マンションの管理費滞納による差し押さえは可能なのか?流れや予防策も紹介

管理組合の担当者の中には「マンション内の管理費滞納が増えてきた」「滞納が続いている人に対して差し押さえをすることはできないのか?」という悩みを抱えている方が少なくありません。

マンションの管理費滞納が続く場合は、法的措置を検討する必要があります。

法的措置により管理費滞納を解決したいと考えている管理組合の担当者様は、この記事を最後まで読んで参考にしてください。

マンションの管理費滞納には、不動産トラブルに強い弁護士が強い味方となります。

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目次

マンションの管理費滞納による差し押さえは可能なのか?

電卓と滞納の文字

マンションの所有者が管理費を滞納し、法的手段により支払うべきとの判決が出たにもかかわらず支払わない場合は、強制執行を行うことが可能です。

強制執行とは、相手の財産を差し押さえてそこから直接取り立て、債権の回収に当てる方法です。

マンションの専有部分を差し押さえた場合、それを競売にかけて債権の回収に充てます。

競売とは、強制的に売却して現金化することです。

悪質な滞納が起きた際は、最終的に強制執行による差し押さえを検討しましょう。

マンションの管理費滞納の現状とは

マンションの外観

ここでは、マンションの管理費滞納の現状や背景を解説します。

マンションの管理費滞納は増加傾向にある

国土交通省が公表している「令和5年度マンション総合調査結果」によると、マンションの管理費滞納は増加傾向にあるとされています。

以下は、3ヶ月以上管理費や修繕積立金の滞納をしている人がいるマンションの割合を、平成30年と令和5年で比較した表です。

調査年割合
令和5年30.1%
平成30年24.8%
参考:国土交通省令和5年度マンション総合調査結果 平成30年度マンション総合調査結果

また、調査結果から築年数が経過しているマンションほど管理費を滞納している割合が多いこともわかります。

画像引用:国土交通省令和5年度マンション総合調査結果 31①

ではなぜ管理費を滞納するマンション所有者が増えているのでしょうか?次の章では、滞納が増えている背景を解説します。

管理費滞納の背景

マンションの管理費を滞納する人が増えている背景として、長期的な経済の停滞が考えられます。

マンションの購入者は、世帯年収の増加や安定を見込んでマンションを購入するケースが多いです。

しかし、経済状況が思ったよりも良くならず、管理費の支払いが困難になってしまうケースがあるのです。

また、日本が超高齢化社会に突入していることにより老後資産の減少や、それを危惧する人が増えていることも背景として考えられます。

これは、先述した築年数が古いマンションほど管理費の滞納が多いというデータからもわかります。

「引越したくても金銭的・体力的に難しい」「納得する金額で売却できない」などの理由から、経済的な困窮に陥っているのです。

マンションの管理費滞納による問題点

お客様と話している弁護士

マンションの管理費を滞納することにより発生する問題を確認してみましょう。

修繕計画に支障が生じる

管理費の滞納が発生することで、マンションの修繕計画や管理計画に支障が生じてしまいます。

マンションは一戸建てと異なり、エレベーターやエントランス、廊下や外壁など多くの共用部分があります。

これらをマンションの住民全員で管理・修繕していかなければならず、そのために徴収しているのが管理費や修繕積立金です。

しかし、管理費などが滞納されると、新築当時に定めた修繕計画に狂いが出てしまい、適切な維持管理や修繕が行えなくなってしまいます。

そうなることでマンションの住環境が悪くなり、さらなる滞納者の増加につながります。

居住者の人間関係が悪化する

管理費の滞納により起こる1つ目の問題点は、滞納が原因でマンション内の人間関係が悪化してしまうことです。

これは、マンション内で管理費を「支払う人」と「支払わない人」がいると不公平感が生まれてしまうためです。

マンションは、居住者全員の力を合わせて運営していくものであり、一部の人が管理費を支払わなければ適切な管理ができなくなります。

そのため、滞納を回収できない管理組合への不信感が生じて、住民と管理組合の信頼関係が崩れてしまうことも考えられるでしょう。

マンションの管理費滞納が出た際の差し押さえの流れ

流れを表すイメージ

マンションに滞納が発生した場合、以下の流れで回収・差し押さえが行われます。

それぞれのステップを詳しく解説します。

支払いの督促を行う

差し押さえまでの最初のステップは、管理費を滞納している居住者に対して支払いの督促を行うことです。

管理費の滞納に気付いた時点で、まず居住者へ連絡を入れましょう。

単純に支払いを忘れた、口座の残高が足りなかった、などが考えられるため、電話かポストへ督促状を投函する方法で督促を行います。

