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賃貸物件の家賃が低く経営的にも苦しいため、家賃を値上げしたいと思っているオーナーも多いでしょう。
しかし、家賃値上げは入居者にとっても切実な問題です。
入居者が家賃値上げにすんなりと応じてくれるとは限りません。
と悩むオーナーもいるでしょう。
家賃値上げには正当理由が必要です。
入居者から家賃値上げを拒否された場合のオーナーの対処法など、家賃値上げをスムーズに進めるための交渉のコツ・注意点を解説します。
家賃値上げの正当性は、税の増額や修繕積立金・管理費の値上げなど総合的に考慮して判断されます。
家賃値上げを拒否された場合にどう対応すべきかお悩みの方は、不動産トラブルに強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。
初回60分の相談は無料です。
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家賃は、オーナーと入居者の合意によって決まります。
家賃値上げも、原則としてオーナーと入居者の合意が必要です。
入居者から家賃値上げを拒否された場合、調停や裁判を行わない限り、オーナーは家賃値上げできません。
家賃値上げを拒否している入居者に対して、家賃値上げ拒否を理由として契約の更新拒否や契約解除すること、まして入居者を追い出すことは、基本認められません。
家賃値上げには正当理由が必要ですが、入居者の追い出し(強制退去)にもオーナー側に正当理由が必要です。
正当理由があるとして入居者の追い出しが認められる可能性があるのは、次のような場合に限られます。
家賃値上げ拒否だけでは明渡し請求の正当理由とは言えませんが、立退料の支払いを正当理由の補完条件として、明渡し請求が認められる場合はあります。
家賃は、オーナーの都合で一方的に上げることはできません。
家賃の値上げには、借地借家法32条1項(借賃増減請求権)に定められている正当理由が必要です。
たとえば、次のような事情がある場合は「正当理由」に該当する可能性があります。
ただし、上記のような事情があっても、家賃の値上げが直ちに認められるとは限りません。
家賃値上げの正当性は、他の事情(当事者間の事情、従前家賃との乖離状況、一定期間の経過など)も総合的に考慮して判断されます。
次のような場合は、家賃値上げの正当理由と認められません。
オーナーが賃貸物件の経営とは関係のない自分の経済的事情により、単なる収入増目的で家賃値上げすることは、家賃値上げの正当理由とは言えません。
「とにかく収入を増やしたい」「別途発生した損失を補てんしたい」などの理由で家賃値上げすることは、難しいでしょう。
周辺の家賃相場よりも著しく高い家賃を設定しようとする場合も、値上げは困難です。
値上げするとしても、値上げ後の家賃は正当と認められる範囲内にする必要があります。
「家賃は増額しない」という特約がある場合は、特約は原則有効で値上げは困難です。
「周辺の家賃相場より家賃が低い」「固定資産税が上がった」など、家賃値上げの正当理由に該当し得る事情があっても、特約があれば値上げは認められない可能性が高いでしょう。
家賃値上げ交渉で起こり得るトラブルとして、次のようなことがあります。
家賃の値上げは、オーナー側に正当理由があっても、入居者との間でトラブルになることがあります。
どのようなトラブルがあり得るのかをあらかじめ認識したうえで、慎重な検討と準備が必要です。
家賃値上げでよくあるトラブルは、家賃の支払い拒否です。
値上げ分の家賃差額の支払い拒否だけでなく、家賃全額の支払いを拒否される事態もあり得ます。
たとえば「家賃値上げはオーナーの勝手な都合」と入居者が判断した場合、家賃値上げに同意せず家賃全額の支払いを拒否することもあるでしょう。
入居者は値上げに不服でも従前の家賃を支払う義務があり、家賃全額の支払い拒否は本来認められません。
しかし、オーナーが家賃値上げ理由の説明や値上げの通知をきちんと行っていない場合は、裁判上の争いになるリスクがあります。
家賃値上げを行う場合は、前もって値上げの理由を入居者に説明し、きちんと通知することが重要です。
家賃値上げを理由にして解約されることもよくある事態です。
家賃は毎月必要な固定的な経費であるため、入居者にとって値上げは大きな負担になる場合があります。
そのため、家賃値上げに応じるより解約を選ぶ入居者もいるでしょう。
解約された場合、新たな入居者をすぐに確保できる保証はありません。
家賃収入を増やそうと考えて値上げを求めたのに、家賃収入の減少になってしまいかねません。
家賃値上げをするとしても、周辺の家賃相場を踏まえた値上げ幅にとどめるなど適切な配慮が必要です。
家賃値上げを告げられた入居者が夜逃げする事態もあり得ます。
金銭面などで問題がある入居者は、オーナーに連絡せずこのような行動に走る可能性がないとは言えません。
夜逃げされてしまうと、急に空室が発生するため、新たな借主が見つかるまで家賃収入が途絶えてしまいます。
