となります。

法定相続分は、誰が相続人となるかによって割合が決まります。被相続人の配偶者は、常に相続人となります。配偶者以外の親族のうち誰が法定相続人となるかは、法定相続人の順位によって決まります。

法定相続人の順位は次のとおりです。

  • 第一順位:直系卑属(子どもや孫)
  • 第二順位:直系尊属(父母や祖父母)
  • 第三順位:兄弟姉妹

※配偶者は順位に関係なく常に相続人

配偶者以外は、自分より順位が上の相続人がいるときには相続人とはなりません。たとえば、被相続人に配偶者と母と兄がいる場合、母は兄より順位が上なので、相続人となるのは配偶者と母です。配偶者と子どもがいる場合には、父母や兄弟姉妹は相続人とはなりません。

法定相続分の割合(どのように遺産を分配するか)

法定相続分の割合は、誰が相続人となるかによって異なります。

相続人の組み合わせ 法定相続分の割合
配偶者と子ども(直系卑属) 配偶者 1/2・子ども 1/2
配偶者と直系尊属 配偶者 2/3・直系尊属 1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者 3/4・兄弟姉妹 1/4

同一順位の相続人が複数いるときには、人数での均等割となります。たとえば、被相続人に配偶者と2人の子どもがいる場合、配偶者の相続分は2分の1で変わりありませんが、子どもの相続分は4分の1(1/2×1/2)ずつです。

遺産分割の割合は自由か?

遺産分割は、法定相続人全員の同意があれば、自由に決めることができます。遺産分割協議で全員が納得すれば、相続の割合や財産の分け方などは決まりに従う必要はありません。

法定相続分というのはあくまでも理想であって、絶対そうしなければならないわけではありません。特に、亡くなった方の意思である遺言書が作成されていた場合は、そこに記載された相続分が法定相続分よりも優先されることになっています。また、寄与分や特別受益があった場合も同様に、他の相続人の主張次第では法定相続分どおりの相続にならないケースも存在しているので注意が必要です。

遺言書や遺産分割協議では、必ずしも法定相続分どおりに分配する必要はありません。相続人のうち1人でも協議の内容に反対する場合には、遺産分割協議は成立しません。協議がまとまらないときは、調停といった裁判所の手続きを利用することになります。裁判所の手続きでは、特別受益や寄与分などの証明がない限りは、法定相続分に近い割合での結果となるでしょう。

遺言書の種類・有効性

被相続人が遺言書を遺して亡くなったときは、遺言書の内容に沿って遺産を分配するのが原則です。遺言書にはいくつかの形式があり、それぞれに特徴とメリットがあります(民法967条)。

自筆証書遺言 自筆証書遺言は、遺言者が自ら全文を手書きする形式です。遺言書の作成に関わるのが自分だけのため、自分のペースで作成できる点がメリットです。しかし、形式的な不備や内容の曖昧さが原因で、遺言書が無効になるリスクがあります。また、遺言者の死後に家庭裁判所での検認手続きが必要となるため、手続きがスムーズに進まない可能性があります。

公正証書遺言 公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、法律に則った形式で遺言書を作成する方法です。遺言者の意向を反映した遺言書を公証人が作成するため、法的要件を満たした遺言書を作成できます。内容が無効になるリスクが非常に低く、信頼性が高いと言えるでしょう。また、家庭裁判所での検認手続きが不要で、相続手続きが迅速に進むというメリットもあります。ただし、作成には手数料がかかります。

秘密証書遺言 秘密証書遺言は、遺言書の内容を秘密にしながら公証人によって証明を受ける形式です。遺言者が自分で作成した遺言書を封印し、公証人と証人の前でその存在を確認してもらいます。内容を公証人に知られることがありませんが、遺言書が法的要件を満たしていることの確認は受けられません。

遺言書が無効になる可能性がある事例

遺言書の種類 無効になりうるケース
公正証書遺言 証人が2名に満たなかった、証人になれない人が立ち合いをしていた、遺言能力のない人が作成した、強迫されて作成した
自筆証書遺言・秘密証書遺言 自筆で作成されていない、作成日が明確に記載されていない、署名・押印がない、訂正方法に誤りがある、共同(2名以上)で作成されている、遺言能力のない人が作成した、強迫されて作成した

遺言書がある場合でも、相続人全員と遺言により遺産を遺贈される方(受遺者)の同意があれば、遺言書と異なる内容の遺産分割も可能です。その際、以下の条件を満たす必要があります。

  • 遺言書の内容を知った上で相続人全員がこの内容と異なる遺産分割に同意していること
  • 相続人以外に受遺者がいる場合は、その受遺者全員が同意していること
  • 遺言書に遺産分割協議を禁止する文言がないこと
  • 遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意があること

遺産分割協議の進め方(手順・フロー)

遺産分割協議は全員の合意が必要です。遺産分割協議は次の流れで行います。

STEP1:相続人の調査 戸籍を辿って民法で定められた「法定相続人」を調査します。法定相続人は、配偶者(常時)と、第1順位:子(孫・ひ孫)、第2順位:父母(祖父母・曾祖父母)、第3順位:兄弟姉妹(甥・姪)です。

STEP2:相続財産の調査 被相続人の全遺産を調査します。プラス財産(不動産・預貯金など)とマイナス財産(借金・住宅ローンなど)があります。相続財産には、プラスの財産だけではなく、借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄も可能です。相続放棄の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行いましょう。

STEP3:遺産分割協議 相続人全員で誰がどの財産を引き継ぐかを決めます。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分配について話し合う手続きです。遺産分割協議を成立させるには、相続人全員が協議の内容に同意しなければなりません。遺産分割協議では、相続人全員が同意するならば遺産の分配を自由に決められます。

STEP4:遺産分割協議書の作成 相続人全員の合意ができれば、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、話し合いによって決定した各相続人への分割割合などを記載するのが一般的です。登記や預貯金の名義変更などに利用する場合は、印鑑証明書の添付が必要になる場合もあります。

遺産相続では「自分は長男だからすべての財産を相続する権利がある」と主張するケースがあります。しかし、現在の民法ではそうした考え方は認められません。子ども同士の法定相続分は平等です。遺産相続は、すべての相続人の権利を尊重した上で、公平に分配されるべきです。

話し合いがまとまらない場合の対処法(弁護士→調停→審判)

当事者同士の話し合いだけでは、遺産分割の問題を解決できない場合もあります。お互いが主張を譲らなければ、いつまでも遺産を分けられません。話し合いでも意見がまとまらない場合の具体的な対処法は以下のとおりです。

弁護士を代理人に立てて再交渉する

親族同士の直接交渉は感情がぶつかり合い、冷静な話し合いが困難です。しかし、弁護士を代理人として立てることで、事態が好転する可能性があります。弁護士を代理人にする主なメリットは、以下のとおりです。

