遺言書には種類がある?書き方の例文やそれぞれのメリット・デメリットも解説

相続の際、自身の死後の財産の行方を指定できる「遺言書」については、多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

中には、そろそろ遺言書を書いてみようと思っている方もいらっしゃるはずです。

しかし、少し待ってください。

実は、一言に遺言書といっても、いくつか種類があるのはご存知でしょうか?

よくある自分で作る遺言書のことを、「自筆証書遺言」と言います。

今回は、遺言書の種類とそれぞれのメリット・デメリットについて詳しくご説明していきます。

目次

遺言書には種類がある?

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。ここではそれぞれについて詳しく解説していきます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、その名前の通り、自らが自筆で作成する遺言書のことです。

なお、ここでいう自筆というのは、近年では多くの方が利用しているパソコンで作成した書面は含まれていません。

遺言書の全文、日付、氏名が自筆(手書き)であり、押印することが条件となっています。

メリット

  • 費用をかけることなくいつでも好きなタイミングで作成できる

デメリット

  • すべて自筆であるため書類に不備が出やすい(不備があれば法的には無効)
  • 保管が難しく、他者に改ざんや偽造される恐れがある
  • 家庭裁判所での検認手続き(遺言書の偽造等を防止する手続き)が必要になる

遺言書の書き方の例文

自筆証書遺言の場合、以下のように記載します。ぜひ参考にしてください。

遺言書

遺言者 安久路太郎(昭和○年○月○日生)は、以下のとおり遺言する。 

 

第一条 私の所有する次の財産を、私の妻安久路花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。

(1)土地

 所在 東京都〇〇区〇〇町〇丁目

 地番 〇番〇

 地目 宅地

 地積 〇〇㎡

(2)建物

 所在 東京都〇〇区〇〇町〇丁目

 家屋番号 〇番〇号

 種類 居宅

 構造 木造瓦葺2階建

 床面積 1階 〇〇㎡

     2階 〇〇㎡

 

第二条 私の所有する次の財産を、長男安久路一郎に相続させる。

  • 〇〇銀行〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇〇〇
  • △△銀行△△支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇

 

第三条 私の所有する次の財産を、長女安久路一代に相続させる。

  • A株式会社の株式 数量〇〇株
  • B株式会社の株式 数量〇〇株

 

第四条 私は以上に記載した財産以外の一切の財産を、妻安久路花子に相続させる。

 

第五条 私は、本遺言の遺言執行者として、長男安久路一郎を指定する。

 

2024年〇月〇日

住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者 安久路太郎(印)

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場にて作成する遺言書のことです。

公証役場には「公証人」という専門家がいて、遺言書などの書面の内容や適法性などについて公に証明してくれます。

そのため、自筆証書遺言よりも強い法的効力が認められ、検認手続きも必要なくなります。

メリット

  • 作成された遺言書は公証役場にて保管してもらえる(改ざんや偽造の恐れがない)
  • 検認手続きが必要ない
  • 自筆する必要がないため文字が書けない方でも遺言書を作成できる

デメリット

  • 費用がかかってしまう
  • 証人を2名用意しなければならない(用意できない場合、公証役場側で用意してもらうことも可能だが、費用がかかってしまうため注意が必要)

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも見られたくない場合に有効な作成方式です。

こちらも公証役場にて手続きが必要になりますが、公証人や証人に内容を明かさずに遺言書を作成することができます。

しかし、以下のデメリットがあり、あまり利用されていないのが実情です。

メリット

  • 署名さえできれば良く、全文を自筆する必要はない
  • 遺言の内容を誰にも知られない

デメリット

  • 費用がかかってしまう
  • 証人を2名用意しなければならない(用意できない場合、公証役場側で用意してもらうことも可能だが、費用がかかってしまうため注意が必要)
  • 保管は自分で行うため、紛失・盗難の恐れがある
  • 検認手続きが必要
  • 公証人が内容を確認するわけではないため、不備があれば法的には無効

もっとも確実なのは公正証書遺言

以上のことからわかるように、もっとも確実なのは公正証書遺言です。

公証人のチェックがあり書類に不備の心配はありませんし、いちいち検認手続きを経る必要がありません。

とはいえ、慣れない公証役場での手続きになりますし、もとになる遺言書については自ら作成しなければならず、公証人が作成をサポートしてくれるわけではありません。

だからといって、自筆証書遺言を作成しようと思っても、1つでも書類に不備があれば法的には無効となってしまい、自身の考えた通りの相続にはならなくなってしまうので注意が必要です。

遺言書作成は当事務所にご相談ください

確実な遺言書を作成したいとお考えの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

当事務所であれば、作成した遺言書が法的に有効なものであることはもちろん、後に争いの種にならないかという観点からもしっかりアドバイスさせていただきますし、作成のサポートもさせていただきます。

また、公正証書遺言を作成する際には公証役場まで同行しますし、ご希望があれば証人も手配します。

どのような内容の遺言をしたいかというご希望だけお伝えいただければ大丈夫ですので、ご安心ください。

この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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