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遺産分割調停の費用はいくら?不動産鑑定にかかる費用や誰が払うのかも解説
「遺産分割調停を申し立てたいけれど、裁判所や弁護士にどのくらい費用がかかるのか不安」
「不動産の評価を依頼した場合、鑑定費用を誰が負担するのか知りたい」
相続人同士で話しがまとまらず、家庭裁判所での遺産分割調停を検討している方は、このような疑問を抱えているのではないでしょうか。
調停を申し立てる際は、裁判所での申し立て費用だけでなく、弁護士や司法書士への依頼料、不動産鑑定士の報酬を考慮する必要があります。費用の全体像が見えることで、資金計画の見通しが立ち、手続きをスムーズに進めやすくなります。
本記事では、遺産分割調停に必要となる費用の内訳を整理し、家庭裁判所に納める実費から専門家に依頼する際の相場まで詳しく解説します。

費用の内訳を細かく紹介しているため、遺産分割調停で悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
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遺産分割調停とは調停委員が間に入って遺産の分割方法を話し合うもの


遺産分割調停とは、相続人同士で協議がまとまらないときに、家庭裁判所が間に入って解決を目指す法的手続きです。裁判官と調停委員が公平な立場で話し合いを仲介し、できる限り円満な合意形成を目指します。
相続では金銭や不動産が関わるため、取り分を巡って対立が深まりやすいのが実情です。
たとえば、特別な理由がないのに協議に参加しない相続人がいると、話し合いが進まず停滞してしまう場合があります。そのような状況では裁判所を通じた手続きを取らざるを得ません。
裁判所での手続きには「調停」と「審判」があり、原則として調停から始まります。調停で解決できなかった場合にのみ、審判へ移行するのが一般的です。



仮に最初から審判を申し立てても、多くは裁判所の判断で調停に切り替えられます。
遺産分割審判の流れは、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:遺産分割審判の流れは?弁護士費用や審判確定時の対処についても紹介
遺産分割調停にかかる費用の全体像
遺産分割調停にかかる費用は、大きく分けて「家庭裁判所に納める費用」と「専門家に支払う費用」の2つに分かれます。
専門家に支払う費用とは、弁護士・司法書士・不動産鑑定士に支払う依頼料を意味しています。
費用の全体像を整理すると、以下の通りです。
費用項目 | 費用の目安 | 内容 |
---|---|---|
家庭裁判所に納める費用 | 1万円程度 | 調停を申し立てるために必要な収入印紙代や切手代など |
弁護士費用 | 数十万円~数万円程度(案件によって変動) | 相談料、着手金、報酬金、実費など案件に応じて変動 |
司法書士費用 | 5万円~20万円程度 | 書類作成や一部手続きのサポートにかかる費用 |
不動産鑑定費用 | 20万円~60万円程度 | 相続財産に含まれる不動産を評価・鑑定するための費用 |
裁判所に支払う実費は比較的少額ですが、専門家に依頼する場合は案件の内容によって大きく変動します。
ただし、交通費は人によって異なるため、家庭裁判所と自宅の距離が遠い場合は、交通費がかさんで裁判所に納める費用が高くなる可能性があります。気になる方は、相手方の住宅地の家庭裁判所までの交通費を調べてみてください。
また、不動産が遺産に含まれていると鑑定費用が必要になることが多く、全体の負担額が膨らむ傾向があります。