上記の方法で支払いがない場合は、内容証明郵便を利用して督促を行いましょう。

内容証明郵便とは、郵便局が配達した日時と内容を公的に証明する郵便です。

郵送する際に、この内容証明郵便が最後通告であることや、滞納を続けた場合は法的措置に移行することを督促状の内容に入れると良いでしょう。

それにより、管理組合の本気度を示すことができます。

内容証明郵便での督促でも支払いがない場合は、管理組合としてこれ以上の対応は難しいと考えられます。

ケースに応じて、ここから紹介する3つの法的措置を検討しましょう。

法的措置①先取特権に基づく競売を申し立てる

1つ目に考えられる法的措置は、先取特権に基づく競売の申し立てを行い、滞納分を回収する方法です。

先取特権とは、契約や裁判の判決がなくても、他の債権者に優先して弁済を受けられる担保権です。

この先取特権を利用して、マンションやマンション内の動産を目的として競売を申し立て手続きを行います。

先取特権に基づく競売のメリットは、裁判を行わずとも競売を申し立てることができる点です。

一方、先取特権により現金化したとしても、売却代金については住宅ローン等の抵当権者が優先されるというデメリットがあります。

売却金額が住宅ローン返済に充てられて、管理費の回収額に不足することが考えられる場合、「無剰余取消し」と呼ばれる取消しにより競売が却下されてしまうのです。

そのため、先取特権に基づく競売は、登記簿などで抵当権などがないかを確認して、優先される債権がない場合に有効な方法だと言えます。

法的措置②管理費等請求訴訟を起こす

2つ目の法的手段は、管理費を請求する訴訟を起こす方法です。訴訟には、支払督促・少額訴訟・通常訴訟などの選択肢があるため、弁護士と相談の上、滞納の状況に応じて選ぶ必要があります。

訴訟の判決で、分割支払による和解や滞納額が確定すると、居住者の支払い義務が発生します。

判決にしたがって支払いがされれば滞納問題は解決しますが、それでも支払いがない場合は、改めて居住者の財産を差し押さえるなどの強制執行で滞納分を回収することになるのです。

マンション以外の財産も差し押さえる場合、居住者にどのような財産があるのかを調査しなければなりません。調査方法として、主に次の3つが挙げられます。

  • 弁護士会照会
  • 財産開示手続
  • 第三者からの情報取得手続等の財産調査手続

訴訟は時間や手間がかかりますが、差し押さえられる財産が広い範囲に及ぶため、滞納分を回収できる可能性が高い方法だと言えます。

弁護士法人アクロピースには不動産問題に強い弁護士が多数在籍しているので、管理費の滞納トラブルに最適なアドバイスをご提案いたします。

これまで培ってきた豊富な経験とノウハウで、滞納分の回収や訴訟手続きまでお客様に合った方法でサポートさせていただきます。

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法的措置③区分所有法59条に基づく競売

マンションに抵当権が設定されていても、区分所有法59条に基づく競売であれば、競売により滞納分を回収することが可能です。

区分所有法59条では、一定の条件を満たせば競売を申し立てる権利を認めており、住宅ローンによる抵当権があっても無剰余取消されないという特徴があります。

区分所有法59条に基づく競売が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 共同の利益に反する行為をした、または行為をするおそれがある
  • 他の居住者の共同生活に著しい障害が発生する
  • 他の方法によりその障害を除去して他の居住者の共同生活を維持することが難しい

区分所有法59条に基づく競売でも居住者から滞納分を回収できなかった場合、区分所有法8条にもとづいて、新たな所有者に支払いを求めることができますし、従前の所有者にも支払い義務は残ります。

それにより滞納分の管理費を回収できる可能性が高まるでしょう。

マンションの管理費滞納の予防策3選

家と判決のイメージ

管理費の滞納を防ぐ有効的な対策は、主に次の3つです。

それぞれの対策を解説します。

口座振替で徴収する

1つ目の対策は、振り込みではなく口座振替を利用して徴収する方法です。

すでに多くのマンションで採用されている方法ですが、口座振替を利用することで、うっかり振り込みを忘れてしまったという事態を避けることができます。

さらに、口座から引き落とされる数日前に、引き落としの日を知らせる手紙を投函したり張り紙を貼ったりすることで、残高不足を防ぐ効果も期待できます。

管理費の重要性を徹底周知する

マンションの住民に管理費の重要性を徹底して知ってもらうことも、管理費滞納の対策として有効です。

たとえば、マンション管理に要している費用や修繕積立金の重要性を資料にまとめて住民に配布することで、マンションの維持管理に無関心な人に管理費の重要性を知ってもらえるでしょう。

