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遺産分割調停の体験談!よくある失敗ケースや当日の流れも解説【弁護士監修】
「遺産分割調停までして、家族と争うのは気が引ける」
「調停委員を味方につけられず、自分だけ損をしたらどうしよう」
先が見えない調停への不安から、夜も眠れない日々を過ごしていませんか。遺産分割調停は、単なる話合いの場ではなく、法的な根拠と証拠に基づいた高度な交渉の場です。
この記事では、実際の調停成功事例と、逆に調停で不利になってしまった失敗事例を分析し、有利に進めるためのポイントを解説します。
後悔のない相続を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
成功のカギは「客観的証拠」:調停で使い込みや生前贈与の主張を通すには、感情論ではなく「取引履歴」や「日記」などの動かぬ証拠が必須。口頭での訴えだけでは事実は認められない。
失敗する人の特徴:調停委員に相手の悪口(感情論)を延々と訴えるのは逆効果。「証拠不足」や「財産の見落とし」は取り返しがつかないため、冷静かつ徹底的な準備が不可欠。
準備が勝敗の9割:当日の交渉以上に、事前の「陳述書」や資料整理が調停委員の心証と理解度を左右する。絶対に譲れない点と妥協点の整理など、戦略的な準備も欠かせない。
調停決裂のリスク:話合いが不成立の場合は自動的に「審判」へ移行し、裁判官による機械的・厳格な分割となる。柔軟な解決を望むなら、調停段階での合意を目指すべき。
早期相談の価値:審理期間は平均1年。法的な論理構成や複雑な交渉を有利に進め、精神的負担を減らして納得のいく結果を得るには、申し立て前の弁護士相談が推奨される。
遺産分割調停に関するお悩みは、弁護士法人アクロピースへお任せください。
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遺産分割調停の体験談6選
遺産分割調停の争点や結末は家庭ごとに異なります。自分と似たケースを知ることで、打開策が見えてくることもあるでしょう。
本章では、使い込みの追及や特別受益の主張など、困難な状況から弁護士介入によって遺産分割調停で納得のいく結果を得られた6つの体験談をご紹介します。
弁護士 佐々木一夫監修者コメント
遺産分割調停は、単なる「話合い」の延長ではありません。調停委員は公平な第三者ですが、彼らを説得するには「感情」ではなく「客観的な証拠」と「法的根拠」が不可欠です。準備不足で臨み、不利な条件で合意してしまうケースも少なくありません。
相続人である長男の使途不明金を追求し、遺産分割調停で解決したケース
長男による預金の使い込みが疑われたものの、本人は「生活費だ」と主張し、協議が平行線をたどっていた事例です。
弁護士はまず、金融機関から取引履歴を取り寄せ、被相続人の入院期間と引き出し履歴を照合しました。次に、物理的に外出不可能な時期の出金を客観的な証拠として提示し、調停にて追及します。
その結果、長男は合理的な反論ができず、以下の通り使途不明金を持ち戻す形での解決に至りました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 争点 | 被相続人の口座から消えた数千万円の行方 |
| 解決策 | 使途不明金を「長男がすでに受け取った遺産」として持ち戻し計算を実施 |
| 結果 | 次男(依頼者)が取得する遺産額を大幅に増額して解決 |
「家族だから」とあいまいにせず、取引履歴という動かぬ証拠を用いて事実を明らかにしたことが勝因です。客観的な記録に基づく主張は、調停委員の理解を得る上でも非常に有効です。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺産分割】父の通帳から消えた数千万円、兄の使途不明金を追及し調停で解決した事例
生前に母親から贈与を受け取っていた相続人の取得財産を遺産分割調停で減額できたケース
特定のきょうだいだけが親から多額の資金援助を受けていたにもかかわらず、法定相続分通りの分割を主張された事例です。
弁護士はまず、過去の預金口座の動きを詳細に分析し、定期的な資金移動の事実を特定しました。次に、それらが単なる援助ではなく、実質的な「遺産の前渡し(特別受益)」にあたると調停委員へ法的に主張します。
