瑕疵担保責任の時効は?追及できる期間や時効消滅、免責の可能性に関する注意点

瑕疵担保責任を追及できる期間や時効消滅、免責の可能性に関する注意点

後になってから気付く「瑕疵」の責任を追及するには、期限や時効、免責の可能性について知っておく必要があります。

記事の要点・結論

契約不適合責任とは:不動産売買で、引き渡された物件が契約内容と異なる状態だった場合に売主が負う責任。

契約不適合が問題になりやすいケース:建物の欠陥、境界トラブル、埋設物などが後から発覚すると契約不適合と判断されることがあります。

買主が請求できる主な権利:契約不適合がある場合、買主は修理請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除などを求めることができます。

免責特約があっても責任が生じる場合:契約書で責任を免除していても、売主が不具合を知りながら告げなかった場合は免責が認められないことがあります。

不動産売買トラブルの対処法:契約不適合を巡る紛争は法的判断が必要になることが多い分野です。証拠や契約内容を整理し、早めに弁護士へ相談することが適切な解決のカギ。

ここでは、契約書や関連法を確認した上で、瑕疵担保責任を追及できる期間や消滅時効、免責の可能性について重要な点を整理していきます。

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目次

物件に存在した欠陥に対し売主が負う責任を「瑕疵担保責任」と呼ぶ

不動産を購入し、後になってから欠陥があることに気が付くことがあります。

こういった欠陥を「瑕疵」と呼び、買主は瑕疵に気付いてから1年以内であれば、売主に対し損害賠償あるいは契約解除を求めることができます。

これを瑕疵担保責任と言います。

例えばマンションを購入し住み始めてみると、雨漏りがすることがわかったり、壁にひびが走っているのを見つけたりすることがあります。

欠陥がある物件は日常生活を送る上で不便や危険性を伴うものですから、それがわかっていれば買主は購入には至らなかったはずです。

この時、民法に基づく以下の定めに従って、売主に対して責任を追及することができる可能性があります。

  • 民法第570条により、買主は売主に対し損害賠償請求を行うことができる。
  • 民法第570条により、瑕疵の程度が契約の目的を達成できないほど大きい場合は、売買契約自体を解除できる。
  • 民法上では、責任追及について期限を定めていないため、契約書において売主と買主が任意に期間を定めることが可能である。
  • ただし権利行使期間は買主が瑕疵に気付いた時から1年以内とされているため、その間に損害賠償請求や契約解除を行わなければならない。

どの程度の欠陥なら瑕疵として責任追及できるのか分かりませんよね。

雨漏りやひび割れなど、欠陥の程度については以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。

関連記事:購入後マンションに欠陥を発見した場合の保証と損害賠償請求について

新築物件は10年保証が義務付けられているが、契約書では2年程度に短縮されることがある

住宅の品質確保の促進等に関する法律により、売主は新築物件に対し10年間の保証を行うことが義務付けられています。

対象となるのは建物の基礎や柱、床や筋交いなどの構造体力上主要な部分と、屋根や外壁等の雨水侵入を防止する部分となり、買主は修補や損害賠償、修補不可能である場合は契約解除を求めることができます。

これに対し売主は無償で修補に応じたり、損害を賠償したり、契約解除に応じなければいけません。

ただし、売主側も認識できない瑕疵が存在するのも事実であることから、期限を定めない限りいつまでも買主から瑕疵担保責任を追及される可能性があります。

これでは売主の立場を常に不安定にするため、契約書において売主の瑕疵担保責任を追及できる期間を1~2年程度としたり、瑕疵担保責任そのものを免除したりする場合があります。

