強制退去後の荷物引き取りはどうするの?法的手続きや発生する費用も解説!

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

強制退去時に荷物がそのまま放置されている場合、適切な対処法は何か、どうすればいいのか悩んでいる方もいるでしょう。

  • 「強制退去をしたいが、荷物が部屋に残されそうで困っている…」
  • 「荷物を処分するにはどんな方法がある?」
  • 「強制退去後の費用はどれくらい必要か、知りたい。」

本記事では上記の悩みを解決できる記事となっています。

記事前半では強制退去における荷物の取り扱いについて、後半では強制退去の荷物引き取りにかかる費用について解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容を参考にして、強制退去で放置された荷物を適切に処理するためのアクションを明確にしましょう。

強制退去後における家賃滞納者の荷物の取り扱い

玄関の前に立つ大家

強制退去後における荷物の取り扱いの注意点を2つ紹介します。

  • 荷物は一定期間、保管をしなければならない
  • 勝手な荷物の処分はNG

強制退去が決まっても、慎重に家賃滞納者の荷物は取り扱うようにしましょう。

荷物は一定期間、保管をしなければならない

強制執行の日に賃借人がすでに退去し、荷物が片付いていない場合でも、一定期間保管をしなければなりません。

たとえば、賃借人が不在である場合や、本人がいても荷物の処分について話し合いで決着がつかないケースでは下表のような手続きを進める必要があります。

項目 詳細
1.荷物の保管 執行官が荷物を一定期間保管し、その間に賃借人が引き取りに来るのを待ちます。

保管期間に定めがありませんが、通常は裁判所指定の保管場所で約1ヶ月程度保管されます。

2.引き取りがない場合の対応 賃借人が荷物を引き取らない場合、荷物は競売にかけられます。競売が成立するまで荷物は保管され続けます。
3.競売で売れなかった荷物の処分 競売で売れなかった荷物については、貸主が買い取り、保管終了です。その後、荷物は廃棄されます。

上表のように、家賃滞納者の荷物の処理には一定の手続きが必要であり、法律に従った対応が求められます。

勝手な荷物の処分はNG

家賃滞納者の荷物は個人の財産であり、明け渡し命令が出ても大家が勝手に処分することはできません。

仮に連帯保証人であっても、無断での荷物処分は許されていません。明け渡し命令は不動産に対してのみ適用され、荷物は対象外です。

もし無断で荷物を処分すると、財産権の侵害として不法行為に該当し、損害賠償を請求される可能性があります。滞納者の荷物を無断で処分することは、法的な問題を引き起こすため、必ず適切な手続きを踏みましょう。

強制退去の荷物を処分する方法2選

荷物の入った段ボールにテープを貼る人

荷物の取り扱いについて理解が深まったら、強制退去の荷物を処分する方法について解説します。

  1. 滞納者との交渉
  2. 法的手段

2つの方法があるので、どちらの選択肢がよいのか、検討しながら読んでみてください。

①滞納者との交渉

滞納者が強制執行の日に物件にいる場合、交渉によって解決を図れます。滞納者と書面で合意し、荷物の引き取り期限を忘れずに設定しておきましょう。

合意書には、期限までに荷物を引き取らない場合は処分する旨を明記します。

②法的手段

法的手段とは、執行官が荷物を処分する方法です。

執行官は一定期間、荷物を保管して滞納者に荷物の引き取りを促します。

一定期間が過ぎても引き取りがない場合、荷物は競売にかけられ、もし売れた場合は売却益は家賃滞納分に充当されます。

逆にもし、売却されなかった荷物は次の2パターンに大別できるでしょう。

  • 貸主が引き取る
  • 廃棄処分

上記の手続きにより、法的に正当な形で荷物の処理が行われます。

法的手段については「荷物は一定期間、保管をしなければならない」の表をぜひご参照ください。

強制退去にかかる費用

強制退去にかかる費用を計算するための道具

強制執行(強制退去)は、法律上の権利や賃金債権、建物明け渡し請求権を強制的に実現する手続きです。

強制退去の際には執行官が借家人を退去させ、次のもの全てを運び出して空室にします。

  • 同居する家族
  • 家具
  • 動産類(現金・商品・家財などの財産)