粘り強い立証により、相手方の取得分を減額する以下の内容で合意形成に至りました。
| 比較項目 | 当初の状況 | 調停成立後の結果 |
|---|---|---|
| 分割割合 | 相手方は遺産を2分の1ずつ分けることを要求 | 生前贈与分を考慮し、依頼者の取り分を多くする |
| 公平性 | 不公平(相手方は、相続において生前に受け取った贈与分を考慮すべきでないと主張) | 公平(贈与分を遺産とみなして清算) |
口頭での主張だけでなく、資金の流れを可視化し粘り強く交渉したことが、正当な権利の獲得につながりました。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺産分割】相手方は生前母親から定期的に金銭を受け取っており、相手方の取得財産を減額できた事案
財産調査・遺産分割調停を経て2,000万円の遺留分を得られたケース
被相続人と疎遠で資産状況が不明なため、借金を懸念して相続放棄を検討されていた事例です。
弁護士が調査を行うと、借金はなく高額な資産が存在することが判明しました。遺言により遺産の大半を特定の人物に相続させる旨の指定がなされていましたが、依頼者には最低限の権利である「遺留分」があります。
正確な財産評価に基づき請求を行った結果、当初の想定を覆す以下の成果を獲得しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 当初の予定 | 相続放棄を検討(取得額 0円) |
| 最終結果 | 財産調査と交渉により約2,000万円の遺留分を獲得 |
もし調査をせずに放棄していたら、本来得られるはずの2,000万円を逃していた可能性があります。自己判断で諦めず、専門家による調査を行ったことが運命を分けたと言えるでしょう。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺留分侵害額請求】相続放棄のご相談だったが財産調査と調停を経て一人当たり2000万円の遺留分を得た事案
20年以上放置され複雑化した相続対立を円満解決へ導いたケース
夫の死後20年以上放置され、数次相続によって関係者が増加し、協議が難航していた事例です。
当事務所の弁護士は、法的措置よりも信頼関係の再構築こそが解決の近道であると判断しました。まず、相手方の心情に配慮した丁寧な書面で対話の糸口を探ります。次に、弁護士自らが相手方のもとへ何度も足を運び、膝を突き合わせて不信感を一つずつ解消することに尽力しました。
その結果、頑なだった相手方の態度も軟化し、以下の通り円満な合意形成に至っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 争点 | 居住利益および兄弟間の扱いの差に関する「特別受益」の主張 |
| 解決策 | 書面と訪問による粘り強い直接対話を重ね、感情的対立を解消 |
| 結果 | 特別受益の主張を排斥し、不動産売却益の分配まで円満に完了 |
法的な正当性を主張するだけでなく、当事者の背景や心情を深く理解し、信頼を得るための細やかな配慮が奏功した事案です。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】20年以上未解決の相続、粘り強く交渉して遺産分割を円満に成立させた事案
絶縁状態の親族と交渉し、代償金を抑えて不動産の単独取得を実現したケース
ほぼ絶縁状態にある相続人との協議を経て、依頼者が居住する不動産の取得に成功した事例です。 遺産の大部分を不動産が占めており、他方の相続人へ支払う高額な代償金の工面が課題でした。
弁護士はまず、適正な不動産査定を行い交渉の土台を固めます。次に、相手方の父が生前に被相続人から多額の援助を受けていた事実を突き止め、これを実質的な「生前贈与」として考慮すべきであると強く主張しました。
丁寧かつ論理的な説得を重ねた結果、相手方も最終的に合意し、以下の通り解決に至っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 争点 | 遺産の偏りによる代償金支払いの資金不足および人間関係の断絶 |
| 解決策 | 相手方への過去の援助(生前贈与)を主張し、代償金の減額交渉を実施 |
