共有物分割調停とは?手続きの流れ・費用・弁護士の依頼タイミングを徹底解説
「兄弟で相続した実家をどう分ければいいのかわからない…」
「離婚した相手と共有名義のマンションをこのままにしておくのは不安…」
共有不動産をめぐる意見の対立は、感情的なもつれも相まって、当事者だけでの解決が難しいものです。
この記事では、裁判所の手続きを利用しながらも、話し合いによる円満な解決を目指す「共有物分割調停」について解説します。また、調停手続きの具体的な流れ、必要な費用、「いつ、なぜ弁護士に相談すべきか」という判断基準も解説します。
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そもそも共有物分割調停とは
共有不動産に関するトラブルを解決するための法的手続きには、主に「調停」と「訴訟」があります。
いきなり裁判で争うイメージが強いかもしれませんが、まずは「話し合い」をベースとした調停をするのが一般的です。
このセクションでは、共有物分割調停がどのような手続きであり、訴訟とは何が本質的に違うのかを深く掘り下げて解説します。
共有物分割調停とは|「裁判所での話し合い」で解決を目指す手続き
共有物分割調停とは、裁判所という公的な場で、共有者同士が不動産の分割方法について話し合う手続きです。
この手続きは、裁判官1名と、社会生活上の豊富な知識経験や専門知識を持つ一般市民から選ばれた調停委員2名で構成される「調停委員会」が仲介役となって進められます。
調停委員会は、まず当事者を別々の部屋で待機させ、個別に話を聞くことから始めるのが一般的です。直接顔を合わせないことで感情的な対立を避け、冷静な対話の土壌を整える工夫がなされています。
共有物分割調停と共有物分割「訴訟」との違い
共有物分割調停と「共有物分割請求訴訟」は、同じく裁判所を利用する手続きですが、目的と性質は根本的に異なります。両者の違いを理解することは、どちらの手続きを選択すべきか判断するうえで極めて重要です。
主な違いは以下のとおりです。
目的 | 主導権の所在 | |
---|---|---|
共有物分割調停 | 当事者間の合意形成を目指して話し合う | 調停委員会が解決案を提示することはあっても、最終的に当事者の全員が同意しなければ調停は成立しない |
共有物分割請求訴訟 | 法的な主張と証拠に基づき、裁判官が最終的な「判決」を下す | 裁判官が法的拘束力のある判決を下すため、当事者が不満であってもその内容に従う必要がある |
なお、共有物分割訴訟をするためには、申立書作成や裁判所とのやり取りなど多種多様な手続きが必要になります。これらの書類に不備があれば、手続きが遅延したり、最悪の場合、申し立てが受理されなかったりするリスクがあるため注意が必要です。
弁護士に依頼すれば、これらの煩雑な書類作成から裁判所への提出など手続きを代行してもらえます。共有物分割訴訟の手続きに不安がある場合は、弁護士に依頼するとよいでしょう。
共有物分割訴訟について詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:共有物分割訴訟とは?共有状態解消が必要なケースと手続き・費用を解説

調停は非公開の部屋で行われ、訴訟は原則として公開の法廷で行われます。
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【ステップで解説】共有物分割調停の具体的な流れと手続き
共有物分割調停を実際に申し立てるには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
ここでは、手続きの開始から終了までを5つの具体的なステップに分けて解説します。各ステップで何をすべきかを正確に把握し、スムーズな手続きを目指しましょう。
ステップ1:申立書類を準備する
調停を申し立てるには、まず申立書類を準備することから始まります。不備があると手続きが遅れる原因となるため、慎重に進めることが重要です。
主な必要書類は以下の通りです。
調停申立書 | 調停を申し立てるための中心となる書類です。 |
---|---|
当事者目録 | 申立人(あなた)と相手方(他の共有者全員)の氏名、住所などを記載した一覧です。 |
物件目録 | 対象となる不動産の情報を記載します。 |
