特別受益の主張は弁護士に相談すべき?依頼するメリットや費用を解説【弁護士監修】

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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

「特別受益を主張したいが、弁護士に相談すべき?」
「特別受益の主張を弁護士に依頼したら費用はどのくらいかかる?」

他の相続人の特別受益を主張したいときに、このように悩む方は多いのではないでしょうか。

特別受益を受けている相続人がいる場合、遺産分割は複雑になりやすく、公平な解決に向けて専門的な判断が求められます。

弁護士に依頼することで、相続人同士の対立を抑えながら公平な分割案を提示でき、話し合いをスムーズに進めやすくなるのがメリットです。

本記事では、特別受益を弁護士に依頼するメリットや相談すべき理由を詳しく解説します。

弁護士の選び方や依頼費用も紹介しているため、特別受益の問題を解決して公平な遺産分割を行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

特別受益とは?弁護士に依頼する前に知っておきたい基礎知識

特別受益は、公平な遺産分割を行うために考慮する必要があります。

まずは特別受益とは何か、どのケースが該当するのかを理解し、相続トラブルを防ぐ準備を始めましょう。

特別受益とは「被相続人から生前贈与や遺贈を受け取ったときの利益」

特別受益とは被相続人から生前贈与や遺贈を受けたときに発生した利益のことです。たとえば、結婚資金の援助や住宅購入の頭金、事業を始める際の資金などが例として挙げられます。

相続の場では、生前贈与や遺贈を受けた人がその分だけ多く遺産を受け取ると、不公平な分配になりかねません。

そのため、特別受益を相続財産に加えて再計算し、他の相続人との均衡を保つことで円満な遺産分割にします。

(特別受益者の相続分)

第九百三条 第一項

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

引用:民法|第903条1項

ただし、実際に「どの援助が特別受益にあたるのか」を判断するのは簡単ではなく、状況によって扱いが変わることもあります。

特別受益が認められるのは「法定相続人のみ」

特別受益は、誰にでも主張できる制度ではありません。対象となるのは、民法で定められた法定相続人に限られます。

つまり、子どもや配偶者、兄弟姉妹など、相続人としての地位がある人だけが対象となります。(参照:裁判所|Q14 特別受益とは何ですか?

たとえば、親から子へ結婚資金の援助があった場合は特別受益に該当しますが、親が孫に学費を負担していたケースでは原則として対象外です。

「過去に多額の生前贈与を受けた人が親族にいるが、その人が相続人に含まれていない」という場合、特別受益として扱われることはありません。

特別受益に該当する生前贈与のケース

特別受益にあたるのは、相続人が被相続人から生活の基盤となるような大きな支援を受けた場合です。

公平な相続を実現するために、その分を相続財産に加えて計算することが法律で定められています。(参照:民法|第903条1項

特別受益だと判断される代表的なケースは、以下の通りです。

特別受益と判断される代表的なケース
  • 結婚資金や新居のための多額の援助
  • 養子縁組のための贈与
  • 住宅購入の頭金やローン返済の肩代わり
  • 事業資金の提供や開業に必要な支援
  • 高額な教育費・留学費用
  • 遺言による遺贈
  • 居住用不動産や事業用資産の贈与

これらは「生活を支えるまとまった支援」と判断されやすく、特別受益として考慮される可能性があります。

他の相続人がこうした支援を受けている場合、遺産分割協議の際に主張することが大切です。

特別受益に該当しない生前贈与のケース

すべての生前贈与や遺贈が特別受益として扱われるわけではなく、社会通念上「通常の扶養・援助」とみなされる程度の支援は、特別受益にはあたりません。

特別受益に該当しない生前贈与の例は、以下の通りです。

特別受益に該当しない代表的なケース
  • 義務教育にかかる学費
  • 日常生活に必要な生活費や仕送り
  • 医療費
  • 相続人以外の生前贈与・遺贈

このような支援は「通常の扶養・援助」の範囲内と考えられるため、原則として特別受益には含まれないとされています。

また、相続人以外に行った贈与や遺贈も対象外となり、相続時の計算には含まれません。

特別受益の主張が認められにくいケース

特別受益を認めてもらうには、贈与や援助の内容を裏付ける証拠が不可欠です。しかし、証拠があっても特別受益にはあたらないと判断されてしまう場合があります。

特別受益の主張が認められにくいのは、以下のようなケースです。

特別受益の主張が認められにくいケース
  • 援助額が少額にとどまる場合
  • 援助期間が短い場合
  • 贈与の内容が曖昧な場合
  • 他の相続人にも同程度の援助がされている場合

