共有持分の買取はできる!3つの請求方法と成功のポイント注意点も解説

親からの相続によって不動産の共有持分を取得したが、兄弟である共有者の共有持分を買い取って、自分だけの完全な所有権にしたいと考え悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
- 共有持分を買い取ることはできるのか?
- 買い取る場合どのような方法があるのか?
共有持分は、一定の場合買い取ることができます。
不動産は共有状態を続けるよりは、できれば買い取って共有状態を解消した方がよいでしょう。
共有持分買取の条件や方法と具体的な請求方法の流れ、買取を成功させるためのポイントと注意点を解説しているので、共有持分買取で悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
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共有持分は買い取ることができる

不動産が複数人の共有になっている場合、共有者は他の共有者の共有持分を買い取れます。
共有者が複数人いる場合は、共有者の共有持分をすべて買い取ることも、一部の持分だけを買い取ることも可能です。
たとえば、親が死去した場合に遺言がなく遺産分割協議もしなかったときは、相続財産である家や土地は相続人である子の共有になります。
その場合、親と一緒に住んでいた子が引き続き住み続けたいと思えば、相続人である他の兄弟姉妹の共有持分(法定相続分)を買い取ることが可能です。
共有持分を買い取る場合、他の共有者にきちんと理由を説明し合意を得る必要があります。
共有持分を買う場合は、もちろん対価の支払いが必要です。
共有持分買取には3つの方法がある

共有持分買取請求の方法は、主に次の3つがあります。
当事者同士の買取交渉
当事者同士の買取交渉とは、他の共有者に「共有持分を買い取りたい、売ってほしい」とお願いベースで交渉することです。
共有者は自分の共有持分を自由に売買できます。
しかし、相手が共有持分に愛着があり持ち続けたいと希望する場合もあるでしょう。
その場合、共有持分の買取価格が大きなポイントになる可能性があります。
共有持分の価格は買取需要が少ないため、一般的に不動産全体を売却する場合より相当低い金額になってしまいます。
しかし、当事者同士の買取交渉の場合、法的な強制力はないので、相手が消極的で低い価格では話し合い応じてくれないこともあるでしょう。
どうしても共有持分を買い取りたいのであれば、ある程度の価格を前提に交渉しなければなりません。
売買価格などの条件が折り合えば、共有持分の買取ができます。
共有物分割請求
任意の話し合いがまとまらない場合は「共有物分割請求」をする方法もあります。
共有物分割請求は、裁判所に請求して判決に基づき共有状態を解消するものです。
共有物分割請求訴訟を提起できるのは、共有者間で協議が調わないか、協議ができないときです(民法258条1項)。
共有物分割請求があった場合、まず共有者全員が分割方法について話し合う義務があり、話し合いがまとまらない場合は、裁判官が判決を下します。
共有物分割請求による分割方法は、次のいずれかになるでしょう。
現物分割 | 共有不動産を切り分けて分割する(土地の分筆) | 民法258条2項1号 |
---|---|---|
代償分割 | 共有者の1人が共有不動産を取得する代わりに他の共有者へ金銭を支払う(共有持分の買取) | 民法258条2項2号 |
換価分割 | 共有不動産全体を売却し、売却益を持分割合に応じて分割する(競売) | 民法258条3項 |
裁判所の判断によるため、必ずしも請求どおりに他の共有者の持分を買い取れるとは限りません。
共有物分割請求については、次の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:【共有物分割請求とは】共有不動産の問題点・共有状態の解消方法
強制力のある買取請求(共有持分買取請求権の行使)
一定の場合、強制力のある「共有持分買取請求権(持分買取権)」を行使できます。
たとえば、共有者の1人が支払うべき管理費を立て替えてもらったのに、立替え分の支払いを拒否し続けた場合です。
共有物の管理費は持分割合に応じて各共有者が分担する義務があります(民法253条1項)。
他の共有者が管理費を立て替えた場合、立て替えた共有者は支払いを拒否している共有者の持分を、対価(相当の償金)を払って買い取ることができます(共有持分買取請求権、民法253条2項)。
共有持分買取請求権を行使できるのは、次の2条件を満たす場合だけです。
- 他の共有者が支払うべきの管理費(修繕費や税金など)を立て替えた
(水道光熱費などは管理費に該当しません) - 立て替えた費用を請求したが1年以上支払われていない
管理費を立て替えた共有者は、他の共有者の同意を得る必要なく、単独で権利行使が可能です。
請求を受けた共有者は買取を拒否できません。
共有物分割請求や共有物買取請求権の行使には不動産関係の法律のみならず、不動産市場に関する理解も必要不可欠なため、不動産、特に共有物分割に精通した弁護士を選ぶことが大切です。
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共有持分買取請求権を行使する流れ

