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「生前にお金をおろしておくことで相続税を節税できる」、「亡くなると口座が凍結されて生活費を引き出せなくなる」などの噂を耳にして、不安に感じている方もいるでしょう。
誤った知識によって生前に預金をおろすと、他の親族との間でトラブルになる可能性があります。
噂が真実かどうかを確認したうえで、適切な対応方法を知っておくことが大切です。
今回は、生前に預金を全額おろしておいた方がよいとの噂が真実かどうかや、適切な対応方法などについて詳しく解説します。
弁護士法人アクロピースでは60分間の無料相談を実施しています。
相続税の節税に悩んでいる方や未然にトラブルを防ぎたいと思っている方は、ぜひお気軽にご相談下さい。
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生前に全額預金をおろす必要があるとの噂が広まっています。
この噂を信じて、銀行の預金を本人の同意を得ずに全額おろしてしまう方もいるでしょう。
噂の内容としては、次の2つがあります。
それぞれの噂について詳しく見ていきましょう。
銀行口座の名義人が亡くなると、口座が自動的に凍結され、生活費を引き出せなくなるとの噂があります。
名義人が亡くなった情報が銀行に伝わるまでは口座が凍結されることはありません。
相続人や関係者が死亡を銀行に届け出た際に口座が凍結されます。
相続人が特定できない場合や、相続人間での紛争が発生した場合などでは、口座の凍結が解除されるまでに時間がかかることがあります。
あらかじめ生活費分の贈与を受けたり、生命保険に加入しておいたりして、名義人が亡くなった後に遺族が生活に困ることがないように対策が必要です。
生前に名義人の口座からお金を全額おろしておくと、相続税を節税できるとの噂があります。
相続税は、被相続人の死亡時の相続財産に基づいて算出するため、あらかじめ親族のお金にしておくことで相続税を節税できるものとの考え方です。
相続税の節税になるかどうかは、許可を得て贈与の形で受け取るか、無許可でおろすかによって結果が異なります。
生前に名義人の口座から預金を許可なくおろすことには、次の問題点があります。
結論として、生前に名義人の口座から預金をおろすことは相続税の節税にならないばかりか、相続人同士の間でトラブルになるおそれがあるため、行うべきではありません。
それぞれの問題点について詳しく見ていきましょう。
生前贈与によって相続財産を減らすことで、相続税を節税できる可能性があります。
しかし、名義人の許可を得ずに預金を全額おろした場合、相続税の節税にはなりません。
この場合、第三者による窃盗と同義となり、他の相続人が不当利得返還請求権または不法行為による損害賠償請求権を相続し、勝手に口座からお金を引き出した相続人に対して請求することになります。
相続税の正確な計算ができなくなるため、遺産分割も進まなくなる可能性があります。
一方、許可を得て預金を全額おろすのであれば、生前贈与となりますので相続時精算課税制度を利用することで2,500万円まで贈与税は非課税で生前贈与を受けることが可能です(相続税法21条の9)。
相続時精算課税制度は、相続税申告の際には、2500万円を相続財産と合算して相続税の申告をすることが可能な制度になります。
この制度では年110万円までの生前贈与は基礎控除が認められていますので、年間110万円を超える部分についてのみ相続財産に加算すれば良いことになります。
相続税の節税方法として預金を全額おろすことを検討している場合は、名義人と話し合って最善の方法を選ぶ必要があります。
遺産相続をめぐって親族が争うことを「争続」といいます。
生前に預金を許可なく全額おろすと、相続人間でトラブルが発生する可能性があります。
前述した不当利得返還請求権または不法行為による損害賠償請求権によってトラブルになるだけではなく、不信感によって関係性が悪化したり、被相続人に対しても疑念を抱いたりすることになりかねません。
事前に聞いていた相続財産と実際の財産の額が一致しない場合、口座の利用明細を取り寄せて原因を探ります。
預金を全額おろした時間や方法が明確になるため、他の相続人に知られずに不当に財産を得ることは不可能です。
被相続人は、相続人同士が争うことは望まないことが通常です。
そのため、生前に預金を許可なく全額おろすことは避けるべきでしょう。
家族や同居する親族が生前に預金を勝手に引き出しても、刑事罪に問われることはありません(刑法244条)。
ただし、民事上の責任を問われる可能性があります。
例えば、生前に預金を勝手に引き出した場合、他の相続人が損害を受けます。
このような場合、相続人たちは民事訴訟を起こして損害賠償を求めることができます。
また、生前の預金の引き出しについて合意がなかったり、透明性が欠けていたりする場合、そのような行為に対する悪い噂が社会に広まる可能性も否定できません。
預金をおろしたとしても、本人のために使う場合は問題になりません。
たとえ、健康状態を理由に預金の引き出しの承諾を表明できなかったとしても、引き出されたお金を本人のために利用した場合、本人がその事実を知ったとすれば承諾していたであろうと判断されます。
たとえば、本人が入院しており、本人の医療費や生活費などのために本人の預金を引き出し、その支出に充てるケースが該当します。
このようなケースでは、本人の生活と利益のための資金として使用しているため、法的な問題は発生しません。
生前に預金を引き出すことは、必ず問題になるわけではありません。
以下に該当する場合は、法的な問題や相続人間でのトラブルにつながります。
それぞれの問題点について、詳しく見ていきましょう。
本人が引き出して相続人のために利用した場合、相続の際に特別受益とみなされる可能性があります。
特別受益とは、生計の資本、または婚姻および養子縁組に関連する費用として贈与を受けた財産のことです(民法903条1項)。
特別受益は、相続分を生前にあらかじめ渡しておいた財産とみなされ、相続財産に持ち戻して計算されます。