これらはいずれも「証拠が存在しても特別な利益とはいえない」と評価される可能性が高いです。

支援の規模や継続性、援助の目的がはっきりしていない場合は、たとえ振込記録や領収書をそろえても特別受益と認められにくいでしょう。

弁護士 佐々木一夫

主張を認めてもらうためには、通常の扶養や慣習的援助を超えた性質を裏付けられるかどうかが鍵になります。

特別受益の主張を弁護士に相談すべき理由

特別受益の主張は、自分だけで判断して進めると誤解や対立を招きやすいものです。対立を回避しながら手続きを円滑に進めるには、法的な観点からアドバイスをくれる弁護士に相談しましょう。

専門的な視点を持つ弁護士に相談すべき理由は、以下の通りです。

弁護士に相談する必要性を理解し、適切に対処できるようにしましょう。

特別受益に該当するかの判断には法的知識が必要なため

特別受益にあたるかどうかは、一見わかりやすそうに見えても実際は複雑です。「住宅購入の援助は特別受益にあたるか」「留学費用はどう扱われるか」など、判断基準が状況ごとに異なります。

法的知識がないまま主張すると、相続人同士で解釈が食い違い、話し合いが進まなくなる可能性があります。

弁護士に相談すれば、法律に基づいてどのケースが特別受益にあたるのか判断してくれるため、遺産分割協議を円滑に進められるでしょう。

持ち戻しの免除をめぐる争いを防ぐため

被相続人が「持ち戻しを免除する」と意思表示していれば、その贈与は相続分の調整に含めなくてもよいとされています。(参照:民法|第903条3項

(特別受益者の相続分)

第九百三条

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

二 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
三 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

引用:民法|第903条

しかし、この「持ち戻し免除」が有効かどうかは、証拠の有無や書面の内容で争いになりやすい点です。

たとえば、一方の相続人が「免除があるから持ち戻し不要」と主張する一方で、別の相続人は「文言が不十分だ」と反論して争いになるケースもあります。

弁護士に相談すれば、遺言の有効性や文言の解釈を法的に確認してもらえるため、無用な争いを避けやすくなります。トラブルを未然に防ぐためにも、早めに専門家のサポートを受けましょう。

相続人同士の対立の激化を防ぐため

弁護士に相談すれば、相続人同士の感情的な対立を未然に防げるのもメリットです。

特別受益を認めると、その分を相続財産に加えて相続分を再計算するため、各相続人の取り分が大きく変わります。

たとえば、兄が生前に2,000万円の住宅資金を受け取っていた場合、兄の生前贈与分を持ち直して計算すれば、弟や妹の取り分は増えます。

反対に持ち戻しを免除すれば、弟や妹は不公平さを感じる可能性があるでしょう。

このように、特別受益の有無は相続財産の配分を直接左右するため、金額が大きいほど利害がぶつかりやすく、感情的な対立に発展することも少なくありません。

弁護士 佐々木一夫

弁護士に依頼すれば、正確な法的知識や遺産分割協議の実情に基づき調整することができるため、冷静に話し合いを進めやすくなるでしょう。

特別受益を主張するために必要な証拠

特別受益を主張するには、贈与や援助があったと示す証拠をそろえる必要があります。代表的な証拠は、以下の通りです。

特別受益の主張に必要な証拠詳細
振り込み記録・通帳の写し被相続人から相続人への資金援助があった事実を示す資料
領収書・契約書住宅購入費や事業資金として援助された内容を裏付ける書面
借金の完済証明書被相続人の借金を肩代わりしたことを証明できる資料
クレジットカードの取引明細被相続人の生活費をカードで支払った事実を示す記録
贈与契約書・公正証書生前贈与の意思を明確に示す書面
不動産登記簿謄本土地や建物の贈与があったことを証明する書類
メッセージ履歴メールやLINEで援助の趣旨や金額についてやり取りした記録

これらの証拠をそろえることで、単なる扶養や一時的な援助ではなく「特別受益」にあたる行為だったことを客観的に立証しやすくなります。

弁護士 佐々木一夫

特に契約書や登記簿のような客観的資料は重視されるため、早めに収集・整理しておくことが望ましいです。

特別受益の主張を弁護士に依頼するメリット4つ

特別受益をめぐる争いは、法律の専門知識や証拠の評価、相続人同士の交渉など、複雑な要素が絡みます。自分だけで主張すると不利になりやすいため、公平な遺産分割のためにも弁護士に相談しましょう。