  • 法的根拠に基づいた論理的な主張ができる
  • 直接相手と話す精神的な負担から解放される
  • 不利な条件で丸め込まれるリスクを防げる

法律事務所からの連絡を受けると、相手も事の重大さに気づくでしょう。調停や裁判に進む前に、専門家を通じた再交渉を試みることが大切です。

家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てる

弁護士を入れても交渉がまとまらない場合は、次の段階へ進みます。家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立て、第三者を交えた話し合いを行います。遺産分割調停では、裁判官と調停委員が双方の言い分を公平に聞いてくれます。公平な第三者が介入することで、お互いに譲歩しやすくなるのが調停の利点です。

調停不成立の場合は自動的に「審判」へ移行する

調停で話し合いを重ねても意見が対立したままで、合意に至らないケースも珍しくありません。調停が不成立になると、手続きは自動的に遺産分割審判へと移行するのが特徴です。審判では当事者同士の話し合いではなく、裁判官が法的な観点から遺産の分け方を決定します。遺産分割審判の主なポイントは以下のとおりです。

  • 提出済みの資料や双方の主張をもとに、裁判官が強制的に結論を出す
  • 法定相続分を基準とした厳格な判断が下される
  • 個人の事情や感情的な対立は考慮されにくくなる

裁判官による決定は強制力を持つため、相手が納得していなくても遺産の分割が実行される可能性があります。

審判結果に不服がある場合は2週間以内に「即時抗告」を行う

審判で下された決定内容にどうしても納得できない場合もあるでしょう。結果に不服がある場合の最終的な対抗手段として、即時抗告という手続きが用意されています。即時抗告を行えば、上級の裁判所である高等裁判所へ改めて審理を求めることが可能です。申し立てには厳格な期限と条件が定められており、審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内に申し立てる必要があります(家事事件手続法86条)。期限を1日でも過ぎると審判は確定し、それ以上争えません。

遺産分割協議書とは・書面化の必要性

遺産分割(遺産分割協議)とは、法定相続人が全員参加し、相続財産の分け方を決定する手続きのことです。遺産分割協議で決まった内容をもとに、「遺産分割協議書」を作成します。

遺産分割協議書には、話し合いによって決定した各相続人への分割割合などを記載するのが一般的です。遺産分割協議書は、以下のような相続手続きの際に、提出を求められることがあります。

  • 相続税の申告・納付
  • 不動産相続登記の申請
  • 被相続人名義の口座の解約や払い戻し
  • 株式の相続

遺言書があり、その内容どおりに相続手続きを行う場合には、遺産分割協議書を作成する必要はありません。ですがそれ以外の場合は、相続人間でトラブルがなくても、相続登記を行う際に遺産分割協議書は必ず必要になります。2024年4月1日以降、相続登記は義務化され、遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければならなくなりました。

遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印が必要なため、話し合いがまとまった段階で早めに作成するようにしましょう。作成を怠ると、後から「言った・言わない」のトラブルに発展したり、数次相続で権利関係が複雑化したりする危険性が高まります。

預貯金の分け方

遺産相続で預貯金を分ける場合、以下のような方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、確認するようにしてください。

STEP1:相続財産を調査する

まずは、預貯金も含めた相続財産がどのくらいあるのか、全体像を把握しましょう。相続財産には、プラスの財産だけではなく、借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。

STEP2:分割割合を決める

相続の対象となる財産が明確になったら、次に分割割合を決定します。遺言書に分割割合の記載がある場合、それに従うのが原則です。ただし、相続人全員の同意があれば、必ずしも遺言書通りに分ける必要はありません。いずれの場合も相続人全員で話し合い、納得のうえで決定することが大切です。

STEP3:分割方法を決める

預貯金の分割割合が決まったら、次に分割方法を決めます。預貯金の相続における分割方法は、主に以下の4パターンがあります。

①払い戻した現金を分ける(現金にしてから分割する) 預金をすべて払戻し、現金にしてから分割する方法です。不公平が生じにくいことがメリットですが、金融機関によっては手続きが複雑な場合もあります。

②銀行口座ごとに分割する 被相続人が複数の預金口座を所有していた場合、それぞれを相続人に割り当てて分割するという方法です。各自で払い戻しができますが、預金口座ごとに残高が違う場合、トラブルになるというデメリットがあります。

③代償分割を行う 代償分割とは、相続人の一人がすべての預貯金を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。例えば自社株式と預金を等分する場合や、不動産など複数人で分けるのが難しい場合に使われる方法です。代償分割を行う際は、代償金が贈与税の対象とならないように、遺産分割の方法が代償分割である旨を、遺産分割協議書にも明記しておきましょう。

④預貯金以外の財産で調整する 預貯金以外にも財産がある場合には、相続財産全体で調整することも可能です。完全に公平な相続とはいかない場合が多いですが、相続人全員で話し合い、合意のもとで決められた分割方法であれば問題ありません。

STEP4:遺産分割協議書を作成する

預貯金の相続割合と分割方法が決まったら、遺産分割協議書を作成しましょう。

預貯金の遺産分割で知っておきたいポイント・注意点

  • 被相続人の銀行口座は凍結される:銀行が被相続人の死亡の事実を知った時点で、被相続人の銀行口座は凍結されます。銀行口座の凍結後は預貯金を引き出せなくなり、クレジットカードや公共料金等の口座振替もできなくなります。
  • 遺産分割前に勝手に預貯金を引き出すのはNG:銀行口座が凍結する前に、相続人の一人が勝手に預貯金を引き出してしまうと、相続トラブルのもとになります。
  • 葬儀費用などは預貯金の仮払い制度を利用できる:遺産分割前に葬儀費用などでどうしても現金が必要な場合に限り、金融機関の仮払い制度を利用できます。払い戻し可能額は「相続開始時の預貯金残高×3分の1×払い戻しを行う相続人の法定相続分」です。ただし、同一金融機関からの払い戻しは、150万円が上限です。

不動産の4つの分割方法(現物・代償・換価・共有)

相続人が複数人いる場合、特に不動産の遺産分割では揉めやすい傾向があります。なぜなら、対象となっている不動産に全員で住むわけではなく、その一方で、高額な不動産を住むことになる一人だけが相続するとなれば、不公平だと感じてしまうからです。また、遺産分割の方法はある程度自由なので、一度揉めてしまうと収拾がつかなくなるケースもめずらしくはないのです。

不動産のように、細かく分割することのできない場合の遺産分割には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割という4つの方法があります。

