共有持分売却相場はどのくらい?市場価格より安い理由と高く売る方法を解説

不動産の共有持分を売りたいと思っているが、共有持分は一般の不動産の市場価格より安くなると聞き、次のように悩んでいる方もいるでしょう。
- そもそも相場はどれくらいなのか?
- 共有持分の売却相場は市場価格よりも安いのか?
- 相場よりも高く売却する方法はないか?
共有持分は売却しようとしても、売却先は限られる場合が多いです。
売却相場は、物件の形態や立地条件などによって異なり、一概にどの程度とは言えませんが、通常の不動産の市場価格より安くなる傾向にあります。
共有持分売却相場について、相場が安くなる理由や高く売るための方法などを解説しているので、不動産の共有持分の売却で悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
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共有持分とは

共有持分とは、不動産を2人以上の複数人で共同所有(共有)している場合の、各共有者が持つ権利割合です。
たとえば次のようなケースでは、不動産が複数人の共有名義になることもあるでしょう。
- 相続した不動産
- 夫婦が共同で購入したマンションなど
共有物の持分割合は、遺産の場合は分割協議による相続分、購入物件の場合は出資した金額に比例し、出資額が多いほど持分割合も大きくなるのが一般的です。
不動産の共有持分は、法的には他の共有者の同意がなくても自由に売却できますが、後々トラブルになることも多いため、あらかじめよく話し合っておいた方がよいでしょう。
共有持分については、次の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:【共有持分の基礎知識】売却・相続・私道が絡むトラブル事例も紹介
共有持分売却相場はどのくらい?

共有持分の売却相場は、取引事例が少なく、ケースによって売却価格は大きく異なるため一概に「相場はいくら」とは言えません。
しかし、次のようなケースが考えられます。
それぞれのケースについて解説します。
「共有不動産全体の市場価格の持分割合」にはならない
共有持分の価格は通常、共有不動産全体の市場価格の持分割合とはなりません。
共有持分の市場価格は、物件全体の市場価格に持分割合を掛けて機械的に計算すればよいと考える方もいるでしょう。
その場合、たとえば、市場価値6,000万円の住宅の共有持分が1/3であれば、2,000万円が共有持分の市場価格となります。
しかし、共有持分の売却価格は「共有不動産全体の売却価格×持分割合」にはならないことが多いのです。
「市場価格の1/2~1/3程度」とされることが多い
共有持分の売却相場は、一般的に「市場価格の1/2〜1/3程度」とされることが多いです。
ただし、物件全体の価格も共有持分の価格もその時点の市場環境によって異なり、実際の売却価格が相場より高いこともあれば、安いこともあります。
実態としては市場価格の1/2〜1/3程度、場合によってはそれよりも安いケースも多く、市場価格で売却することは極めて難しいといえるでしょう。
まれに「市場価格×持分割合」で売却可能なケースもある
共有持分の売却価格は安くなりがちですが、まれに「市場価格×持分割合」に近い価格で売却可能な場合もあります。
たとえば、次のようなケースでは持分をスムーズに売却できる可能性があるでしょう。
- 他の共有者に売却する:
共有者と争いがなく、双方にメリットがあれば、減額されずに持分割合に応じた金額での取引が可能なこともある - 共有持分をどうしても入手したい業者に売却する:
物件の将来の収益を考えてある程度高い価格でも購入する可能性があるが、極めてまれなケース
いずれの場合も、共有持分の売却を弁護士に依頼すれば、他の共有者の利益をも考慮した合理的な提案ができ、より高い価格で売却できる可能性が高まります。
共有持分の売却でお困りの方は、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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共有持分売却相場が安くなる理由

