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立ち退き交渉は弁護士に相談すべき?依頼するメリット、デメリットや費用も紹介【弁護士監修】

「立ち退き交渉が上手くいかず困っている。弁護士に任せるべき?」
「弁護士に依頼したらどのくらい費用がかかるのだろう」
入居者に立ち退きを求めざるを得ない状況があるため、交渉を弁護士に依頼したいが、費用がかかるなどデメリットがあると聞き、悩んでいるオーナー様もいるでしょう。
入居者との立ち退き交渉は容易ではありません。法律的な知識が必要な場面も多く、交渉を弁護士に任せたいと思うのは当然のことです。
この記事では、立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット・デメリットに加え、費用相場や弁護士の選び方のポイントも解説します。
立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット・デメリットに加え、費用相場や弁護士の選び方のポイントも解説しているので、立ち退き交渉の進め方で悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
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立ち退き交渉の基礎知識

立ち退き交渉の基礎知識として、以下3点を紹介します。
立ち退き交渉とは
立ち退き交渉とは、賃貸物件のオーナーが入居者に退去を求めるプロセスです。
立ち退き交渉を行なう前提として、契約解除か解約・更新拒絶が必要になります。
- 契約解除は、入居者に家賃滞納などの契約違反がある場合
- 解約・更新拒絶は、オーナーの都合で立ち退きを求める場合
入居者に家賃滞納など重大な契約違反がないのに、オーナー都合で立ち退きを求める場合は、立退料の支払が必要になる可能性が高いでしょう。
立ち退き交渉で必要な正当事由とは
オーナーから立ち退きを求めるためには正当事由が必要です。
建物賃貸借契約は借地借家法により入居者の権利が強く保護されています。オーナーからの契約終了通知は、当然に効力が認められるわけではありません。
正当事由は、オーナー側が立ち退きを求める理由と入居者が物件を利用する必要性を比較して判断されます。
何が正当事由に該当するかはケースにより異なり、専門的な判断を要することもあります。
立ち退き交渉で必要な正当事由については、次の記事もご覧ください。
立ち退き交渉の流れ
立ち退き交渉の流れは、通常、次のようになります。
- 任意で交渉する
- 話し合いが難航しそうな場合は弁護士に依頼する
- 交渉決裂なら裁判に移行する
任意の交渉では、まず、立ち退き理由を入居者にきちんと伝え、立ち退きの時期や立退料についても説明します。
スムーズに立ち退きを実現するためには、入居者の移転先などについてフォローすることも大事です。入居者と話し合って合意できた場合は、トラブルが起きないよう必ず文書でまとめておきましょう。
入居者との話し合いがまとまらないとき、あるいは交渉の進め方が不安な場合は、弁護士を通して交渉するのがおすすめです。
弁護士を介しても任意の交渉がまとまらないときは、裁判に移行しますが、訴訟を提起する前提として解約申入れ(借地借家法27条1項)または更新拒絶通知(借地借家法第26条第1項)をしておく必要があります。

