共有名義を解消する方法とは?費用・手続き・リスクもわかりやすく解説

「共有名義の解消って、何から始めればいいの?」「勝手に売るのはダメなの?」とお悩みではありませんか。
共有名義の不動産とは、一つの不動産に複数人が所有権を有している状態です。売却やリフォームが自由にできず、将来の相続トラブルにも発展しかねないため、早めの解消が求められます。
名義変更や持分の売却、贈与といった方法はケースごとに異なり、進め方を間違えるとトラブルの原因になります。
この記事では、ケース別の共有名義の解消方法や、放置のリスク・手続きの流れ・費用相場・専門家に相談すべきタイミングなどを解説します。
共有名義の解消にお悩みの方は、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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共有名義の解消手続きは複雑になるケースも多い
解消手続きは自分で進めることも可能ですが、複雑で専門的な知識が必要になるケースも少なくありません。
不動産の共有名義を解消し、単独名義に変更するには、関係者全員の合意や法律に基づく手続きが必要です。
すでに全員が共有名義の解消に合意している場合でも、不動産の評価・税金・書類準備など、専門的な知識が求められます。
また、下記のようなケースでは家庭裁判所を通じた手続きが必要になり、完了まで数か月かかることもあります。
- 共有者が認知症になっている
- 共有者が行方不明
- 相続が絡む場合 など
共有名義の解消手続きに不安がある場合は、早めに弁護士や司法書士といった専門家への相談がおすすめです。
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共有名義を解消せずそのままにするメリット
不動産には、下記のような維持管理費がかかります。
- 固定資産税
- 修繕費
- 火災・地震保険料 など
単独名義の場合はこれらを1人で全額負担する必要がありますが、共有名義であれば持分に応じて費用を分担しやすいのがメリットです。
ただし、後のトラブルを防ぐためにも、費用の支払いのルールはあらかじめ書面で取り決めておきましょう。
共有名義を解消しないとどうなる?放置のリスクと問題点
共有名義のまま不動産を放置すると、以下のようなトラブルにつながる可能性があります。
こうした問題を避けるには、早めに名義を整理しておくことが大切です。「今は困っていないから」と放置していると、いざという時に後悔することになりかねません。
共有名義のトラブルを避けるためにも、本章の内容をひと通り確認しておきましょう。
自由に売却・貸し出し・リフォームできない
共有名義では、共有者全員の同意がなければ、不動産の売却や大規模リフォームを進めることができません。
たとえば「兄弟で実家を相続したものの、1人が反対すれば売却できない」というケースも珍しくありません。
なお、管理行為(たとえば賃貸)の場合、全員の同意は必要ありませんが「持分(=所有の割合)」が半分を超える人たちの同意が必要です。
このように、他の共有者の意向次第で柔軟に動けなくなり、不動産の価値を十分に活かせない「機会損失」のリスクが高まります。
固定資産税や維持費の支払いが複雑になる
不動産には固定資産税や修繕費などの維持コストがかかります。共有の場合、それらの支払いは持分割合に応じて分担するのが原則です。
しかし現実には、一人がまとめて支払い、あとで「立て替え分を請求しても返ってこない」といったトラブルも起きがちです。
こうした問題を防ぐには、あらかじめ費用負担のルールを決めて、書面に残すことが大切です。
合意書に署名・押印しておけば、後々のトラブルの抑止力になります。
相続で共有者が増えると処分が困難になる
共有名義のまま相続が発生すると、持分はさらに共有者の相続人に承継されます。
共有者が増えると、不動産の処分や管理行為が困難になるとともに、費用負担について争いとなることも多いため注意が必要です。
たとえば、もともと兄弟2人で共有していた実家が、相続で甥・姪など10人以上に分かれるケースもあるでしょう。
関係性の薄い人が増えると、売却や管理行為などの合意形成が事実上不可能になるリスクも考えられます。
その結果不動産が放置され、空き家化や資産劣化につながるケースも少なくありません。共有名義の不動産がある場合は、早めに共有を解消することを視野に入れましょう。
共有者が認知症・行方不明になると手続きが止まる
共有者が認知症や行方不明になった場合、その人の「意思確認」ができなくなり、売却や名義変更などの手続きが止まってしまいます。
状況に応じて、以下のような対応が必要です。