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) | 不動産の権利関係を証明する公的な書類です。法務局で取得できます。 |
固定資産評価証明書 | 不動産の評価額を証明する書類です。不動産が所在する市区町村の役所で取得します。 |
ステップ2:管轄裁判所に申立てを行う
必要書類がすべて揃ったら、管轄の裁判所に申し立てを行います。共有物分割調停の管轄裁判所は、原則として「相手方の住所地を管轄する簡易裁判所」です。ただし、当事者全員が合意すれば、別の簡易裁判所や地方裁判所に申し立てることも可能です。
申し立ての際には、作成した書類一式と共に、手数料として収入印紙と、裁判所が当事者に書類を送付するための郵便切手(予納郵券)を納付します。
郵便切手の金額は裁判所によって異なりますが、おおむね3,000円程度が目安です。これらの提出をもって、正式に調停の申し立てが受理されます。
ステップ3:第1回調停期日の調整と呼び出し状を送付する
申し立てが受理されると、裁判所は申立人と連絡を取り、初回の調停期日の日程を調整します。通常、申し立てから約1か月から2か月後に第1回期日が設定されることが多いです。
日程が決定すると、裁判所からすべての当事者(申立人および相手方)に対して、「呼出状」が郵送されます。
この呼出状には、調停の日時、場所(裁判所名と部屋番号)、事件番号などが記載されており、当事者はこの日時に指定された場所へ出頭することになります。
ステップ4:調停委員を介して当事者間で話し合う
調停期日当日、当事者は指定された場所へ向かいます。当事者同士が直接顔を合わせることはなく、それぞれ別の待合室で待機します。
調停は、各当事者が交互に調停室に入り、それぞれの主張や希望を個別に聞き取る形で進められます。
調停委員は中立的な立場で、一方の主張をもう一方に伝えて論点を整理し、双方にとって受け入れ可能な妥協点を探る手助けを行います。
調停は1回で終了することは稀で、通常は1か月に1回程度のペースで期日が開かれ、解決までには半年から1年程度の期間を要することが一般的です。
ステップ5:調停の成立(調停調書の作成)または不成立になる
複数回の期日を経て、当事者全員が分割方法について合意に至った場合、調停は「成立」となります。
合意内容は調停調書にまとめられます。この調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、これにて手続きは完了です。
一方、話し合いを重ねても最後まで合意に至らなかった場合や、相手方が調停に出席しないなど話し合いの見込みがないと判断された場合、調停は「不成立(不調)」として終了します。
ステップ6:共有物分割調停が不成立になった場合は「共有物分割請求訴訟」に移行する
不成立の場合は、訴訟(共有物分割訴訟)へ移行することになります。調停はあくまで共有者間の合意を目指す話し合いの場でしたが、訴訟では最終的に裁判所が分割方法を決定する判決を下すのが特徴です。
ここで注意すべきは、調停でなされた議論や提出された資料は、その後の訴訟手続きに引き継がれないという点です。
つまり、調停が不成立に終わると、申立人は地方裁判所に改めて「共有物分割請求訴訟」を提起し、一から主張と立証をやり直す必要があります。
共有物分割請求訴訟の流れについて詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。



共有物分割調停の手続きを一人で実施することに不安があるなら、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
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共有物分割調停で決める主な3つの分割方法
共有物分割調停では、どのような方法で不動産を分けるかを話し合います。主に3つの分割方法が定められており、不動産の性質や共有者の希望に応じていずれかの方法を選択します。
それぞれの方法の特性と、メリット・デメリットを理解することが、納得のいく合意形成への第一歩です。
現物分割|土地などを物理的に分ける方法
現物分割とは、共有している不動産そのものを物理的に分割する方法です。一つの大きな土地を、持分割合に応じて複数に分筆(ぶんぴつ)し、それぞれが単独で所有するようにします。
