贈与契約書に印紙は必要?印紙代はいくら?貼付方法などを解説

収入印紙は、契約書によっては貼付が必要です。

贈与契約書を作成する際は、印紙の貼付が必要かどうかを確認し、適切に手続きを行いましょう。

本記事では、贈与契約書に収入印紙が必要かどうか、必要な場合の印紙代はいくらなのか、印紙の貼付方法などについて詳しく解説します。

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目次

契約書に収入印紙を貼付する理由

印紙税

課税文書に該当する契約書には、収入印紙を貼付する必要があります(印紙税法第3条)。

収入印紙を貼付することによって、印紙税法に規定された印紙税を納付します。

課税文書とは、以下の3つの要件に該当する文書のことです。

  • 印紙税法別表第1における20種類の文書に基づき、証されるべき事項(課税事項)が記載されている
  • 当事者間で課税事項を証明する目的で作成された
  • 印紙税法第5条に規定される非課税文書ではないこと

出典:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」

課税文書に該当するかどうかを判断するには、記載内容、慣習、当事者間で合意しているかなど、さまざまな点を考慮する必要があります。

贈与契約書における収入印紙の要否と金額

契約

贈与契約書を作成する際には、収入印紙の要否やその金額が重要なポイントです。

贈与契約の内容によって、収入印紙が必要かどうかや金額が異なるため、正確な情報を把握しておくことが大切です。

収入印紙の要否と金額については以下のとおりです。

  • 【金銭や株式を贈与する契約】収入印紙は不要
  • 【無償で不動産を贈与する契約】200円の収入印紙
  • 【負担付贈与契約】負担に応じた額の収入印紙

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【金銭や株式を贈与する契約】収入印紙は不要

贈与契約書は、印紙税法に基づいて課税文書と見なされる場合があります。

しかし、無償で金銭や株式を贈与する契約の場合、贈与契約は片務契約であり、贈与する側だけが義務を負う契約であり、贈与を受けた側は対価を支払う義務を負わず、取引金額(譲渡の対価)は0円です。

印紙税法では、取引金額が1万円以下の場合には収入印紙が不要とされています。

たとえば、AさんがBさんに100万円の現金を贈与する場合を考えてみましょう。

この場合、贈与契約書における取引金額は0円となり収入印紙は不要です。

【無償で不動産を贈与する契約】200円の収入印紙

無償で不動産を贈与する場合、贈与契約書に貼付する収入印紙は一律200円です。

印紙税法別表第1に基づき、不動産を無償で贈与する契約書は、「印紙税法別表第一の課税物件表の番号一の文書」に該当します。

無償で不動産を贈与する契約の場合、贈与契約書は課税文書に該当します。

契約書に記載された土地の評価額は、不動産譲渡の対価としての金額ではありません。

そのため、無償契約とみなされ取引金額は0円となり、一律200円の収入印紙を貼付することになります。

たとえば、AさんがBさんに評価額500万円の土地を無償で贈与するケースを考えてみましょう。

この贈与契約書には、土地の評価額500万円が記載されていますが、これは不動産譲渡の対価としての金額ではなく贈与契約自体は無償です。

したがって、取引金額は0円と見なされ、一律200円の収入印紙を贈与契約書に貼付します。

下記の記事では、金銭や株式、不動産といった贈与する種類ごとに贈与契約書の雛形と書き方について詳しくお伝えしています。

収入印紙が必要か否かも、雛形を見れば一目で確認できるため、参考にしてください。

関連記事:贈与契約書の雛形と書き方は?記載時の注意点も

【負担付贈与契約】負担に応じた額の収入印紙

負担付贈与契約とは、贈与を受ける側が何らかの負担を伴う贈与契約のことを指します。

例えば、不動産を贈与する際に、その不動産にかかる借入金の返済を受贈者が引き受ける場合などです。

このような負担付贈与契約では、負担の内容によっては実質的に売買契約や交換契約とみなされることがあります。

負担付贈与契約において負担する金額が取引金額と見なされ、その取引金額に応じて印紙税が課されます。したがって、収入印紙の金額は負担する金額に依存します。

例えば、AさんがBさんに評価額3,000万円の不動産を贈与し、その不動産にかかる550万円の住宅ローンの返済をHさんが引き受ける場合、この550万円が取引金額と見なされます。