- 認知症の場合 → 成年後見制度の申し立て
- 行方不明の場合 → 不在者財産管理人の選任
いずれも家庭裁判所を通じた複雑な手続きが必要で、数か月〜半年以上かかることもあります。
このようなリスクを避けるには、共有関係があるうちに名義整理を進めるのが最善です。
知らない第三者との共有になる可能性もある
共有者の1人が、自分の持分だけを第三者に売却することは法律上可能です。(民法206条)
相続などで生じた共有不動産の共有持分のみを買い取る業者もいて、他の共有者に賃料相当の金銭を請求したり、高額での買い取りを請求することでトラブルになる事例もあります。
また、借金の担保に使った持分が競売にかけられ、まったく面識のない第三者が共有者になることもあります。
知らない第三者と不動産を共有することになると、話し合いも難航し、修繕や売却に同意が得られないなどの大きな障害になります。
こうした事態を未然に防ぐには、早期に共有名義を解消し、単独名義にすることが最も有効です。
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【ケース別】共有名義の解消法
共有名義は「家族間」や「夫婦」でよく見られますが、そのままだと売却や相続でトラブルに発展することがあります。
共有名義の解消には、状況に応じた適切な手続きが必要です。
本章では、以下の代表的な5つのケースに分けて、具体的な解消法を紹介します。
ご自身の状況に近いパターンを確認し、「どのような方法で」「どの手続きをとるべきか」を知ることが、トラブルを避ける第一歩になります。
親子で名義共有している場合「贈与・持分放棄で名義整理」
親子で不動産を共有している場合は、「贈与」または「持分放棄」で名義を一人にまとめることが有効です。
名義を一本化することで、将来の売却や相続時の手続きがスムーズになります。
親から子へ持分を贈与する場合、「暦年贈与(年間110万円まで非課税)」や「相続時精算課税制度」などを使えば、税金を抑えつつ整理できます。
また、共有者の一方が持分を放棄することも選択肢のひとつです。
この場合、民法第255条に基づき、放棄された持分は他の共有者に帰属するとされています。
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用:民法 | e-Gov 法令検索
ただし、実質的には無償で他の共有者へ持分が移転する形になり、贈与とみなされます。
そのため、基礎控除(110万円)を超える部分については贈与税の課税対象となる可能性がある点には注意が必要です。
(参考:国税庁|民法第255条の規定により共有持分を取得した場合の相続税の課税関係)
まず、どちらの名義にまとめるか話し合ったうえで、メリット・デメリットも照らしながら、司法書士など専門家に相談しながら進めるのが安心です。
相続で兄弟姉妹と共有になった場合「遺産分割協議や持分売却」
兄弟姉妹で共有になった不動産は、早めに名義を整理しないと揉める原因になりやすいです。具体的には次の方法があります。
- 名義変更:他の共有者が持分を放棄または譲渡し、代表者の単独名義にする
- 換価分割:不動産を売却して、売却益を公平に分ける
- 代償分割:代表者が他の共有者の持分を金銭で買い取り、単独名義にする
合意が難しいときは、自分の持分だけを業者に売る方法もあります。まずは全員で集まり、「公平で納得できる方法」を話し合いましょう。
不動産の遺産分割方法は、以下の記事も参考にしてください。
不動産の遺産分割の4つの方法とは?遺産分割協議書についても解説
共有者が死亡した場合「相続登記・遺産分割」
共有者が亡くなった場合、その人の持分は相続人(配偶者・子など)に引き継がれます。
放置すると、相続人の数が世代ごとに増えて名義整理が難しくなるリスクがあるため、早めの手続きが大切です。
必要な手続きは、主に以下の3ステップです。
- 相続人を確定する:亡くなった共有者の戸籍謄本などを取得し、相続人を調べる
- 遺産分割協議を行う:相続人全員で、不動産の持分を誰が引き継ぐかを話し合い、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめる
- 相続登記の申請をする:遺産分割協議書など必要書類をそろえ、法務局に不動産の名義変更を申請します
遺産分割の結果、共有持分を相続した人と共有名義の解消について話し合いましょう。
相続人が多かったり、意見がまとまらない場合は、家庭裁判所で調停が必要になることもあります。
トラブルを避けるためにも、弁護士や司法書士への相談を検討しましょう。
共有者が認知症になった場合「成年後見制度を活用」
共有者が認知症になると、不動産の売却や名義変更などの法律行為ができなくなり、名義整理も進められません。
