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共有不動産の売却には、共有者全員の同意が必要です。
複数名が所有権を持つため、売却には各共有者の意見を一致させなければなりません。
しかし、全員の同意が得られない場合、持分だけを個別に売却することも可能です。
ただし、持分のみを第三者へ売却すると売値が低くなるばかりでなく、他の共有者との人間関係も悪化してしまう恐れがあります。
この記事では、共有不動産を売却するための具体的な手順や注意点を解説し、トラブルの事例もお伝えします。
共有不動産を売却するために必要な書類や費用についても解説していますので、最後までお読みください。
共有不動産の売却で悩んでいるなら、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
初回60分の相談は無料です。
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共有不動産とは、2名以上の名義人が所有権を持つ物件を指します。
共有不動産は、共有者全員の同意がないとその全体を売却できません。
また、居住や賃貸、担保借入などを一人の意思で自由に決められないなどのデメリットがあります。
他方、共有持分は、自由に処分ができます。
共有不動産の売却について民法第251条では、共有物の変更には共有者全員の同意が必要であると定めており、売却もこれに該当します。
最高裁判所も昭和42年2月23日の判決でこの解釈を支持しており、この判決は、共有不動産の売却には全共有者の同意が不可欠であるという原則を確立しました。
共有不動産の売却には共有者全員の同意が必要で、単独名義の不動産売却にはない、ハードルがあります。
共有不動産において、各共有者が保有する所有権の割合を「共有持分」と呼びます。
民法第206条の規定により、共有者は自己の持分を売却する際に、他の共有者の同意は必要ありません。
しかし、共有持分の単独売却は不動産全体の時価と比較して1/2〜1/3程度にとどまる傾向があります。
共有持分の売却価格が安い理由は、共有持分だけを取得しても管理や処分の際に他の共有者の同意が必要で、利用に制限があるからです。
共有持分は利用価値が制限されているため、買い手がつきにくいのが現状です。
多くの場合、共有持分の買取業者が、時価よりも大幅に安い価格で買い取っています。
共有不動産の売却は、他の共有者の同意が必要など、単独所有の物件に比べて制約があります。
しかし、適切な方法を選択すれば、他の共有者との関係を維持しつつ円満に売却が進められます。
共有不動産を売却する主な4つの方法は、以下の通りです。
共有不動産を共有者全員の同意のもと売却できれば、通常の不動産取引と同様の販売が可能です。
この方法では、市場価格で売却ができるため、高値で売れる可能性があります。
共有者全員の同意による売却の手順は、以下の通りです。
共有不動産の売却に全員の同意が得られれば、一般的な不動産市場で販売でき、共有者との良好な関係も維持できます。
共有不動産の売却手段として、自己の持分を他の共有者に売却する方法があります。
共有者への持分売却は、次の手順で行います。
共有持分を他の共有者に売却する際、売主と買主が合意していれば、その他の共有者に同意を求める必要はありません。
しかし、売却後の共有者同士の関係を円満に保つために、事前に他の共有者にも持分の売買について伝えておくことが望ましいでしょう。
共有不動産の売却において、全員の合意が得られない場合でも、個人の共有持分を第三者に売却する選択肢があります。
共有持分は単独所有の不動産と比べて権利関係が複雑であるため、一般的な不動産市場で買い手を探すのが難しい状況があります。
しかし、専門の共有持分買取会社が存在するため、第三者に共有持分を売却する場合は、それらの会社に買取を依頼するケースが多いです。
共有不動産の持分を第三者へ売却する具体的な手順は、以下の通りです。
一部の買取会社は、購入した共有持分を利用して、他の共有者に高値で買い取るように迫るケースもあります。
買取会社への共有持分の売却は、他の共有者と関係を悪化させる危険性もはらんでいるため慎重に行ってください。
共有不動産の売却で共有者間の合意が得られず、他の共有者が持分を買い取ってくれないときは、民法第256条に基づく共有物分割請求訴訟を通じて売却する方法があります。
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