| 結果 | 不動産の単独取得に成功し、住み慣れた自宅での生活を確保 |
資金不足や人間関係の悪化により解決困難に見える事案でも、法的な構成と交渉材料の精査により、希望する結果を導き出せるケースがあります。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】関係が悪化した相続人との交渉により、不動産の単独取得を実現したケース
婚前の子との遺産分割で、介護の寄与を主張し、代償金の大幅減額に成功したケース
被相続人の死後に、被相続人の婚前の子(異母兄弟)の存在が発覚し、唯一の主な遺産である自宅不動産の承継が問題となった事例です。
弁護士はまず、依頼者が長年負担してきた過酷な介護実態や金銭援助の詳細を文書化し、実質的な寄与として考慮するよう求めました。次に、相手方のもとを直接訪問して誠意ある対話を重ね、不動産評価や資産状況について丁寧に説明を尽くしました。
その結果、相手方の十分な理解と納得を得ることに成功し、以下の通り解決に至っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 争点 | 婚前の子への代償金支払い資力不足、および介護・金銭援助の評価 |
| 解決策 | 介護の過酷さと金銭援助の実態を立証し、粘り強い対面交渉を実施 |
| 結果 | 代償金を大幅に減額し、自宅不動産の単独取得を実現 |



法的な「寄与分」の認定ハードルが高い事案であっても、具体的な事実に基づく説得と誠実な交渉が、結果として経済的利益の確保につながりました。
解決事例:【アクロピース解決事例集・遺産分割交渉】婚前の子の存在が判明した相続案件で、大幅な譲歩を引き出した事案
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遺産分割調停の体験談からわかるよくある失敗例
遺産分割調停は、家庭裁判所で行われる法的な「話合い」ですが、単なる感情のぶつけ合いの場ではありません。戦略を誤ると、調停委員からの心証を損ね、本来得られるはずの利益を失う結果になりかねません。
ここでは、多くの人が陥りがちな失敗パターンを解説します。事前に知っておくことで、不利な状況を回避しましょう。
感情的な主張ばかりしてしまい、調停委員の心証が悪化した
調停の現場で最も頻繁に見られる失敗は、相手方への不満や過去の確執といった「感情論」に終始してしまうケースです。
調停委員の役割は、あくまで遺産分割という法的な問題を解決に導くことであり、家族間の道徳的な善悪を裁くことではありません。どれほど相手の非道を訴えても、遺産分割の結論には直結せず、かえって「話合いを停滞させる人物」というネガティブな印象を与えてしまう恐れがあります。
遺産分割調停におけるNG行動・推奨される行動はそれぞれ以下のとおりです。
| 項目 | NG行動(失敗例) | OK行動(推奨例) |
|---|---|---|
| 発言内容 | 「兄は昔から自分勝手だった」「母をいじめた」 | 「兄の主張は民法〇条の観点から問題がある」 |
| 態度 | 感情的になり、泣いたり怒鳴ったりする | 冷静に事実関係のみを淡々と話す |
| 時間の使い方 | 愚痴や過去の恨み節に時間を使う | 具体的な分割案や妥協点の提示に使う |
限られた調停の時間を有効に使い、自身の希望する条件を通すためには、感情的な発言を控える戦略的な振る舞いが求められます。
関連記事:遺産分割調停中にやってはいけないこととは?注意すべき行動や発言を弁護士が解説
証拠不足により調停での主張が認められなかった
「生前に土地を譲ると約束されていた」「タンス預金があったはずだ」といった主張も、客観的な裏付けがなければ調停の場では事実として認められません。
調停は話合いとはいえ、最終的には審判(裁判)を見据えた法的な手続きであるため、第三者が納得できる証拠の有無が決定的な意味を持ちます。ご自身では「間違いない事実」だと思っていても、相手方が否定すれば、証拠がない限り水掛け論で終わってしまうでしょう。
以下のような主張は、証拠として弱いと判断される可能性があります。
- 自分だけが聞いている故人の発言
- 日付や署名のないメモ書き
- 「あるはずだ」という推測