共有者が認知症になった場合は、家庭裁判所に「成年後見制度(※判断能力を失った人の代理人を立てる制度)」の利用を申し立てます。
選任された成年後見人が、代わりに登記や売却の手続きを進めることができます。
ただし、成年後見制度の利用には数か月の期間と、手続き費用が必要です。本人の判断能力を測る「鑑定」が必要な場合、10万円前後の費用がかかるケースもあります。なるべく早めに専門家へ相談して備えておきましょう。
共有者が行方不明・連絡が取れない場合「不在者財産管理人選任・調停・訴訟」
共有者が行方不明で連絡がつかない場合、まずは家庭裁判所で「不在者財産管理人」「不在者財産管理人(=不在者の代わりに法的手続きをする代理人)」を選任してもらう必要があります。
この代理人が、行方不明者に代わって共有物分割についての話し合い(調停)や不動産売却の手続きに参加します。
調停で合意に至らなかった場合は、裁判所が不動産を競売にかけて現金化し、持分に応じて分配する「換価分割(かんかぶんかつ)」になることもあります。
換価分割(かんかぶんかつ):不動産を売却し、現金にして分けること
このような手続きは専門的かつ時間もかかるため、早めに弁護士に相談して対応方針を固めましょう。
共有名義の解消手続き5ステップ
共有名義の解消手続きは、以下の5ステップで進みます。
現在の共有状態と持分を確認する
まずは、現在の不動産の所有者情報を正確に把握しましょう。
法務局で「登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)」を取得すれば、共有者の名前と持分割合が確認できます。
あわせて、共有者どうしの関係(親子・配偶者・相続など)や、なぜ共有になったのかも整理しておきましょう。
共有者全員で協議し、解消方法を決める
共有状態を解消するには、まず全員の合意が前提となります。
売却・持分譲渡・放棄・分筆など、複数の選択肢から最適な方法を話し合いましょう。
話し合いが難航した場合は、調停や訴訟といった法的手段も視野に入れて対応を考える必要があります。
選んだ方法に応じた必要書類を準備する
手続き方法が決まったら、それに応じた書類をそろえましょう。
- 売買の場合:売買契約書
- 贈与の場合:贈与契約書
- 共通して必要な書類:印鑑証明書、住民票、登記識別情報(または登記済権利証)
ケースによって必要書類が異なるため、事前に司法書士や法務局に確認しておくと安心です。
名義変更の登記申請を行う
書類がそろったら、不動産の所在地を管轄する法務局に「所有権移転登記」や「分筆登記」などの申請を行います。
申請方法は以下の3つから選べます。
- 直接窓口へ提出
- 郵送による提出
- オンライン申請(電子署名・登記識別情報が必要)
書類に不備があると補正や却下となる可能性もあるため、不安な方は専門家にチェックしてもらいましょう。
贈与税・譲渡所得税などの税務処理を行う
持分の売買や贈与をともなう場合は、税務署への申告が必要になるケースがあります。
とくに、以下のような税金に注意が必要です。
- 贈与税(贈与を受けた場合)
- 譲渡所得税(持分を売却した場合)
申告が必要にもかかわらず行わなかった場合、追加課税や延滞税が発生する可能性もあるため注意が必要です。
手続きや計算が不安な場合は、税理士に相談するのが確実です。
「何から手をつければいいか分からない」「一度専門家の意見を聞いてみたい」という方は、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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【手段別】共有名義の解消時にかかる費用・税金
名義を整理する方法によって、かかる費用や税金の内容は大きく異なります。
本章では、下記の3つのケースで発生しやすい費用や知っておきたい税金のポイントをわかりやすく解説します。
どの方法を選ぶかによって、かかる金額や項目は大きく異なるため、事前に把握しておくことが重要です。
ぜひ覚えておきましょう。
名義変更・持分放棄する場合
持分の放棄や、売買・贈与によって名義を変更する際には、法務局に支払う「登録免許税」と、司法書士への報酬・実費の支払いが発生します。
登録免許税
登録免許税は、固定資産税評価額に基づいて計算され、原因によって税率が異なります。
- 売買:2.0%
- 贈与・持分放棄:2.0%
- 相続:0.4%
司法書士報酬
手続きや件数により変動しますが、3万円〜7万円程度が一般的です。
なお、合計費用は不動産の評価や手続き内容によって変わるため、まずは司法書士に見積もりを依頼すると安心です。
贈与や売却で持分整理する場合