共有持分売却相場が安くなる主な理由は次の通りです。
共有持分は自由に活用できない
共有持分を購入しても、軽微な修繕などの保存行為は単独でできますが(民法252条5項)、変更や管理には制限があり自由に活用できません。(民法251条・252条)。
そのため、以下のような問題が生じます。
このように自由に利活用できない、制限がある物件をわざわざ買う方は、なかなかいないでしょう。
そのため、共有持分の需要が下がり、売却相場が安くなるのです。
他の共有者とトラブルになりやすい
他の共有者とトラブルに発展しやすいことも、共有持分の売却相場が安くなりがちな理由です。
たとえば、以下のようなトラブルが挙げられます。
- 不動産の管理・変更に関する意見が異なり、話し合い難航する
- 維持管理費や固定資産税の負担者や負担割合でもめる
前述のとおり、共有不動産の売却や建替えといった「変更行為」は共有者全員の同意が必要です。
共有者が1人でも反対すると実行できません。
また、共有不動産の維持管理費や固定資産税などの管理費は共有者全員が負担しなければなりませんが、意見が一致せずトラブルになるケースも少なくないでしょう。
売りにくく買い手が限定される
上で説明したように利活用の自由度が低く、トラブルが起こるリスクが高い共有持分の購入者は、極めて限定されるでしょう。
不動産を買うのであれば、制約がない通常の土地や建物に居住したいと思うのが普通のことです。
わざわざ制約がある共有持分を買うことは、ほとんど期待し難いでしょう。
まれに、買取業者や不動産投資家の中には「転売利益などを見込んで、共有者の共有持分をすべて買い集めて単独所有を狙う」ことがあるかもしれません。
しかし、そうした例は少ないだけでなく、強引な営業で買い叩かれて相場よりも著しく安くなる可能性が大きいでしょう。
また、他の共有者と大きなトラブルになるリスクもあり、売却は避けた方がよいです。
権利関係の複雑化や想定外の請求などの法的なリスクがある
共有物には権利関係の複雑化や想定外の請求が行われるリスクがあります。
たとえば、次のようなリスクが挙げられます。
こうしたリスクがあることを知っている買い手は、共有持分を極力安く買おうとするか、そもそも手を出さないでしょう。
融資のハードルが高い
銀行等の金融機関はローンを組む場合、通常、購入する不動産を担保としますが、共有持分は担保価値が低いと判断され、融資を受けられないことがあります。
買い手の資金調達が難しいため、結果的に現金購入が可能な限られた層しか買い手にならない可能性が高いのです。
このことも、価格低下の要因になっているでしょう。
共有持分売却価格は売却先によって変わる

共有持分の売却価格は、売先によって大きく変わる可能性があり、共有持分の売却先は主に次の3つが考えられます。
他の共有者
まず、同じ不動産を所持している他の共有者に売却するケースが考えられます。
たとえば2人で共同所有しているとき、他の共有者は共有持分を買い取ることで単独所有が可能となります。
単独所有になれば、自分の希望のタイミングでの処分や利活用の可能性が格段に増すためメリットは大きいでしょう。
そのため、まず他の共有者に売却の意思を確認した方がよいです。単独所有などのメリットを感じる共有者であれば、一番高く売れる可能性があります。
他の共有者が購入してくれれば、売却価格が最も高くなる可能性があるでしょう。
投資家
投資家(個人・法人)が購入するケースもまれにあるかもしれません。
限られたケースですが、たとえば、他の共有者に賃料を要求して収益を上げることが狙いでしょう。
ただし、投資家が共有持分を購入するケースはまれです。
買うとしても収益狙いのため、売却をしたい共有者が希望する価格は期待できないでしょう。
共有持分買取業者
共有持分を専門に買い取る不動産買取業者もいます。
買取専門業者は一部の共有持分を買い取った後も、他の共有者から強引に買い取ろうとするなど、トラブルになりかねない悪質な業者もいる場合があり、注意が必要です。
売却価格も大きく買い叩かれる懸念があるため、共有持分買取業者の利用はおすすめできません。
共有持分買取業者については、次の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:【共有持分買取業者とは?】依頼のメリットとデメリット・利用する注意点
共有持分を相場より高く売る3つの方法