確実な証拠がないまま主張を続けると、調停委員に「根拠のない要求をする人」と判断され、信頼を失うリスクもゼロではありません。調停を申し立てる前に「第三者が見ても明白な証拠」を集めきれているかが勝敗を分けます。
本来主張できたはずの財産を見落とし、損をしてしまった
遺産分割調停には「当事者が申し立てた財産のみを対象とする」という原則があり、調停委員が職権で隠れた財産を探してくれるわけではありません。一部の財産を見落としたまま調停が成立してしまうと、その財産については未分割の状態が続くことになります。
後から発見されても、再び協議や調停を行う必要が生じ、解決までにかかる時間と労力が倍増してしまいます。
特に以下のような財産は、通帳や郵便物が手元に残らないケースも多く、見落としがちなので特に注意深く確認しましょう。
- ネット銀行・ネット証券(通帳や郵送物がなく発見困難)
- 名義預金(故人が子供や孫の名義で作っていた口座)
- 生命保険の契約者貸付(借金として相続される)
- 未支給年金



「財産はこれですべてだ」と思い込まず、被相続人の生前の生活状況や郵便物をくまなくチェックし、漏れがないか慎重に精査することが重要です。
遺産分割調停までに準備しておくべきものとは?
遺産分割調停の成否は、当日の交渉力以上に「事前の準備がいかに充実しているか」で決まると言っても過言ではありません。申し立ての段階で資料が整然とファイリングされていれば、調停委員に対して「手続きに協力的で真面目な当事者」という好印象を与え、信頼獲得の第一歩となります。
逆に準備不足のまま臨むと、事実確認だけで時間を浪費し、肝心の議論が深まらないまま期日が過ぎてしまう恐れがあります。
スムーズな進行と有利な解決を引き寄せるために、法的に必須となる書類に加え、戦略的に自身の主張を補強する資料を漏れなく準備しましょう。
調停を有利に進めるために必要な準備物は、大きく以下の3つのカテゴリに分類できます。
| 準備カテゴリ | 具体的な必要書類・対応 |
|---|---|
| 1. 裁判所への提出書類 | 申立書(希望する分割方法を記載) 戸籍謄本類(被相続人の出生〜死亡、相続人全員分) 遺産証明書類(不動産登記事項証明書、残高証明書など) |
| 2. 主張を支える証拠 | 陳述書(経緯や主張を時系列で整理) 特別受益や寄与分を証明する客観的資料(過去の通帳履歴、介護日誌、領収書など) |
| 3. 戦略的な準備 | 譲歩ラインの設定(絶対に譲れない点と妥協点の整理) 弁護士への事前相談による法的見通しの確認 |
提出書類の中でも、特に「陳述書」は調停委員の理解度を左右する重要な資料です。



限られた時間内で口頭ですべてを伝えるのは難しいため、詳細な事情や想いを書面にまとめ、事前に読んでもらえるよう手配しましょう。
関連記事:相続の遺産分割調停で嘘ばかりつかれたらどうする?不利にならない対処法を弁護士が解説
遺産分割調停当日の流れ
遺産分割調停の期日が迫ってくると、「相手方と顔を合わせて口論にならないか」「調停委員に正しく主張を伝えられるか」といった不安を抱く方が少なくありません。
しかし、実際の調停では当事者同士が同席しないよう配慮された「交互面接」という形式で進められるのが一般的です。申立人と相手方は別々の待合室で待機し、交互に調停室へ呼ばれて話をするため、直接顔を合わせる心理的負担はほとんどありません。
裁判所へ到着してから終了するまでの一般的な流れは以下の通りです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 受付 | 家庭裁判所の窓口で受付を済ませる |
| 2. 待機 | 指定された待合室(相手とは別室)で待つ |
| 3. 調停(1回目) | 調停室で調停委員へ事情や希望を話す |
| 4. 待機(交代) | 待合室に戻り待機(この間に相手方が話をする) |
| 5. 調停(2回目) | 相手の主張を聞き、再反論や調整を行う |
| 6. 次回期日の決定 | 次回の調停日時を決めて終了 |
調停全体にかかる時間は、1回につき約2時間が目安です。



自分が話をしていない間は待合室での待機時間となりますが、その間に考えを整理したり、弁護士と作戦を練ったりして過ごすと良いでしょう。
遺産分割調停の期間と費用はどれくらい?
