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個人間で不動産売買契約書を取り交わす際、どのようなことに注意すればよいのか気になっているかもしれません。
高額な資産を取引する不動産売買は、契約内容の不備が原因で大きなトラブルに発展するケースもあります。
個人間の取引であっても、あとで問題が発生しないように、不動産売買契約書は慎重に作成しなければいけません。
本記事では、個人間の不動産売買契約書の作成方法と、トラブルが発生したときの対処法についてお伝えします。
個人間の不動産売買で必要な、登記や納税についての注意点も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
個人間の不動産売買契約書をどのように作成してよいか悩んでいるなら、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースまでご相談ください。
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仲介会社を通さない、個人間の不動産売買契約は有効です。
不動産の売買を業として行う場合、宅地建物取引士の資格や宅地建物取引業の免許が必要です。
しかし、個人が所有する不動産を単発で行う売買には、資格や免許は入りません。
個人間で直接不動産売買が行われるケースが多いのは「親族間の売買」「隣人同士の売買」「借地権者と地主間」などの比較的親しい間柄です。
法律上不動産売買契約は、一方が締結を申し入れて相手が承諾すれば契約書がなくても成立します。
しかし、親族や知人などの親しい関係であっても、不動産売買のトラブルは多く発生しているため、契約書は必ず作成してください。
個人間の不動産売買契約書は、インターネットから無料でテンプレートをダウンロードできます。
テンプレートを利用すれば、個人でも不動産売買契約書の作成が可能です。
ただし、売買契約書に記載する内容は個別の事情によって異なるため、いくつかの注意点があります。
個人間の不動産売買契約書は、以下のポイントに注意して作成してください。
不動産売買契約書のテンプレートは、信頼できるサイトから入手してください。
弁護士法人や宅建協会などの公式サイトからのダウンロードをおすすめします。
さまざまなWebサイトに、不動産売買契約書のテンプレートが掲載されていますが、個人のブログや一般メディアなどの信頼性が確認されていないサイトは避けましょう。
テンプレートを使用する際は、最新の法改正に対応しているか、自分の取引に適しているかの確認が必要です。
おすすめサイト例:全国宅地建物取引業協会連合会
不動産売買契約書には、物件の価格や支払日、欠陥があった場合の契約不適合責任などの基本事項を記載する必要があります。
さらに、売買契約成立後のトラブルを避けるために、占有者の存在や地役権の設定など、物件に固有の事情がある場合も明記しなければいけません。
不動産売買契約書に記載が必要な基本事項には、以下の内容があります。
基本事項以外にも次のような個別の事情があれば、不動産売買契約書に記載してください。
物件の個別の事情に合わせた不動産売買契約書を作成することで、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
個人間の不動産売買契約書は、弁護士に作成を依頼すると、記載内容の不備による不要なトラブルを回避できます。
また、相手方が一方的に有利にならないような契約書の作成も可能です。
さらに、弁護士に契約や代金決済の際に同行してもらうことで、リアルタイムに専門的なアドバイスが受けられます。
弁護士が個人間の不動産売買に介入すれば、法律にのっとった取引を実現し、トラブルを防止します。
不動産売買契約書の作成は、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにご依頼ください。
法律にのっとった契約書の作成やご依頼者様が不利にならないように内容をチェックし、未然にトラブルを回避します。
初回60分の相談は無料、LINEからも365日24時間いつでも相談がきます。
個人間での不動産売買契約には売主と買主の双方で、必要な書類があります。
売買契約を締結する際に売主と買主が準備するものについて解説します。
売主は物件を売却するために、以下のものを用意する必要があります。
個人間の契約締結時の持ち物について助言してくれる人がいません。
売買契約では、以上のものを忘れずに持参してください。
買主は、物件を購入する契約を締結する際、以下のものが必要です。
不動産売買契約の際の手付金は、現金で支払うことが一般的です。
個人間の不動産売買では、契約書や売却益にかかる税金についても理解しなければいけません。
不動産の売買契約にかかる税金には、以下のものがあります。
不動産売買契約書には、契約金額に応じた印紙税が課せられます。
個人間の不動産売買でも、契約書に収入印紙を貼付しなければいけません。
不動産売買契約書に記載された金額ごとの印紙税(本則税率)は、以下の通りです。