①現物分割

現物分割とは、まさに土地等を相続人間でいくつかに分割して分けてしまうことです。たとえば、土地が広くていくつかに分割することが可能な場合によく使われます。ただし、土地をいくつかに分ける場合、土地の分け方に不満が出ることも多く、また測量や登記等でかなりの出費や手間もかかります。建物の現物分割はできないため、実家の相続方法を決める際には利用できません。

  • メリット:非常にシンプル
  • デメリット:不平・不満が生じやすい、土地が細分化されることで利用価値が下がることもある

②代償分割

代償分割では、複数人いる相続人の中の一人がそのまま不動産を相続します。ただし、相続する者はその代償をほかの相続人に支払うという分割方法です。たとえば、相続人が5人いて、対象となる不動産の評価額が3000万円だとします。この場合、不動産を相続する者は、代償として4人の相続人に600万円ずつ支払い分割の合意を求めます。

  • メリット:不平・不満が生じない
  • デメリット:不動産を相続する者は現金を負担しなければならない

③換価分割

換価分割とは、対象となっている不動産を現金にしてしまい(これを換価といいます)、その現金を相続人全員で分割するというものです。現金になるためキレイな数字で分割できるメリットがありますが、不動産を現状のまま維持することができないデメリットがあります。

  • メリット:現金になるためキレイな数字で分割できる
  • デメリット:不動産を現状のまま維持することができない

④共有分割

共有分割とは、対象となる不動産の共有持分件を各相続人が取得する方法で分割してしまう方法です。つまり、不動産にどの相続人が住むかは置いておいて、不動産自体は相続人全員の共有となります。ただし、不動産の共有状態というのはあまり好ましいものではなく、売買や大規模なリフォームをするには共有者全員の同意が必要になりますし、不動産の利用方法を巡って後に争いになることもしばしばあります。もし、次の相続が生じるなどして持ち分が細分化していけば、共有者全員からの同意を得るのが困難になってしまいます。

  • メリット:特に話し合う必要もなく分割が終了する
  • デメリット:目先は良くても数年後にトラブルになる火種を抱えている

遺産分割協議では、不動産の分配方法をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。相続トラブルになる可能性を低くするためにも、それぞれの分配方法の内容や特徴を理解しておくことは重要です。

特別受益・寄与分とは?

特別受益とは

兄弟姉妹の誰かが生前優遇されていたことが相続トラブルの火種になることもあります。具体的にいえば「兄だけが住宅の資金援助を受けていたのに、みんなと同じく相続するのは不公平なのでないか」というケースです。このような場合、「特別受益」を考慮することで、各相続人の取り分を調整することができます。

特別受益とは、相続人が被相続人から遺贈を受け、または婚姻・養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けていた場合に、その財産を相続分の算定において考慮(持戻し)する制度です(民法903条)。例えば、以下の援助は「特別受益」にあたる可能性があるものです。

  • 他の兄弟と極端に差がある学費
  • 独立のための事業資金支援
  • 家の建築費

特別受益がある場合には、以下のような「持戻し計算」によって相続分の調整を図ることになります。

【計算例】遺産総額:3000万円、相続人:子A(受益者)・子B、特別受益:400万円の場合 ①遺産相続に特別受益分を足して遺産総額とする:3000万円+400万円=3400万円 ②その遺産総額をみなし財産として遺産分割を行う:A:1700万円、B:1700万円 ③最後に受益者から特別受益分を差し引く:A:1700万円-400万円=1300万円 ④最終分配額:A:1300万円、B:1700万円

特別受益と言っても、生前贈与のすべてが特別受益として認められるわけではありませんし、立証には証拠も必要です。

なお、2023年4月の民法改正により、相続開始から10年が経過すると、原則として特別受益の持ち戻しや寄与分の主張ができなくなりました。

寄与分とは

被相続人の財産維持・増加に関わった人には、「寄与分」が認められます(民法904条の2)。寄与分とは、被相続人の療養看護や事業の手伝いなどを行って被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者に認められている相続分の加算制度です。遺産から寄与分を控除した額を相続財産として各人の相続分を計算し、貢献した者の相続分は計算した相続分に寄与分を加えた額とするものです。

よくあるのが「被相続人の介護をしていた私にも寄与分が認められるのでは」というご相談です。一般的には、被相続人が要介護2以上の状況にあったか、介護が一定程度長期にわたっているかという2つの要素によって判断が分かれることが多く、そのいずれかを満たさない場合には、寄与分が認められる可能性は低いでしょう。

寄与分がある場合の遺産分割の計算は以下のように行われます。

【計算例】遺産総額:3000万円、相続人:子A・子B(寄与を行なった人物)、寄与分:400万円の場合 ①遺産総額から寄与分を差し引く:3000万円-400万円=2600万円 ②その金額をみなし財産として遺産分割を行う:A:1300万円、B:1300万円 ③寄与分を寄与した人物に足す:B:1300万円+400万円=1700万円 ④最終分配額:A:1300万円、B:1700万円

寄与分も特別受益同様、判断が非常に難しく、また立証には証拠が必要です。有利な解決には専門的な知識と実務能力が求められますので、特別受益・寄与分の主張を検討している方はぜひ弁護士へご相談ください。

遺留分とは?・遺留分侵害額請求

遺言書と異なる内容で遺産分割したい希望を持っている場合でも、「遺留分」という権利があなたを守ってくれます。遺留分とは、相続人に認められている「最低限の取り分」のことです。例えば老齢で働けない妻が夫の遺産を一切相続できなかったとしたら今後の生活はかなり困窮してしまうことが予想されますが、そうしたケースを防止し「相続人の生活を保障する」という意味合いを持つのがこの遺留分という権利です。

遺留分は以下のように各相続人に定められています。

相続人の組み合わせ 遺留分の割合
配偶者のみ 配偶者:1/2
配偶者と子(孫) 配偶者:1/4、子(孫)合計:1/4
子(孫)のみ 子(孫)合計:1/2
配偶者と両親 配偶者:1/3、両親合計:1/6
両親(祖父母)のみ 両親(祖父母)合計で1/3
兄弟姉妹のみ なし

注意点としては、第3順位である兄弟姉妹には遺留分は認められていないということ。また、相続欠格者や廃除された人物にも認められていません。

遺留分侵害額請求権とは

遺留分侵害額請求権とは、遺言や生前贈与によって遺留分を侵害された法定相続人が、その不足分に相当する金銭の支払いを請求できる権利です(民法第1046条)。遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)ができるのは、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年(もしくは相続開始から10年、1048条)です。かなり短い時間の中で手続きを進めなければなりませんので、とにかく早期に着手することが重要です。