持分整理を「贈与」や「売却」で行う場合、以下のような税金が発生します。
【贈与】無償で持分を譲る場合 | 【売却】有償で持分を譲る場合 | |
---|---|---|
税金がかかる人 | 贈与を受け取った人(受贈者) | 持分を売却した人(譲渡者) |
主な税負担 | 贈与税 | 譲渡所得税(所得税・住民税) |
計算方法 | (贈与額−基礎控除110万円)×税率−控除額 | 譲渡所得×税率 |
税率 | 10〜55%で控除額は段階的に設定 | 5年超の保有なら20.315% 5年以下なら39.63% |
特例の例 | 配偶者控除(最大2,000万円)住宅取得資金の非課税特例 | 特別控除(最大3,000万円:マイホームの売却時) |
国税庁|財産をもらったとき・No.3208長期譲渡所得の税額の計算・No.3211短期譲渡所得の税額の計算を参考に作成
額はケースバイケースで大きく変わります。特例の適用条件も複雑なため、事前に税理士や税務署へ相談するとよいでしょう。
調停・訴訟で解決する場合
当事者同士の話し合いで解決できない場合は、調停や訴訟を通じて解消を目指す方法があります。
このときは、以下のような「裁判費用」と「弁護士費用」が発生します。
裁判の区分 | 内容 | 金額の目安 |
---|---|---|
調停 | 収入印紙+予納郵券 | 数千円〜1万円前後 |
訴訟 | 不動産の価格に応じた収入印紙+予納郵券 | 数万円〜十数万円以上になる場合も |
弁護士費用の内訳 | 内容 | 金額の目安 |
---|---|---|
着手金 | 依頼時に支払う基本料金 | 20万円~ |
成功報酬 | 経済的利益に応じた報酬 | 得られた利益の10〜20%程度 |
実費 | 書類作成費・交通費・印紙代など | 案件内容に応じて数千円〜数万円程度 |
費用は事案の内容や弁護士によって異なるため、まずは法律相談で見積もりを確認することが大切です。初回無料相談を実施している法律事務所もあります。
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相続の弁護士費用については、以下の記事も合わせてご覧ください。
相続の弁護士費用はいくらかかる?誰が払うのかと安く抑える方法も解説
共有名義の解消にかかる費用をおさえるポイント
不動産の共有名義を解消する際には、登記費用・専門家への報酬・税金など、まとまった出費が必要です。
しかし、準備や手続きの進め方を工夫すれば、費用負担を数十万円単位でおさえることもできます。
本章では、費用をおさえるために今すぐ実践できる以下3つのポイントを紹介します。
少しの工夫で多くの費用を抑えられる場合もあります。順番に説明します。
自力で対応できる範囲は司法書士に依頼せず進める
共有名義の解消で、手続きが単純な場合は司法書士に依頼せず、自分で登記申請(本人申請)を進めることも可能です。
持分放棄や贈与など内容がシンプルなケースなら、数万円〜十数万円の報酬を節約できます。
法務局の公式サイトには申請書の記載例があり、無料相談窓口(予約制)も利用できます。
不安があれば、まずは管轄の法務局に問い合わせてみてください。
また、市販の登記申請ソフトを使えば、書類作成の手間やミスも減らせます。それでも不安がある場合は、無理せず司法書士への依頼を検討しましょう。
贈与税・登録免許税の非課税制度や控除を活用する
共有名義の解消では、贈与税や登録免許税、譲渡所得などの税金が発生します。非課税制度や各種控除を活用することで、数百万円単位で税負担をおさえることも可能です。
共有名義の解消で活用できる可能性があるのは、下記のような制度です。
制度名 | 適用できる場面 | 非課税になる上限額 | 主な注意点 |
---|---|---|---|
相続時精算課税制度 | 親から子への不動産贈与 | 最大2,500万円 | 一度選ぶと撤回できない 将来の相続時に合算して課税される |
配偶者控除 | 夫婦間の居住用不動産の贈与 | 最大2,000万円 | 20年以上の婚姻期間が必要 同一配偶者につき一度しか使えない |
マイホーム特例 | 自宅を売却して共有を解消 | 最大3,000万円 | 居住期間や売却時期などの要件がある 事前確認が必要 |
各制度には適用要件や手続きの違いがあります。税理士や税務署に相談し、自分のケースで使える制度があるか必ず確認しましょう。
贈与の非課税については、以下の記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:生前贈与を非課税で行う6つの方法と契約書の書き方のポイントを徹底解説
トラブルになる前に早めに話し合いを始めておく