あらかじめ全体像を把握しておくことが、調停に臨む準備として欠かせません。
遺産分割調停の申し立てで家庭裁判所に納める費用【4項目】
遺産分割調停の申し立てのために家庭裁判所に納める費用は、以下の4項目です。
何にいくらかかるのか理解し、今後の資金計画の見通しを立てましょう。
収入印紙代|被相続人1人につき1,200円
収入印紙代は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる際に必ず支払う費用です。
被相続人1人につき1,200円と定められており、申立書に収入印紙を貼付して提出することで納付します。少額ですが、払わなければ調停の手続きが受理されません。(参照:法務省|遺産分割調停)
収入印紙代は、申立人が複数いても代表者がまとめて負担するのが一般的です。印紙は郵便局や法務局、一部のコンビニで購入できます。
実務上、調停以外の相続関連手続き(遺留分侵害額請求や相続放棄など)でも収入印紙が必要になる場合があるため、事前に複数枚購入しておくとスムーズです。
連絡用の郵便切手代|申し立てする家庭裁判所によって異なる
調停手続きでは、裁判所が当事者や関係者に通知書や書類を郵送します。そのため、申立人は郵便切手代を「予納」という形で裁判所に納めなければなりません。(参照:法務省|遺産分割調停)
必要な金額は家庭裁判所ごとに異なりますが、数千円程度になるケースが多いです。
たとえば、東京家庭裁判所で調停を行う場合、相手方が5名までなら3,000円、10名までなら6,000円分の切手を納める必要があります。(参照:法務省|予納郵便料等一覧表 (令和7年1月版))
相続人が多いと郵便費用も増えるため、人数が確定した段階で見積もりを立てておきましょう。
なお、未使用の切手は調停後に手元に戻ってきます。しかし、調停が長引けば郵送回数が増えるため、追加で切手代を支払うケースもあります。
詳しい金額は、申し立てた家庭裁判所のホームページや窓口にてご確認ください。
書類取得費用|数千円~数万円
遺産分割調停を申し立てるためには、多くの添付書類をそろえる必要があります。
戸籍謄本や住民票、遺産に関する証明書などの取得にかかる費用の目安は、合計で数千円~数万円程度です。
以下に、主な書類の取得費用の目安をまとめました。
主な書類 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) | 除籍・改製原戸籍謄本でも可 | 1通 450円※除籍・改製原戸籍謄本は750円 |
相続人全員の戸籍謄本 | 相続関係を確認するために必要 | 1通 450円 |
相続人全員の住民票 | 現住所や本籍地の確認用 | 1通 200円~400円 |
残高証明書(遺産に預貯金がある場合) | 金融機関で発行可能 | 300円~1,000円程度 |
不動産登記事項証明書(遺産に不動産がある場合) | 書面かオンライン請求によって金額が異なる | 書面で請求:600円 【オンライン申請】郵送で受け取り:520円窓口で受領:490円 |
固定資産税評価証明書(遺産に不動産がある場合) | 市区町村役場で発行可能 | 1通 200円~400円 |
これらの書類は、相続人の人数や相続財産の種類によって必要枚数が増えるため、合計すると数万円になるケースも珍しくありません。
また、戸籍謄本や住民票、遺産の証明書類などは、市区町村や発行する機関によって異なります。
上記はあくまで相場のため、事前にどれくらいかかるのか問い合わせておくと良いでしょう。
家庭裁判所までの交通費|居住地によって異なる
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てると、期日ごとに裁判所へ足を運ぶ必要があり、その際に交通費が発生します。
金額は、居住地と家庭裁判所までの距離、利用する交通手段によって変わります。
地方住みで都市部の家庭裁判所へ通う場合、新幹線代や宿泊費を含めて数万円になる可能性があるため、あらかじめ交通費も含めた資金計画を立てておくことが大切です。
遠方からの出廷が難しい場合は、弁護士に代理人として出席してもらう方法もあります。



代理人を立てれば交通費の負担は軽減できますが、弁護士の日当が別途必要になるため、どちらが適切か事前に検討しておきましょう。
遺産分割調停にかかる弁護士費用【6項目】
遺産分割調停を弁護士に相談・依頼する場合、弁護士費用がかかります。
弁護士費用の内訳は、大きく分けて以下の6項目です。
- 法律相談料|無料~30分5,000円程度
- 着手金|20万円〜50万円程度
- 成功報酬|調停により依頼者が得た遺産額の6~16%程度
- 実費|5万円~7万円程度
- 日当|日額5万円程度
- 遺産調査費用|15万〜30万円程度
弁護士費用は、案件の複雑さや遺産の規模によって変動するため「〇円かかる」と断定できません。
ただし、あらかじめ目安を把握しておけば、必要な支出を予測しやすくなり、依頼を検討する際の判断材料として役立ちます。
以下でどの費用が何のために発生しているのか解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
遺産分割調停の弁護士費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
遺産分割調停にかかる司法書士費用
遺産分割調停の書類作成を司法書士に依頼する場合、司法書士費用が発生します。
費用相場は5万円~20万円程度ですが、依頼する内容や作業量によって変動するため、一概には言えません。
たとえば、不動産の所有権移転登記を司法書士に依頼した場合、報酬は5万円〜10万円に収まるケースが多いでしょう。(参照:日本司法書士連合会|報酬に関するアンケート)
なお、司法書士と弁護士の違いは「調停の場に代理人として出席できるかどうか」です。
弁護士は書類作成に加えて調停や審判に代理人として出席できるのに対し、司法書士は調停の場で依頼者の代わりに主張する権限を持ちません。そのため、相続人同士の対立が激しく、法律的な主張を交えて解決を目指す場合は弁護士への依頼が適しています。
一方で「自分で調停に出席する意思はあるが、申し立てや必要書類の準備を専門家に任せたい」と考える方には、司法書士への依頼を検討すると良いでしょう。