出典:e-Govポータル|民法
共有物分割請求訴訟を経て共有不動産を売却する流れは、以下の通りです。
共有物分割請求訴訟で裁判所が下す現物分割と代償分割、換価分割の内容は次の通りです。
現物分割 | 共有不動産を共有持分割合に応じて物理的に分ける方法 |
代償分割 | 一部の共有者が他の共有者に金銭を支払い、不動産全体を取得 |
換価分割 | 共有不動産を第三者に売却し、売却代金を共有持分割合に応じて共有者で分ける方法 |
共有物分割請求訴訟は、共有不動産の問題解決に有効な手段ですが、法律の専門知識が必要なため不動産関連に強い弁護士法人アクロピースへぜひご相談ください。
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共有不動産の売却において、対象が土地のみの場合、分筆という選択肢があります。
分筆とは、登記簿上で一つの土地を複数に分割し、個別に登記する手続きです。
分筆後は各区画が単独名義となるため、土地の有効活用や売却がしやすくなります。
しかし、共有不動産の分筆には課題も存在し、土地の方角、接道状況、形状などの要因により、持分割合に応じた公平な分割が難しい場合があります。
共有不動産の売却で分筆を検討する際は、不動産に強みを持つ弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士は分筆の実現可能性や課題を把握し、適切なアドバイスを行います。
さらに、必要に応じて測量士や不動産鑑定士、土地家屋調査士と連携して、分筆手続きをスムーズに進めます。
共有不動産は全共有者合意のもと、第三者に売却する方法が、もっとも経済的なメリットを受けられます。
共有不動産を第三者に売却する手順は、以下の通りです。
共有不動産の売却には、全共有者の同意が不可欠です。
売却活動を始める前に、共有者が誰なのかを正確に把握しなければいけません。
相続などにより共有持分権者が多数存在し、権利関係が複雑化しているケースがあるためです。
後から新たな共有者が判明すると、売却手続きのやり直しを強いられる可能性があるため、共有者の特定は慎重に行ってください。
また、共有不動産売却の成功には、共有者間の意見をまとめる調整役が必要です。
調整役は共有者の利害を調整し、合意形成を導きます。
調整役には不動産と法律の両面に精通した弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士なら、法律の専門知識と交渉力で、難易度の高い共有不動産の売却手続きを滞りなく実行してくれます。
売買契約の締結には、全共有者が契約書に署名し、実印の押印が求められます。
契約時や代金決済時には、原則として共有者全員が立ち会います。
しかし、仕事の都合や遠方居住など、やむを得ない事情で出席できない場合もあるでしょう。
そのようなときは、委任状を作成し、他の共有者や弁護士への委任が可能です。
共有不動産の売却後、得られた収益の配分は、原則として、共有者間の合意によって決定されます。
しかし、持分割合を無視して収益を配分すると、贈与税が課せられる可能性があるので注意が必要です。
持分割合よりも過剰に収益を受け取った共有者は、他の共有者から贈与を受けたとみなされるケースがあります。
共有不動産の売却収益を配分する際は、各共有者の持分割合を十分に考慮し、適切な分配が重要です。
共有不動産の譲渡に関わる贈与税については、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:共有不動産の放棄と譲渡による贈与税の課税
共有不動産の売却で生じた譲渡所得には、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は確定申告で納付します。
譲渡所得の計算方法は、以下の通りです
確定申告は名義人ごとに個別に行う必要があります。
共有者は自分が受け取った収益に応じた譲渡所得税を計算し、申告しなければなりません。
共有不動産の売却には、不動産に関する書類と共有者それぞれが用意するものがあります。
不動産に関する書類には、以下のものがあります。
不動産に関する書類 | |
登記識別情報(登記済権利証) | 不動産の所有者であることを証明する書類 |
地積測量図・境界確認書 | 土地の面積と隣地との境界を示す書類 |
共有者それぞれが用意するものには、次のものがあります。
共有者それぞれが用意するもの | |
実印と印鑑証明 | 印鑑証明は3カ月以内に発行されたもの |
