共有物分割請求訴訟の手続きの流れ!メリット・デメリットなどを弁護士が解説

共有物分割請求訴訟の手続きの流れ!メリット・デメリットなどをわかりやすく解説
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弁護士法人アクロピース代表弁護士(弁護士・税理士)

 

所属団体
東京弁護士会:登録番号48554
東京税理士会:登録番号155401

不動産分野を重点的に扱い、これまで累計7,000件以上の法律相談に対応してきました。共有不動産(共有物分割)や立退き、家賃滞納・増額交渉、売買トラブルなど、交渉から法的手続きまで一貫してサポートしています。
「誰が何と言おうと依頼者の味方」を信念に、スピードと実行力を大切にしながら、権利と資産を守る解決を目指します。

共有状態の不動産には、全員の同意がなければ売却できない、利用方法について他の共有者との意見の相違でトラブルになりやすいという問題があります。

しかし、共有物分割請求訴訟を利用すると、裁判所の手続で強制的に不動産の共有状態を解消することが可能です。

この記事では、共有状態の不動産を所有している方に向けて、次の内容について詳しく解説しています。

記事の要点・結論

共有物分割請求訴訟とは:共有名義の不動産について話し合いがまとまらない場合、裁判所の判断で共有状態を解消する手続きです。共有トラブルに終止符を打つ最終的な法的手段といえます。

訴訟に至る典型的なケース:共有者が協議に応じない、売却に反対する共有者がいる、不動産を特定の共有者が独占しているなどの状況では、共有物分割請求訴訟が検討されます。

判決で決まる主な分割方法:裁判所は「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれかを選択します。不動産の性質や共有者の状況に応じて最も公平な方法が判断されます。

手続きは協議→調停→訴訟の流れ:共有不動産の分割は、まず当事者同士の話し合いから始まり、合意できない場合に調停や訴訟へ進みます。段階的に解決を図ることが実務上の基本です。

専門家に相談する重要性:共有物分割請求訴訟では、共有者全員を当事者とする必要があり、評価や証拠の整理も複雑です。紛争を長期化させないため、早期の弁護士相談が解決のカギ。

不動産の共有状態を解消したいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。

弁護士法人アクロピースは累計約7,000件以上の相談実績に基づき、共有不動産・共有物分割請求について、まずは無料相談から受け付けております。

丁寧にお話をお伺いします。まずはお気軽にご連絡ください

目次

共有物分割請求訴訟の基礎知識

共有物分割請求訴訟

不動産の共有状態は、意思決定の遅れや活用への制約など、さまざまなトラブルの引き金となります。 こうした問題を法的に解決するための手続きが、共有物分割請求訴訟です。 

ここでは、制度の基本的な仕組みや、混同されやすい遺産分割の手続きとの違いについて確認しておきましょう。

共有物分割請求訴訟とは「裁判所の判決で強制的に共有状態を解消する手続き」

共有物分割請求訴訟とは、共有物の分割について当事者間の協議が調わないとき、または協議そのものができない状況において、裁判所に分割を求める手続きのことです(民法|第258条)。

長年にわたり当事者だけでは解決できなかった共有関係を、判決や和解によって法的に整理する制度として機能します。

当事者の感情的な対立が深くても、最終的には強制力をもって決着がつくのが特徴です。

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遺産共有(遺産分割)との違い

不動産が共有状態になる原因が相続である場合、通常の手続きとは異なる対応が求められることがあります。

相続開始後、遺産分割協議が終わるまでの共有状態を「遺産共有」と呼びます。この遺産共有を解消するには、地方裁判所での共有物分割請求訴訟ではなく、家庭裁判所での遺産分割調停や審判を利用して解決を図るのが原則です(参考:裁判所|遺産分割調停)。

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共有の種類管轄裁判所と主な解決手続き
通常の共有(共同購入、離婚時の財産分与など)地方裁判所(共有物分割請求訴訟)
遺産共有(相続開始から遺産分割完了まで)家庭裁判所(遺産分割調停・審判)
※相続開始から10年経過後は地方裁判所での共有物分割請求訴訟も可(民法|258条の2第2項