管理費用を立て替えた共有者が、未払いの共有者に共有持分買取請求権を行使する流れは次の通りです。
未払いの共有者に管理費用を請求
まず管理費用未払いの共有者に対して、負担した税金や維持費などの管理費用を請求します。
管理費用を立て替えた者は、共有持分の管理費用を肩代わりした時点で求償権を得ています。
請求は口頭でも可能ですが、次の共有持分買取請求権の行使は未払い期間が1年間必要です(共有持分買取請求権、民法253条2項)。
未払い期間は相手に請求した日から起算するため、内容証明郵便などで請求の事実を証明できるようにしておくことが大事です。
共有持分買取請求権の行使(内容証明郵便で通知)
管理費用を請求しても1年以内に支払われないときは、未払いの共有者に対して共有持分買取請求権を行使します(民法253条2項)。
権利を行使するときは、管理費を支払っていない共有者に持分買取権を行使する旨を明確に意思表示する必要があります。
意思表示の方法は法律の決まりはありませんが、後で問題にならないよう内容証明郵便で通知しましょう。
通知文には、買取請求をする共有持分の所有者・持分割合、希望の買取価格・買取理由などを記載します。
共有持分買取の対価を決定
共有持分の買取対価を当事者間で協議して決めましょう。
共有不動産の時価(市場価格)の共有持分割合を基準にすることが一般的です。
たとえば、不動産の時価5,000万円で持分20%の場合、買取代金は1,000万円が基準になるでしょう。
滞納分の管理費は買取代金から差し引くことも可能です。
不動産価格の評価方法は、不動産業者の査定や固定資産税評価など複数あります。
費用はかかりますが、不動産鑑定評価をベースに協議するのが無難でしょう。
評価方法や対価が当事者間の協議でまとまらない場合は、調停や裁判で解決を図ることになります。
- 調停:相手方の住所がある区域を管轄する簡易裁判所に申し立てる
- 裁判:調停で合意が得られない場合、裁判所に申し立てて判決で買取対価を決定する
対価支払い
管理費を滞納している共有者に対して、決定された対価を一括払いで支払いましょう。
対価の支払いが完了すれば滞納者の持分は持分買取権行使者の所有になりますが、権利関係は当事者間でのみ有効です。
第三者に対抗できるように持分移転登記を行い、名義を立て替えた本人に変更しておく必要があります。
持分移転登記
持分移転登記を行い、共有持分を自身の名義にしましょう。
登記申請は、 滞納者と持分買取権行使者が共同で行う必要があります(不動産登記法60条)。
滞納者が協力しない場合は「所有権移転登記手続請求訴訟」を地方裁判所へ申し立て、確定判決を得れば単独で登記可能です(不動産登記法63条)。
揉める場合や、手続きに不安がある場合は、弁護士に依頼することを検討した方がよいでしょう。
共有物分割請求による買取請求の流れ

共有物分割請求による買取請求は、次の流れで進めましょう。
- 他の共有者と共有物分割の交渉を行う:
共有者全員で共有物分割の協議を行います。訴訟へ移行するためには「協議をしたが解決しなかった」という事実が必要です(民法258条1項)。
その事実を明確にするため内容証明郵便で協議を申し入れましょう。 - 訴訟を提起する:
地方裁判所に訴訟を申し立てます(訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所でも可)。
訴訟提起前に調停を申し立てることも可能です。 - 判決もしくは和解に基づき分割する:
裁判官から和解案が提示されることがあります。
判決や和解で決定した内容は強制力があり、当事者はその内容に従わなければなりません。ただし、上訴は可能です。
訴訟で代償分割(共有持分の買取)を実現するためには、自分が共有不動産を取得するのが合理的なことを証明する必要があります。
法律知識や裁判所での受け答えが重要になるため、弁護士に相談した方がよいでしょう。
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共有物分割請求訴訟の手続きの流れについては、次の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:【共有物分割請求訴訟の手続きの流れ】メリット・デメリットなどを解説
共有持分買取を行うときの4つの注意点