したがって、この負担付贈与契約書には、550万円の取引金額に対応する収入印紙を貼付する必要があります。

印紙税の金額は次の表に従います。

スクロールできます
取引金額印紙税額
1万円未満0円※不動産を含め一部の文書を除く
1万~10万円200円
10万1円~50万円400円
50万1円~100万円1,000円
100万1円~500万円2,000円
500万1円~1,000万円10,000円
1,000万1円~5,000万円20,000円
5,000万1円~1億円60,000円

取引金額が550万円のため、印紙税額は10,000円です。契約書に10,000円分の収入印紙を貼付し、適切に消印を行いましょう。

贈与契約書に収入印紙を貼付する方法

貼付

贈与契約書に収入印紙を貼付する際には、いくつかの手順を守る必要があります。

  1. 必要な金額の収入印紙を郵便局やコンビニエンスストアなどで購入する
  2. 契約書の1枚目の上部に収入印紙を貼付する
  3. 契約書と収入印紙の両方にまたがるように印を押す

また、収入印紙は以下の場所で購入できます。

スクロールできます
購入先購入先
郵便局ほとんどの郵便局で購入可能です。
コンビニエンスストア基本的に200円の収入印紙のみを販売していますが、一部の店舗では他の額面の印紙も取り扱っています。
法務局主に登記や申請の際に使用するため、さまざまな額面の収入印紙を取り扱っています。
役所市役所や区役所などでも購入可能です。
金券ショップ額面以下で購入できることもあります。
ネットオークション割安で購入できる場合がありますが、偽物に注意が必要です。
パスポートセンター一部のパスポートセンターでも取り扱っています。
個人商店(たばこ屋や酒屋)一部の地域では、たばこ屋や酒屋などでも取り扱っています。

貼る位置について明確な決まりはありませんが、契約書の1枚目の上部に貼付することが推奨されています。

次に、貼付した収入印紙には必ず消印をする必要があります。

消印とは、収入印紙が再利用されないようにするためのもので、契約書と収入印紙の両方にまたがる形で行います。

消印は、押印または署名によって行いますが、押印の方が一般的です。

贈与契約書と収入印紙にかかわる3つの注意点

注意点

贈与契約書と収入印紙に関して、次の注意点を押さえることが大切です。

  • 贈与契約書を複数作成するときには契約書の数に応じた収入印紙が必要
  • 収入印紙の貼付、消印を怠ると過怠税が課される
  • 印紙代を誰が負担するかについて決まりはない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