買主としてはこの部分をしっかりと確認した上で契約に合意しなければなりません。

自分自身が売主の立場であれば、できる限り瑕疵担保責任を免除してもらうことが重要です。

瑕疵担保責任がついてしまうと、売った後も一定期間は瑕疵があった場合に責任を追及されてしまいます。

すっきりしない時間が長いと不安も募りますので、多少値引きしたとしても瑕疵担保責任を免除してもらえるのであればその方が良いでしょう。

反対に、買主側の場合瑕疵担保責任期間ができる限り長い方が安心です。

また最近ではホームインスペクション(住宅診断)を国が推進しています。

古い住宅は外観だけ見ても本当に大丈夫な物件なのか判断がつきません。

購入後のトラブルを回避するためにも、専門家に一度ホームインスペクションをお願いして確認してもらってから購入する方が確実でしょう。

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損害賠償請求の権利は10年で時効となり責任追及できなくなる

平成13年の最高裁判所による判例では、瑕疵担保責任に対する損害賠償請求の権利は10年で消滅時効を迎えるとしました。

買主が物件を購入し引き渡しを受けた時を起算日として、10年以内に瑕疵を発見しかつ損害賠償請求を行わなかった場合、以降は責任追及する権利を失うことになります。

もし消滅時効の定めがなかった場合、買主が瑕疵を発見しない限りいつまでも責任追及の権利を有しているため、売主側に過度の負担を与えることに繋がります。

このような事態を避けるため、最高裁判所は、瑕疵担保の損害賠償請求権利を10年で時効とするのが相当と判断したのです。

従って買主には、常に購入物件の状態を確認し必要に応じて点検する等して、瑕疵を早期に発見できる努力が求められます。

瑕疵担保責任の期間を自分だけで判断する3つのリスク

瑕疵担保責任の期間は『契約・売主の属性・特約・時効』の4軸で変わります。本人判断で『もう間に合わない』と諦めてしまい、本来取れる請求権を放棄してしまうケースが多くあります。

ここでは、期間判断を本人だけで行った場合に起きやすい3つのリスクを整理します。

弁護士 佐々木一夫

「もう期限切れかな」と諦めて来られる方の3割は、まだ請求できる余地が残っているケースです。

リスク1|契約書の『免責特約』を見落として諦めてしまう

中古物件の売買契約書には『瑕疵担保免責』『現状有姿』といった特約が付いていることがあります。多くの方は『書いてあるから請求できない』と諦めてしまいます。

しかし、売主が瑕疵の存在を知りながら告げなかった場合(民法572条)など、免責特約が無効になるケースは少なくありません。

特約の文言だけで判断せず、契約締結時の状況・重要事項説明書の記載・告知書の有無など、複数の観点から検討する必要があります。

リスク2|時効中断(更新)の方法を誤り権利を失う

時効が迫っている場合、内容証明郵便での催告や訴訟提起で時効を中断(更新)させることができます。しかし、内容証明だけでは『催告』に過ぎず、6ヶ月以内に裁判上の請求を行わないと中断効果が失われます。

本人ではこの時効ルールの細かい運用を踏まえた手続きが難しく、せっかく内容証明を送ったのに権利消滅してしまうケースもあります。

リスク3|現況確認書・告知書の文言で不利な前提を作ってしまう

売買時に取り交わす現況確認書や物件状況等告知書に『瑕疵を承知の上で購入した』ような文言にサインしてしまうと、後の請求で『買主は瑕疵を知っていたはず』と反論される根拠を作ってしまいます。

本人で売買を進めると、売主側から提示された書面に深く考えずサインし、後で大きな不利を被るケースがあります。

弁護士 佐々木一夫

書面のサイン1つで権利を失っているケースは本当に多いです。サイン前に一度ご相談ください。

違法設計や手抜き工事に対しては不法行為責任として追及可能

民法第724条では、不法行為責任を追及する場合、被害者が損害と加害者を認識した時点から3年で権利は時効消滅するとしています。

逆に言えば、違法設計や手抜き工事等の不法行為が原因となる損害を被害者側が発見できなかったり、加害者が誰になるかも認識できないままだったりする場合、そもそも時効計算自体が開始しないことになります。

瑕疵担保責任の時効は10年であり、瑕疵に気付いてから1年以内に権利を行使する必要がありますが、不法行為責任の場合は不法行為があってから20年以内を除斥期間とし、被害者が被害と加害者の両方を認識してから3年で消滅時効を迎えます。