住民票(共有者の現住所を確認するための書類) | 3カ月以内に発行されたもの |
身分証明書(本人確認のための書類) | マイナンバーカードや運転免許証など |
必要書類に不足があると、売買契約が締結できないため忘れずに準備してください。
共有不動産の売却には費用がかかります。
共有不動産の売却で発生する主な費用には、次のものが挙げられます。
印紙税 | 売買契約書作成時に必要となる税金で、契約金額に応じて変動 |
仲介手数料(一例になります) | 売買価格が200万円以下取引額の5%(+消費税) |
売買価格が200万円超~400万円以下取引額の4%+2万円(+消費税) | |
売買価格が400万円超取引額の3%+6万円(+消費税) | |
抵当権抹消登記費用 | 売却する不動産に抵当権が設定されている場合、抹消手続きが必要土地・建物それぞれに1,000円の登録免許税 |
印紙税と仲介手数料は、売買金額が高くなるにつれて増額します。
複数の共有者が関わる共有不動産の売却は、トラブルが多く発生しています。
共有不動産の売却で起こりがちなトラブル事例には、以下のものがあります。
共有不動産の売却において、共有者間で売却価格の合意が得られないケースも少なくありません。
共有不動産の売却価格でもめてしまった事例です。
ある共有者は高値での売却を望む一方で、別の共有者は早期売却を優先し低めの価格設定を主張して、売り出し価格が決まらないというものがあります。
こうした意見の相違は、不動産市場の好機を逃すリスクを発生させます。
共有不動産の売却では、意見のすり合わせが随所に必要で、成功させるには各共有者の利害を調整し、Win-Winの解決策を見いだすことが重要です。
共有者の所在不明は、共有不動産の売却にとって大きな障壁です。
共有不動産を売却の際、共有者の一人が行方不明になっていたという事例があります。
共有不動産の売却には共有者全員の同意が必要なため、所在のわからない共有者の戸籍や住民票を調査しましたが、居場所が判明しませんでした。
そのため、裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てました。
選任された不在者財産管理人に同意を求めて、ようやく共有不動産の売却ができたのです。
この事例では、結果的に共有不動産を売却できました。
しかし、不在者管理人の選任には通常3カ月〜6カ月の期間を要するため、その間に好条件での売却チャンスを逃していたかもしれません。
共有不動産の売却で発生したトラブルの事例には、共有者の一人が持分を買取会社に売却してしまったというものがあります。
買取会社は、購入した共有持分を最大限に活用しようとします。
そのため、他の共有者に手に入れた持分の購入を迫ったり、逆に持分の売却を提案したりして、心理的なストレスを受ける場合もあるのです。
さらに、買取会社が不動産の分割や競売による換価を求め、共有物分割請求訴訟を提起するケースも見受けられます。
共有物分割請求訴訟によって、共有者の意図しない形で不動産が処分される可能性もあります。
もし、買取会社からしつような営業を受けたときは、迷わず弁護士に相談してください。
共有不動産の売却では、トラブルに発展しやすく、スムーズに進めるためにも前もって弁護士に相談するべきです。
共有不動産が抱える問題には、所有者が自由に不動産を利用したり、処分したりできない点が挙げられます。
さらに、共有状態を放置して、相続などで権利関係が複雑化し、共有者の特定が困難になると個人で解決するのは不可能です。
そのため、共有不動産の問題は、弁護士に相談して早期に解決策を提示してもらうのがベストな方法といえます。
不動産問題に精通した弁護士は、法律と不動産の両面から問題を分析し、依頼者に最適な解決策を提案できます。
共有不動産の売却プロセスをスムーズに進め、適正価格での販売を後押しします。
弁護士は共有者全員の利益を守りつつ、適切な売却方法を見いだします。
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複数の名義人がいる共有不動産の売却手順と、トラブル事例について解説しました。
共有不動産の価値を最大化しトラブルのない売却を実現するためには、弁護士に相談して最適な方法を選択しましょう。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、不動産問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。