賃料増額請求の弁護士費用はどのくらい?その他の費用や安く抑える方法を解説

賃料増額請求の弁護士費用はどのくらい?その他の費用や安く抑える方法を解説

賃貸に出している物件の賃料が不相当なものとなったときには、賃借人に賃料の増額を求めることができます。

賃料増額の交渉や調停を自分で行うのは難しく、弁護士への依頼を検討している方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、賃料増額請求の手続きを弁護士に依頼しようと考えている方に向けて、次の内容を解説しています。

最後まで読めば、賃料増額請求にどのくらいの費用がかかるのかがわかるので、ぜひご覧ください。

賃料増額請求の手続きや弁護士費用について詳しく知りたい方は、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。

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目次

賃料増額請求の弁護士費用

弁護士費用

賃料増額請求の手続きを弁護士に依頼する場合には弁護士費用がかかります。弁護士費用には、次の4つの種類があります。

平成16年4月1日から、弁護士費用は各法律事務所が自由に決められるようになりました。

そのため、弁護士費用は各法律事務所によって異なりますが、現在でも旧日弁連の報酬基準を参考にしている事務所が多くなっています。

旧日弁連の報酬基準は、それ以前の統一的な報酬基準として利用されていたものです。

弁護士費用の相場を知るには、旧日弁連の報酬基準での金額を理解しておくのが良いでしょう

ここからは、旧日弁連の報酬基準を基に賃料増額請求の弁護士費用の相場について詳しく解説します。

法律相談料

法律相談料は、弁護士に正式に事件の依頼をする前の法律相談にかかる費用です

旧日弁連の報酬基準における法律相談料は、30分ごとに5,000円から1万円の範囲内とされており、相場は、30分5,000円(税別)となっています

初回の法律相談については、無料としている法律事務所も多くあります。

費用の心配をされている方は、無料相談で賃料増額請求が認められる見込みや弁護士に依頼した場合の費用を確認してみるのがおすすめです。

着手金

着手金は、弁護士に手続きを依頼した際にかかる費用です

賃料増額請求の着手金について、旧日弁連の報酬基準では「増減額分の7年分の額」を経済的利益として、次の計算式で算出されます。

経済的利益の額着手金の額
300万円以下8%
300万円を超え3,000万円以下5%+9万円
3,000万円を超え3億円以下3%+69万円

たとえば、月に4万円の賃料増額を求めるケースにおける着手金は、次のようになります。

経済的利益の額=4万円×12か月×7年=336万円

着手金の額=336万円×5%+9万円=25万8,000円

数は少ないものの法律事務所によっては、着手金を無料として、その分を報酬金に加算して対応しているところもあります。

報酬金

報酬金は、事件が解決したときに発生する費用です

賃料増額請求の報酬金は、旧日弁連の報酬基準では「増減額分の7年分の額」を経済的利益として、次の計算式で算出されます。

経済的利益の額報酬金の額
300万円以下16%
300万円を超え3,000万円以下10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下6%+138万円

報酬金は、実際に増額された金額を基準に計算されます

たとえば、当初は5万円の増額を求めたところ、4万円の増額で合意した場合には、増額分を4万円として報酬金を計算します。

実費など

弁護士に手続きを依頼する場合、弁護士が手続きを進めるに際してかかる実費についても依頼者が負担するのが通常です。

実費としては、郵便費用や交通費などが挙げられるでしょう。

多くの法律事務所では、事件を受任する際に1万円から数万円程度の実費を預かり、事件が解決した際に実費を精算した残額を返還しています。

法律事務所によっては、出張時や裁判所に出廷した際の日当を請求しているところもあります。

手続きが長引くと日当の額も高額となる可能性があるため、日当の有無と金額は依頼する際にしっかりと確認するようにしてください。

賃料増額請求にかかるその他の費用

費用

賃料増額請求にかかる費用は、弁護士費用だけではありません。

賃料増額請求の手続きを進めるには、弁護士費用以外にも次のような費用がかかります。

ここからは、それぞれの費用の内容について詳しく解説します。

私的鑑定の費用

賃料増額請求の手続において、賃借人や裁判所に増額の根拠を示すには、不動産鑑定士に賃料の鑑定を依頼する必要があります。

私的鑑定の費用とは、自分で不動産鑑定士に鑑定を依頼する際にかかる費用のことです

費用の相場は、安くても20万円程度となっています。

正式な鑑定書ではなく査定書を作成してもらう簡易鑑定の場合は、5万円から10万円程度が相場となっていますが、通常の鑑定よりは説得力が落ちてしまうでしょう。

調停・裁判にかかる実費

賃料増額請求の調停や裁判を申し立てる場合には、印紙代と切手代がかかります。

印紙代は、訴額をもとに計算されます。

賃料増額請求における訴額は、次の計算式で算出する裁判所が多いようです。

増額分の賃料×(増額請求から申立てまでの期間+12か月)