遺産分割調停の審理期間は令和6年の統計では平均12.1か月(約1年)です。ただし争点が多い場合は2〜3年かかることも珍しくありません。また、調停が不成立となり審判移行した場合は、さらに数か月から1年ほど期間が延びる場合もあります。(参照:法務局|家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等)
一方、費用に関しては、裁判所への実費は数千円程度で済むものの、弁護士に依頼するかどうかで総額が大きく変わります。
具体的な費用の内訳と目安を下表にまとめました。
| 費用の分類 | 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 裁判所に収める費用(実費) | 収入印紙代 | 1,200円 | 被相続人1人につき必要な手数料 |
| 予納郵券(切手代) | 数千円程度 | 裁判所からの連絡用(裁判所により異なる) | |
| 書類の取得費 | 数千円〜数万円 | 戸籍謄本や住民票など。相続人の人数や転籍回数によって増減する | |
| 弁護士に依頼する場合 | 法律相談料 | 無料~30分5,000円程度 | 案件の内容や難易度によって変動 |
| 着手金 | 20万円〜50万円程度 | ||
| 成功報酬 | 調停により依頼者が得た遺産額の6~16%程度 | ||
| 実費 | 5万円~7万円程度 | ||
| 日当 | 日額5万円程度 | ||
| 遺産調査費用 | 15万〜30万円程度 | 不動産を含む遺産分割の調停で別途発生することがある |



弁護士費用は安くありませんが、依頼することで精神的負担を軽減でき、結果的に受取額が増える可能性も高まります。
関連記事:
遺産分割調停の期間はどれくらい?平均回数や流れを徹底解説
遺産分割調停の費用はいくら?不動産鑑定にかかる費用や誰が払うのかも解説
遺産分割調停を起こした後はどうなる?
遺産分割調停を申し立てた後、相続人全員が合意に至り円満に解決する「成立」か、話合いが決裂し、より厳格な手続きへと進む「不成立」の2パターンに分かれます。
どちらの結末を迎えるかによって、その後の法的拘束力や解決までのプロセスが劇的に変わるため、それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。
調停が成立した場合
相続人全員が分割案に合意すると調停は成立し、裁判所によって「調停調書」という公文書が作成されます。この書面は単なる合意メモではなく、確定した審判と同一の法的効力を有しています(参照:家事事件手続法第268条第1項)。
調書があれば他の相続人の実印がなくても単独で不動産の名義変更ができたり、金銭の支払いが滞った際には、裁判を経ずに直ちに給与や預金を差し押さえたりすることも可能です。
調停調書が持つ具体的な効力とメリットは以下の通りです。
| 調停調書の効力・メリット | 詳細 |
|---|---|
| 確定判決と同一の効力 | 後から不服を申し立てたり、内容を撤回したりすることは一切できません。 |
| 単独での手続きが可能 | 預金の解約や不動産の登記を、調書一枚でスムーズに進められます。 |
| 強力な執行力 | 合意内容が守られない場合、強制執行(差押さえ)の根拠となります。 |
このように、一度成立すれば「やっぱり納得できない」という蒸し返しは許されません。紛争を完全に終結させられる点は大きなメリットですが、その分、調停内容に同意するかどうかの最終判断には慎重さが求められるでしょう。
調停が不成立だった場合
話合いが平行線をたどり、合意の見込みがないと調停委員会が判断した場合、調停は「不成立」として終了し、手続きは自動的に「審判」へと移行します(参照:家事事件手続法第272条第4項)。