オーナーに断りもなく退去された場合、家賃回収が困難になるだけでなく、居室の原状回復費用など追加的な費用もかかり、入居者の新規募集などの予定外の問題も発生します。
家賃値上げは、入居者の状況をきちんと把握しておき、慎重に進めることが大事です。
家賃値上げをスムーズに進めるためには、値上げのタイミングが重要です。
家賃値上げの時期に決まりはありませんが、契約期間中は据え置き契約更新時に家賃値上げするケースが多いでしょう。
入居者を新規募集する際やオーナーが変わった際に、家賃を上げる例もあります。
賃貸借契約書では、契約更新時に限らず、物価高騰などの事情があれば、契約期間中でも値上げできるという条項を入れているのが通例です。
いずれにしても、家賃値上げには正当理由が必要であり、闇雲に値上げできるわけではありません。
家賃値上げを検討する場合、タイミングによっては、入居者の退去により空室が発生するリスクがあることを認識しておきましょう。
家賃値上げ交渉の進め方のポイントは、次の3点です。
家賃値上げは、決して容易なことではありません。
スムーズに家賃値上げを実現するため、進め方のポイントをしっかり把握しておきましょう。
家賃値上げ交渉をスムーズに進めるためには、入居者に対する家賃値上げ理由の説明と通知が必須です。
その際、次の点に留意する必要があります。
まず、家賃値上げの理由・根拠を入居者が納得しやすいように、きちんと明示して説明することが大事です。
それでも入居者に納得してもらえず、話し合いが手間取ることも考えられます。
家賃値上げを早期に実現したいのであれば、できるだけ早く理由を付して、入居者に値上げの通知をしましょう。
家賃の値上げの説明や通知は口頭でも可能ですが、口頭の場合、後で言った言わないと争いになることもあるため、必ず書面で通知すべきです。
書面による通知の方法は、調停や訴訟に移行する場合も考えられるため、配達日と内容を確認できる配達証明付き内容証明郵便にしましょう。
家賃値上げの話がまとまらない場合は、調停の申立をしましょう。
法的には、オーナーの賃料増額請求の意思表示が相手方に到達した時点で効果が生じ、入居者の承諾がなくても将来的に家賃が増額されます。
しかし、これには強制力がないため、金額に争いがある場合は、調停や裁判を利用することになります。
賃料の増減は調停前置主義となっており、まず調停を申し立てなければなりません。
調停は、原則として物件の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。
調停で合意が成立しない場合は、最終的に訴訟で決着することになります。
裁判では値上げの正当性が争われるため、鑑定結果などが重要な証拠となります。
争いが長期化するのは面倒だからと、簡単に契約を解除することはできません。
オーナーからの契約解除には、正当理由が必要です。
値上げ後の家賃差額未払いは契約解除の理由になり得ますが、賃貸人が建物を必要とする事情や立退料等を考慮して、正当理由があると認められなければ契約は解除できません(借地借家法28条)。
家賃値上げの話し合いがまとまらないときの対処法を紹介します。
家賃収入の安定的確保を優先するのであれば、現状のまま家賃を据え置くことも選択肢にしましょう。
入居者が家賃値上げに応じない理由は、経済的な事情、周辺の家賃相場などいろいろ考えられます。
相手の言い分もよく聞いて、家賃収入が引き続き確保されることを優先することも大切な判断です。
値上げに応じない入居者に居座わられるのは困るというときは、立退料を支払って、解約・明渡しを求めましょう。
オーナー側から賃貸借契約解約を申し入れる際は、正当理由が必要です。
「老朽化した物件を建替える」「賃貸人が物件を利用する」などの理由だけでは、解約・明渡しは通常認められません。
老朽化などの事情に加えて、立ち退きを求める入居者に一定の金銭的補償(立退料)をしなければ、正当理由を認めないとする裁判例が多いのが実情です。
立退料は当事者の交渉で決定しますが、明確な相場や基準はないため、よくわからないときは、弁護士と相談してみましょう。
家賃値上げを入居者に拒否された場合は、収益性も考慮し賃貸物件を売却することも選択肢に入れるべきです。
値上げしないと赤字がさらに拡大し経営が困難になるが、調停や訴訟は費用も手間もかかるため避けたいという場合に、有効な対策になります。
家賃値上げを拒否された場合の追い出しの可否・対処法についてまとめます。
家賃値上げや追い出しの正当理由は、根拠となる資料が必要で交渉は決して容易ではありません。
冷静な話し合いが難しい場合は、借地借家問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人アクロピースは、家賃交渉などの 不動産問題に強い弁護士が多数在籍しております。
これまで培ってきた不動産問題に関する経験をもとに、スムーズで有利に家賃問題を解決するお手伝いをいたします。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。