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このような場合、民法では、相続放棄という手段が認められています。
もっとも、相続放棄は、プラスの財産も含む一切の財産を相続しないという手続きですので
と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、相続・遺言の相談を300件以上取り扱ってきた弊所が
についてご説明します。
「相続放棄」とは、相続人が、被相続人の財産と負債の一切を相続しないという意思表示をすることをいいます。
相続人は相続放棄をすることによって、初めから相続人にはならなかったものとみなされるので(民法939条)、被相続人の財産や負債を引き継ぐ立場ではなくなるのです。
相続放棄の意思表示は「相続放棄申述書」という書類を裁判所に提出することによって行います。
提出期限は、原則として相続の開始があったことを知った時、つまり被相続人が亡くなったことを知った時から3か月以内と定められています(民法916条)。
相続放棄をするかしないかは、慎重に考えた上で手続きを進める必要があります。ここでは、相続放棄のメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。
まずは相続放棄のメリットを解説します。
被相続人が残した借金を受け継がなくて済むのは、相続放棄の最大のメリットでしょう。
相続すると、財産だけでなく負債も引き継いでしまうため、相続放棄をしなければ債権者から支払いを迫られてしまいます。
特に、返済が滞っていたような場合には元金だけでなく遅延損害金も発生するため、借金が発覚した時点で負債の額が大きく膨らんでしまっているという事態も考えられます。
相続放棄をすれば、被相続人の借金を返済する義務を免れ、債権者から支払いを求められることもなくなるでしょう。
相続人が複数人いる場合、遺産の分け方をめぐって争われることも少なくありません。
相続争いは
など争点が多岐にわたり、解決するまで長期化することもあります。
家族間の関係が良くなかったり、異父・異母兄弟などが存在したりすると、相続人間でお互い感情的になってしまうこともあります。
相続放棄をすることで、このような争いから解放されるというメリットがあるのです。
被相続人が家業を営んでいたような場合、店舗の建物や事業用の自動車など家業を続けていくうえで必要な財産を複数の相続人が共同で相続すると、財産の権利関係が複雑となり、家業が円滑に行えなくなるおそれがあります。
相続財産があまり価値のない店舗の建物だけで、相続人のうち1人だけが被相続人の生前からずっと家業を手伝い、それ以外の相続人は家業にほとんど関わっていなかったという事案があったとします。
家業を手伝っていた相続人からすれば、家業を引き継いでいくために店舗を必要とする一方で、他の相続人としてはあまり価値のない建物を相続してもほとんどメリットがなく、逆に固定資産税を支払わなければならないなどのデメリットがあります。
このような場合に、家業を承継する1人以外の相続人が相続放棄をすることで、家業の継続に必要な財産を1人に集中させることができます。
相続税の額は、相続財産の合計額から基礎控除額や債務・葬儀費用などを差し引いて計算されることになります。
そのため、基礎控除額が大きければ大きくなるほど相続税の額も少なくなり有利です。
基礎控除額は
という式で計算されますので、法定相続人の数が多いほど基礎控除額も大きくなります。
そうすると、相続放棄をすることで相続人の数が減るため、基礎控除額も減ってしまいそうに見えるかもしれません。
しかし、相続税法15条2項は基礎控除額の計算における「法定相続人の数」について「相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とする」と定めているため、相続放棄をしたとしても相続税の基礎控除額が減ることはないのです。
したがって、相続放棄による相続税の計算上のデメリットはありません。
相続放棄には、次のようなデメリットもあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相続放棄は、相続人として被相続人のプラスの財産・マイナスの負債を引き継ぐ立場を、文字どおり放棄するという制度です。
そのため、相続放棄をしてしまうと、もし相続財産の中に欲しい財産があっても手に入れることができなくなります。
たとえば、亡くなった夫の名義の家に住んでいた妻が相続放棄をしてしまうと、相続放棄をしなかった他の親族に退去を迫られてしまうような事態も起こり得ます。
家業を営んでいた親が亡くなったような場合には、子どもが相続放棄をしてしまうと、店舗建物などを手放さなければならず、家業を引き継げなってしまうおそれがあります。
相続財産の中にどうしても手元に残しておきたいものがある場合には、相続放棄を選択するのは適切ではありません。
相続には順位があります。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人となります。
第1順位 死亡した人の子ども
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
たとえば、被相続人に配偶者と子どもがいればどちらも相続人となります。
配偶者はいるものの子どもがいない場合には、被相続人の父母が存命であれば配偶者と父母が相続人となります。
すでに述べたように、相続放棄をすると初めから相続人にはならなかったものとみなされるので、配偶者と子どもがどちらも相続放棄をすると父母が相続人となります。
そのため、もし配偶者と子どもが、被相続人に貸金業者からの借金があったという理由で相続放棄をすると、貸金業者から被相続人の父母へ「息子さんの借金を支払ってください」と連絡が行ってしまうなどの迷惑をかけてしまうおそれがあります。
このような事態になると、親族関係が悪くなってしまうことにもなりかねません。
相続放棄をする際には、相続放棄によってあらたに相続人となる親族へ事前に相続放棄をすることを伝えておく必要があります。