遺留分侵害額請求の流れ

遺留分を侵害している相手に対して、遺留分を請求する意思を明確に伝えます。

  1. 内容証明郵便で遺留分侵害額請求をする:遺留分侵害額請求の方法は法律で定められていませんが、証拠として残るように内容証明郵便で通知するのが一般的です。
  2. 話し合いで解決できないときは家庭裁判所に調停を申立てる:相手方と話し合いによって解決を試みますが、合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停を申立てます。
  3. 調停が成立しないときは遺留分侵害額請求訴訟を提起する:調停で合意に至らなかった場合は、遺留分侵害額請求訴訟を提起します。

非嫡出子と嫡出子の法定相続分の違い(法改正の経緯)

みなさんは非嫡出子という言葉を聞いたことがあるでしょうか?非嫡出子というのは、婚姻関係のない男女の間に産まれた子どものことです。逆に嫡出子とは、婚姻関係のある男女の間に産まれた子どもです。

非嫡出子の場合、一見すると両親に婚姻関係がないことから、父親の相続人にはなれないようにも感じられます。しかし、認知を受けていれば、非嫡出子であっても子どもは親の相続人になることができます。そして、非嫡出子と嫡出子とでは法定相続分に差はありません。

以前は、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年9月4日の最高裁決定でこの規定が違憲と判断され、同年12月の法改正により、同等の法定相続分が認められることになりました。この取扱いが適用されるのは、原則として平成25年9月5日以降に開始した相続となる点に注意しましょう。

不動産評価の「基準時」の考え方

不動産の価値というのは日々変動します。そのため、遺産分割の不動産はまず、「いつの時点の評価なのか」を基準にするかが問題になります。具体的には、相続開始日(被相続人が死亡した日)を基準とするのか、遺産分割時を基準とするのかということです。

基本的に基準時は、遺産分割をする「今」の時点が基準となります。不動産の価値は変わっていくため、相続開始日を基準にしてしまうと、相続人間で不平等になる可能性が考えられるからです。

ただし、生前贈与や遺贈をされた場合や、遺留分がある場合については、相続開始時点を基準に算定すべきとされています。状況によって遺産分割の不動産評価の基準時は変わりますが、実際の交渉や調停の場では、相続人同士の合意ができた評価時点・評価額をもとに進めていくことも多くなっています。

不動産の評価方法は1つではない

実は、不動産というのは実勢価格(実際に市場で取引されている価格)だけとってみても、査定する業者によっては数十万円から時には数千万円の誤差が生じることがあります。その他にも、「相続税路線価」や「固定資産税評価額」、「公示地価」といった評価方法があります。そして、どの評価方法を選んでも、遺産分割協議において問題になることはありません。

しかし、評価方法が1つではないということは、不動産を相続する方からすれば評価額をなるべく下げたいと感じますし、相続しない方からすれば評価額は高いに越したことはありません。この理由は、遺産分割の際に「代償分割(特定の相続人が財産を相続する代わりに、その者の財産をほかの相続人に与える分割方法)」を用いる場合、不動産の評価額次第で各々の取り分に大きな違いが出てきてしまうためです。

不動産の4つの評価方法

①実勢価格 実際に市場で取引される価格であるため、不動産の評価方法として用いられることが多くなっています。ただし、査定する業者次第では金額に差が出てくることから、何社かの不動産鑑定業者に査定をお願いし、その中間を評価額として用いる方法がよく利用されています。遺産分割協議では、実際の取引価格に近い「実勢価格」を基準にするのがセオリーです。

②相続税路線価 相続税路線価とは、相続税を算出する際に基準として用いられる価格です。相続税路線価は毎年改定されることから、相続が発生した年のものを用いることになります。ただし、相続税路線価では土地の評価額しか算出できず、建物の評価はできない点に注意が必要です。金額としては、おおよそ実勢価格の8割程度になることが多くなっています。

③固定資産税評価額 固定資産税評価額とは、固定資産税路線価に従って算出される評価額です。この固定資産税評価額は相続税路線価とは異なり、建物にも設定されている点がポイントです。ただ、実勢価格のように不動産鑑定業者にお願いする必要はなく、その不動産の市町村役場にて入手できます。金額としては、おおよそ実勢価格の7割程度になることが多くなっています。

④公示地価 公示地価とは、全国の標準地に定められている地価のことです。国土交通省が定めていて、不動産鑑定士による鑑定結果を基にしながら、毎年改定されています。ただし、どこの土地にでも対応できるわけではなく、あくまでも標準地のみとなっています。よって、公示地価をそのまま不動産評価額として利用するケースはほとんどありません。あくまでも参考程度であると覚えておくと良いでしょう。

遺産分割協議書の具体的な記載例

遺産分割協議書には決められた書式はないため、自分で作成することも可能です。ここでは、相続財産が預貯金のみの場合の遺産分割協議書の書き方、サンプル(記載例)をいくつか紹介します。

【記載例①】銀行口座が1つの場合

被相続人の預貯金がある銀行口座が1つのみで、解約して払い戻した現金を分割する際の遺産分割協議書のサンプル(記載例)です。

以下の遺産については、Aが3分の1、Bが3分の1、Cが3分の1の割合でそれぞれ取得する。Aは相続人を代表し、以下の遺産の解約・払い戻しの手続きを行う。なお、B・Cの取得分については、それぞれが指定する口座に振り込んで引き渡すものとする。また、振込手数料はB・Cの負担とする。

(1)預貯金 〇〇銀行〇〇支店 普通預金口座番号:〇〇〇〇〇〇

遺産分割協議書には3分の1、3分の2などの割合のみの記載で問題ありません。1円以下の端数については記載不要です。

【記載例②】銀行口座が複数ある場合(代償分割)

複数の銀行口座があり、複数の相続人がいる場合の遺産分割協議書のサンプル(記載例)です。

相続人Aは、以下の遺産を取得する。

(1)預貯金

  1. 〇〇銀行〇〇支店 普通預金口座番号:〇〇〇〇〇〇
  2. ◻︎◻︎銀行 ◻︎◻︎支店 普通預金口座番号:〇〇〇〇〇〇
  3. △△銀行△△支店 普通預金口座番号:〇〇〇〇〇〇

相続人Aは、(1)に記載の遺産を取得する代償として、B・Cに対し、それぞれ2,000,000円を20XX年XX月XX日までに支払うものとする。

この場合も、預貯金残高の記載は不要です。各銀行口座の残高を記載すること自体は問題ありませんが、利息などの影響で、協議書に書かれた残高と実際の残高に相違がでてしまった場合、遺産分割協議書の再作成が必要になります。

