持分放棄のやり方!権利移転登記手続に必要な書類や費用・注意点を解説

共有不動産は自分が自由に利用や処分できないため、共有状態を解消したいと考える方もいるでしょう。

共有状態から抜け出す方法として「持分放棄」がありますが、やり方がよくわからない方も多いのではないでしょうか

持分放棄は自分だけでできる「共有状態の解消方法」です。

やり方は登記が必要なため、共有者の協力も欠かせません

本記事では、持分放棄のやり方について、具体的な手順・必要書類や注意点について詳しく解説します。

不動産の持分放棄のやり方で悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

そもそも持分放棄とは

持分放棄とは

持分の放棄とは、文字通り自身の共有持分を放棄することです。

共有持分とは不動産を複数の人で共有している場合に、共有している人それぞれが持つ所有権の割合です。

民法は、共有持分を放棄すると「その持分は、他の共有者に帰属する民法255条)」と規定しています。

たとえば、ABCが1/3ずつ持分を持つときに、Cだけが持分放棄すると、Cの持分がA・Bのものになり、A・Bが各1/2ずつ持分を有することになります。

共有持分の放棄と似た言葉に「相続放棄」がありますが、相続放棄とは遺産に関する権利をすべて放棄することです。

「共有持分の放棄」と「相続放棄」では、次のような違いがあります。

持分放棄相続放棄
必要な手続き共有者の意思表示だけでできる家庭裁判所に相続放棄の申述が必要
放棄の期限期限はない相続開始を知ったときから3か月以内民法915条1項
放棄の対象放棄対象とした不動産の共有持分のみ相続に関する一切の権利

持分放棄については、次の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

関連記事:「共有持分放棄は早い者勝ち」は本当なのか?相続放棄との違い・検討すべき5つのケース

持分放棄のやり方

持分放棄のやり方

共有持分の放棄には、次の2つのステップで行います。

持分放棄の意思表示をする

まず他の共有者に対して、口頭で持分放棄の意思表示をします。

その後、配達証明付き内容証明郵便を送付し、持分放棄の意思を示した記録を残しておきましょう。

ただし、内容証明郵便を突然、送ると不審に思われるかもしれません。

その後の共有者との話し合いがスムーズに進まなくなるおそれもあります。そのため、まず口頭で放棄の意思を伝えるようにしてください。

配達証明付き内容証明郵便は、話し合いがうまくいかず訴訟になる場合に証拠になります。

重要なものですから、間違いがないよう弁護士に作成・送付を依頼する方がよいでしょう。

持分放棄の登記手続きをする

持分放棄は、意思表示だけでは対外的な効果はなく、持分の権利移転登記が必要になります。

持分放棄そのものは他の共有者の同意を得る必要はありませんが、権利移転登記を進めるときに、共有者の住民票などの書類が必要です。そのため、共有者の協力は欠かせません。

共有者が持分放棄の登記手続に協力しなければ、手続きが面倒になります。

具体的には、裁判所に「登記引取請求訴訟(後で詳しく説明)」を提起し、共有者単独での共有持分移転登記申請を認めてもらう必要があります。

持分放棄を検討する3つの理由

持分放棄を検討する理由

財産的価値がある持分を放棄してまで手放したいと考える主な理由は、次の通りです。

トラブルを避けたい

持分放棄をする大きな理由の1つは、共有関係のトラブルを避けたいためです。

共有の場合、管理や処分をめぐって次のようなトラブルがあり得ます。

  • 共有不動産を売る場合は共有者全員の同意が必要で、1人でも反対すれば売却できない
  • 共有者は持分割合に応じ固定資産税や管理費を負担する必要があるが、共有者の連帯債務のため、経費を負担しない共有者がいる場合は、立替をめぐって揉めることがある
  • 共有者同士が疎遠で顔を合わせることもなかったため、話し合いができない場合がある

面倒なトラブルに巻き込まれることは避けたいと、放棄を決断する場合も多いでしょう。

共有の面倒を子や孫に引き継ぎたくない

共有の面倒を子や孫に引き継ぎたくないことも、持分放棄の理由になることがあります。

共有不動産を活用できるのであれば、多少トラブルがあっても、他の共有者と何とか話し合いをして有効活用や処分方法を検討したいと思うでしょう。

しかし、物件の所在地が遠方、地目は活用が困難な山林等などの場合、保有し続けるメリットがないと感じるかもしれません。

持分を持ち続けても、相続で揉めるだけの場合もあります

子や孫に面倒な事態を引き継がせるよりは、自分が生存中に持分放棄した方がよいと考える場合も多いでしょう。

管理の負担が重荷

共有不動産を持っていれば、共有者全員に管理義務がありますが、管理の手間や費用負担が重荷になる場合もあるでしょう。

たとえば、土地や建物を使わずに長期間放置していると、雑草の繁茂や建物老朽化などのため近隣の方に迷惑をかけることや、放火などのリスクもあります。

使っていない物件でも定期的な維持管理が必要で、手間も時間もかかります。

しかも、維持管理の費用や固定資産税などの税金が重荷になることもあるのです。

このような場合、活用が見込めない共有物の持分放棄を検討することになるでしょう。

共有持分移転登記の申請先と必要書類

必要書類

共有持分移転登記の申請先と必要書類を紹介します。

共有持分移転登記の申請先

持分放棄の権利移転登記申請は、共有不動産の所在地の管轄法務局に行いましょう。

法務局の窓口に持参するか、郵送もできます。

電子文書の交付に対応している書類は、オンライン提出も可能です。

ただし、持分移転登記は、他の共有者とともに行う必要があります。他の共有者の協力が欠かせません

持分放棄の登記手続きに必要な書類

持分放棄のための登記(権利移転登記)に必要な書類は、次の通りです。

他の共有者の本人確認書や認印などが必要なため、注意しましょう。

準備する人必要な書類
持分を放棄する人(登記義務者)登記申請書:法務局公式サイトで入手可能登記原因証明情報登記識別情報:不動産を管轄する登記所が発行固定資産評価証明書:市区町村の担当窓口で取得印鑑証明:市区町村の担当窓口で取得実印委任状:(代理人が申請する場合)
他の共有者(登記権利者)住民票本人確認資料認印