デメリットもあり売りにくく、売却価格が低くなりがちな共有持分ですが、相場より高く売却する方法もあります。
共有持分を相場より高く売る方法は、次の3つです。
それぞれの方法について、解説します。
共有者に売却する
まずは他の共有者に売却することです。
「共有持分売却価格は売却先によって変わる」の項で説明した通り、他の共有者が購入してくれれば、売却価格が高くなる可能性があります。
他の共有者の意向次第ですが、購入希望があれば共有者にとっても大きなメリットがある方法です。
双方にとって有効な方法と言ってよいでしょう。
共有者の同意を得て不動産全体を売却する
他の共有者の賛同を得て共有持分をすべて買い取ってから売るか、他の共有者と協力して共有持分を一括して1個の不動産として売却する方法です。
他の共有者から買い取ってから売る方法は、一時的に資金手当てが必要になりますが、いずれの方法でも共有持分をまとめて不動産全体を一括して売ることができれば、売却価格を大幅に高められます。
土地は分割請求して分筆して売却する
共有不動産が土地である場合、全体を一括して売ることができない場合、分筆してから売却する方法もあります。
1つの土地を複数に分割して登記すること
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条)。
共有のまま売却しようとすれば、購入者は自由に利活用できないためどうしても低価格になりがちです。
分筆すれば単独名義の完全な所有権となるため、購入希望者の増加が見込めます。
ただし、分筆によって土地が狭くなったり、形が悪くなったりすると、価値が下がるおそれもあります。
分筆するときは、分筆後の面積や形、使いやすさなどをしっかり考慮することが大事です。
共有持分売却を弁護士に依頼するメリット

共有持分売却はトラブルに発展しやすく、複雑な法的知識や不動産市場の知識・経験が必要なため、弁護士に依頼するメリットは大きいといえます。
弁護士に依頼する主なメリットは次のとおりです。
- 最適な方法をアドバイスしてもらえる:
どのような方法が適切かは共有者との関係や自身の希望によって異なるため、弁護士のアドバイスが不可欠 - 他の共有者との交渉を代行してもらえる:
他の共有者に買取りを求め、実勢価格をベースに交渉できる - 「共有物分割訴訟」を提起して共有状態の解消を目指せる:
共有持分を実勢価格(取引価格)に近い金額で売却し、共有状態の解消を目指せる - 所在不明の共有者の調査などを代行してもらえる
共有持分を売却するのであれば、まず共有者と話し合うことをおすすめします。
ただし、いつまで経っても話し合いが進みそうもない場合は、共有物分割訴訟の提起も検討した方がよいです。
いずれの場合も、弁護士に相談すれば、妥当な対処法を見出せます。
共有物分割訴訟の手続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:【共有物分割請求訴訟の手続きの流れ】メリット・デメリットも解説
まとめ
共有持分売却相場についてまとめます。
- 共有持分の売却相場は、不動産全体の市場価格の持分割合ではなく、市場価格の1/2~1/3程度の持分割合とされることが多い
- 共有持分売却相場が安くなる理由は、自由に活用できない・他の共有者とトラブルになりやすい・売りにくく買い手が限定される・法的リスクがある・融資を受け難いこと
- 共有持分の売却先は、他の共有者・投資家・共有持分買取業者の3つが考えられるが、買取業者や投資家は買い叩かれる懸念がある
- 共有持分を相場より高く売る方法は、共有者に売却する・共有者の同意を得て不動産全体を売却する・土地は分割請求して分筆して売却するなど
- 弁護士に売却を依頼するメリットは、最適な方法をアドバイスしてもらえる・交渉を代行してもらえる・他の共有者に実勢価格ベースで買取りを求められる・共有物分割訴訟を提起して共有状態の解消を目指せることなど
共有持分は売却先が限られるため安くなりがちです。
共有持分の売却方法や価格に不安があるときは、共有不動産の問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
不動産をめぐるトラブル解決のためには、きちんとした法律知識やトラブル解決の経験が必要です。
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