よくある疑問

  • 端数がでる場合は?:相続人全員の合意があれば、必ずしも1円単位で等分する必要はありません。端数分をどうするかは、話し合って決めましょう。遺産分割協議書には具体的な金額を記載せず、「3分の1ずつ」など相続割合を記載すれば問題ありません。
  • 遺産分割協議書には預貯金の残高を記載すべきか?:遺産分割協議書には、必ずしも預貯金の残高を記載する必要はありません。
  • 遺産分割協議書は自分で作成できるか?:遺産分割協議書に決められた書式はないため、自分で作成することも可能です。ただし、遺産分割協議書は金融機関や税務署、法務局などに提出する重要な書類です。正確な記載のためには相続財産の調査などが必要で、記載にミスは許されません。そのため、基本的には弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおすすめします。

マイナス財産(借金・ローン)の分配についての注意点

遺産分割協議では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて分配の対象となります。プラスの財産の分配を決める際は、マイナスの財産を誰が負担するのかも考慮しておかなければなりません。

ただし、判例上、債務は当然に各相続人が法定相続分に応じて分割して承継するものとされています。そのため、例えば「債務は長男が支払う」などと合意して、借金の負担割合を決めたとしても、債権者から法定相続分に応じた請求を受ける可能性があります。

相続財産に多額の借金などのマイナス財産が含まれている場合は、特に注意が必要です。相続放棄や限定承認といった手続きは、原則として相続開始を知った時から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てなければなりません。この期間内に何も対応せずに放置すると、すべての財産を無条件で引き継ぐ単純承認をしたものと法律上みなされてしまいます。自分の意志に関わらず借金まで背負う事態になりかねないため、早急な財産調査が欠かせない要素となります。

家督制度(廃止の経緯)とは

遺産相続では「自分は長男だからすべての財産を相続する権利がある」と主張するケースがあります。しかし、現在の民法ではそうした考え方は認められません。

かつての日本では、長男が戸主として家族を代表し、財産や家業を継承する「家督相続」という制度が存在していました。そのため「遺産相続=長男の独り占め」という考えも成り立っていたのです。しかし、家督相続制度は1947年の民法改正により廃止され、現在は法定相続制度が適用されています。

現行制度では、すべての法定相続人が平等に相続権を持ち、長男だけが優先的に財産を受け取る仕組みは存在しません。今なお家督相続のイメージを引きずった主張がなされるケースもありますが、その言い分は法的根拠に欠けています。

現行の相続制度は、民法に基づく法定相続制度に従って行われます。相続人の順位と相続分は法律により定められており「長男だから遺産を独り占めできる」といった主張は認められません。子ども同士の法定相続分は平等です。遺産相続は、すべての相続人の権利を尊重した上で、公平に分配されるべきです。

配偶者居住権・配偶者短期居住権の活用

2020年4月の法改正で新たに設けられた「配偶者居住権」は、被相続人が所有していた不動産を残された妻(夫)が一定期間、または亡くなるまで住み続けられる制度です(民法1028条)。自宅を「居住権」と「所有権」に分け、配偶者に居住権を、他の相続人に所有権を相続させることができます。

たとえば、相続人が配偶者と子供1人で遺産総額が1億円、内訳が自宅が7,000万円で現金が3,000万円の場合、2分の1にあたる5,000万円ずつ相続するためには、自宅を現金化しなければなりません。しかし、配偶者居住権を利用すれば、例えば居住権を2,000万円と評価し、配偶者は自宅の居住権と3,000万円の現預金を相続できます。これにより、配偶者は住み慣れた自宅に住み続けると同時に、生活資金も確保できます。また、子供は不動産の所有権を5,000万円として相続できます。

配偶者居住権を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 夫(妻)が亡くなった時点で、夫(妻)が所有していた建物に配偶者が住んでいた
  • 夫(妻)と法律上の婚姻関係にあった
  • 遺産分割、遺贈、死因贈与、審判によって取得した

配偶者居住権は、原則として配偶者が死亡するまで存続し、賃料を支払う必要はありません。

配偶者居住権|居住建物に住み続けられる権利

配偶者居住権は、被相続人の所有していた建物に配偶者が無償で居住し続けられる権利です。所有権を子に渡しつつ、居住権だけを配偶者に残すことで、配偶者の生活基盤を守りながら遺産分割を柔軟に設計できます。設定には、遺産分割協議または遺言での明示が必要です。

配偶者短期居住権|遺産分割協議までの暫定的な権利

配偶者短期居住権は、相続開始時に配偶者が無償で住んでいた建物に、遺産分割によりその建物の帰属が確定した日、または相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで、無償で住み続けられる権利です(民法1037条)。遺産分割で配偶者が建物を取得しないことになっても、6ヶ月の猶予があるため、すぐに退去する必要がありません。

配偶者居住権を活用した相続税対策の効果

配偶者居住権の評価額は、所有権に比べて大幅に低くなるため、結果として相続税の課税価格を抑える効果があります。例えば、5,000万円の自宅を配偶者居住権と所有権に分けて配偶者と子で取得すれば、二次相続(配偶者が亡くなった時の相続)の時点で配偶者居住権は消滅し、自動的に子に居住の効果が引き継がれます。配偶者居住権は二次相続も見据えた節税ツールとして強力です。

配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例

妻に相続した際に発生する可能性がある相続税については、以下の軽減措置があります。

基礎控除

「基礎控除」は相続税の計算上、遺産の総額が一定の金額までは相続税が課されないという制度です。基礎控除額の計算式は下記の通りです。

基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば配偶者と子供が2人の場合には法定相続人は合計3人ですから、3000万円+(600万円×3)=4800万円になります。また、養子も1人まで(実子がいない場合には2人まで)法定相続人にカウントできますし、相続放棄した人がいる場合にも相続放棄していないものとして法定相続人にカウントできます。

配偶者の税額軽減

「配偶者の税額軽減」は、配偶者が相続する財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のどちらか高い方までの財産については、相続税が課されない制度です。相続税申告書または更正の請求書に加えて、遺産分割協議書の写しや遺言書の写し、戸籍謄本など、相続した財産の種類や評価額などを証明する書類を提出する必要があります。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」は、妻が相続する不動産に対する相続税を大幅に軽減できる制度です。被相続人の居住の用に供されていた宅地を配偶者が相続する場合、330㎡までの部分について評価額の80%を減額できます(租税特別措置法69条の4)。妻が相続する場合の適用条件としては、相続した土地が相続直前まで被相続人の居住の用に供されていた宅地であることです。特例を受けるためには、相続税申告書に小規模宅地等の特例の適用を受けたい旨を記載するとともに、遺産分割協議書の写しや小規模宅地等に係る計算の明細書などの提出が必要です。

生前贈与(おしどり贈与)の活用

生前贈与を活用することも、特定の相続人に多くの財産を残すための有効な方法です。贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この範囲内での贈与は非課税です。毎年少額ずつ贈与を行うことで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽減することが可能です。

