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相続が発生すると、遺産分割を巡りトラブルになる場合があります。
特に、遺産分割協議が長引いたり、相続人間で意見が対立したりすると、調停を申し立てられるケースもあります。
調停を申し立てられた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
本記事では、相続における調停の基礎知識から、具体的な対応方法、注意点まで詳しく解説します。
相続の調停を申し立てられて悩んでいる方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
初回60分の相談は無料です。
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民事調停とは、裁判のように勝敗を決定するのではなく、話し合いを通じて双方が合意に達することで紛争を解決させる手続きです。
合意が成立し、調書にその旨を記載することで裁判上の和解と同一の効力が発生します(民事調停法16条)。
調停委員は円滑な話し合いを促すための役割を持ち、一般市民から選出されて裁判官とともに問題解決に取り組みます。
申立ては通常、相手方(申し立てられた側)の住所地の家庭裁判所で行いますが、当事者が合意で定めた家庭裁判所でも可能です。
民事調停のメリットは、手続きが簡便で費用も訴訟に比べて低額であることです。
また、調停は申立てから3ヶ月以内と短期間で解決するケースが多くみられます。
関連記事:遺産分割調停とは?流れや注意点を解説
相続において調停を申し立てられる主なケースは下記のとおりです。
相続人が多数いる場合や、遺産の分割方法について意見が対立する場合、話し合いを重ねても解決の糸口が見つからず、時間だけが経過することがあります。
また、相続人の1人が遺産分割協議に全く参加しない、連絡を無視する、または協議に応じない場合なども協議の進行を妨げます。
さらに、自己の主張ばかりでほかの相続人の意見を全く聞き入れない相続人がいる場合も問題です。
たとえば、1人の相続人が「この不動産は絶対に売りたくない」と固執し、ほかの相続人が「現金化して公平に分割したい」という意見を無視する場合が挙げられます。
このような場合、話し合いが平行線をたどり、協議が成立しないことが多いでしょう。
遺産分割調停を申し立てられた際は、以下のように対応しましょう。
各段階での対応方法を、詳しく見ていきましょう。
遺産分割調停を申し立てられると、家庭裁判所から以下のような書類が送られてきます。
書類名 | 内容と重要性 |
---|---|
調停期日の通知書 | 調停が行われる日付と場所を知らせる書類です。期日に必ず出席するために、スケジュールを調整する必要があります。 |
申立書の写し | 相手方(申立人)が家庭裁判所に提出した申立書のコピーです。申立人の主張や求める具体的な事項が記載されているので、これを基に対応を考えます。 |
進行に関する照会回答書 | 調停の進行に関する質問に回答するための書類です。調停においてどのような解決を望んでいるか、自分の主張をどう整理しているかなどを記入します。 |
なお、届く書類は家庭裁判所によって異なります。
これらの書類が届いたら、まず自分の主張を確認し、どのように対応するかを考えます。
特に、申立書の内容をよく読み、相手方の主張に対してどのように反論するか同意するかを検討することが重要です。
遺産分割調停は、相続人同士の話し合いで合意に至らなかった場合に行う手続きです。
調停に出席する前に、再度遺産分割協議を検討することも重要です。
遺産分割協議書に合意するメリットとして、時間と費用の節約があります。
調停は複数回の期日が設定され、解決までに時間がかかります。
他方、任意の遺産分割協議を並行して行い、遺産分割協議がまとまれば、遺産分割調停を進める必要もなくなり、迅速に手続きを終えられます。
遺産分割協議書は相続人全員の合意のもとで作成されるため、個別の事情に応じた柔軟な内容にすることができ、たとえば「相続財産の一部を現金化して特定の相続人に渡す」などの具体的な条件の設定も可能です。
譲歩できる内容を検討し、遺産分割調停の申立人に伝えることで、円満な解決が図れる可能性があります。
また、適正かつ公平な遺産分割を行うための助言を弁護士から受けることで、全員が納得できる内容に近づけることができます。
遺産分割調停は、家庭裁判所で行われ、調停委員が相続人間の話し合いを仲介します。
調停の開催場所は、通常は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所内の「調停室」という小さな部屋で行われ、裁判官1名と家事調停委員2名が担当します。
調停は1回で終わることはほとんどなく、1~2ヶ月に1回のペースで合計4~10回程度行います。
各回の期日は1時間から2時間程度で、調停が完了するまでには半年から1年、場合によっては3年以上かかることもあります。
調停期日は平日の日中に設定されるため、出席するには仕事を休むなどの対応が必要です。
遺産分割調停の当日の流れは、下記のとおりです。流れについては、一般的なものであり、裁判所毎に異なることがあります。
所要時間は1~2時間程度が目安です。
遺産分割調停に欠席する場合、次のようなトラブルが起きる可能性があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