状況や目的に応じて、司法書士と弁護士のどちらに依頼すべきかを見極めることが重要です。
遺産分割調停にかかる不動産鑑定費用
不動産を含む遺産分割の調停では、不動産鑑定費用が発生します。相場は20万円~60万円で、不動産の評価額を正確に把握するために必要です。
遺産分割調停では、不動産の評価額を基に遺産をどのように分けるかを決めます。そのため、評価額に対して相続人の意見が一致しないと、トラブルが起こって調停が進みにくくなる可能性があるのです。
鑑定士が作成する評価書は、市場価格や収益性、近隣の取引事例などを踏まえて算定されます。この評価書は、遺産を公平に分けるために必要なものであり、相続人同士のトラブル防止にもつながります。



依頼を検討する際は、費用とメリットを比較しながら、調停での合意形成に必要かどうかを判断することが重要です。
遺産分割調停にかかる費用は誰が払う?
遺産分割調停にかかる費用は、原則として申し立てを行った相続人が負担します。弁護士や司法書士、不動産鑑定士に支払う費用も、特別な事情がなければ、基本的に依頼者本人が負担するのが一般的です。
ただし、調停の中で合意があれば、相続財産から費用を支出する、あるいは各相続人で公平に分担するといった取り決めも可能です。



事前に分担方法を話し合い、合意内容を明確にしておくことが、後のトラブル防止につながります。
遺産分割調停に踏み切る前に確認すべき3つのポイント


遺産分割調停の申し立てを検討する際は、以下の3つのポイントを確認してから実行すべきかどうかを考える必要があります。
これらの3項目の確認を怠ると、後から手続きで不備が出たり、遺産内容に相違が出てトラブルに発展したりする可能性があります。
円滑に手続きを進めるためにも、どのような点を確認すべきなのかを把握しましょう。
相続人全員の合意・参加が確定しているか
遺産分割調停を申し立てる前に、相続人全員が把握できており、協議に参加できる状態かどうかを確認しましょう。
相続人が一人でも欠けていけた状態で協議に合意しても、その話し合いは無効となります。無効となった場合は、再度遺産分割協議をやり直さなければならず、手続きが大幅に長引く可能性があります。
円滑に遺産分割を進めるためには、事前に相続人を確定させ、参加できる状況を整えておくことが欠かせません。
相続人の中に行方不明の人がいる場合
相続人の中に行方不明者がいる場合は、戸籍や住民票を調査して所在を特定しなければなりません。
どうしても所在が分からないときは、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てて代理人を立てます。(参照:裁判所|不在者財産管理人選任)
行方不明期間が7年以上であれば「失踪宣告」によって死亡とみなされ、遺産分割を進めることも可能です。(参照:裁判所|失踪宣告)
加えて、被相続人や相続人に関する養子縁組や婚姻の有効性を争う場合も、調停の前に裁判所で手続きを踏まなければなりません。
こうした下準備を怠ると、調停がスムーズに進まない可能性があるため、事前確認が欠かせません。
相続人の中に判断能力に問題のある人がいる場合
相続人の中に、認知症や病気のために判断能力が弱っている、もしくは全く無い人がいる場合も、遺産分割の前に実行すべき手続きがあります。
相続人に認知症や病気で判断能力を欠く人がいるときは「成年後見制度」を利用します。
家庭裁判所が選任する成年後見人が協議に参加し、本人の利益を守りながら分割内容を検討します。(参照:裁判所|成年後見制度とは,どのような制度なのでしょうか。)
さらに、相続人に20歳以下の未成年者が含まれる場合には「特別代理人」を選任しなければなりません。
親権者が相続人であるケースでは利害が衝突するため、祖父母やおじ・おばなど利害関係のない親族が代理人となります。(参照:裁判所|特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合))
特別な資格は不要ですが、未成年者の利益を守れる人物であることが求められます。
遺産の分割方法を示した書類(遺言書・協議書)などがないか
そもそも遺産分割調停とは、分割方法が決定していない遺産について、相続人全員が納得する仕方で分けるために行うものです。
遺言書がある場合はその内容に従って遺産分割がされますし、有効な遺産分割協議が行われ遺産分割協議書が作成された後であれば、遺産分割調停を行う必要性が無いことになります。