贈与契約書を複数作成するときには契約書の数に応じた収入印紙が必要

贈与契約書を作成する際、贈与者と受贈者の双方が契約書を持つことが一般的です。

このため、通常は2通の贈与契約書を作成します。

印紙税は、贈与契約の成立そのものに対して課されるのではなく、契約を証明する文書の作成に対して課される税金です。

したがって、2通の契約書を作成した場合には、それぞれに収入印紙を貼付しなければなりません。

具体的には、2通の契約書を作成した場合、2枚の収入印紙が必要となります。

同様に、3通の契約書を作成する場合には3枚の収入印紙が必要です。

たとえば、AさんがBさんに評価額500万円の不動産を贈与する契約書を2通作成する場合、それぞれの契約書には一律200円の収入印紙の貼付が必要です。

したがって、2通の契約書には合計400円分の収入印紙を用意し、各契約書に200円の収入印紙を貼付しなければなりません。

一方で、契約書の原本を1通のみ作成し、それをコピーして贈与者と受贈者が所持する場合、コピー本に収入印紙を貼付する必要はありません。

印紙税が課されるのは、正式な契約書の原本に対してのみです。

このため、コストを抑えるために、契約書の原本を1通だけ作成し、コピーを利用する方法も選択できます。

収入印紙の貼付、消印を怠ると過怠税が課される

贈与契約書に収入印紙を貼り忘れても、契約そのものは無効にはなりません。

しかし、印紙の貼付を怠ると、過怠税の支払いを求められる可能性があります。

たとえば、AさんがBさんに不動産を贈与する契約書を作成し、収入印紙を貼り忘れた場合、その契約自体は有効です。

しかし、税務署から指摘を受けた際には、本来支払うべき印紙税に加えて印紙税の2倍の額がペナルティとして課されます。

印紙税額が200円であれば、本来の200円に加えて2倍の400円がかかるため、合計600円が必要となります。

また、印紙を貼り付けていても消印が正しくされていない場合も過怠税がかかる可能性があります。

この場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっています。

ただし、税務署から指摘される前に「印紙税不納付事実申出書」を所轄の税務署に提出することで、過怠税が本来支払うべき印紙税の1.1倍に減額されます。

印紙代を誰が負担するかについて決まりはない

贈与契約書に貼付する印紙代については、受贈者(贈与を受ける人)と贈与者(贈与する人)のどちらが負担するかについて特に決まりはありません。

どちらが負担するかを事前に決めておくことが重要です。

これにより、後々のトラブルを避けることができます。

電子契約を利用すると収入印紙は必要なくなる

電子

贈与契約書を電子契約書で作成すると、印紙税がかかりません。

このメリットは贈与契約書に限らず、すべての契約書に対して適用されます。

電子契約書については、電子署名が重要です。

紙の契約書では直筆の署名や印鑑が、契約書の内容について本人の同意があったことを裏付けるものであり、電子契約書では電子署名がこれに代わります。

近年の電子署名は多段階の認証プロセスを経るため、第三者が不正に署名することは難しくなっています。

このため、紙の契約書と同様に電子契約書も合意に関する証拠として有用なものであると考えられます。

電子契約書のメリットは次のとおりです。

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電子契約書のメリット電子契約書のメリット
事務作業の簡素化紙の契約書では、契約書の作成、郵送、署名のための集まりなど多くの手間がかかります。
電子契約書であれば、メールで契約書を送信し、パソコンで署名するだけで手続きが完了します。
紛失リスクの軽減電子契約書はデータとして保存されるため、物理的な保管スペースが不要で、紛失や破損のリスクが減少します。
さらに、電子データはバックアップを取ることで安全に保管できます。
効率的な管理電子契約書はデジタル形式で保存されるため、検索や管理が容易です。
特に贈与契約書を毎年作成する場合には、電子契約書によって管理の効率が大幅に向上します。

電子契約書の作成方法は、以下の2つです。

  • クラウド型電子契約サービスを利用する方法
  • PDFに電子署名を施す方法
クラウド型電子契約サービスを利用する方法

クラウド型電子契約サービス(例:クラウドサイン、DocuSign)を利用する方法では、契約書の作成から締結までをオンライン上で行います。

まず、合意済みの契約書をサービスにアップロードし、契約相手のメールアドレスを入力して送信します。

受信者はメールで届いた契約書を確認し、電子署名を行います。

承認が完了すると、契約書に改ざん防止の電子署名が施され、契約が成立します。

PDFに電子署名を施す方法

PDFに電子署名を施す方法では、Adobe AcrobatなどのソフトウェアでデジタルIDを作成します。

次に、契約書のPDFファイルを開き、電子署名を施します。

まとめ

贈与契約書の作成においては、収入印紙が必要かどうかを確認し、適切に手続きを行うことが重要です。

収入印紙の要否や金額は契約の内容によって異なります。

贈与契約書の作成方法、贈与について不安のある方は弁護士に相談しましょう。

贈与契約書の作成から相続対策までプロに任せたい、話を詳しく聞きたい場合は、弁護士法人アクロピースまでご相談ください。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

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