持分放棄手続きが進まない場合のやり方(登記引取請求訴訟)

共有者が登記に協力してくれないために、持分放棄手続きが進まない場合のやりか方を説明します。

持分放棄をしたくても共有者が登記に協力してくれなければ、「登記引取請求訴訟」を起こさなければなりません。

「登記引取請求訴訟」は、登記申請権があることを、持分放棄した人が裁判所に訴える訴訟です

訴訟で「登記引取請求認容判決」を得ることができれば、登記義務者(持分を放棄する人)が単独で持分移転登記を申請できます不動産登記法63条1項)。

登記引取請求訴訟の手順と必要書類は次の通りです。

手順配達証明付き内容証明郵便で持分放棄の意思表示をする共有者の住所地を管轄する裁判所(共有者が複数いる場合は、すべての管轄裁判所)に訴状を提出
必要書類訴状添付書類:不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書証拠書類の写し:放棄の意思表示をした内容証明郵便の写しなど

持分放棄をする場合の注意点

注意点

共有持分を放棄する場合の注意点を紹介します。

1.放棄した年の固定資産税等の納付義務がある

持分を放棄しても、放棄した年の固定資産税・都市計画税は、原則として放棄した人が納付する必要があります。

固定資産税・都市計画税は、割賦期日(1月1日)に固定資産課税台帳に登録された者に課税されるからです。

持分放棄の意思表示をしただけで移転登記をしていない場合、固定資産税の支払い義務が移転登記が完了するまで続くため注意が必要です。

2.持分の取得者に贈与税が課される

持分の取得者に贈与税が課税されることがあります。

持分放棄は民法上の贈与ではありませんが、自分の財産を無償で譲ることから、税法上は「贈与」とみなされているためです。

ただし、放棄した持分の評価額が、控除額(基礎控除額110万円)よりも低い場合は、贈与税は発生しません。

関連記事:共有不動産の放棄と譲渡による贈与税の課税

3.最後の一人は持分放棄できない

複数いる共有者が持分放棄を順次行っていった場合、最後の一人は持分放棄できません

最後の一人になると、単独所有となるため、放棄はできないのです。

共有名義不動産の持分放棄は、他の共有者とあらかじめよく協議してから行うようにしましょう。

4.放棄する前に弁護士に相談する

持分放棄をする前に弁護士に相談することをおすすめします。

持分放棄は、一旦登記を済ませるとやり直しはできないため、慎重に検討しましょう。

持分放棄については、法律で定められた期限はありません。

共有関係解消を希望するとしても、他の方法も含めて慌てずにしっかり検討した方がよいでしょう。

弁護士と相談すれば、売却して現金に換えるなど、他の有効な持分解消法を提示してもらえる可能性があります。

持分放棄を選択する場合も、弁護士に依頼すれば、他の共有者の説得や迅速な訴訟対応も任せることができます。

持分放棄は、共有関係の裁判手続を熟知しており、トラブル解決の実績が豊富な弁護士への依頼を検討しましょう

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持分放棄にかかる費用と税金

税金

持分放棄をする場合にかかる費用・税金は、下の表の通りです。

税金等(負担者)内容
登録免許税・登記費用(原則:放棄する人、共有者の話し合いで決めることも可)・登録免許税固定資産税評価額×2%×持分割合建物と土地に別々にかかる例:建物(評価額2,000万円)と土地(評価額3,000万円)の持分1/2を放棄する場合建物の登録免許税:10万円土地の登録免許税:20万円登録免許税合計:30万円
・登記費用登記を司法書士等に依頼する場合に必要(約3〜5万円)
贈与税・不動産取得税(放棄持分の取得者)・贈与税:放棄持分が贈与税の控除額(基礎控除110万円)を超える場合に課税・不動産取得税=固定資産税評価額×3%×持分割合 ※令和9年3月31日まで税率3%(本則4%)
固定資産税・都市計画税(1月1日時点の所有者)不動産を所有している場合に、毎年かかる税金持分を放棄しても納税義務者は変わらないが、日割りで精算するのが一般的

持分放棄により、放棄を望んだわけでもない共有者が「持分を押し付けられ、贈与税などの税負担が生じた」と感じる場合もあります。他の共有者から不満が出る可能性もあるため、注意が必要です。

まとめ:持分放棄は弁護士に依頼しよう!

持分放棄は共有関係を解消する他の方法を含めた慎重な判断が必要です。他の共有者が協力してくれない場合は訴訟が必要になることもあります。

複雑な法的知識や不動産市場の知識・経験も必要なため、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。

持分放棄のやり方で悩むときや不安があるときは、共有不動産の問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人アクロピースは、共有不動産に関する知識や経験が豊富な弁護士が対応いたします。

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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
遺産相続税理士法人アクロピース代表税理士
東京弁護士会・東京税理士会所属

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