審判とは、当事者の合意形成を目指すものではなく、裁判官が法律と証拠のみに基づいて、強制的に遺産の分け方を決める手続きです。審判では互いの譲歩や個別の事情を汲んだ柔軟な解決は期待できず、法的なルールに従って機械的に判断されてしまいます。
調停と審判における、決定プロセスの違いは以下のとおりです。
| 項目 | 調停(話合い) | 審判(裁判官の判断) |
|---|---|---|
| 決定権 | 当事者の合意 | 裁判官による決定 |
| 柔軟性 | 柔軟な解決が可能 | 法律に基づいた厳格な分割 |
| 納得感 | 比較的高い | どちらかが不満を持つことが多い |
審判では、当事者の感情は一切考慮されません。例えば「代々住んできた家を守りたい」という希望があっても、代償金を支払う能力がなければ、裁判官の命令により不動産が競売にかけられるリスクさえ生じかねません。



裁判官によるドライな判断は、誰にとっても望まない結果になることもあるため、可能な限り調停段階での解決を目指すべきです。
関連記事:遺産分割調停が不成立になったその後はどうなる?審判移行や強制執行についても解説【弁護士監修】
遺産分割調停に関するよくある質問
遺産分割調停で勝つためにはどうしたらいいですか?
調停における「勝ち」とは、自身の主張が最大限認められた内容で合意することです。勝つためには、以下3点が不可欠です。
- 主張を裏付ける徹底的な証拠収集
- 感情論を排した法的根拠のある主張
- 誠実な態度による調停委員の信頼獲得
これらを個人で完璧に行うのは困難なため、専門知識を持つ弁護士を味方につけることが、有利な解決への最短ルートです。
遺産分割調停において、弁護士の成功報酬はいくらですか?
弁護士報酬は2004年に基準が廃止され、現在は各事務所が自由に設定しています。ただし、目安として旧日弁連報酬基準を参考にしている事務所も多いのが現状です。
旧日弁連報酬基準を参考にしている場合、報酬金は獲得した経済的利益が300万円以下の場合「16%」、300万〜3000万円の場合「10%+18万円」などとされることがあります。
事務所ごとに料金体系は異なるため、契約前に必ず見積もりを取り確認しましょう。
遺産分割調停の証拠の提出方法は?
証拠書類は、調停委員が内容を確認できるよう、期日当日ではなく事前に郵送か持参で提出するのが基本です。提出時は原本ではなくコピーを使い、裁判所用と相手方の人数分のセットを用意します。
また、「どの証拠が何を証明するか」をまとめた「証拠説明書」を添付し、見やすく整理することも重要です。
雑多な書類は重要な証拠の見落としを招くため、丁寧な準備が戦略の一つとなります。
まとめ|遺産分割調停で後悔しないためにも弁護士に相談しよう
遺産分割調停は、単なる話合いではなく法的な交渉の場です。準備不足のまま臨むと、相手方の主張に押し切られ、本来得られるはずの利益を失ってしまう可能性があります。
調停を有利に進めるためには、感情論ではなく客観的な証拠と法律論に基づいて主張を組み立て、調停委員を味方につける冷静さが不可欠です。
もし、手続きや交渉に少しでも不安を感じるなら、調停の申し立て前、あるいは第1回期日の前に弁護士に相談するのがおすすめです。 早期に専門家のアドバイスを受けることで、不利な状況を回避し、納得のいく解決への道筋を立てることができます。



相続問題は、時間が経つほど関係修復が難しくなるデリケートな問題です。一人で抱え込まず、あなたの正当な権利と心の平穏を守るためにも、ぜひ一度ご相談ください。
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