特別受益の主張を弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。

これらのメリットを具体的に理解しておくと、弁護士に依頼する意義がより明確になります。自分の状況にあてはめて依頼すべきかどうか判断しましょう。

特別受益にあたるかを法的に判断してもらえる

特別受益に該当するかどうかは、弁護士に判断してもらうのが確実です。

結婚資金や住宅資金の援助などが特別受益にあたるかは、金額の大きさだけで決まりません。

被相続人や相続人の生活水準等によって、社会通念上「生活の基盤づくり」であるか、それとも「扶養の一環」とされるかが変わってくるためです。

弁護士に相談すれば、裁判例や法律に基づいて主張できるケースかどうかはっきり示してもらえます。

特別受益と評価してもらえる可能性が高い場合には、交渉当初より強く主張していきますし、低い場合であっても最後の金額交渉の際に持ち出す等、交渉に向けた戦略面についてもアドバイス可能です。

迷ったときは専門家の判断を仰ぎましょう。

証拠収集・主張を整理してもらえる

弁護士なら、どの証拠が法的に有効かを見極めて主張を整理してくれるため、調停や裁判で説得力が増します。

特別受益を認めてもらうには、単に「援助を受けた」と口頭で説明するだけでは不十分です。振込履歴や領収書、契約書、当時の状況を知る関係者の証言など、裏づけとなる資料が求められます。

しかし、すべての資料が法的に有効とされるわけではなく、自分だけで取捨選択するのは難しいのが実情です。

弁護士なら、証拠の中から有効なものを精査し、相続分の再計算に必要な主張を体系的にまとめてくれます。その結果、交渉段階でも調停手続でも、説得力ある主張を展開しやすくなります。

相続人同士の対立を最小限にできる

前述のとおり、弁護士を介せば相続人同士の対立を抑えやすくなります。たとえば「兄だけ住宅資金をもらっていたのでは?」といった指摘は、当事者同士で直接伝えると感情的な衝突になりやすいものです。

弁護士が入れば、相続人同士が正面から言い合う必要がなくなり、客観的な視点で交渉を進めてもらえます。その結果、家族関係が修復困難になるほど悪化するのを避けられます。

家族間の争いを深めたくない方は、弁護士の関与を検討するのがおすすめです。

調停等、裁判所を使う手続で代理してもらえる

遺産分割調停では、弁護士が代理人となって特別受益の事実を主張してくれます。また、遺産分割協議に付随して生じる不当利得返還請求等の裁判手続でも、弁護士は代理人に就任することができます。

特別受益をめぐる話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での調停や裁判に進むことになります。これらの手続きには、申立書の作成や法的な主張、証拠提出のルールなど専門的な知識が必要です。

弁護士が代理人となれば、依頼者本人が複雑な手続きを一から行う必要がなくなるだけでなく、裁判所での発言や交渉も任せられます。

また、弁護士は、調停や裁判を進めるなかで生じた悩みの相談にも乗ってくれます。

弁護士 佐々木一夫

時間と手間を軽減できるのはもちろん、精神的な負担も少なくなるでしょう。

相続問題で迷った際の
お役立ちガイド

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特別受益の主張を弁護士に依頼して公平な遺産分割につながった事例

ここでは、実際に弁護士が関わることで公平な遺産分割につながった事例をご紹介します。

以下は「特別受益にあたるのかどうか判断が難しい」「相続人同士の意見が食い違っている」という状況でも、専門家の介入で解決に至ったケースです。

スクロールできます
依頼者Bさん
相手(他の相続人)兄弟のCさん
被相続人Aさん
相続財産預貯金その他
遺言なし
相談内容兄弟のCさんが「介護費用として受け取った」と主張している金銭は、特別受益に該当しないのか
詳細兄弟Cさんが被相続人Aさんから毎月数万円を受け取っており、依頼者Bさんは遺産分割で考慮すべきだと考えていた。Cさんは「介護費用だった」と主張したが、Aさんは施設入所中で実際に現金を使う必要はなかったので「贈与なのでは?」と疑問を抱いて弁護士に相談
弁護士が行った対応と時系列Cさんに遺産分割協議を呼びかけ、Cさんの言い分を伺った。
しかし、Cさんは、被相続人Aさんから定期的に金銭を受け取っていたことは認めるものの、Bさんと意見が異なり、双方の意見が平行線をたどったことから、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てた。
介護費用として金銭を受け取っていたことを裏付ける証拠がなかったため、調停では金銭の受領の事実が重視された。
結果として、調停委員から依頼者Bさんが有利になるような分割案が提示され、兄弟のCさんも納得し無事に調停が成立した。