しかし、この方法は適用できるケースが限られる点に注意が必要です。
主に、広くてある程度形が整っている土地など、分割が容易な場合に適しています。一方で、建物(一戸建てやマンションの一室)は物理的に分割できないため、現物分割は現実的ではありません。
代償分割(価格賠償)|一人が不動産を取得して共有者に金銭を支払う方法
代償分割(価格賠償)は、共有者の一人が不動産の所有権をすべて取得し、その代わりに他の共有者に対して、その持分の価値に相当する金銭(代償金)を支払う方法です。
不動産そのものを維持しながら共有関係だけを円満に解消できるため、共有者の中に「この不動産に住み続けたい」「事業で利用したい」といった強い希望を持つ人がいて、かつ、他の共有者の持分を買い取るだけの資力がある場合に非常に有効な解決策となります。
ただし、不動産の評価額について共有者全員の合意を得ることと、代償金を支払う側の資金調達が必要な点に注意が必要です。
評価額で揉めた場合は不動産鑑定士による鑑定が必要になることもあり、資金が不足する場合は不動産担保ローンなどの利用を検討する必要があります。
換価分割|不動産全体を売却して代金を分ける方法
換価分割とは、共有不動産全体を第三者に売却し、売却によって得られた代金から諸経費(仲介手数料や税金など)を差し引いた残額を、各共有者が持分割合に応じて分配する方法です。
共有者の誰もその不動産の所有を希望しない場合や、代償分割を行うための資金がない場合に適しています。金銭によって公平に分配できるため、後のトラブルが生じにくい、非常に明快な解決方法といえるでしょう。
ただし、換価分割を進めるには、売却すること自体はもちろん、売却価格や売却の時期・方法などについて共有者全員の合意が必要です。もし合意に至らず、裁判所の判決によって強制的に売却されることになると、「競売(けいばい)」という手続きになります。
競売での売却価格は、通常の市場価格よりも低くなる可能性もあり、結果的に共有者全員が経済的な損失を被るリスクがあるため注意が必要です。



どの分割方法が適しているか悩む場合は、弁護士に相談してみることも一つです。
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共有物分割調停にかかる費用は?内訳と相場を解説
共有物分割調停を進めるにあたって、費用の問題は避けて通れません。
具体的にどのような費用が、どのくらいかかるのかを事前に把握しておくことは、安心して手続きに臨むために不可欠です。
費用は大きく以下の3つに分類されます。
以下、それぞれ具体的に解説します。
裁判所に支払う実費(申立手数料・郵便切手代)
調停を申し立てる際に、裁判所に直接支払う必要がある実費です。これは弁護士に依頼するかどうかにかかわらず発生します。
申立手数料(収入印紙代) | 共有物分割調停の申し立てには、収入印紙が必要です。 |
---|---|
郵便切手代(予納郵券) | 裁判所が当事者へ呼出状などの書類を送付するために使用する郵便切手を、あらかじめ納める必要があります。 金額は裁判所や当事者の数によって異なります。 |
もし調停が不成立となり訴訟に移行した場合、申立手数料は不動産の固定資産税評価額を基に算出されるため、数万円から数十万円に上ることもあります。
弁護士に依頼する場合の弁護士費用
弁護士に調停手続きを依頼する場合には、弁護士費用が発生します。料金体系は法律事務所によってさまざまですが、一般的には以下の項目で構成されています。
相談料 | 正式な依頼の前に法律相談をする際の費用です。 30分5,000円程度が相場ですが、初回相談を無料としている事務所も多くあります。 |
---|---|
着手金 | 事件を依頼する際に最初に支払う費用です。 一般的には、調停の結果にかかわらず返金はされません。 相場は20万円〜30万円程度です。 |
報酬金 | 事件が解決した際に、その成功の度合いに応じて支払う費用です。 得られた経済的利益の〇%といった形で算出されます。 |
日当・実費 | 弁護士が裁判所へ出頭するための交通費や日当、書類の取り寄せにかかった費用などです。 |
弁護士費用の算出方法には、事務所独自の料金体系を用いる場合が多いです。