以下で何を確認すべきなのかを理解し、適切な手順で手続きを進めましょう。
自筆証言遺言・公正証言遺言・秘密証言遺言などがないか確認する
遺産分割を始める前に、遺言書が残されていないかを徹底的に確認する必要があります。遺産分割後に遺言書が見つかると、協議を最初からやり直さなければならず、時間と労力がかかってしまうためです。
遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
遺言の種類 | 内容 |
---|---|
自筆証書遺言 | 亡くなった人が自ら自筆で書いたもの |
公正証言遺言 | 公証役場で公証人に作成を依頼したもの |
秘密証言遺言 | 作成し封をした後に公証人に確認してもらうもの |
このうち、自筆証書遺言や秘密証書遺言は自宅で見つかるケースが多いです。
たとえば、机やタンス、金庫、仏壇、本棚や絵画の裏など思いがけない場所に保管されている可能性があります。被相続人が女性の場合は、食器棚やキッチン周りから見つかる例も少なくありません。
また、親しい友人や顧問の弁護士、行政書士に預けられている場合もあるため、心当たりのある人物に尋ねてみましょう。
銀行の貸金庫や、信託銀行に遺言を作成している可能性もあるため、取引先金融機関の確認も重要です。貸金庫は名義人の死亡後に開けられなくなるため、家庭裁判所を通じた手続きが必要になります。
公正証書遺言の場合は、公証役場に保管されているため、最寄りの公証役場に照会することで所在が判明します。
ここまで調査しても遺言書が見つからない場合に限り、遺産分割協議を進めましょう。
もし遺言書が見つかったなら、公正証書遺言以外は見つけた時の状態のままで保管し、検認を受けて下さい。(参照:裁判所|遺言書の検認)
【補足】遺言書や遺産分割協議書の有効性は遺産分割より先に確認する
遺言書や遺産分割協議書が存在していても、作成過程や内容に疑問があれば、そのまま遺産分割を進めるのは避けるべきです。
署名押印の不備や作成時の判断能力、相続人への説明不足などが問題となり、有効性が争われることは珍しくありません
こうした場合は、家庭裁判所の調停ではなく民事裁判で有効か無効かを判断してもらう必要があります。裁判の結論を経ずに遺産分割を行ってしまうと、後に無効とされてやり直しになる可能性があるためです。
不備を感じた時点で早めに専門家に相談し、有効性を確認した上で遺産分割に臨みましょう。
遺産の内容が確定しているか
遺産分割は、被相続人の遺産を相続人に分配するための手続きのため、遺産分割をする前に、分割するべき遺産の範囲を把握している必要があります。
分割しようとしている遺産は本当に存在しているか
銀行預金など、すでに解約や引き出しがされており存在しなくなってしまった遺産について、所在を確認しないまま相続人の誰かに分配してしまうケースがあります。
このようなトラブルは、遺産が本当に存在しているかを十分確認していなかったために起こったものです。
分割しようとしている遺産の内容すべてが本当に存在しているかということは、よくよく確認する必要があります。
被相続人名義でない遺産や所有権争いがある遺産が存在するか
遺産の中に被相続人以外の名義になっている財産や、所有権をめぐって争いが生じているものはありませんか。
被相続人名義ではない財産を相続分として分配してしまうと、名義人と相続人の間で所有権トラブルにつながります。実際には被相続人の財産だと思い込んでいても、登記上は親族や第三者の名義になっているケースも少なくありません。
このように名義や所有権に争いがある場合には、遺産分割よりも先に民事裁判を通じて遺産の範囲を確定させる必要があります。
民事裁判で対象財産が遺産に含まれるかどうかを判断してから、分割協議や調停に進むのが適切な手順となります。
【補足】遺産分割調停の目的が「遺産の行方を捜すこと」なら民事裁判を提起する
銀行預金が無断で解約されたり、残高が引き出された場合、その行方を追及するだけでは遺産分割調停の対象にはなりません。
このようなケースでは、不当利得返還請求訴訟という民事裁判を起こす必要があります。
裁判は地方裁判所または簡易裁判所で行われ、対象となるのは不正に解約や引き出しを行った人物です。請求できる金額は、解約や引き出しによって失われた預金額に、自身の法定相続分をかけて算出します。