ただし、毎年同じ金額を同じ日に贈与するような場合は定期贈与とみなされ、贈与税や相続税の課税対象となるおそれがあります。これを避けるために、贈与金額や契約日を変えたり、名義口座への振込や贈与契約書の作成といった客観的な記録が残る方法で贈与したりすることが大切です。

おしどり贈与の特例

婚姻期間が20年以上の夫婦間では、おしどり贈与の特例を活用することで、居住用不動産またはその取得資金の贈与について、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで控除できます。

また、生命保険の受取人を配偶者に指定し、死亡保険金を受け取れるようにしておくことも1つの方法です。相続人が保険金を受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」に相当する金額が非課税になります。さらに、生命保険金は民法上は「遺産」とならず、また原則として「特別受益」に該当しないとされているため、原則として遺留分侵害額請求の算定の基礎にもなりません。ただし、保険金の額が遺産総額に比して過大であるなど、相続人間の公平を著しく害する特段の事情がある場合には、特別受益に準じた持戻しの対象となる可能性があります(最高裁平成16年10月29日決定参照)。

なお、相続開始前1年以内の相続人以外への生前贈与、および相続開始前10年以内の相続人への特別受益に当たる生前贈与は、遺留分の計算に含まれますので注意が必要です。

遺産分割を放置するリスク

「話し合いがまとまらないから仕方ない」と遺産分割協議を先延ばしにすると、時間の経過そのものが大きな不利益を生みます。

放置した場合に発生する主なリスクは、以下の7つです。

遺産分割協議に応じない相続人を放置する7つのリスク

  1. 相続財産を有効活用できない
  2. 相続財産の使い込み・隠ぺいをされる恐れがある
  3. 相続税の申告期限を過ぎるとペナルティを受ける
  4. 相続登記義務の期限を過ぎると過料が科される
  5. 配偶者控除・小規模宅地等の特例が使えなくなる
  6. 特別受益・寄与分を主張する権利が消滅する
  7. 二次相続が発生し相続関係が複雑になる

以下で、それぞれのリスクを詳しく解説します。

① 相続財産を有効活用できない

相続財産に不動産がある場合、遺産分割が済まなければ、売却や有効活用ができません。たとえば、被相続人が所有していた不動産を売却するときは相続人全員の同意が必要で、第三者に賃貸する場合も、共有物の管理行為として持分価額の過半数の同意が必要であり(民法252条)、借地借家法の適用がある長期の賃貸借は共有物の変更として共有者全員の同意が必要と解される場合もあります。そのため、一人でも遺産分割協議に応じない場合、必要な同意が得られない場合があるのです。

② 相続財産の使い込み・隠ぺいをされる恐れがある

遺産分割前の財産は本来、他の相続人の同意を得ずに処分できませんが、一人の相続人が生前から財産を管理していた場合、使い込みや隠ぺいをする可能性があります。たとえば、現金を使い込んだ場合、現金は被相続人のものか・使い込んだ相続人のものかが判別しにくいこともあり、使い込みや隠ぺいが行われやすいのです。

遺産の使い込みは不当利得(民法703条・704条)又は不法行為(民法709条)となりますが、どちらの請求権も時効があるため、遺産分割協議を放置すると対処できなくなる恐れがあります。

  • 不当利得返還請求権:権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年(民法166条1項)
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権(民法第724条):損害および加害者を知ったときから3年・不法行為のときから20年

③ 相続税の申告期限を過ぎるとペナルティを受ける

相続税の申告期限を過ぎると、延滞税などのペナルティが課せられるため注意が必要です。また、小規模宅地等の特例など重要な特例の適用が受けられなくなってしまいます。被相続人の財産を相続した場合、相続税がかかる場合があります。納付すべき相続税があるときは、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告が必要です。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。

相続税課税があり得るのに遺産分割協議が進まない場合は、放置せずに弁護士などのサポートを受け早期に解決を図りましょう。申告期限内に遺産分割協議が成立していない場合でも、いったん法定相続分で相続したものとして申告・納税(いわゆる未分割申告)をしておかなくてはなりません。その際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、後に遺産分割がまとまった際に改めて特例等を利用して更正の請求や修正申告をすることができます(遺産分割協議成立まで3年を超える場合には別途の手続きをする必要があるので必ず弁護士等の専門家に相談しましょう。)。

④ 相続登記義務の期限を過ぎると過料が科される

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を行わなければなりません(不動産登記法76条の2第1項)。正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法164条1項)。

遺産分割がまとまらない場合でも、「相続人申告登記」という簡易的な手続きにより、義務を暫定的に果たすことが可能です。不動産を含む相続では、登記の期限管理をとくに意識しておきましょう。

⑤ 配偶者控除・小規模宅地等の特例が使えなくなる

相続税には、税負担を大幅に軽減できる特例制度があります。しかし、一定の要件を満たすうえで、遺産分割が完了していることが前提のものもあるため注意が必要です。代表的な税務上のリスクは以下のとおりです。

配偶者の税額軽減:配偶者が取得した遺産について、法定相続分または1億6,000万円までは相続税がかからない制度(相続税法19条の2)。分割が未了だと申告時に適用できない場合がある。

小規模宅地等の特例:自宅や事業用の土地について、評価額を最大80%減額できる制度(租税特別措置法69条の4)。適用には分割の確定が必要。

いずれの制度も、申告期限から3年以内に分割が完了すれば後から適用を受けられる可能性があります。しかし、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出など、追加の手続きが必要です。相続税の負担を少しでも軽くするためにも、遺産分割協議は放置せず適切に対処することが大切です。

⑥ 特別受益・寄与分を主張する権利が消滅する

2023年4月1日に施行された改正民法により、相続開始から10年が経過すると、原則として特別受益の持ち戻しや寄与分の主張ができなくなりました。

前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。(民法第904条の3)

特別受益・寄与分を主張する権利が失われると、法定相続分に基づいた分割しかできなくなり、不公平な処遇を是正できなくなります。特別受益や寄与分の主張には証拠の収集にも時間が必要です。贈与の記録や介護の実績など、必要な資料は早い段階で整理しておくべきでしょう。

⑦ 数次相続が発生し相続関係が複雑になる

遺産分割が終わらないうちに次の相続が発生すると、相続人が増えるなど、遺産分割協議をまとめるのに煩雑となるリスクがあります。たとえば、二次相続などが起こると、相続関係が複雑化し合意形成に時間を要することになるでしょう。特に新たに相続人となった者と面識がないなど関係が希薄な場合は、話し合いがスムーズに進まない懸念があります。

何も言ってこない理由の分析

遺産分割協議に応じない相続人がいる場合、まずはその理由を把握することが重要です。応じない理由によって、連絡の取り方や必要な資料、専門家の介入が必要かどうかが変わってきます。代表的な理由を8つ紹介します。