法で定めた期間に権利を行使しなければ権利消滅となるため、不法行為責任の場合は20年以内に訴訟を起こす必要があります。

これを除斥期間と呼びます。

20年の除斥期間中に不法行為責任を認識し3年以内に損害賠償請求等を行わなかった場合、行使されなかった権利は消滅時効を迎え消滅します。

瑕疵担保責任の場合、10年の除斥期間が経過して責任追及できないとしても、それが不法行為責任でもある場合は、除斥期間が20年であるため責任追及できる可能性があります。

期間が経過していそうでも弁護士に相談すべき3つの理由

『もう間に合わないかも』と感じる段階こそ、弁護士相談が活きます。ここでは、期間が経過しているように見えても弁護士に相談すべき3つの理由を整理します。

弁護士 佐々木一夫

相談料無料の事務所も多いので、諦める前に一度相談される方が結果的に得です。

理由1|契約書精査で『免責特約の無効』を主張できる場合がある

弁護士は契約書を判例ベースで精査し、免責特約の有効性を判断します。素人判断では『書いてあるから無理』で諦めてしまうケースを、法的な無効主張で救えることがあります。

『契約書に何が書いてあるか』ではなく『その特約が法的に通用するか』が論点になります。

理由2|証拠保全(建築士の調査・撮影)で時間切れを防ぐ

建物の状況は時間とともに変化していきます。雨漏りの跡が拭き取られたり、ひび割れが補修されたりすると、後から『瑕疵があった』と立証しづらくなります。

弁護士は、証拠保全の必要性を判断し、建築士など専門家を素早く動かして調査・撮影を行います。これによって時効ぎりぎりでも勝てる証拠を確保できます。

理由3|不法行為構成(時効10年)に切り替えて主張できる

契約不適合責任の期間を過ぎていても、ずさん設計・手抜き工事については不法行為(民法709条)として構成し直すことができます。不法行為であれば、損害発生から10年・損害および加害者を知った時から3年の時効が適用されます。

『契約期間は過ぎたから無理』と思っていたケースでも、構成を変えるだけで請求可能になることが多々あります。

困難を伴う瑕疵担保責任問題は速やかに弁護士へ相談を

民法や宅建業法、建築関連法等の定めが複雑に絡み、かつ期間や時効計算が変化しやすい問題であるため、瑕疵担保責任の追及は困難を伴うものとなります。

このためご自身だけで抱え込んでしまうと負担が過度になり、しかも解決が遠のいてしまう可能性も出てきます。

当事務所では、難解な瑕疵担保責任問題でもできるだけわかりやすく説明し、理解と納得を頂いた上で迅速な手続きを行うよう心がけています。

売買契約書や設計図、瑕疵の写真等の参考資料をご持参の上、ぜひお気軽にご相談ください。

期間が問題になった瑕疵担保ケースを解決した事例2選

期間を理由に諦めかけた方が、解決に至った2例をご紹介します。

弁護士 佐々木一夫

同じ「期限切れ」でも、構成を変えるだけで道が開けることが多々あります。

事例1|契約から3年経過後に発覚した瑕疵を不法行為構成で回収した事例

新築マンション購入後3年経過した時点で重大な構造瑕疵が発覚したケースです。契約不適合責任は期間内でしたが、より大きな損害賠償を狙うため不法行為構成も並行して主張。

建築士の調査でずさん施工が立証されたため、不法行為(時効10年)で請求し、修補費に加え慰謝料も含めた満額回収に成功しました。

関連記事 → https://acropiece-lawfirm.com/fudosan/defect_trouble/

事例2|免責特約付きの中古売買で隠れた瑕疵を立証し修補費を回収した事例

『現状有姿』『瑕疵担保免責』特約が付いた中古一戸建ての売買で、購入後にシロアリ被害が発覚したケースです。

売主が事前に被害を把握していたにもかかわらず告知していなかったことを、近隣住民の証言と業者の点検記録から立証。民法572条により免責特約が無効と認定され、修補費を全額回収しました。

関連記事 → https://acropiece-lawfirm.com/fudosan/defect_trouble/

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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