相続由来のトラブルであっても、何を解決したいかによって使うべき手続きや管轄する裁判所が分かれます。

また、共有者の一人が亡くなり、その持分が相続人に引き継がれるなどして通常の共有と遺産共有が混ざり合っている複雑な事案も見受けられます。

このようなケースでは、共有物分割請求訴訟だけで遺産共有の問題まで完全に解消されるとは限らない点にも注意が必要です。

関連記事:共有不動産の相続はどうなる?手続きの流れや共有名義のメリットデメリットを弁護士が解説

共有物分割請求訴訟に至るケースと訴訟以外の解決策

共有名義の不動産トラブルは、当事者同士の話し合いだけで解決に導くのが難しいケースも少なくありません。 意見が対立して身動きが取れなくなった場合の最終手段として、共有物分割請求訴訟が検討されます。 

本章では、共有物分割請求訴訟に至りやすい典型的なケースと、訴訟を提起する前に検討すべき解決策について解説します。

訴訟が検討される典型ケース

共有物分割請求訴訟は、共有者間で不動産の分割方法について協議がまとまらない場合や、そもそも協議自体ができない状況において検討される法的手続きです(民法258条)。 

典型的な例として、以下のような状況が挙げられます。

訴訟が検討される典型ケース
  • 売却して現金化したい共有者と、そのまま住み続けたい共有者で意見が対立している
  • 相続で共有となった実家や土地の活用方法について、兄弟姉妹間で意見が割れている
  • 離婚後も夫婦共有名義のまま残っている不動産の処理で揉めている

また、共有者の一人が単独で不動産を占有して話し合いに応じないケースや、一部の共有者と連絡が取れず行方不明になっているケースも想定されます。 

このように任意交渉では手続きを進めにくい状況下において、裁判所の判断を仰ぐ訴訟が現実的な選択肢になりやすいといえます。

訴訟以外の解決策

訴訟は時間や費用の負担が大きいため、あくまでも最終手段として位置づけられます。

まずは共有者同士の協議を通じて、現物分割や代償分割、または不動産全体を第三者へ任意売却するなどの方法を模索するのが一般的です。

話し合いで解決を図るための主な選択肢には、次のようなものがあります。

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訴訟以外の解決策概要
共有持分の売却・贈与自分の持分を他の共有者に買い取ってもらう、または譲る
第三者への持分売却専門の不動産買取業者などへ自分の持分だけを売却する
持分放棄自分の持分を放棄し、他の共有者に帰属させる(登記申請には原則として他の共有者の協力が必要)
共有物分割調停の利用裁判所の調停委員を交えて、当事者間の合意を目指す

事案によって適切な解決策は異なるため、早い段階で専門家の意見を取り入れて方針を決めることをおすすめします。

共有物分割請求訴訟のメリット・デメリット

共有物分割請求訴訟を提起することで、長引く共有トラブルに終止符を打てる可能性があります。その一方で、手続きには相応の時間や費用がかかり、必ずしも自分にとって理想的な結果になるとは限りません。

本章では、共有物分割請求訴訟のメリットとデメリットについて解説します。

メリット|適正価格での精算や和解による早期解決の可能性

共有物分割請求訴訟には、当事者間の協議では得られない法的手続きならではの利点があります。

具体的には以下のようなメリットが挙げられます。

共有物分割請求訴訟のメリット
  • 分割に反対する共有者がいても、裁判所の判断で共有状態の解消へ進められる(民法258条
  • 不動産鑑定士の評価など、適正価格に基づく精算を目指しやすくなる
  • 判決を待たず、裁判上の和解によって早期解決できる場合がある

このように、共有物分割請求訴訟は客観的な基準を通じて公平な着地点を見出しやすい点が特徴です。

競売といった不利益を回避しつつ、和解によって当事者双方が納得しやすい形で早期にトラブルを収束させられるケースもあります。

デメリット|費用と期間、競売による売却価格低下のリスク

共有物分割請求訴訟は、印紙代や弁護士費用に加え、事案によっては高額な不動産鑑定費用が生じるなど、相応の経済的負担を伴う手続きです。

また、最終的な分割方法は裁判所の判断に委ねられる点に留意すべきです。単独取得を希望しても、支払能力が不十分とみなされれば換価分割(競売)を命じられる可能性があります。

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換価分割(競売)のリスクと注意点概要
売却価格の低下市場での任意売却に比べ、5〜7割程度の低い価格で落札される傾向があり、状況によっては市場価格の半値程度になることもある
手続きの負担判決が確定しても自動的に換価されず、別途形式的競売の申立てを要する