記載された契約金額 | 印紙税額(本則税率) |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載がないもの | 200円 |
不動産売買契約書で2027年(令和9年)3月31日までに作成されたものは、軽減税率が適用されます。
軽減税率が適用された場合の印紙税額は、次の通りです。
記載された契約金額 | 印紙税額(軽減税率) |
10万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
印紙税は契約書1通につき印紙税の納付が必要です。
売主と買主で同じ契約書を2通作成し保存する場合は、それぞれが課税文書に該当し印紙税がかかります。
不動産の売却で譲渡所得が発生した売主には、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得とは、売却金額からその物件を購入したときにかかった金額(取得費)と、売却にかかった費用(譲渡費用)を引いたものです。
さらに、マイホームを売却したときは、3,000万円の特別控除が受けられます。
また、譲渡所得は所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ、税率が異なります。
譲渡所得を計算する際に、取得費の算出が必要です。
取得費とは物件の購入時の支出やリフォームなどのコストです。
取得費の算出には、以下の項目に当てはまる費用を合計します。
なお、建物は使用年数の経過によって劣化し価値が減少するため、取得費を算出する際、建物の購入代金から減価償却費を差し引いて計算します。
譲渡費用とは不動産を売却するためにかかった支出です。
譲渡費用には、次のものが含まれます。
譲渡費は、これらにかかった金額の合計です。
譲渡所得は売却代金から取得費と譲渡費用を引いて計算します。
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)
また、マイホームを売却した場合は譲渡所得から3,000万円の特別控除が受けられます。
課税譲渡所得の計算式は、次の通りです。
課税譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
譲渡所得税は、譲渡所得に税率をかけて計算します。
譲渡所得税の税率は、所有期間5年超の長期譲渡所得と5年以下の短期譲渡所得で異なります。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は、以下の通りです。
長期譲渡所得(所有期間5年超) | 税率20.315%(所得税15.315%・住民税5%) |
短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 税率39.63%(所得税30.63%・住民税9%) |
※なお、所有期間10年超のマイホームを売ったときは、6,000万円以下の部分の税率が14.21%になる軽減税率が適用されます。
譲渡所得が発生し納税義務があるときは、確定申告が必要です。
参考:国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
参考:国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
参考:国税庁 No.3208 長期譲渡所得税
参考:国税庁 No.3211 短期譲渡所得税
売却する不動産に住宅ローンが残っている場合、売主は抵当権抹消登記を行います。
抵当権抹消登記の登録免許税は、土地と建物それぞれに登録免許税が1,000円ずつかかります。
抵当権の抹消は、買主から代金を受け取った際、ローンの残債をその場で金融機関に返済し、司法書士が法務局に赴き抵当権抹消登記を実施するのが一般的です。
また、買主は不動産を購入し所有権移転登記する際に、登録免許税を納めなければいけません。
さらに、住宅ローンで購入する場合、抵当権の設定登記に登録免許税が課せられます。
買主が不動産を取得する際に行う登記ごとの登録免許税の税率は、以下の通りです。
所有権移転登記(土地) | 固定資産税評価額×1.5%(軽減税率適用) |
住宅家屋所有権移転登記(中古物件) | 固定資産税評価額×0.3%(軽減税率適用) |
抵当権設定登記(住宅ローン借入) | 借入額×0.1%(軽減税率適用) |
登録免許税の軽減税率の適用期間は、2027年(令和9年)3月31日までです。
個人間で売買契約を結ぶ場合でも、所有権移転登記や抵当権設定登記、抵当権抹消登記は司法書士に依頼するケースが多いです。
個人間で不動産売買契約を締結し、決済が完了したら、速やかに登記手続きを行います。
決済完了後に行う登記には、以下のものがあります。
売却する物件に住宅ローンの残債がある場合、売主は決済金で住宅ローンを返済し、同時に抵当権抹消登記を行います。
売主は、決済日の2〜3週間前までに銀行に連絡を入れ、事前に抵当権抹消登記の準備を進めておかなければいけません。
まれに、銀行への事前連絡がなされず、抹消に必要な書類の準備が整わないまま当日を迎え、決済日に抵当権抹消登記ができなかったというケースがあります。
