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自身の死後、保有していた財産の行方を決めることができる遺言書ですが、よくある遺言書というのは「自筆証書遺言」といって、すべて自筆で作成する遺言書のことを指しています。
しかし、遺言書にはいくつか作成方式があり、より確実に遺言書作成をしたいのであれば、「公正証書遺言」をおすすめします。
というのも、自筆証書遺言の場合、1ヶ所でも法的な不備があれば、その時点で遺言は効力を失ってしまうのです。
一方で、公正証書遺言の場合、公証役場の公証人が作成に立ち会ってくれるため、法的な不備の心配がありません。
今回は、公正証書遺言の作成方法とかかる時間や費用、メリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
冒頭でも触れたとおり、公正証書遺言は公証役場にて作成します。
公証役場というのは、遺言以外も含む公正証書の作成や、私文書の認証などを行ってくれる場所です。
普通に生活していると、あまり一般の方が利用する機会はありませんが、離婚のときの慰謝料・養育費や金銭の貸し借りの取り決め等につき、裁判所の判決がなくても強制執行ができる効力を持つ証書(強制執行認諾付の公正証書)を作成できたりします。
公正証書遺言は、この公証役場にて作成できる書類の1つで、公証人という専門家が作成のサポートをしてくれます。
といっても、遺言書の原案などは自身で作らなければならず、法定相続人となる方(推定相続人)を事前に確認したり、財産目録を作成したりといった準備が必要です。
公正証書遺言を作成する場合、遺言者と公証人・証人2名が同席する必要があります。
全員の予定を合わせて行わなければいけないため、1カ月半〜2カ月程度かかると考えて、準備・作成を進めるのが良いでしょう。
公証役場の利用は無料というわけではありません。
遺言する財産の価額によって、以下のように手数料が変動することになっています。
相続財産の金額 | かかる手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円超え200万円以下 | 7000円 |
200万円超え500万円以下 | 11000円 |
500万円超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円まで 5000万円毎に | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円まで 5000万円毎に | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える部分 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
がそれぞれ加算されます。
(参考:日本公証人連合会ホームページ)
また、弁護士に作成を依頼する場合は、10万円~20万円程度が相場となります。
1.必要書類の準備
先に解説した推定相続人の確認や財産目録の作成が済んだら、次は公証役場に提出することになる必要書類を準備しなければなりません。
具体的には、以下のような書類が必要になります。
2.公証人との打ち合わせ
必要書類が準備できても、すぐに作成というわけにはいきません。
一般的には、事前に公証人との打ち合わせをすることになっています。
ここで、遺言する内容を確認しながら、法的な不備がないようにチェックしてもらいます。
なお、公正証書遺言の作成を弁護士に依頼している場合、一部の必要書類の取得や、公証人との打ち合わせは任せることができます。
もちろん当事務所でも、公正証書遺言作成のサポートは行っていますので、お気軽にお問合せください。
3.公正証書作成当日
公正証書作成当日は、事前に打ち合わせをし、内容の確認は済んでいるため、遺言する内容の読み聞かせや、記名捺印で作成は完了します。
ただし、証人を2人用意しなければならない点には注意が必要です。
ここでいう証人には、未成年者や推定相続人、受遺者、配偶者、直系血族の方はなることができません。それ以外の方で証人となってくれる方を手配しましょう。
もし、証人の手配が難しい場合、当事務所の弁護士が証人になることも可能なため、心配な方はお気軽にお問合せください。
公正証書遺言を作成する一番のメリットは、法的に有効な遺言書を確実に作成できる点です。
その他にも、作成した公正証書遺言は公証役場にて保管してもらえる(もちろん自身も控えは保有できる)ため、紛失や改変される恐れがありません。
この確実さが公正証書遺言のメリットです。
一方でデメリットとして挙げられる点は、やはり費用と手間がかかってしまう点です。
必要書類の準備や公証人とのやり取りなど、慣れない作業に疲れてしまう方が多いのも現実です。
しかし、当事務所にご依頼いただければ、こうした負担を必要最低限に抑えることが可能です。
ご相談いただければ、より具体的な作成の流れや、大まかな日程等についてもご説明することができますので、ぜひお気軽にご連絡いただけたら幸いです。
上記からもわかるように、公正証書遺言を作成するとなれば、必要書類や証人を用意したり、手数料を負担したりといったように、費用も手間もかかってしまいます。
それゆえ、もう変更できないと思われてしまいがちなのですが、実際は後で遺言の内容を変更することは可能です。
遺言書というのは、最新の日付のものが優先されるため、過去に公正証書遺言を作った経緯があったとしても、後日作成された法的にまったく不備のない自筆証書遺言が見つかれば、後者が優先されるという決まりがあるのです。
もちろん、もう一度公正証書遺言を作成しても問題はありません。
弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。