競売は売却価格が下がりやすく、結果として当事者双方の不利益に繋がりやすい傾向にあります。

判決後の追加手続きにかかる労力も含め、事前の訴訟リスクを正しく把握したうえで、慎重に方針を検討することが大切です。

共有物分割請求訴訟を提起するまでの流れ

訴訟までの流れ

共有物分割請求訴訟は、いつでも提起できるわけではありません。

共有物分割請求訴訟を提起できるのは、共有者間に協議が調わないとき」または「協議をすることができないとき」のみです民法258条1項)。

「共有者間に協議が調わないとき」の共有物分割請求訴訟については、訴訟提起前に共有者間の協議や調停を経ることになります。

ここでは、共有物分割請求訴訟を提起する前段階の共有物分割の協議と共有物分割調停について解説します。

共有物分割の協議

共有物分割の協議は、口頭でも始められます。

しかし、後に共有物分割請求訴訟を提起するには「共有者間に協議が調わないとき」という要件を充足すること、つまり事前に協議を行ってこれがうまくいかなかったという条件をみたすことが必要です。

そのため、共有物分割の協議を始める際は、内容証明郵便を送付して協議を行ったことを証明できるようにしておきましょう。

共有者間の協議では、それぞれが不動産業者や不動産鑑定士に不動産の査定を依頼して、話し合いを進めることになります。

話し合いがまとまったときには、合意書を作成して代金の受け渡しや登記など具体的な分割の手続きを進めることになります。

共有物分割調停

共有物分割調停は、調停委員を仲介役として話し合いによる解決を目指す手続きです。

調停では相手と直接話さなくても良いため、他の共有者と険悪な状態のときには、調停委員の仲介により有効な解決に進みやすくなります。

一方、共有物分割の調停をしても話し合いがまとまる見込みがないと判断するのであれば、調停を経ずに訴訟を提起することも可能です。

裁判所の手続きでは、訴訟を提起する前に必ず調停を経なければならないものもありますが(調停前置主義)、共有物分割請求訴訟については調停前置主義が採用されていないため、すぐに訴訟を提起することもできます。

関連記事:共有物分割調停とは?手続きの流れ・費用・弁護士の依頼タイミングを徹底解説

共有物分割請求訴訟の流れ

裁判所

共有物分割調停で決着がつかないときは、共有物分割請求訴訟を提起することを検討します。

共有物分割請求訴訟の流れは、次のとおりです。

ここでは、それぞれの手続きの内容や手続きにかかる期間について詳しく解説します。

裁判所に訴えを提起する

共有物分割請求訴訟を提起するには、被告の住所地または対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所に必要書類を提出し、費用を納めます。

共有物分割請求訴訟の必要書類としては、次のようなものが挙げられます。

  • 訴状
  • 登記簿謄本
  • 固定資産税評価証明書
  • 協議を開始する内容証明郵便
  • その他、主張を裏付ける証拠書類 など

訴訟提起の際にかかる費用は、収入印紙代と郵便切手代です。

郵便切手代は6000円ほどで、被告の数が増えると金額も増えます。

具体的な金額は裁判所によって異なるため、訴訟の提起をする裁判所まで問い合わせてください。

収入印紙代は、固定資産税評価額と持分割合に応じて変わります。土地と建物それぞれの計算式は、次のとおりです。

  • 土地:固定資産税評価額×1/6×持分割合
  • 建物:固定資産税評価額×1/3×持分割合

それぞれの計算式で算出された金額を訴額として、裁判所の手数料額早見表にあてはめた金額が収入印紙代となります。

参照:手数料額早見表|裁判所

裁判期日の進行

訴状の提出から、1か月から2か月ほど後に第1回口頭弁論期日が開かれます。

その後、1か月から1か月半に1回のペースで口頭弁論期日や弁論準備期日が開かれ、双方からの主張・立証が繰り返されます。

共有物分割請求訴訟の訴訟手続が1回で終わることは、ほとんどありません。

訴訟が終わるまでには、半年から1年ほどかかるのが一般的です。

訴訟の過程では、不動産の適正な価格を査定するために、裁判所が選定した不動産鑑定士による鑑定評価が行われることもあります。

判決もしくは和解

双方の主張・立証が出尽くしたら、裁判所による和解勧告が行われるのが一般的です。

双方が和解勧告に応じたときには、判決前の和解で裁判が終結します。

和解が成立しないときには、審理を続行し、最終的には判決で決着をつけることになります。

判決の結果に不服があるときには、控訴して高等裁判所での手続に移行することも可能です。

不動産問題で迷った際のお役立ちガイド

不動産における不公平や不動産関係者のトラブルでお悩みの方は、
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まずは初回60分の無料相談をご利用ください。