共有名義の解消では、調停や訴訟に進むと弁護士費用が高額になります。費用をおさえるには、関係が悪化する前に話し合いを始め、合意を目指すことが大切です。
まずは早めに連絡を取り、冷静に話し合う場を設けてみてください。当人だけで話がまとまれば、調停・訴訟を避けられ、弁護士に依頼する必要もなくなります。
話し合いの内容は、後日のトラブルを防ぐために書面やメールで必ず記録しておきましょう。
以下の項目を記録に残すのがおすすめです。
- 話し合いの日付と参加者
- 共有名義解消の合意内容(誰が持分を譲るかなど)
- 手続きのスケジュールや次回の打ち合わせ予定
共有名義の解消を専門家に依頼すべきケース
共有者同士で合意できれば、自力で名義変更を進めることも可能です。
ただし、法律知識が必要な場合や、当事者間の調整が難しいケースでは、専門家のサポートが欠かせません。
弁護士や司法書士に依頼すれば、トラブルを防ぎ、手続きもスムーズに進められます。
以下に、代表的なケースと依頼すべき専門家をまとめました。
ケース | 依頼すべき専門家 | 理由 |
---|---|---|
共有者と連絡が取れない・意見が合わない | 弁護士 | ・法的に代理交渉を行い、必要に応じて調停・訴訟も対応可能 ・スムーズな解決を図れる |
共有者が死亡・認知症・行方不明 | 弁護士または司法書士 | 相続人調査や後見人・管理人の申立てなど、家庭裁判所を通じた複雑な手続きが必要 |
贈与・持分売却・放棄などで登記が必要 | 弁護士または司法書士 | 正確な書類作成と登記申請が求められる |
調停や訴訟に発展する可能性がある場合は、弁護士への依頼が適しています。一方、登記手続のみであれば、司法書士に任せるのが一般的です。
どちらに依頼すべきか判断がつかないときは、まず弁護士に相談し、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらうのも一つの方法です。
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状況を丁寧にヒアリングし、当事者どうしで解決が難しい状況の整理・ご提案をいたします。
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弁護士と司法書士の業務の違いについては、以下も合わせてご覧ください。
関連記事:遺産相続は弁護士と司法書士のどっちに相談する?行政書士との業務内容の違いも解説
弁護士・司法書士に相談する前に準備しておくべきこと
共有名義の解消は、背景事情や人間関係が複雑になりやすいため、事前準備が解決のカギとなります。
限られた相談時間を有効に使うために、以下の3点を事前に準備しておきましょう。
共有関係や持分割合が分かる資料
最初に、共有者の氏名と持分割合を正確に確認しましょう。
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得し、記載内容を確認します。
また、共有者同士の関係性(親子・兄弟・元配偶者など)や、共有名義になった経緯を時系列でメモしておくと、相談時に状況を正確に伝えやすくなります。
専門家は背景事情を踏まえて対応策を検討するため、この情報が初動対応の重要な判断材料になります。
合意書等の契約書類の準備
相談時には、できるだけ客観的な資料を持参しましょう。
書類がそろっていれば、費用の見通しや必要な手続きがその場でわかる場合もあります。
準備すべき主な書類は、以下の通りです。
基本書類(必須) | 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で取得固定資産評価証明書(共有不動産の評価額):市区町村役場で取得 |
---|---|
経緯がわかる書類(任意) | 売買契約書:購入により共有名義となった場合 贈与契約書:贈与による共有の場合 遺産分割協議書:相続で共有になった場合 財産分与協議書:離婚に伴う共有解消の場合 |
これらの書類をそろえたうえで、共有に至った経緯や共有者の関係性を時系列でメモしておくと、相談がよりスムーズになります。
過去のやりとり・トラブルの記録
共有者間で過去に意見が対立した経緯や話し合いの内容がある場合は、簡単にメモで整理しておきましょう。
記録がある場合は、以下のような資料を印刷して持参すると役立ちます。
- メールやLINEの履歴
- 手紙や書面でのやりとり
- トラブル内容を自分でまとめたメモ
「いつ・誰と・どんな話をしたか」「どこで意見が食い違っているか」といった点を具体的にまとめておくと、弁護士が状況を正確に把握しやすくなります。
共有名義の解消においてよくある質問
不動産を売却したいのに他の共有者が反対している場合はどうすればいい?