例えば、母親の1億円の財産を兄弟で5,000万円ずつ相続するところ、生前に4,000万円を兄が受け取っていた場合を見てみましょう。
この場合は単純に兄弟で5000万円ずつ相続したのでは生前に4000万円を受け取っている兄と弟では不公平が生じるため、生前に兄が受け取った4,000万円を相続財産に持ち戻し、遺産が1億4000万円あると仮定して、1億円を2人で分割します。
法定相続分に従って各相続人の相続分を計算すると、1人7000万円遺産として受け取れることになります。
ですが、すでに兄は4,000万円を受け取っているため、生前に受け取った分を控除して、実際に相続できるのは3,000万円です。
ただし、生前贈与分を考慮せずに遺産分割を行うように意思を示していた場合は、持ち戻し計算の対象外です(民法903条3項)。
本人の口座から相続人がお金を引き出して、自身や本人以外の人物のために使用した場合、本人は相続人に対して不当利得返還請求権または不法行為による損害賠償請求権を得ます。
そのため、本人の許可なく引き出したお金の返還や、被った損害に対する賠償金の支払いを請求されます。
ただし、本人の許可を得たうえでキャッシュカードや通帳、印鑑などでお金を引き出す場合は、「本人が引き出して相続人のために使用した」と同様の扱いです。
本人が亡くなって相続が発生した場合、不当利得返還請求権または不法行為による損害賠償請求権を相続人全員が分割して相続されるため、追求から逃れることはできません。
生前に預金を全額おろす場合、トラブルを防ぐために次の注意点を守りましょう。
それぞれ、詳しく解説します。
生前に預金をおろす場合は、1円たりとも本人以外のために使わないことが重要です。
1円でも自身や他の相続人のために使用すると、生前贈与とみなされる可能性があります。
生前贈与は、1月1日~12月31日の間に受けた贈与から基礎控除額の110万円を差し引いた額に対して贈与税が発生します。
贈与税の税率と控除額は以下のとおりです。
課税価額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
また、本人のために使うと言いながら自分や他の相続人のために使うと、不当利得返還請求権または不法行為による損害賠償請求権により請求を受ける可能性があります。
生前に本人の許可を得たうえで預金を全額引き出す際は、他の相続人にその事実を知らせることが重要です。
これにより、無用なトラブルや紛争を未然に防ぐことができます。
例えば、一部の相続人だけが預金引き出しの事実を知っていると、他の相続人が不信感を抱く可能性があります。
そのため、透明性を保つためにも、預金引き出しの事実は全ての相続人に知らせることが重要です。
また、知らせることで相続人間の信頼関係が損なわれることも防ぐことができます。
預金引き出しの事実を隠すことは、後々の相続手続きや財産分割において、不信感や対立を引き起こす可能性があります。
本人が亡くなってから遺族が預金を全額おろすまでの流れは次のとおりです。
それぞれにかかる日数や必要書類などについて、詳しく解説します。
名義人が亡くなった際は、その旨を金融機関に電話で伝えましょう。
金融機関は連絡を受けたらすぐに口座を凍結させて、引き出しや振込をできなくします。
凍結解除の手続きに不安がある場合は、来店で伝えるとその際に案内を受けることができます。
必要に応じて遺産分割協議を相続人全員で行います。
遺産分割協議では、相続財産を確定したうえで、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。
遺言書の内容が優先されるため、遺言書がある場合や相続人が1人の場合は必要ありません。
遺産分割協議では、相続人全員の押印がある遺産分割協議書の作成が必要です。
話し合いがまとまらない場合は調停を行い、それでも解決しない場合は審判に移行します。
預貯金を相続する相続人が決まれば、下記の必要書類を銀行に提出します。
ただし、金融機関により必要書類が異なることがありますので、手続きをする前に金融機関に確認するのが良いでしょう。
共通 | 遺言書あり | 遺言書なし |
---|---|---|
預金通帳 | 遺言書 | 相続人全員の押印がある遺産分割協議書 |
キャッシュカード | 検認調書または検認済証明書(自筆証書遺言) | 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 |
預金の相続人の実印と印鑑証明 | 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本 | 相続人全員の戸籍謄本 |
相続人全員の印鑑証明書 |
必要書類の提出後、数週間程度で口座の凍結が解除されます。
書類に不備があると凍結解除まで時間がかかるため、必要に応じて相続に詳しい弁護士のサポートを受けることが大切です。
なお、遺産分割協議前に預貯金の一部は、引き出すことが可能です(民法909条の2)。
対象となるのは、本人が有する各金融機関ごとの預貯金額の3分の1に自身の法定相続分を乗じた金額です。
ただし、預貯金の一部を引き出す行為は相続財産をすべて相続する「単純承認」をしたとみなされ、相続放棄できなくなる可能性があります。
死亡した人の預金をおろすことについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:死亡した人の預金をおろすと罪になる?よくある相談例と解決策を解説
生前に預金を全額おろす行為は、トラブルにつながりかねません。
本人のために使用するとしても、他の相続人に伝えておいて、トラブル防止の対策を講じることが大切です。
相続税を抑えるために預金をおろすことについて調べている人は、預金をおろすのではなく生前贈与を活用しましょう。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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