① 遺言の内容に納得できない

被相続人(亡くなった方)が残した遺言書の内容に不満がある場合、遺産分割協議への参加を拒否するケースがあります。たとえば「長男にすべての財産を相続させる」といった偏った遺言が残されていた場合、他の相続人が不公平だと感じるのは当然のことです。

遺言の内容に納得できない相続人は、遺留分侵害額請求を検討しているケースも少なくありません。

遺留分侵害額請求とは:遺言や生前贈与によって法律で保障された最低限の遺産取得分(遺留分)を侵害された相続人が、多くの財産を得た相手に対し侵害された金額に相当する金銭の支払いを求めること(民法第1046条)。

遺言に偏りがある場合は、遺留分を含めた法的な整理が必要になることもあるため、弁護士への相談をおすすめします。

② 感情的対立・兄弟間の確執がある

相続人間の感情的な対立のため、遺産分割協議が進まないことがあります。

「昔から不公平に扱われてきた」「介護の負担に差があった」といった不満が原因で、話し合いの場にすら参加しないケースは珍しくありません。

感情的対立が原因の場合、当事者同士の話し合いではかえって関係が悪化する恐れがあります。第三者である弁護士を間に入れることで、冷静な話し合いが実現しやすくなるでしょう。

③ 特別の貢献(寄与分)に不満がある

被相続人への特別の貢献(寄与分)の主張について、相続人間で異論がある場合も協議は難航します。その主張を他の相続人が認めなければ、協議には応じないという相続人もいるでしょう。

たとえば、相続人が、「被相続人を献身的に介護した寄与分があるから、その分を上乗せすべきだ」と主張するケースです。

「寄与分(民法904条の2)」とは、被相続人の療養看護や事業の手伝いなどを行って被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者に認められている相続分の加算制度です。遺産から寄与分を控除した額を相続財産として各人の相続分を計算し、貢献した者の相続分は計算した相続分に寄与分を加えた額とするものです。

④ 多額の生前贈与を受けた(特別受益)相続人がいる

被相続人から特定の相続人に多額の生前贈与等(贈与又は遺贈)があった場合、遺産分割協議がスムーズに進まないことがあります。たとえば、次のような贈与等があった場合は、特別受益だとの主張があり得るでしょう。

  • 住宅新築費用の贈与
  • 開業資金の援助
  • 高額な有価証券の譲渡や不動産の無償使用

生前贈与を受けた相続人が特別受益の持戻しに同意すればよいですが、同意が得られない場合は、遺産分割協議が困難な場合もあるでしょう。

「特別受益の持ち戻し(民法903条)」とは、遺産分割の際に、被相続人が生前贈与等をした財産を相続財産に加算し、生前贈与等を受けた者の相続分から控除することです。

⑤ 相続財産の管理者に不信感がある

相続財産を管理している相続人への不信感も協議に応じない大きな理由になります。遺産を管理している相続人が遺産全てを開示しなければ、遺産を使い込んだや遺産を独り占めにしようとしていると疑いを持ち、遺産分割協議が進まないこともあるでしょう。

たとえば、被相続人と同居していた相続人が生前から遺産を管理していた場合です。そもそも、遺産の全容を相続人に明示しなければ、分割対象となる遺産を確定できないため、分割協議をすることすらできないと考えるでしょう。

⑥ 相続人とのつきあいがなかった

相続人同士が普段から全くつきあいがない場合、協議を行うことが難しいケースがあります。たとえば、被相続人の前妻の子も遺産を相続する権利がありますが、相続が発生して初めて前妻との間に子がいることを知り連絡を取ることもあるでしょう。その場合、スムーズにコミュニケーションが取れず、遺産分割協議の話し合いにまで至らないこともあるでしょう。

⑦ そもそも遺産分割をしたくないと考えている

「遺産分割には反対だ」という相続人がいる場合もあります。たとえば、以下のような理由が考えられるでしょう。

  • 遺産分割をすると今住んでいる家から出ざるを得なくなるが困る
  • 自分が管理している不動産なので、そのまま引き継ぎたい

主な遺産が不動産である場合に起こりがちなため、あらかじめ相続人間でよく話し合っておいた方がよい問題です。

⑧ 相続に関わりたくない・無関心

相続人の一人が遺産分割協議に応じない理由として、相続問題に精神的な負担を感じ、関わること自体を避けている可能性も考えられます。また、多忙や遠方居住を理由に対応を後回しにしているケースもあるでしょう。

無関心な相手ほど、連絡手段や説明方法の工夫が必要になります。効果的な連絡方法の例と特徴は、以下のとおりです。

  • メール:手軽に送れるが、重要度が伝わりにくい
  • 手紙(書面):誠意が伝わりやすく、記録にも残る
  • 電話:即時的なやりとりが可能だが、記録が残りにくい
  • 弁護士経由の通知書:法的な重みがあり、対応を促しやすい

無関心であっても、相続手続きの当事者であることに変わりはありません。対応を放置していると、7つのリスクに直面する可能性があるため、注意が必要です。

安易な合意を避ける理由

相手が非協力的であっても、自己判断で強引に物事を進めると、かえって不利な立場に追い込まれる可能性があります。特に避けるべきNG行動は、以下の3つです。

① 感情的に責め立てる・脅す

相手が協議に応じないことに対して、つい感情的になってしまう気持ちは十分に理解できます。しかし、以下のような行動は事態を悪化させる可能性があるため、避けましょう。

  • 怒鳴る・責め立てる
  • 「親不孝だ」と非難する
  • 「弁護士に訴える」と一方的に迫る
  • 返答の期限を強引に設定する

感情的なやりとりをすると、さらに話し合いで解決しにくくなる恐れがあります。加えて、メールやLINEなど記録が残る手段で暴言を送った場合、後の調停・審判で不利な証拠になることもあるでしょう。感情をぶつける代わりに、事実と必要な資料を整理して冷静に伝えることが重要です。また、弁護士など第三者の介入も検討しましょう。

② 他の相続人だけで勝手に遺産を分割・処分する

遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ法的に有効になりません。一人が応じないからといって、残りのメンバーだけで協議を進めてもその内容は無効になる可能性があります。以下のような行為は特に問題が大きくなりやすいため、注意しましょう。

  • 一部の相続人だけで遺産分割協議書を作成 → 法的に無効と判断される可能性がある
  • 相続不動産を勝手に売却 → 他の相続人から損害賠償請求を受ける恐れがある
  • 名義変更を強行する → 後から争いになり手続きのやり直しが必要になる