相談料の有無や、着手金と報酬金の計算方法などが異なるため、依頼前にしっかり確認しましょう。
その他に発生する可能性のある費用
上記の費用の他に、調停を進める過程で以下のような費用が発生することがあります。
不動産鑑定費用 | 共有者間で不動産の評価額について合意できない場合、客観的な価格を算出するために不動産鑑定士による鑑定が必要になることがあります。 |
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上記の金額は、ケースに応じて異なります。どの程度の金額が発生するかが不安な場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
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共有物分割調停を申し立てるメリット
共有物分割の問題解決において、なぜいきなり訴訟ではなく調停を選ぶべきなのでしょうか。調停には、訴訟にはない多くの実用的なメリットが存在します。
ここからは、調停が持つ具体的な利点を詳しく見ていきましょう。
訴訟より費用を抑え、柔軟な解決を目指せる
調停を選択するメリットの一つは、経済的な負担を軽減できる可能性が高いことです。
弁護士に依頼するのにかかる弁護士費用も、調停で解決できれば、長期化しやすい訴訟に比べて総額を抑えられる傾向にあります。
さらに、調停は解決策の柔軟性が高い点も魅力です。
訴訟では、法律で定められた分割方法(現物分割、代償分割、換価分割)のいずれかが判決として示されるのが基本です。
一方、調停では、当事者双方が合意さえすれば、代償金の分割払いの条件を細かく設定したり、一定期間の居住権を認めたりできます。
共有物分割訴訟の訴額については、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:共有物分割訴訟の訴額とは?どのように計算するのか、裁判手数料も解説
手続きが非公開でプライバシーが守られる
共有不動産のトラブルは、親族間などデリケートな人間関係の中で発生することが少なくありません。このような場合、プライバシーの保護は極めて重要な要素となります。
共有物分割訴訟は公開で行われるのに対して、共有物分割調停は、手続きが完全に非公開で行われます。話し合いは裁判所内の個室(調停室)で行われ、当事者と調停委員会以外の第三者が立ち会うことはありません。
そのため、家族間の内情や個人の経済状況といった他人に知られたくない情報が外部に漏れる心配がありません。
また、調停委員には厳格な守秘義務が課せられています(民事調停法第37条)。調停の過程で知った情報を外部に漏らすことは法律で禁じられているため、安心して率直な話し合いに臨むことが可能です。
民事調停法第37条
民事調停委員又は民事調停委員であった者が正当な事由がなく評議の経過又は調停主任若しくは民事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、三十万円以下の罰金に処する。
家族間の問題を公の場で争いたくないと考える方にとって、このプライバシー保護は調停を選択する大きな動機となるでしょう。
調停調書は確定判決と同じ効力を持つ
調停は「話し合い」の手続きですが、単なる口約束や私的な合意書とは全く異なります。
調停で当事者全員が合意に達すると、その内容をまとめた「調停調書」が裁判所によって作成されます。
この調停調書は、「確定判決と同一の効力」を持つと法律で定められており、調停の強力なメリットの一つです。もし相手方が調停調書に記載された義務(代償金の支払いや不動産の売却協力など)を履行しない場合、調停調書を根拠に「強制執行※」の手続きを申し立てられます。
当事者は安心して交渉に臨め、合意内容が後から反故にされる心配なく確実な問題解決を図ることが可能になるでしょう。
※強制執行とは、相手の預金口座を差し押さえたり、給与の一部を差し押さえたりして、強制的に義務を履行させる法的な手続きです。



共有物分割調停を申し立てるべきか悩んでいる場合は、一度弁護士に相談して適切な判断を仰ぐとよいでしょう。
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共有物分割調停の悩みを弁護士に依頼するタイミングは?