共有物分割請求訴訟における共有物の分割方法

共有物分割

共有物分割請求訴訟において、不動産の共有状態を解消するための分割方法は、以下の3種類に大別されます。 

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分割方法内容メリット注意点
現物分割持分に応じて不動産を物理的に分ける方法単純に分割するため、公平に共有状態を解消しやすい1棟の建物を物理的に分けることはできず、主に分筆可能な土地が対象となる。
分割後に価値や利用機能が著しく低下する場合は認められない
代償分割1人が不動産を取得し、他方へ代償金を払う方法不動産をそのままの状態で利用し続けられる代償金を用意するための十分な資金力(支払能力)が求められる
換価分割不動産を売却(判決の場合は競売、和解の場合は任意売却)し、売却代金を持分割合に応じて分配する方法不動産を利用する人がいない場合に、金銭で公平に分けられる市場における任意売却よりも、低い金額で落札される傾向にある

裁判所は、対象となる不動産の物理的な性質や利用状況、共有者の持分割合などを総合的に考慮したうえで、妥当な分割方法を決定します。

実務上は、不動産そのものを物理的に分けるか、特定の共有者が単独取得して対価を支払う手法が優先的に検討されます。

ご自身のケースでどの方法が認められやすいかを見極めるためにも、まずは弁護士へ見立てを相談しておくことが有効な対応といえるでしょう。

関連記事:不動産の遺産分割の4つの方法とは?遺産分割協議書についても解説

共有物分割請求訴訟に関するよくある質問

共有物分割請求の裁判は何年くらいかかりますか?

解決までの期間は事案によって異なりますが、一般的には半年から1年程度が一つの目安です。複雑なケースでは1〜2年ほどを見込む必要があります。

期間が長引く要因として、共有者の多さや主張の激しい対立、不動産鑑定の有無などが挙げられます。

判決で換価分割(競売)が命じられた場合は、確定後にも形式的競売などの追加手続きを要するため、代金の分配までにさらに期間がかかる可能性もあるでしょう。

関連記事:共有物分割訴訟の期間はどれくらいかかるのか?事前協議や調停・競売期間も解説

共有物の分割登記にかかる費用は?

分割登記には登録免許税がかかり、持分に応じた価額部分に対する税率は原則0.4%と定められています。課税標準となるのは固定資産評価額です。

これ以外にも、証明書の取得費用や司法書士への報酬も必要です。

なお、分割の内容が実質的な売買や贈与に近いとみなされる事案では、適用される税率や必要な登記手続きが変わる可能性があります。

具体的な登記原因に応じた費用については、事前の確認が推奨されます。

関連記事:共有物分割請求にかかる弁護士費用は?相場や具体例、安く抑える方法を解説

共有物分割請求訴訟は調停前置主義ですか?

共有物分割請求訴訟に調停前置主義は採用されていないため、事前に調停を経る必要はありません。

当事者間の協議が不調であれば、すぐに訴訟を提起できます。

もっとも実務上は、事案に応じて前段階として調停による解決を試みるケースも存在します。

なお、遺産分割が未了の遺産共有状態にある財産については例外です。この場合は通常の共有物分割訴訟ではなく、原則家庭裁判所での遺産分割調停や審判で解決を図ることになります。

まとめ:共有分割請求訴訟は弁護士に相談しよう

今回は、不動産の共有状態を解消する共有物分割請求訴訟の手続きを理解するために、次の内容について解説しました。

本記事のまとめ
  • 共有物分割請求訴訟を利用すると不動産の共有状態を解消できる
  • 共有物分割請求訴訟は「共有者間に協議が調わないとき」または「協議をすることができないとき」に提起できる
  • 共有物の分割方法には3つの方法がある
  • 共有物分割請求訴訟を利用する相場よりも低い価格で売却される可能性がある

共有不動産をどうすべきかについてお悩みの方は、弁護士までご相談ください。

共有物分割請求訴訟を利用すると、不動産の共有状態を解消することができます。

共有状態を解消し売却が実現できれば、税金や管理費等の無駄な出費がなくなるメリットもあります。

共有物分割請求訴訟による解決も含め、最適な方法を提案させていただきます。

丁寧にお話をお伺いします。まずはお気軽にご連絡ください

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事の監修者

弁護士 佐々木 一夫 KAZUO SASAKI

弁護士法人アクロピース 代表弁護士
東京弁護士会所属
明治大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了

当事務所は家賃滞納や立ち退き交渉といった不動産トラブルの解決に注力しております。豊富な経験に基づき、ご依頼者様の正当な権利を迅速に守るサポートを提供します。初回のご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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