独断で行動してしまうと、後で紛争が拡大する火種になりかねません。進め方に迷う場合は、手続きを進める前に必ず弁護士などの専門家へ確認しましょう。

③ 自分の判断で預貯金などを引き出す

葬儀費用などやむを得ない支出が必要な場合でも、安易に預金を引き出すことは避けましょう。独断で遺産を勝手に使用すると、以下のようなリスクが発生します。

  • 他の相続人から「使い込み」を疑われる
  • 精算が複雑になり、協議がさらに長期化する
  • 他の相続人との信頼関係が崩壊する

とくに問題になりやすい行為の例は、以下のとおりです。

  • 被相続人の口座から預金を引き出す
  • 生命保険の解約返戻金を受け取る
  • 貸金庫から現金や貴重品を持ち出す

やむを得ない支出が発生した場合は、領収書を保管し、記録を残すことが大切です。また、トラブル防止のためにも、事前に他の相続人に共有しておくことが欠かせません。

応じない相続人への効果的な連絡方法

遺産分割協議に応じない相続人がいる場合の対応方法を3つ解説します。

① 遺産分割協議に加わるよう呼びかける

遺産分割協議に応じない相続人がいても、相手の事情を聞き、可能な提案をするなどして協議に加わるように呼びかけることが大事です。

話し合いに応じない相続人は、そもそも遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なことを理解していない可能性もあります。

  • 自分は相続するつもりがないから関係ないと思っている
  • 多忙で時間的な余裕がない
  • 相続税の申告期限があることを知らない

などの事情があるかもしれません。そのため、相手の事情をくみ取りながら、次のように丁寧な対応をする必要があります。

  • 遺産分割協議は全員参加が必要な旨をきちんと伝える
  • 書面でのやり取り・相続放棄の提案など、相手の状況に応じた提案・呼びかけをする

② 弁護士に相談・依頼する

遺産分割協議に応じない相続人がいる場合は、早く弁護士に相談した方がよいです。早期に弁護士に相談すると以下のようなメリットが得られます。

  • 弁護士に交渉を依頼すれば、相続人同士が直接やりとりしなくてもよい
  • 感情的な対立を避けられる
  • 第三者が間に入ることで、双方の精神的な負担も軽減される
  • 相談者と相手方の事情を踏まえ、相続人間の関係を悪化させない適切な提案も検討できる
  • 遺産分割調停・審判の手続きに移行した場合の対応も任せられる

弁護士が間に入れば協議が進みやすくなるため、揉めそうなときはできるだけ早く弁護士に相談しましょう。

③ 遺産分割調停・審判を利用する

どうしても遺産分割協議に応じない相続人がいる場合は、遺産分割調停・審判で解決を図りましょう。家庭裁判所に調停を申し立てれば、それまで協議に応じなかった相続人も、裁判所からの呼出しならやむを得ない、と応じる可能性があります。

調停が不成立となったときは審判手続きに移行し、裁判所が遺産の分割方法を決めることになります(家事事件手続法272条4項)。遺産分割調停の申立ては弁護士に頼まなくてもできますが、一部の相続人が遺産分割協議に反対し揉めているやっかいなケースの場合は、弁護士に依頼した方がよいです。弁護士を代理人に依頼していれば、これらの手続きがスムーズに進められます。

認知症の相続人がいる場合の対処法

相続人の中に認知症の方がいる場合、通常どおりの遺産分割協議は困難です。判断能力が不十分な方に無理に協議書へ署名させた場合、後から協議全体が無効になるリスクがあります。

相続人の中に認知症の方がいる場合は、成年後見制度の利用を検討しましょう。家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることで、選任された後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加してくれます。成年後見人の選任には時間がかかる場合があります。認知症の相続人がいる場合は、早めに弁護士に相談しておくと安心です。なお、成年後見人自身も同じ相続の相続人である場合には、本人との利益相反となるため、遺産分割協議のためには特別代理人の選任(後見監督人がいる場合はその関与)が必要になる点にも注意が必要です。

海外在住の相続人への対応

海外に居住している相続人がいる場合でも、遺産分割協議への参加は必要です。しかし、国内の相続人とは異なり、手続き面でいくつか注意すべき点があります。海外在住の相続人がいる場合の主な注意点は、以下のとおりです。

印鑑証明書の代替:海外在住者は住民登録がないため、印鑑証明書を取得できない場合がある。この場合、在外公館で「署名証明(サイン証明)」を発行してもらうことが大切。

時差・連絡手段:メールやビデオ通話を活用し、時差を考慮してコミュニケーションを取る必要がある。

書類の郵送:国際郵便には日数がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進める。

税務上の扱い:海外居住者にも日本の相続税が課される場合がある。

海外在住の相続人がいるケースでは、手続きの煩雑さから遺産分割が長期化しやすい傾向があります。弁護士に依頼すれば、海外への連絡や書類の手配も含めて代行してもらえるため、スムーズな解決が可能です。

遺産分割に関する解決事例

弁護士法人アクロピースが実際に対応した、遺産分割に関する解決事例を一部ご紹介します。

【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】関係が悪化した相続人との交渉により、不動産の単独取得を実現したケース

被相続人Aさんの遺産分割において、自宅不動産に住み続けたいBさん・Cさんと、疎遠になっていたDさんとの関係が悪化し、協議が難航した事案です。不動産の評価額が預貯金を大きく上回るため、代償金の全額支払いは現実的に困難でした。そこで弊所は、Dさんの父が生前にAさんから金銭的援助を受けていた事実を交渉材料として丁寧に説明。感情的な対立を避けながら交渉を重ねた結果、Dさんの理解を得ることができ、Cさんが自宅不動産を単独で相続する形で円満に解決しました。

【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】婚前の子の存在が判明した相続案件で、大幅な譲歩を引き出した事案

被相続人Aさんの遺産分割において、自宅不動産を相続したいBさんに対し、Aさんに婚前の子Cさんがいたことが判明し、交渉が必要となった事案です。自宅不動産以外にめぼしい遺産がなく、実勢価格の半額を代償金として支払うことも現実的ではありませんでした。弊所は、BさんによるAさんへの介護や金銭的援助の実情を丁寧な書面と対面交渉で説明。Cさんの納得を得ることに成功し、代償金を抑えた形でBさんが自宅不動産を相続する円満な解決に至りました。

【アクロピース解決事例集・遺産分割】父の通帳から消えた数千万円、兄の使途不明金を追及し調停で解決した事例

被相続人Aさんの遺産分割において、生前にAさん名義の口座を管理していた相手方Cさんの下で、数千万円にのぼる使途不明金が判明した事案です。Cさんは「介護のための支出」と主張するのみで、裏付け資料の提出はありませんでした。弊所は依頼人Bさんの日記やメールなどの記録をもとに、出金額が介護の実態と比較して過剰であることを主張。交渉は調停に移行し、家庭裁判所にも主張が認められ、使途不明金の半分以上が認定される形で納得のいく水準の和解が成立しました。

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