特に、個人で売買契約を行う方が、銀行への連絡のタイミングがわからず、抵当権抹消登記が決済日に間に合わなかったという事例が発生していますので注意してください。
不動産売買契約締結後、決済と引渡しが行われると、買主は所有権移転登記を行います。
所有権移転登記は、土地や建物の所有権が移転したことを明確にするために法務局に申請するもので、登記には登録免許税が必要です。
所有権移転登記を怠ると、第三者に対して所有権を主張できないのに加え、売主が同じ不動産を他の人に再度売却してしまうなどのリスクがあります。
所有権移転登記は、司法書士に依頼するのが一般的で、数万〜5万円程度の費用が必要です。
さらに、必要書類の取得費用や郵送料、法務局までの交通費などで、1万〜2万円程度の費用が追加される場合もあります。
個人間での不動産売買では、仲介会社などのサポートが受けられないため、トラブルが発生しやすい状況にあります。
個人間の不動産売買契約で発生しているトラブルには、以下のものがあります。
不動産売買では、決済日に買主から代金を支払ってもらえない事態が発生することがあります。
買主による代金未払いのトラブルが発生すると、売主は「代金を請求するか」「売買契約を解除するか」の選択を迫られます。
代金を請求する場合は、決済期日の翌日から契約で定められた遅延利息(契約に定められていなければ、原則年3%民法第404条)の請求も可能です。
契約を解除する場合は、内容証明郵便で「本書面の到達後◯週間以内に代金を支払ってください」と催告し、催告の期間内に支払いがなければ、売主は契約解除の意思表示をして解除をすることが可能です。
もっとも実務上は、催告と同時に、「期間内に支払わなければ契約を解除する」という停止条件付意思表示も行うことが一般的です。
売買契約が解除された場合、契約書に違約金条項があれば、売主は違約金を請求することも可能です。
不動産の売買では、契約締結後に物件に欠陥が見つかり、トラブルに発展するケースがあります。
売買の目的物である物件の品質が契約内容に適合していない場合、売主は契約不適合責任を問われます。
売主が契約不適合責任を問われるケースは、以下の通りです。
購入した不動産に契約不適合があるときは、買主は以下の方法で売主に責任を追及できます。
買主が行使できる権利 | 内容 |
履行の追完請求(民法第562条) | 目的物の補修や代替物の引渡し、不足分の引渡しなどが請求できる |
代金減額請求(民法第563条) | 履行の追完が不能、売主が履行の追完を拒否した場合に目的物の代金の減額を請求できる |
契約の解除(民法第564条、民法第541条、民法第542条) | 不適合の程度が軽微でなく、履行の追完が不能、売主が履行の追完を拒否している場合に契約が解除できる |
損害賠償請求(民法第415条) | 契約不適合による債務不履行に対して損害賠償請求ができる |
買主が売主に契約不適合責任を追及するには、原則、不適合を知ったときから1年以内に通知する必要があります。
ただし、売主が不適合について悪意、または重大な過失があるときは、期間の制限は適用されません。(民法第566条)
契約不適合責任について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
関連記事:購入後の土地建物に関する売主の瑕疵担保責任は追及できるのか
個人間の不動産売買で、売値が時価と比べて低すぎる場合、税務上の贈与とみなされ、贈与税が課せられる可能性があります。
これは、通常の取引と見なせないほど、安い価格で不動産が譲渡されたときに発生します。
個人間の不動産売買契約で、贈与があったとみなされる可能性があるものは、次の通りです。
不動産の譲渡が贈与とみなされた場合の贈与税の計算式は、以下の通りです。
贈与税=(贈与財産の課税価格-110万円)×税率-控除額
贈与税の税率には特例税率(父母や祖父母から子・孫への贈与に適用)と、それ以外の一般税率があります。
特例税率(父母や祖父母から子・孫への贈与) | ||
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
一般税率 | ||
---|---|---|
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
贈与とみなされる行為が発生した場合、当事者に自覚がないまま贈与税の支払期限を過ぎてしまうと、加算税も課せられる可能性があります。
このような状況を防ぐためにも、譲渡価格の設定には注意が必要です。
個人間の不動産売買契約書の作成方法と登記手続きや税金、トラブルの事例について解説しました。
個人間の不動産売買はトラブルを未然に防ぐためにも、弁護士に契約書の作成を依頼するとことをおすすめします。
個人間の不動産売買契約書をどのように作成してよいか悩んでいるなら、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースまでご相談ください。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
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