調停と訴訟では手続きの性質が異なるため、状況に応じて適切な手続きを選ぶことが重要です。
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弁護士法人アクロピースが解決した遺産分割調停の事例
ここでは、当事務所「弁護士法人アクロピース」が解決した遺産分割調停の事例を2つご紹介します。
弁護士が間に入ることで、遺産分割の円満解決が期待できます。遺産分割調停を弁護士に依頼しようか悩んでいる方は、ぜひ当事務所の解決事例を参考にしてみてください。
音信不通だった前妻の子どもと遺産分割を成立させた事例
こちらは、被相続人の前妻に子どもがいることが判明し、そのうちの一人と連絡が取れず遺産分割が進まなかった事例です。
被相続人 | Aさん |
---|---|
相続人 | Bさん(依頼人) Cさん(被相続人の配偶者) Dさん(Bさんの兄弟) Eさん(被相続人の前妻との子ども) Fさん(被相続人の前妻との子ども) |
遺言の有無 | なし |
相続財産 | 預貯金のみ |
相談内容 | 被相続人の前妻との間に子どもがいたことが判明したが、前妻との子どもFさんと連絡が取れず、遺産分割が進められない |
依頼人Bさんは戸籍調査を通じて、被相続人Aさんに前妻との子どもEさんとFさんがいることを把握しました。Eさんとは早期に連絡が取れたものの、Fさんが音信不通であったため遺産分割が進まない状況に陥っていたとのことです。
この問題に対し、当事務所の弁護士は、Fさんに対して書面での通知や状況説明を丁寧に重ねました。
当初Fさんは「詐欺ではないか」と疑問を抱いていましたが、弁護士が相続の経緯や法的根拠を説明した結果、正当な手続きであると理解し、協議に応じてくれることになりました。
最終的には、法定相続分に基づいた合意が成立し、全員の署名押印によって遺産分割協議書が作成され、預貯金の手続きも滞りなく完了しました。
本案件では、相続人の存在を軽視せず、連絡を取り続けたことが解決の鍵となっています。
音信不通の相続人がいても、専門家を介して粘り強くアプローチすることで、遺産分割を成立させられることを示す事例です。
事例ページ:【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】前妻の子との音信不通を乗り越えて、法定相続分で遺産分割を成立させたケース
兄の使途不明金を突き止めて遺産分割調停で解決した事例
こちらは、被相続人名義の預貯金を管理していた兄の使用不明金を突き止め、遺産分割調停で追及して解決を図った事例です。
被相続人 | Aさん |
---|---|
相続人 | Bさん(依頼人) Cさん(Bさんの兄) |
遺言の有無 | なし |
相続財産 | 預貯金、その他の資産 |
相談内容 | 被相続人Aさん名義の預貯金から数千万円を引き出していたAさんの預貯金を管理していたCさんに使い道を聞くと「介護資金」だと回答したが、証拠がなく納得できないため、使用不明金として追及したい |
依頼人Bさんは、被相続人Aさんの預貯金から数千万円が引き出されていたことを知り、管理していた兄Cさんに使途を確認しました。
Cさんは「Aさんの介護資金」だと主張しましたが、その回答には裏付けがなく疑問が残ったとのことです。そのため、Bさんは「引き出されていた数千万円を使途不明金として追及したい」と当事務所に相談に来られました。
当事務所の弁護士はまず取引履歴を入手し、詳細を確認した上でCさんに支出の根拠を求めましたが、十分な説明は得られませんでした。
そのため、弁護士を経由して遺産分割調停を申し立て、日記やメールなどの記録を証拠材料として提示し、「過大な支出である」と主張したのです。
その結果、調停員も問題性を認め、使途不明金のうち半分以上が相続財産として認定され、Bさんが納得できる内容で和解が成立しました。