調停期日に欠席すると、出席している当事者のみで話し合いが進みます。
そのため、欠席者の意見や希望を直接聞けないことで、話し合いの進行が停滞する可能性があります。
たとえば、遺産の分割割合についてAさんとBさんが出席しているが、Cさんが欠席している場合、Cさんの意見がわからない以上は、AさんとBさんだけで決めることはできません。
また、欠席が続くと、ほかの相続人や調停委員からの信頼を失う可能性もあります。
信頼が損なわれると、調停の意義が失われ、ほかの当事者が「本当に解決する気があるのか」と疑念を抱くようになるかもしれません。
どうしても出席することが難しい場合は、期日の延期を裁判所に申し出ましょう。
遺産分割調停で解決できなかった場合、自動的に審判に移行します。
審判では、調停において双方から聴取した言い分や事情、提出資料、独自に調査して得た情報などを踏まえて、裁判官が結論を出します(家事事件手続法40条)。
調停では当事者同士の話し合いで合意を図るのに対し、審判では裁判官が遺産分割方法を決定します。
そのため、自身にとって不利な結果になることも考えられるでしょう。
遺産分割調停は、双方にとって良い落としどころを見つけるための機会のため、審判よりも納得できる結果になる可能性があります。
調停を欠席したことによって話し合いが進まなくなり、最終的に審判に移行することになれば、遺産分割の詳細が決まるまでに長期間かかってしまい、相続税の申告期限に間に合わなくなるおそれがあります。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月です(相続税法27条2項)。
相続税の申告期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が加算されます。
また、相続税を節税できる特例も利用できなくなる可能性があります。
相続財産に不動産がある場合、評価額の算出のように時間がかかる対応が必要です。
相続税の申告期限の1週間前に相続財産が確定しても、相続税の申告が間に合わない可能性があります。
無申告加算税や延滞税がかからないようにするためにも、申告期限を意識して話し合いを進めることが大切です。
遺産分割調停が不成立となり審判に移行すると、親族間での関係が悪化するおそれがあります。
調停では、調停委員が中立の立場で間に入り、当事者間の対立を和らげる役割を果たしますが、審判では裁判官が最終的な結論を出します。
話し合いの場に参加せずに第三者による結論に従って遺産分割を行えば、親族間との溝が深まることになりかねません。
遺産分割調停のサポートを弁護士に依頼することには、下記のメリットがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺産分割調停を弁護士に依頼する大きなメリットの1つは、相続人と直接顔を合わせずに済むことです。
話し合いが平行線であるうえに、法的手続きを取られた事実により、感情的に対立するケースがあります。
そうなれば冷静に話し合いができず、調停が長引くことにつながります。
弁護士は、依頼人の代理人として遺産分割調停に出席し、意思を伝えたり話し合いの円滑化を図ったりできます。
弁護士に遺産分割調停を依頼することで、相手の主張に法的な問題がある場合に適切に対応でき、法律を武器に戦うことができます。
また、法的根拠に基づいた主張が可能なため、調停委員を納得させやすくなります。
たとえば、Aさんが兄弟のBさんと遺産分割の調停を行っているとします。
Bさんが不公平な分割を主張している場合、Aさん自身では法律の知識が不足しているため、適切に反論することが難しいケースがあります。
この場合、自身に不利な形での遺産分割に合意することになりかねません。
弁護士を依頼することで、Bさんの法的な矛盾や問題点がある主張に対して的確に指摘できます。
弁護士に遺産分割調停を依頼することで、調停の結果に応じて必要な手続きを一任することができます。
複雑な法的手続きをすべて弁護士に一任すれば、仕事や育児などへの影響を抑えることが可能です。
たとえば、遺産分割調停で合意に至らなかったため、審判に移行したとします。
審判では、法的根拠となる資料を提出しなければ、言い分が通りません。
弁護士であれば、主張に必要な資料を理解し、迅速に作成できます。
自身で手続きを進めると、多くの時間と労力がかかるうえに、法律の知識が不足しているためミスを犯すリスクも高くなります。
弁護士に依頼することで、すべての手続きを的確かつ効率的に進めることが可能です。
相続の調停を申し立てられた場合、冷静かつ迅速に対応することが重要です。
調停に出席しないと、審判や訴訟に移行し、相続税の申告期限に間に合わないリスクや、親族との関係が悪化するおそれがあります。
調停は話し合いによる合意を目指す手続きであり、弁護士を依頼することで法的な主張を的確に行えるうえに相続人と直接顔を合わせることなくスムーズに進められます。
遺産分割調停を申し立てられた場合は、専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士法人アクロピースでは、遺産分割調停だけではなく審判、その後の相続税の申告など、トータル的にサポートできますので、まずはお気軽にご相談ください。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。