運び出された荷物はトラックで倉庫に運ばれて保管されます。

一連の作業には、執行官を補助する専門業者「執行立会人」や、建物の鍵を外から開ける場合に必要な「解錠技術者」が依頼されます。

かかる費用の目安は下表の通りです。

費用項目 価格
解錠技術者費用 1回約2万円~
荷物の運搬費用 1Rの場合:約10万円~

一般家庭の場合:約30~50万円

廃棄処分費用 約2~4万円

上表のように少なくとも14万円以上は費用がかかるため、強制執行には経済的な負担が伴います。

強制執行の費用については、下記の記事もご参照ください。

関連記事:家賃滞納者の追い出し方はこれ!強制退去のステップと費用

強制執行の費用は全て自己負担

引き取り手が見つからない場合は、回収作業にかかる作業員やトラック代などの費用は全て自己負担となります。

執行立会人は下記のように発生する費用を見積もります。

  • 立ち退きのためのトラック
  • 荷物の保管場所
  • 当日の人手
  • 解錠技術者の費用

引き取り手がいない場合、次の費用を払わなくてはなりません。

  • 運搬
  • 保管
  • 廃棄
  • 処分

最悪のケースとしては、全て自己負担となるので留意しておきましょう。

実際に法律でも下記にある民事執行法第168条第5項に基づき、可能であれば目的外の動産は借家人や親族に引き渡す必要があります。

執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。

引用:民事執行法第168条5項

最終的に、強制退去の荷物の引き取りには必ず費用が発生する点がポイントとなります。

費用が返金されるケースも存在

強制退去にかかる費用が返金されるケースもあります。

強制執行の申し立て時に執行官に預けるお金を「予納金」といいます。

予納金から実際にかかった費用(執行官の手数料)が差し引かれ、手続きが終了した際に、余剰があれば返金される仕組みです。

強制退去における弁護士費用

お金と貯金箱と電卓

強制退去の手続きは個人でもできますが、弁護士に依頼することで効率的に進行できます。

まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士法人アクロピースでは、初回60分の相談が無料です。

詳しくは弊社の不動産トラブル別料金表をご覧ください。

強制退去のトラブルを弁護士に相談するメリット

相談している男女

この章では、強制退去のトラブルを弁護士に相談するメリットを2つ解説します。

  • 複雑な法的手続きを全てお任せできる
  • 強制退去まで至らずに退去してくれる可能性が高まる

強制退去は裁判所もかかわることとなり、手続きがたいへん複雑です。あなたの悩みが解消できるか、確認してみましょう。

複雑な法的手続きを全てお任せできる

弁護士に依頼する最大のメリットは、次の法的にも複雑な「強制退去までの手順」を全てお任せできる点です。

  1. 内容証明郵便の送付
  2. 明渡請求訴訟の提起
  3. 強制執行の申し立て
  4. 執行官との打ち合わせ
  5. 強制執行の実施

弁護士に依頼することで、強制退去の手続きが効率的に進むでしょう。複雑な法的手続きを全て代理してもらえて、本人が手間や時間をかける必要がなくなるためです。

経験豊富な弁護士は、手続きをスムーズに進められ、執行官との打ち合わせだけでなく執行業者・鍵業者の手配にも慣れています。

弁護士に依頼することで、安心して強制退去の手続きを任せられます。

強制退去まで至らずに退去してくれる可能性が高まる

家賃滞納が始まった初期段階で弁護士に相談すると、強制退去まで至らずに任意退去の可能性が高まります。代理人として賃借人と交渉し、賃料の支払いに合意することや任意退去の可能性を引き出せるためです。

強制退去は高額な費用が発生するため、できるだけ避けたいところです。

早期から弁護士に依頼すれば強制退去を避けられ、結果的に費用を抑えられるメリットがあります。

まとめ

山積みになった段ボール箱

強制退去における荷物の引き取りについてまとめると、次のようになります。

  • 荷物は一定期間、保管をしなければならない
  • 勝手な荷物の処分はNG
  • 強制退去の荷物を処分する方法
    1. 滞納者との交渉
    2. 法的手段
  • 強制退去にかかる費用は約14万円〜
  • 強制執行の費用は全て自己負担
  • 強制退去のトラブルを弁護士に相談するメリット
    1. 複雑な法的手続きを全てお任せできる
    2. 強制退去まで至らずに退去してくれる可能性が高まる

強制退去後も、家賃滞納者の荷物は大家の悩みのタネとして残り続けるでしょう。

さらに、法律に基づき適正な手順を踏まなければなりません。

はじめに、何から対応すべきかわからないときは弁護士に相談てみましょう。

弁護士法人アクロピースは、強制退去によるトラブルなどの、不動産問題に強い弁護士が多数在籍しております。

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