まずは冷静に話し合いを続けることが第一です。
それでも合意が得られない場合は、地方裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起するのが一般的です。
また、共有者間で合意が困難な場合は、自分の持分だけを専門業者に売却するという選択肢もあります。
どの方法にもリスクやデメリットがあるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
第三者が共有名義に入っている場合どうやって整理すればいい?
まずは相手方に連絡をとり、共有関係の解消について話し合いを申し入れます。以下のような選択肢を提示し、合意を目指しましょう。
- 相手の持分を買い取る
- 自分の持分を買い取ってもらう
- 不動産全体を売却し、代金を分ける
交渉がまとまらない場合は、「共有物分割請求訴訟」によって裁判所の判断を仰ぐことも可能です。
名義を整理したいが、土地の評価額が分からないときはどうすればいい?
土地の評価額は、以下の方法で確認できます。
- 固定資産評価証明書(市区町村役場で取得)
- 路線価図(国税庁の公式サイトで確認)
より市場に近い価格を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。
複数社に見積もりを依頼し、金額を比較すれば、共有者間の話し合いの参考にもなります。
共有持分だけを売却することはできる?
法律上は自分の共有持分だけを第三者に売却することが可能です(民法第206条)。
(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
引用:民法 | e-Gov 法令検索
ただし、共有状態のままでは一般の買い手がつきにくく、通常の市場での売却は難航しがちです。
そのため、共有持分の買取を専門とする不動産業者に相談するのが現実的な選択肢です。
売却価格は通常より低めですが、複数業者に査定を依頼して条件を比較することで、納得のいく取引につながる可能性があります。
共有名義の解消に必要な書類をなくしてしまった場合はどうすればいい?
たとえ「登記済権利証」や「登記識別情報通知」を紛失していても、名義解消の登記は可能です。
以下のいずれかの方法で手続きを進めます。
- 本人確認情報方式(司法書士が本人確認書類をもとに書類作成)
- 事前通知制度(登記完了前に法務局が本人宛に確認通知を送付)
どちらの方法も、正しい手順を踏めば問題なく登記は可能です。まずは弁護士などの専門家に相談し、自身の状況に合った進め方を確認しましょう。
まとめ
共有状態のままでは自由に売却やリフォームができないだけでなく、相続や共有者の変化によってトラブルが深刻化するおそれがあります。
とくに、認知症や死亡・行方不明といった事態が発生すると、手続きが大幅に複雑化してしまいます。
問題を先送りにせず、共有者全員が元気なうちに、冷静に話し合えるタイミングで行動を起こすことが、トラブル回避の最善策です。
ご自身の状況を整理したうえで、まずはできるところから話し合いを始めてみましょう。
当事者だけでの解決が難しいと感じたときは、ためらわずに弁護士などの専門家の力を借りましょう。
早めの行動が、円満かつスムーズな解決への近道になります。
ご相談先にお悩みの方は、ぜひ弁護士法人アクロピースにご相談ください。
状況を丁寧にヒアリングし、共有名義の解消を手厚くサポートいたします。
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