相続放棄の手続きを弁護士に依頼しているのであれば、弁護士を通じて親族に相続放棄をすることを伝えてもらい、場合によっては親族も含めて相続放棄をするということも考えられるでしょう。
相続放棄をしたとしても、あくまでも相続人としての立場にならないだけで、現に占有している財産については相続人に引き渡すまでの間、そのまま管理しておかなければいけないという義務があります。
そして、法定相続人が全員相続放棄してしまったような場合には、家庭裁判所に相続財産清算人(相続財産を清算、国庫帰属させる役割を持つ人)を選任してもらい、引き渡すまで管理する必要があるのです(民法940条)。
現占有者などの利害関係人は、家庭裁判所に対して相続財産清算人の選任を申し立てることができます。
しかし、相続財産を売却するなどしても相続財産清算人の報酬などを捻出することができなさそうな場合は、申し立てた人がその費用相当額を予納金として納付しなければならないことがあります。
管理の程度については、善管注意義務と呼ばれる高度の注意義務までは要求されませんが、自分の財産と同じ程度には注意して管理しておかなければいけません。
いったん家庭裁判所へ相続放棄の申述をしてしまうと、基本的には相続放棄を撤回することはできません。
もし相続放棄をした後に、被相続人が多額の相続財産を持っていたことが発覚したとしても「やっぱり相続します」ということはできないのです。
ただし、相続放棄をした人が未成年であったり、詐欺や強迫によって相続放棄をさせられたような場合には、例外的に相続放棄を取り消すことができます。
相続放棄をすべきかどうかは、慎重に判断しましょう。
被相続人が受取人指定をしていた生命保険金や死亡退職金は、相続財産ではありませんので、相続放棄をしたとしても受け取ることができます。
もっとも、これらは相続税の計算対象にはなりますので、相続税の申告が必要な場合には非課税枠(500万円✕法定相続人の数)が使えないので、注意が必要です。
以上のように、相続放棄には被相続人の財産を引き継げなくなるなどのデメリットもありますが、負債も引き継がなくて良くなるなどのメリットも多くあります。
被相続人の借金などの負債の額と相続財産の額を比較して、負債が相続財産を上回るようであれば、相続放棄を検討すべきです。
逆に、相続財産の額のほうが大きいのであれば、相続財産で借金の返済分を賄えるので、あえて相続放棄を選択する必要はありません。
ただし、被相続人が亡くなった時点では、必ずしもすべての相続財産や負債が判明しているとは限りませんので、どちらも調査することが必要です。
自分でできる財産調査としては、下記のような方法があります。
預金 | 郵便物や預金通帳から口座を特定し、残高証明や取引履歴を取得して預金額等を把握する。 |
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不動産 | 郵便物や名寄帳などから所在を確認し、不動産業者に査定を出して価値を把握する。 |
負債 | 貸金業者からの請求書や通知書から借り入れ状況を把握する。不安な場合には、信用情報機関に対し情報開示請求をして借入先や借金の額を確認する。 |
しかし、個人でおこなう財産調査には限界がある場合も多いです。
「時間も労力もかかって大変」「財産調査に漏れがないか心配」という方は、弁護士に財産調査を依頼するのがよいでしょう。
弊所では、相続放棄手続きを依頼された方について、被相続人の財産調査をしたところ、多額の財産があることがわかり、結局相続放棄はせずに約4000万円の遺産を取得したという事例がありました。
たとえば、被相続人名義の家に住み続けたい、家業を受け継ぎたいというような場合には、相続放棄を選択することはできないでしょう。
また、被相続人と土地などの財産を共有している場合も、処分が難しくなってしまうので、相続放棄はすべきではありません。
このような場合は、次に説明する限定承認を検討することになります。
限定承認とは、相続によって得た被相続人の財産の価格の限度で負債を相続するという意思表示です。
つまり、引き継ぐ負債の額は相続で得る財産と同額が上限となるので、総額で見ると相続することでマイナスになることはないのです。
このような便利な限定承認の制度ですが、各相続人が単独で行うことのできる相続放棄とは異なり、相続人全員が共同で行う必要があるため、もし相続人の中に連絡が取れない人や、限定承認を拒否する人がいると、行うことができません。
そのため、負債が返済不可能なほど多額で、かつ、どうしても残さなければいけない財産があるような場合を除いては、相続放棄を選択したほうが良いでしょう。
基本的に、相続財産を処分すると、それを行った相続人は相続をする意思を表示した、相続を承認(法定単純承認)したものとして、相続放棄をすることができなくなります(民法921条1号)。
そのため、相続財産の中から葬儀費用などを支払ってしまうと、形式的にみれば相続財産の処分に当たり、相続放棄ができなくなってしまうようにも思えます。
しかし裁判所は、葬儀費用、仏壇、墓石の額が社会的に見て相当な額であれば、相続財産からこれらの費用を支出したとしても、相続財産の処分には当たらないと判断しています(大阪高裁平成14年7月3日家庭裁判月報55巻1号82頁)。
ただし、いくらまでが相当なのかの判断は明確ではないので、悩んだら弁護士に相談してください。
相続財産であっても、経済的な価値がほとんどないようなものであれば、形見分けとして取得したとしても法定単純承認とはみなされません。
ただし、宝石類など、一般的に高価なものの形見分けについては、相続財産の処分として、単純承認になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
以上、相続放棄のデメリットについて、ご説明をしてきましたが、改めてまとめてみると、以下のようになります。
相続放棄は、判断を間違えてしまうと、大きなデメリットを被ってしまうおそれがあります。
相続放棄をするべきか判断に迷ったときは、弁護士にご相談ください。
弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。