共有物分割の問題に直面したとき、「いつ弁護士に相談すればいいのか」というタイミングは重要です。早すぎても費用が心配ですし、遅すぎると手遅れになる可能性もあります。
理想的なタイミングは、「当事者間の話し合いが行き詰まった」「行き詰まりそうだ」と感じた時点です。具体的には、以下のような状況が弁護士への相談を検討すべきサインといえるでしょう。
- 相手が話し合いに全く応じない
- 話し合いが平行線のまま進展しない
- 相手から弁護士を立てた旨の通知が届いた
- 共有持分を買い取った不動産業者から連絡が来た
共有状態の解消を提案しても、無視されたり、話し合いのテーブルにすらついてくれなかったりする場合は、弁護士への依頼に適したタイミングです。また、お互いの主張が対立し、妥協点が見いだせない状況も依頼すべき状況といえるでしょう。
問題がこじれ、感情的な対立が深刻化する前に相談することで、弁護士はより多くの選択肢の中から適切な解決策を提案できます。調停や訴訟といった法的手続きに入る前段階で、弁護士が代理人として交渉するだけで円満に解決できるケースも少なくありません。
共有物分割調停は弁護士に依頼すべき?4つのメリットを解説
共有物分割調停は、本人だけでも申し立てが可能ですが、弁護士に依頼することで得られるメリットは計り知れません。
ここからは、共有物分割調停について弁護士に依頼する際に得られるメリットを紹介します。
複雑な手続きや書類作成をすべて任せられる
共有物分割調停を申し立てるには、申立書や物件目録など、多数の専門的な書類を正確に作成し、管轄の裁判所に提出する必要があります。
これらの書類に不備があれば、手続きが遅延したり、最悪の場合、申し立てが受理されなかったりするリスクがあるため注意が必要です。
弁護士に依頼すれば、これらの煩雑な書類作成から裁判所への提出、期日の調整まで、すべての手続きを正確かつ迅速に代行してもらえます。
これにより、手続き上のストレスから解放され、分割方法の検討など、問題の本質的な部分に集中できるでしょう。
法的根拠に基づいた適切な条件での解決が期待できる
調停は話し合いの場ですが、その背景には常に法律と過去の裁判例が存在します。相手方が無理な主張をしてきた場合、法的な知識がなければ、それが不当な要求であると反論することは難しいでしょう。
弁護士は、法律の専門家として、あなたの主張が正当であることを論理的に調停委員に説明します。また、不動産の適正な評価額を算定するための根拠を示し、有利な分割方法を提案・交渉します。
感情論に流されることなく、客観的な事実と法的根拠に基づいて交渉を進めることで、公平で適切な条件での解決が期待できるでしょう。
相手方との直接交渉を避け、精神的負担を軽減できる
共有物分割の相手方は、兄弟姉妹や元配偶者など、近しい関係にあった人物であることが少なくありません。そのため、金銭や不動産をめぐる交渉は、非常に大きな精神的ストレスを伴います。
弁護士が代理人として交渉の窓口となることで、相手方と直接顔を合わせたり、厳しい言葉を交わしたりする必要がなくなります。
弁護士という第三者が間に入ることで、感情的な対立が緩和され、冷静な話し合いが進みやすくなる効果も期待できるでしょう。
調停不成立後の訴訟まで見据えた一貫した対応が取れる
調停は、あくまで当事者の合意がなければ成立しません。万が一、調停が不成立に終わった場合、次のステップは共有物分割請求訴訟となります。
最初から弁護士に依頼していれば、調停の段階から将来の訴訟の可能性を視野に入れた戦略を立てることが可能です。調停でどのような主張をし、どのような証拠を提出しておくべきかなど、訴訟で戦うための布石を打てます。
実際に訴訟に移行した場合でも、事件の経緯をすべて把握している同じ弁護士が引き続き対応するため、スムーズかつ一貫した方針で手続きを進めることが可能です。



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共有物分割調停に関するよくある質問
共有物分割調停に関して、多くの方が抱く疑問や不安について、Q&A形式で回答します。
法的な根拠に基づいた正確な知識を持つことで冷静な判断が可能になるため、ぜひ参考にしてみてください。
共有物分割請求を拒否することはできる?