参照:簡易裁判所に「賃料等調停の申立て」をしたい方のために|裁判所

たとえば、月額4万円の増額を求める事案で、増額を求めてから調停を申し立てるまで3か月かかった事案における訴額は、次のようになります。

4万円×(3か月+12か月)=60万円

訴額が60万円の場合、調停の申し立てにかかる印紙代は3,000円です。

裁判の場合には、6,000円となります。

もっとも、この金額よりも建物の固定資産評価額の2分の1の方が低額の場合には、固定資産税額を基準にする事が出来ます。

参照:手数料額早見表|裁判所

切手代は、5,000円から1万円程度となっております。

裁判での鑑定費用

裁判での鑑定費用は、裁判手続において裁判所が鑑定士を選任した場合にかかる費用です

鑑定費用は、20万円から50万円程度になることもあります。

鑑定費用を負担するのは鑑定の申出をした方ですが、原告の負担となるケースが多くなっています。

賃料増額請求の費用を抑える方法

ポイント

賃料増額請求の手続きを進めるには、弁護士費用や鑑定費用など決して安くない費用がかかります。

費用をできるだけ抑える方法としては、次の2つの方法が考えられるでしょう。

  • 調停・裁判に至る前の交渉での合意を目指す
  • 私的鑑定の費用を抑える

調停や裁判に至る前に合意できれば、申し立てにかかる印紙代や切手代だけでなく裁判所での鑑定費用も抑えられます。

調停前の合意を目指すには、賃借人に増額の根拠を示し、いかに納得してもらえるかが重要です。

賃借人との交渉を適切に進めるには、調停前であっても弁護士に依頼することをおすすめします。

賃料増額請求において、鑑定費用は大きな負担となります。

裁判所での鑑定費用を抑えることはできませんが、私的鑑定の費用については抑えることも可能です。

賃借人との交渉で用いる資料の種類に決まりはありません。

たとえば、知り合いの不動産会社が作成した資料や簡易鑑定の資料でも、賃借人が増額に納得するのなら有益な資料となります。

ただし、賃借人が簡易的な資料で納得してくれない場合は、本格的な鑑定や裁判所での鑑定の費用を負担することを覚悟しなければなりません。

賃料増額請求を弁護士に依頼するメリット

メリット

賃料増額請求を弁護士に依頼するメリットとしては、次の3点が挙げられます。

それぞれのメリットの内容について詳しく解説します。

交渉・裁判で最善の結果を得られる可能性が高まる

弁護士は、交渉や裁判手続きの専門家です。

専門家に手続きを任せることで、成功率は高まります

賃借人との交渉では、専門家の見地に基づく説得的な説明ができるので、賃借人が増額に応じてくれる可能性は高くなるでしょう。

調停や裁判においては、状況に応じた最善の主張を行うとともに、適切な証拠の準備もできます

早期の解決、より高額の増額を目指すのであれば、弁護士に手続きを依頼すべきです。

交渉から裁判まですべての手続きを一任できる

弁護士に手続きを依頼すると、交渉から裁判まですべてを任せられます

賃料増額請求の手続きは、慣れていなければ時間も手間もかかる大変なものです。

弁護士に手続きを任せられれば、自分で手続きを進める手間や精神的ストレスから解放されるでしょう。

さらに、自分で手続きを進めることによる不備やミスを防ぐこともできるため、手続きをスムーズに進められます。

将来的な利益につながる可能性がある

賃料増額請求の手続きを自分で進めると、増額請求が認められなかったり、認められたとしても金額が低くなる可能性もあります。

弁護士に手続きを依頼して最善の結果を得られれば、弁護士費用を支払ってでも将来的にはプラスになる可能性があります

たとえば、弁護士に依頼した結果月額5万円の増額が認められれば年間では60万円のプラスになります。

この場合、数年単位で考えると、弁護士費用を支払っても大きなプラスとなるでしょう。

賃料増額請求が認められるケース

賃料増額

賃料増額請求は、賃貸人だけの都合によって認められるものではありません。

賃料増額請求が認められるには、次の2つの条件を満たす必要があります。

それぞれの条件について詳しく解説します。

賃料が不相当となったとき

賃料増額請求について規定している借地借家法11条1項および32条1項は、賃料増額請求が認められる条件について「土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき」と規定しています。

賃料が不相当か否かを判断するには、相当な賃料を計算する必要があります。

賃料の計算方法として用いられることが多いのは、差額分配法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法の4つです

各事例について、どの計算方法を用いるべきなのか、具体的な金額がいくらかを判断するには、不動産鑑定士の協力が必要となります。

家賃の値上げに関する正当理由について、より詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

関連記事:家賃を値上げする正当な理由は3つ!流れや交渉に合意してもらうコツを解説

賃料を増額しない特約がない

借地借家法11条1項ただし書および32条1項ただし書は、「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」と規定しています。

そのため、賃貸借契約を締結した際に一定期間賃料を増額しない特約を設けていたときには、その期間内に賃料増額請求をすることができません

ただし、特約を結んだ際に予測できなかったような地価の変動により賃料が不当に低額となった場合には、特約の期間中であっても賃料増額請求が認められる可能性はあります。

まとめ

今回は、賃料増額請求の費用にかかわる問題として、次の内容について解説しました。

  • 賃料増額請求の弁護士費用は増額分の賃料が基準となる
  • 賃料増額請求の手続きでは弁護士費用以外に鑑定費用がかかる
  • 弁護士に手続きを依頼すると費用をかけてでも将来的な利益につながる可能性がある

賃料増額請求の問題は、弁護士までご相談ください。

自分で手続きを進める場合でも鑑定費用はかかりますし、自分ではせっかくの鑑定結果を上手く活用できない可能性もあります。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

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