弁護士が依頼人の状況をヒアリングし、客観的な証拠を整理して提示したことが、調停で有利に働いたポイントと考えられます。
事例ページ:【アクロピース解決事例集・遺産分割】父の通帳から消えた数千万円、兄の使途不明金を追及し調停で解決した事例
遺産分割調停の費用に関するよくある質問
遺産分割調停で負けたらどうなりますか?
調停が成立しない場合、手続きは家庭裁判所の審判に移行します。(参照:法務省|遺産分割調停)
審判では、裁判官が法律や証拠に基づいて遺産の分け方を決定するため、自分の希望が必ず反映されるとは限りません。
特に「寄与分」「特別受益」など争点が複雑なケースでは、裁判所が客観的な資料や証拠を重視するため、準備不足だと不利になる可能性があります。
そのため、調停の段階で弁護士に相談し、法的観点から準備を進めることが大切です。
なお、審判の判断は強制力を持つため、合意を重視する調停とは異なり、最終的には裁判所の決定に従わざるを得ません。
遺産分割審判の流れは、以下の記事を参考にしてみてください。
遺産相続調停にどれくらいの期間がかかりますか?
遺産分割調停が終わるまでは、通常6カ月から1年程度かかるケースが多いです。
相続人の人数が多い場合や、財産調査に時間がかかる場合には1年以上に及ぶことも珍しくありません。
また、調停は月に1回程度しか開かれないため、1回ごとの進展は限られ、長期化しやすいのが特徴です。加えて、不動産や預貯金の評価、相続人の所在調査などの準備にも時間を要する場合があります。
スムーズに進めるためにも、初期段階から専門家に相談し、必要書類を整えた上で主張を明確にしておきましょう。
遺産分割調停中にやってはいけないことは何ですか?
調停の進行中に相続財産を勝手に処分したり、相続人同士で激しく口論したりするのは厳禁です。
虚偽の申告や財産隠しも大きなトラブルに発展し、信頼を失う原因になります。場合によっては裁判所の心証を悪化させ、審判で不利に扱われる可能性もあります。
調停は相続人同士の合意形成を目指す場であり、誠実に対応することが解決への近道です。
調停委員や専門家の指示に従い、冷静かつ正確な情報を提供する姿勢が円滑な解決につながります。
遺産分割調停はどのような流れで進みますか?
遺産分割調停は、まず家庭裁判所に申立書を提出するところから始まります。その後、裁判所が期日を指定し、調停委員が相続人から事情を聞き取り、争点と合意点を整理します。
複数回の期日を経て、相続人全員が合意できれば「調停成立」です。合意内容は調停調書に記録され、後からトラブルがないように書面化しておきます。
一方で、合意に至らない場合は審判に移行し、裁判官の判断により遺産分割方法が決定されます。
流れを理解しておけば、必要な準備をしっかり進めた上で、審判に臨めるでしょう。
遺産分割調停の費用を安く抑える方法はありますか?
遺産分割調停の費用を抑えるには、まずは早めに弁護士へ相談することが大切です。
初期から依頼すれば、無駄な手続きやトラブルを避けられ、結果的に費用を削減できる場合があります。調停が長期化するリスクも軽減でき、円満解決への道が開かれるでしょう。
また、まとまった資金を用意できない場合は、分割払いに対応している事務所に相談するのも選択肢の一つです。
経済的に困難な場合は、法テラスの民事法律扶助制度を活用する方法があります。
本制度は、収入や資産が一定基準値以下であれば、弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらえる制度です。
返済は必要になりますが、無料で法律相談できるため、経済的な負担を抑えられるでしょう。(参照:法テラス|民事法律扶助業務)
まとめ|遺産分割調停の費用を把握した上で弁護士に早めに相談しよう


遺産分割調停には、裁判所への申立費用だけでなく、弁護士・司法書士・不動産鑑定士への依頼料など、多様な費用が発生します。
総額は数万円で収まる場合もあれば、専門家に依頼することで数十万円以上かかるケースもあります。そのため、どの程度の金額を負担するのかを事前に把握し、無理のない範囲で資金計画を立てることが大切です。
特に相続人の数が多い場合や、財産に不動産や使用不明金が含まれる場合には、調停が長期化しやすく、専門的な知識と証拠整理が不可欠です。
法的知識に加え、遺産相続問題を解決してきた経験や実績がある弁護士を味方につけるなら、調停はさらに有利にスムーズに進んでいくでしょう。
前述の通り調停委員会は、第三者の目線で公平な遺産分割の割合を提示してくれます。どちらが一方の味方をしてくれるわけではありません。
調停を申し立てるなら、できるだけ有利な形で早期解決を目指すことが重要です。



遺産分割問題の解決実績が豊富な弁護士に相談し、円満解決を目指しましょう。
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