共有物分割請求は、原則として拒否ができません。
民法第256条により、各共有者は、いつでも他の共有者に対して共有物の分割を請求する権利が保障されています。これは非常に強力な権利であり、他の共有者が分割に反対していても、請求自体を法的に無効にできません。
唯一の例外は、共有者全員の合意のもとで「5年を超えない期間は分割しない」という特約(分割禁止特約)を結んでいる場合です。
この特約がない限り、分割請求を無視し続けると、相手方は調停や訴訟を提起し、最終的には裁判所の判決によって強制的に分割が行われることになります。
出典:e-Gov法令検索|民法
共有部分割請求の拒否については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。
相手が調停期日に来ない(欠席した)場合はどうなる?
民事調停法には正当な理由なき不出頭に対しては、過料(5万円以下)を科す規定があります。ただ実務上、適用されることはほとんどありません。
相手方の欠席が続く場合は、話し合いによる解決が不可能なため、調停は「不成立(不調)」として終了する可能性が高いです。
調停はあくまで当事者間の合意形成を目指す手続きであり、参加は任意です。裁判所は1〜2回は期日を設けて出席を促すかもしれませんが、相手方に参加の意思がなければ、それ以上手続きを進められません。
それでも共有状態の解消を望む場合、残された手段は「共有物分割請求訴訟」を地方裁判所に提起することだけになります。
共有不動産に住んでいる共有者がいる場合、分割に影響はある?
共有不動産に住んでいる共有者がいる場合、分割方法の選択に大きな影響を与えます。
共有者の一人がその不動産に居住している場合、その共有者は多くの場合、そのまま住み続けることを希望します。そのため、不動産全体を売却する「換価分割」には同意しにくい状況が生まれがちです。
このようなケースで現実的な解決策となるのが「代償分割」です。居住している共有者が、他の共有者の持分を適正な価格で買い取って単独所有者となるため、生活の基盤を失うことなく、他の共有者は持分を現金化することが可能です。
ただし、居住者に十分な資金力があることが前提となります。もし代償分割の合意ができないまま訴訟に発展すると、裁判所の判断で換価分割(競売)が命じられ、結果的に退去を余儀なくされる可能性もあるため注意が必要です。
調停で合意した内容を相手が守らない場合の対処法は?
調停で成立した合意内容は「調停調書」に記載され、これは確定判決と同じ法的効力を持ちます。したがって、相手が調書の内容を守らない場合、法的な強制力をもって履行させることが可能です。
具体的な手段としては、以下の2段階のステップがあります。
- 履行勧告
- 強制執行
まず、まずは相手に対して「調停で合意した内容を速やかに履行してください」と明確に要求することが一般的です。内容証明郵便を利用して書面で通知(催告)しましょう。
内容証明郵便を送っても相手が応じない場合、調停を行った家庭裁判所に対して「履行勧告」を申し出ます。手数料がかからず簡易な方法ですが、あくまで任意での履行を促すものであり、強制力はありません。
履行勧告に応じない場合、調停調書を「債務名義」として、裁判所に強制執行を申し立てます。これにより、相手の預金口座や給与を差し押さえるなどして、強制的に金銭を回収したり、不動産の登記手続きを強制したりすることが可能です。
まとめ|共有物分割調停について理解を深め、適切に不動産を相続しよう
この記事では、共有物分割調停の基本的な概念から、具体的な手続きの流れ、費用、そして弁護士の役割までを網羅的に解説しました。
共有物分割調停は、単に「訴訟より安価な代替手段」ではありません。当事者が解決の主導権を握り、実情に合った解決策を創出できる、戦略的な法的手続きです。
共有不動産の問題は、時間が経つほど権利関係が複雑化し、解決が困難になります。もし今、共有不動産に関する問題を抱えているのであれば、まずは現状を客観的に把握し、どのような選択肢があるのかを整理することから始めましょう。
何から始めるべきかわからず悩んでいる場合は、一度弁護士に相談するのも一つです。
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