この事例では、被相続人の支出目的を証拠に基づいて整理し、法的に主張を組み立てたことが決め手となりました。

当初は感情的な対立が強かったものの、調停という第三者を交えた場で冷静に話し合いが進みました。結果として、Bさんは疑問を解消しつつ、公平な形で遺産分割を進められる道筋を得られたのです。

このように、弁護士に依頼することで複雑な特別受益の問題も整理しやすくなります。

弁護士 佐々木一夫

特別受益の扱いで迷うときは、早めに専門家へ相談してみましょう。

【項目別】特別受益の主張にかかる弁護士費用一覧

特別受益の主張を弁護士に依頼する場合、弁護士費用を支払う必要があります。

弁護士費用は、大きく分けて以下の5つに分けられます。

費用の目安を知っておけば、資金計画の見通しが立てやすくなります。実際に相談する前に、自分のケースでどの程度かかるのかを見積もりしてもらいましょう。

法律相談料|無料~30分5,000円程度

特別受益に関する問題を相談する際、法律相談料が発生します。多くの法律事務所では初回相談を無料にしていたり、30分5,000円程度に設定していたりするケースが多いです。

「住宅資金の援助は特別受益になるのか」「留学費用はどう扱われるのか」といった疑問を確認できるのは、今後遺産分割を進める上で大きな安心につながります。

まずは初回相談を活用し、自分のケースが主張できるのかを確かめてみましょう。

着手金|20万円~50万円程度(案件によって変動)

特別受益の主張を正式に依頼する場合、着手金として20万~50万円程度が必要になるケースが一般的です。

金額は、争点の複雑さや相続財産の規模によって変わります。たとえば、生前に数千万円の贈与があり、証拠収集や計算が必要な場合は着手金が高めに設定される傾向があります。

着手金は結果の成否にかかわらず発生しますが、専門的な準備を進めてもらうための費用と考えると良いでしょう。依頼前に、見積もりで金額がどれくらいになるのか確認しましょう。

成功報酬|弁護士の関与によって得られた財産の10%~15%程度

成功報酬は、遺産分割交渉がまとまったときに支払う費用です。

成功報酬の目安は、得られた経済的利益に応じて10%~15%です。経済的利益とは、請求などで獲得した金銭的な利益のことをいいます。遺産分割請求における経済的利益は、遺産分割交渉を行った結果得られた金額のことを意味します。

たとえば、遺産分割交渉の結果、2,000万円の遺産を獲得した場合は10%で200万円程度です。成功の程度に応じて金額が決定するため、最終的な結果が出て解決した後に支払います。

実費|5万円~7万円程度

特別受益を主張する際には、調停申立ての手数料や戸籍謄本の取得費用などの「実費」も必要です。5万円~7万円程度が一般的ですが、複数の証拠収集を行う場合は金額が高くなる可能性があります。

手続きに必要な出費のため事前に把握しておきましょう。

日当|移動距離や拘束時間によって金額が変動

裁判所への出廷や遠方での対応が必要な場合は、日当が加算されます。

特別受益をめぐる調停や裁判では、期日に合わせて弁護士が同行するため、時間的拘束への費用が発生します。

金額は、移動距離や拘束時間によって変動しますが、3万円〜10万円程度になるケースが多いです。

ただし、日当が必要かどうかは案件ごとに異なります。

弁護士 佐々木一夫

事前に見積もりを提示してもらえる事務所も多いため、依頼前に確認しておくのがおすすめです。

特別受益の主張を依頼する弁護士の選び方【チェックリスト】

特別受益の主張は、相続分野の中でも判断や証拠の整理が難しい場面が多いため、弁護士選びが解決の大きなカギとなります。専門性や経験の有無を意識して選ぶことで、公平な遺産分割につなげやすくなります。

弁護士を選ぶときは、以下の点を重視しましょう。

特別受益の主張における弁護士の選び方【チェックリスト】
  • 相続分野を専門としているか
  • 特別受益の案件に関する解決実績があるか
  • 持ち戻し免除など複雑な事例にも対応できるか
  • 特別受益の証拠収集や主張整理を具体的にサポートしてくれるか
  • 初回相談で費用や見通しを丁寧に説明してくれるか