共有持分の買取を行う場合に注意すべき事項があります。
買取資金の準備が必要(無償ではない)
共有持分を買い取るためには、買取資金を準備しなければなりません。
共有持分は無償で取得できるわけではなく、原則として取得する共有持分の時価相当額を支払う必要があります。
前述のとおり、いくら強制力を伴う共有持分買取請求権であっても、他の共有者の持分を無償で取得できるわけではないのです。
共有物分割請求も同様で、適正な対価を支払う必要があります。
共有者と無償譲渡(贈与)の合意をすれば別ですが、共有持分を適切な価格で買い取れるだけの資金の用意・手当てが必要です。
買取請求権行使のための証拠を残す
持分買取請求権を行使し共有持分を強制的に買い取る場合、裁判になったときのために証拠を残しておくことが重要です。
たとえば、立て替えた管理費の内容と金額、それを請求した事実を立証できる証拠を保存しておきましょう。
必要な資料を保存しておくとともに、内容証明郵便によって請求内容や請求日を明確にしておくことが重要です。
共有物分割請求ができない場合がある
共有物分割の話し合いがまとまらない場合、共有物分割請求訴訟を提起して共有状態を解消する方法がありますが(民法258条1項)、共有物分割請求ができない場合があります。
次の場合は共有物分割請求はできません。
- 「共有物分割禁止特約」がある場合:
「共有物分割禁止特約」は、共有者全員の同意により共有物分割請求を一定期間禁止する特約です(民法256条1項)。
禁止期間は最長5年間ですが、全員の同意があれば更新できます。 - 「権利の濫用」にあたる場合:
「権利の濫用」の禁止は民法の基本原則(民法1条3項)です。
法律上認められている権利でも他者に著しい不利益を及ぼすなど、具体的状況や実際の結果に照らすと行使を認めることが妥当でないと判断される場合に用いられます。
たとえば、当該不動産に居住していない共有者の分割請求により、現に居住している共有者が住む場所がなくなる場合、共有者の利益を著しく損なうとして権利の濫用とみなされる可能性があります。
裁判で権利の濫用と判断されれば、共有物分割請求は認められません。
所在等不明共有者の共有持分の取得制度を活用
共有者の所在が不明な場合、共有持分を買い取りたくても買えないのではと思うかもしれませんが、「所在等不明共有者の持分取得」の申立てを行えば、裁判により共有持分を取得可能です(民法262条の2)。
「所在等不明共有者の共有持分の取得制度」は、民法改正により令和5年4月1日から施行されたものです。
所在不明者の共有持分の取得を裁判所に申し立てるときは、取得する持分の時価相当額を供託する必要があります。
また、不明共有者の持分が相続財産の場合は、相続開始時から10年を経過していなければ裁判の申立てはできません。
出典:所在等不明共有者持分取得申立てについて |裁判所
共有持分買取を成功させるポイント

共有持分買取を成功させるポイントがあります。
まず以下の点に注意しましょう。
- 共有者と良好な関係を保つ:相手の意向を尊重し、双方が納得いく条件を検討する
- 適正な買取価格を算出する:不動産鑑定士に依頼して公正な評価額を決める
- 任意売買を優先する:任意売買による合意であれば時間とコストの節約になり、関係を損なわずに進められる
また、次のような問題や不安がある場合は、弁護士と相談してサポートを得ましょう。
- 感情的な対立が予想される場合
- 買取価格に争いがある場合
- 共有者の所在が不明な場合
他の共有者との交渉がまとまらない場合や連絡が取れない場合などは、不動産法務に強い弁護士と相談すれば、その後の方向性が明確になり、交渉や裁判手続を任せることもできます。
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まとめ
共有持分買取についてまとめます。
- 不動産が共有になっている場合、共有者は他の共有者の持分を買い取ることができる
- 共有持分買取請求の方法は、お願いベース・共有物分割請求・共有持分買取請求権の行使の3つある
- 共有物分割請求は、現物分割・代償分割・換価分割の3つの方法がある。共有者との分割交渉、不成立の場合は訴訟を提起、判決か和解に基づき分割するという流れになる
- 共有持分買取請求権は、管理費を立て替えて請求後、1年以上支払いがない場合に行使可能。未払い者に管理費用を請求・買取請求権の行使、対価の決定・支払い、持分移転登記という流れになる
- 共有持分買取を行う場合、無償でない・必要な証拠を残す・分割請求できない場合がある・所在等不明の場合の持分取得制度がある点に注意すべき
- 共有持分買取を成功させるポイントは、共有者と良好な関係を保つ・適正な買取価格の算定・任意売買を優先すること、弁護士と相談してサポートを得ることが有効
共有持分買取は、トラブルになることがよくあります。
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