さらに、管理規約の条項に「管理費を滞納した場合に損害遅延金が発生する」という内容を入れる対策も考えられます。

滞納した場合のデメリットを理解してもらうことで、滞納を予防する効果が期待できます。

滞納額が大きくなる前に対処する

滞納が起きた場合、金額が大きくなる前に早い段階から対応することも重要なポイントです。

滞納を放置すると、滞納が再発したり他の住民に滞納が広がってしまったりするおそれがあります。

また、滞納額が増えると解決までに長い期間を要することになるため、滞納額が少ないうちに解決することが重要です。

マンションの管理費滞納の差し押さえ対象と注意点

家財を運び出す作業員

管理費の滞納による差し押さえをスムーズに進めるためにも、ここで紹介する差し押さえ対象と注意点をしっかり理解しておきましょう。

差し押さえ対象一覧

判決により強制執行で取り立てられる財産には、主に以下が挙げられます。

  • 銀行預金
  • 給与
  • 現金(66万円以下は不可)
  • 骨董品や貴金属など自宅にある動産(生活に必要な家具・家電は不可)
  • マンションの専有部分などの不動産

給与は税金や通勤手当などを引いた金額の4分の1までを差し押さえることができます。ただし、請求債権額を満たすまで毎月継続して差し押さえることが可能です。

差し押さえる際の注意点

差し押さえを行う際の1つ目の注意点として、預金や資産を差し押さえる場合は、財産を特定しなければいけないことが挙げられます。

どの銀行に預金口座があるのかを把握しなければ、差し押さえができません。

ただし、先述したとおり「弁護士会照会」「財産開示手続」などを利用することで、ある程度の資産の調査が可能です。

2つ目の注意点は、差し押さえが他の債権者と競合する可能性があることです。

回収できる金額は他の債権者と平等に取り扱われるため、競合する債権者が多いほど回収額が大幅に減ることになるでしょう。

資産に抵当権が設定されている場合は、設定順位に従って優先的に返済を受けます。

そのため、ケースによっては差し押さえを行っても、すべての滞納分を回収できないおそれがあります。

マンションの管理費が回収できなくなる時効に注意する

差し押さえと家

マンションの管理費滞納には、時効があることを理解しておかなければなりません。

マンションの管理費滞納の時効期間は5年民法第166条と定められています。

つまり、管理費を滞納してから5年間何らかの対応をしなければ、回収することができなくなってしまうのです。

ただし、裁判手続きを行うことで時効の完成が猶予されます。

たとえば、あと数週間で時効が成立するという場合でも、訴訟を起こすことで裁判中は時効が完成しないのです。

滞納分の管理費を回収するために動いていたとしても、時効が成立すると為す術がなくなってしまいます。

滞納を長期間放置している場合は、時効期間を意識して回収に向けた方法を検討しましょう。

まとめ|管理費滞納には早期に対応し法的措置を検討しよう

六法全書と弁護士バッジ

この記事では、管理費の滞納に対して、差し押さえの措置を取ることができるのかについて解説しました。

管理費滞納に対する差し押さえのまとめ
  • マンションの管理費滞納が起きた場合、判決によりマンションの専有部分や車、預金などの資産を差し押さえることができる
  • マンションの管理費滞納は、ここ数年で増加傾向にある
  • 管理費の滞納が起こると、住民間の人間関係が悪化したりマンションの修繕計画に狂いが出てしまう
  • 管理費の滞納を防ぐためには、管理費の重要性を徹底周知し滞納が増える前に対処することが重要である
  • 滞納分を回収するにあたり、5年間の時効期間に注意しなければならない

マンションの管理組合にとって、管理費の滞納は避けて通れない事態です。しかし、滞納に対して何の対応もしないままでいると、問題が長期化して取り返しがつかなくなるおそれがあります。

管理費の滞納をスムーズに解決しマンション運営を適切に行うためには、法律の専門家である弁護士への相談が不可欠となるでしょう。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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