たとえば、兄弟の一方が親から結婚資金としてまとまった金額を受け取っていたケースでは、「特別受益に含めるべきか」「慣習的な祝い金にとどまるのか」で判断が分かれることがあります。

相続を専門に扱う弁護士に依頼すれば、過去の判例をもとに判断し、調停や裁判に発展した際にも的確に主張を整理してもらえます。

特別受益を主張する弁護士を選ぶ際は、専門性と実績に加え、依頼者の立場に寄り添ってくれるかどうかを見極めることが大切です。

弁護士 佐々木一夫

まずは無料相談を利用して、自分に合った弁護士を探してみましょう。

特別受益を主張する際の流れ

特別受益を主張するには、段階を踏んで手続きを進めることが重要です。

具体的な流れは、以下の通りです。

特別受益を主張する際の流れ
  1. 特別受益の事実を裏付ける証拠を収集する
  2. 遺産分割協議で主張する
  3. 話し合いで解決できなければ家庭裁判所に調停を申し立てる
  4. 調停でも決着がつかない場合は審判へ進む

まず行うべきは、特別受益があったことを裏付ける証拠の収集です。贈与契約書や通帳の出入金記録、不動産の登記事項証明書など、具体的な証拠をそろえることで説得力が増します。

証拠を確保したら、遺産分割協議で特別受益の有無について主張し、相続人同士の話し合いで合意を目指します。

意見が対立して話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停に移行する流れです。それでも解決に至らなければ、裁判所が判断を下す審判手続きに移行します。(参照:裁判所|遺産分割調停

弁護士 佐々木一夫

自己判断で進めると不利になりかねないため、主張してからの流れを理解して弁護士に相談しながら適切にステップを踏みましょう。

特別受益の弁護士依頼についてよくある質問

特別受益はどこまでさかのぼって主張できますか?

特別受益の持ち戻しには、時効がありません。過去に受けた贈与が何十年前であっても、遺産分割の対象に含めて計算することが可能です。

ただし、実際に主張できる期間は制限されており、相続が始まってから10年以内に申し立てなければなりません。このルールは2023年4月の民法改正で導入されたルールです。(参照:民法|第1044条3項

なお、相続開始から10年以内に家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てていれば、この制限は適用されません。

主張を考えている場合は、証拠の確保とあわせて早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。

特別受益の証拠が見つからない場合はどうすればいいですか?

調査をしても証拠が見つからない場合は、特別受益の主張が認められない可能性が高くなります。

特別受益の主張には証拠が欠かせません。通帳の出入金記録や振込履歴、メールや手書きのメモなど、金銭や財産の授受を裏付ける資料が証拠になります。

遺産分割協議で相続人同士が話し合って円満に分割できるなら良いですが、主張に反論された場合は何らかの形で証拠集めをしなければなりません。

弁護士なら金融機関や関係先に対して開示請求を行える場合もあり、自力では難しい調査も進められる可能性があります。早めに相談し、どのように対応すべきか検討しましょう。

遺産分割協議が10年以内に成立しなかった場合はどうなりますか?

遺産分割協議そのものには期限がないため、10年を過ぎても協議を行うことは可能です。

しかし、相続開始から10年を超えると「特別受益の持ち戻し」は主張できなくなる点には注意しましょう。

その場合、遺産は特別受益を考慮せず、原則は法定相続分に基づいて分けることになります。

弁護士 佐々木一夫

持ち戻しを主張する権利を失う前に、早めに弁護士に相談して遺産分割を進めることが大切です。

生前贈与の特別受益の持ち戻し期間は?

生前贈与の持ち戻し期間には、時効がありません。

ただし、前述のとおり主張できる期間は10年と決められているため、権利を失う前に弁護士と連携しながら手続きを進めましょう。

特別受益の持ち戻し期間は、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:特別受益は遺留分侵害額請求の対象になるのか?2つの関係性や違いについても弁護士が解説

まとめ|特別受益に関する争いは弁護士相談で公平な解決を目指そう

特別受益を得た相続人がいる場合、どの贈与が対象になるのか、持ち戻しが必要かの判断が難しくなります。

自己判断で証拠集めや手続きを進めると、相続人同士の意見が食い違う可能性があるため、弁護士に相談して冷静な話し合いを進めましょう。

また、自分一人で手続きを進めた場合、十分な証拠を揃えられず不利な結果につながる可能性もあります。

弁護士 佐々木一夫

協議や調停、裁判で有利に立ち、公平な遺産分割を行うためにも早めに弁護士に相談しましょう。

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