遺産を独り占めした人の末路は?起こり得るトラブルと独り占めを防ぐ方法

遺産を独り占めした人の末路は?起こり得るトラブルと独り占めを防ぐ方法

遺産相続において「自分がすべての遺産を手に入れたい」と考える人もいます。

しかし、遺産を独り占めしようとした結果、深刻なトラブルに発展するケースが多く、ときには法的責任を問われることもあります。

本記事では、遺産を独り占めした人が最終的にどのような末路をたどるのか、具体的なケースを紹介するとともに、遺産の独り占めを防ぐ方法についても解説します。

遺産相続に関する手続きやトラブルで悩んでいる方は、相続財産問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。

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目次

遺産を独り占めした人の末路とは?

悩む

遺産を独り占めした人は、下記のような末路を辿るケースが多々みられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ケース1:兄弟で争ったことで関係が断絶する

遺産を独り占めしようとした結果、もともと家族として築いてきた信頼関係が、相続をめぐる争いによって一瞬にして崩れ去ることがあります。

たとえば、長男が被相続人の生前から財産管理を一手に担い、そのまま遺産を自分のものにしようとした場合、他の兄弟姉妹は当然ながら「不公平だ」「話し合いもせずに勝手に遺産を取るなんて許せない」と反発するでしょう。

特に、遺言書がなかったり、被相続人が認知症などで意思判断能力が低下していたりした場合には、

  • 本当に適正な管理が行われていたのか
  • 財産が意図的に隠されていないか

といった疑念が生まれやすく、感情的な対立の激化につながります。

ケース2:遺産分割協議無効確認訴訟・遺産分割協議不存在確認訴訟をされる

遺産分割において、他の相続人を無視し、自分に有利な形で遺産を独占しようとした場合、法的な争いに発展する可能性が高まります。

他の相続人を意図的に排除して遺産分割協議書を作成したような場合、遺産分割協議無効確認訴訟を起こされる可能性があります

裁判の結果、遺産分割が無効と判断されれば、遺産は改めて分割し直します。

さらに悪質なケースとして、遺産分割協議書を偽造し、あたかも全員の合意があったかのように装った場合には、遺産分割協議不存在確認訴訟を提起される恐れもあるでしょう。

こうした訴訟に発展した場合、裁判で敗訴する可能性が高く、遺産を独占するどころか、相続分の一部または全部を失う結果につながることも少なくありません。

また、裁判には多くの時間と費用がかかるうえ、訴訟の過程で相続人同士の関係が完全に破綻することも考えられます。

ケース3:遺留分侵害額請求を受ける

被相続人の生前に預金を使い込むなどして、遺留分を侵害した場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります(民法1046条)。

遺留分とは

法定相続人が最低限保障されている相続財産の割合のことであり、被相続人が特定の相続人に多くの財産を遺したり、特定の人に生前贈与を行ったりした場合でも、遺留分を侵害された相続人はその取り分を請求する権利を持ちます(民法1042条)

裁判で遺留分の侵害が認められた場合、支払命令が下され、さらに支払いを怠れば強制執行が行われる可能性があります(民法414条)。

強制執行では、預貯金などの財産が差し押さえられ、最終的には独り占めしようとした財産の一部を手放すことになりかねません。

遺留分侵害額請求について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:【遺留分侵害額請求をわかりやすく解説】計算方法・請求のやり方・注意点

ケース4:不当利得返還請求訴訟・損害賠償請求訴訟をされる

遺産を勝手に使い込んだ場合、他の相続人から不当利得返還請求訴訟を起こされる可能性があります(民法703条)。

不当利得とは

本来受け取る権利のない人が、正当な権利を持つ人の財産を不当に取得することです。

たとえば、相続手続きが完了する前に、特定の相続人が被相続人の銀行口座から預金を引き出して自分のものにした場合や、遺産の一部を無断で処分して利益を得た場合などが該当します。

不当利得返還請求を受けた場合、相続財産として受け取った金額だけでなく、利息や裁判費用の支払いも求められる可能性があり、結果的に想定以上の負担が発生することになります。

さらに、他の相続人に損害を与えた場合は、損害賠償請求訴訟の対象となることもあります(民法709条)。

たとえば、本来受け取るべき相続財産を使い込まれたことで生活に支障が出た場合や、相続手続きの遅延によって経済的損失を被った場合などが考えられます。

独り占めされた遺産を取り戻す方法

法律

遺産を独り占めされた場合の対応方法について、下記のポイントを押さえましょう。

それぞれ詳しく解説します。

刑事事件で取り戻すことは難しい

親族間での遺産隠しや使い込みの問題は、刑事事件として扱われることが難しい場合が多いです。

これは、「親族相盗例(しんぞくそうとうれい)」と呼ばれる特例が適用され、親族間の窃盗や横領に対する刑罰が免除されるケースがあるためです(刑法244条)。

たとえ、刑事事件になったとしても、刑罰が科されることが目的となるため、遺産を取り戻すことはできません。

実際に財産を取り戻すには、民事上の手続きをとる必要があります。

話し合いで解決を目指す

遺産の使い込みが発覚した場合、まずは話し合いによる解決を試みることが望ましいです。

単に口頭で返還を求めるのではなく内容証明郵便を利用することで、相手に返還を促すとともに、裁判などで請求の事実を証拠として提出できるようにしましょう。

また、法律の専門家である弁護士を間に立てることで、冷静な話し合いが可能になります。

民事訴訟で取り戻す

話し合いによる解決が難しい場合は、民事訴訟を起こし、法的手続きによって遺産を取り戻す方法を検討する必要があります。

この場合「不当利得返還請求」または「不法行為にもとづく損害賠償請求」のいずれかの訴訟を提起します。

裁判では、使い込まれた遺産の詳細や使途についての証拠を提出しなければならないため、被相続人の銀行口座の取引履歴、不動産の登記情報、遺産分割協議書の写しなど訴訟を起こす前に十分な証拠を収集しておくことが重要です。

独り占めされた遺産を取り戻す際の注意点

手続き

独り占めされた遺産を取り戻す際は、下記の注意点を押さえましょう。

それぞれ詳しく解説します。

まずは口座凍結を行う

亡くなった人の金融機関の口座がそのままの状態になっていると、キャッシュカードを持っている相続人や第三者が勝手に出金する可能性があるため、早急に口座の凍結を行うことが重要です。

口座を凍結するためには、被相続人が亡くなったことを証明する書類(死亡届のコピー、除籍謄本など)と、相続人であることを証明する戸籍謄本を金融機関に提出する必要があります。

関連記事:親が亡くなったら銀行口座はどうなる?相続手続や預金を引き出す際の注意点

民事訴訟で取り戻す際は時効に注意

相続財産を不当に取得された場合、法的手段によって取り戻すことが可能ですが、請求には時効が存在するため、できるだけ早く手続きを進めることが重要です。

不当利得返還請求権は「被害者が相手の不当な利益を知ったときから5年」または「不当利得が発生してから10年」のいずれか早い方で時効が成立します。

一方で、不法行為に基づく損害賠償請求の時効は「損害および加害者を知ったときから3年」または「不法行為の時から20年」のいずれか早い方です。

遺産の隠匿や使い込みが発覚した時点で速やかに証拠を集め、相続人同士での話し合いや法的手続きを開始することが、時効成立による権利喪失を防ぐためのポイントです。

独り占めしていることの立証には時間と手間がかかる

相続財産を独り占めしている可能性がある相続人がいたとしても、実際に遺産を隠している証拠を示さなければ、法的措置はとれません。

財産調査を行い、被相続人が保有していた資産の全容を明らかにすることが重要です。

まずは、被相続人の遺品や書類を整理し、銀行口座や不動産、株式、保険などの資産に関する手がかりを探します。

銀行の通帳やカード、証券会社からの郵便物、保険証書などが見つかった場合、それを基に関係機関に問い合わせを行い、正式な残高証明や契約内容を確認しましょう。

財産調査には時間と手間がかかるため、弁護士と連携しながら進めることが効率的です。

関連記事:遺産隠しはバレるのか?相続財産調査のコツも解説

遺産の独り占めを防ぐ方法

弁護士

遺産の独り占めを防ぎたい場合は、下記のように対策しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

事前に遺言書を作成する

原則として法定相続分よりも遺言書の内容が優先されるため、被相続人が遺言書を作成しておくことで遺産の独り占めを抑止できます。

相続が発生した際、財産の分け方について意見が対立すると、相続人同士の関係が悪化し、争いに発展する可能性があります。

遺言書には公正証書遺言や自筆証書遺言などの形式があり、それぞれ法的要件が異なります。

公正証書遺言は、公証役場で作成し、証人の立ち合いのもとで正式な手続きを行うため、偽造や紛失のリスクが少なく、遺言の有効性が確保されます。

一方で、自筆証書遺言は費用がかからず手軽に作成できますが、内容が不明確だったり、法律要件を満たしていなかったりする場合は無効となる可能性があるため、慎重に作成することが重要です。

遺言書でできることについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

関連記事:遺言書でできることは?できないこと・用意した方がいいケース

弁護士のサポートを受ける

遺産を独り占めされて困った場合には、早めに弁護士に相談することが賢明です。

弁護士は法的手続きを代理できるため、交渉を有利に進められる可能性が高まります。

相続問題は感情が絡みやすく、当事者同士での話し合いでは解決が難しいことが少なくありません。

そのため、自己判断で動く前に専門家のアドバイスを受けることが大切です。

さらに、相続に関する問題が裁判に発展した場合にも、弁護士のサポートが不可欠です。

裁判では法的な主張や証拠の提出が求められるため、専門知識を持つ弁護士が代理人として対応することで、より有利な結果を得られる可能性が高まります。

相続トラブルは長期化すると、当事者間の関係悪化だけでなく、経済的な負担も増します。

問題が深刻化する前に、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。

関連記事:弁護士に相続問題を相談した方がいい理由

まとめ

遺産の独り占めをした人の末路や独り占めの対策などについて、重要なポイントは下記のとおりです。

  • 遺産の独り占めは家族関係の破綻を招く
  • 法的トラブルに発展し、遺産を失う可能性がある
  • 遺留分侵害額請求や不当利得返還請求の対象となる
  • 遺産の独占を防ぐためには、事前の対策が重要
  • 問題が発生したら早急に弁護士に相談する

遺産をめぐるトラブルは、感情的な対立を引き起こすだけでなく、法的な問題へと発展し、多くの時間と費用がかかるケースも少なくありません。

こうした事態を未然に防ぐためには、遺言書の作成や適切な財産管理を行うことが重要ですが、すでにトラブルが発生している場合は、早急に専門家のサポートを受けることが必要です。

相続問題に精通した弁護士に相談することで、適切な解決策を見出し、法的手続きもスムーズに進めることができます。

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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

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