立ち退き交渉の流れについては、次の記事もご覧ください。
関連記事:立ち退き交渉・裁判の流れとは?費用や期間、交渉するポイントも解説
立ち退き交渉を弁護士に依頼すべき3つのケース
立ち退き交渉は、当事者同士の話し合いで解決できる場合もありますが、状況によっては弁護士の介入が不可欠です。
特に、法的手段(訴訟や強制執行)を視野に入れるべき段階や、緊急性が高いケースでは、自己判断での対応が事態を悪化させかねません。
ここでは、直ちに弁護士へ相談すべき具体的な3つのケースを解説します。
入居者が家賃を3ヶ月以上滞納し、連絡がとれない
家賃滞納が3ヶ月を超えると、裁判実務上「信頼関係の破壊」が認められやすくなり、契約解除が現実的な選択肢となります。家賃滞納が続いており、かつ相手と連絡がつかない状態では、個人での督促に限界があり、事態が長期化するばかりです。
弁護士であれば、弁護士会照会(弁護士法23条の2)や職務上請求などの制度を利用した住所調査、内容証明郵便の送付を行い、法的な圧力を伴った交渉が可能です。
放置すれば、以下のリスクがあるため、早急な手続きが求められます。
- 夜逃げや無断転居をされ、行方がわからなくなる
- 未納家賃が膨れ上がり、回収が困難になる
- 次の入居者募集ができず、機会損失が続く
連絡が取れない滞納者を放置することは、オーナー様にとって経済的な損失拡大に直結します。内容証明郵便が届かない、あるいは無視される場合は、速やかに明け渡し訴訟へ移行するため、専門家のサポートを受けましょう。
建物の老朽化が進み、倒壊の危険性がある(緊急性が高い)
建物が倒壊する恐れがあるなど、住み続けることで生命や財産に危険が及ぶ場合は、緊急性の高い案件として扱われます。
単なる「古いから建て替えたい」という理由よりも正当事由として認められやすいものの、客観的な証拠が欠かせません。耐震診断書などの資料に基づき、退去の必要性を論理的に主張する必要があります。
万が一、倒壊事故が起きて入居者が被害に遭えば、オーナー様の責任問題に発展しかねないため、一刻も早い退去交渉が必要です。
以下の表は、老朽化の理由による正当事由の認められやすさを比較したものです。
| 建物の状況 | 正当事由の判定 | 必要な対策 |
|---|---|---|
| 倒壊の危険性が高い | 認められやすい | 耐震診断書等の証拠提示 |
| 単に築年数が古い | 認められにくい | 高額な立ち退き料の提示 |
「倒壊の危険」がある場合は、入居者の安全を守るという大義名分があるため、強気な交渉が可能になります。
ただし、入居者側も引越し先が見つからないなどの事情で抵抗することが多いため、弁護士を介して安全な退去スケジュールを組むことが重要です。
関連記事:立ち退きの正当事由として老朽化は認められるのか?トラブルを防ぐコツを紹介
入居者が近隣トラブルを起こしており、他の入居者へ被害が出ている
特定の入居者による騒音や悪臭などの迷惑行為は、優良な入居者の退去を招く深刻な問題です。オーナー様が直接注意することによる逆恨みでトラブルが激化したり、暴力沙汰に発展したりするリスクも否定できません。
弁護士が介入することで、入居者に事の重大さを認識させ、法的根拠に基づいた退去勧告を行えます。
スムーズな立ち退きを実現するには、以下のような「契約違反」を証明する客観的な証拠収集が交渉の鍵を握ります。
- 騒音の録音データや測定記録
- 共有部分の汚損やゴミ屋敷化した部屋の写真
- 近隣住民からの苦情の記録や警察への通報履歴
- 過去に行った注意喚起の書面やメールの履歴
迷惑行為を行う入居者は、話し合いが通用しないケースが多々あります。



他の入居者を守り、健全な賃貸経営を取り戻すためにも、第三者である弁護士を窓口にして、毅然とした態度で契約解除を求めましょう。
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立ち退き交渉を弁護士に依頼するデメリット


立ち退き交渉を弁護士に依頼するデメリットとしては、主に次の2点が考えられます。
弁護士費用がかかる
立ち退き交渉を弁護士に依頼すれば、無料相談の場合を除き、費用が発生します。
金額は、案件の複雑性や要する時間によって異なりますが、通常のケースでは数十万円程度になるでしょう。
着手金にプラス成功報酬制となっている場合もあり、案件によっては高額な出費が必要になることもあります。
自分で立ち退き交渉を行なう難しさや、立ち退き遅延による精神的・経済的な負担を免れられることを考えれば、相応の費用を払う価値は十分あると言えます。
入居者との関係が悪化する懸念もある
立ち退き交渉を弁護士に依頼することで、入居者が態度を硬化させ、関係が悪化する恐れもあります。
弁護士が前面に立つことで入居者はオーナーの本気さを感じるでしょうが、入居者がどう反応するかはそのときの状況次第です。
入居者と格別もめていなければ、弁護士が関与したからといって、ことさら悪い印象を持たれることはないでしょう。
入居者との関係が良好でなかった場合は、弁護士が関与することで関係がさらに悪化することもあるのです。



いたずらに関係を悪化させないよう、弁護士との連携を密にして慎重に対応しましょう。
費用を払ってでも立ち退き交渉を弁護士に依頼する4つのメリット


費用を払ってでも立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリットを4つ紹介します。
もめずに冷静に交渉し早期解決できる
弁護士による立ち退き交渉は、迅速な解決が大きなメリットです。
専門的な知識と経験が豊富な弁護士であれば、入居者との関係に配慮しながら、もめずに冷静に交渉を進めることができます。
立ち退き問題は、入居者と日頃接触が多いオーナーが直接交渉に当たると、かえって感情的になり、交渉が進まない場合があります。
立ち退き問題が長引けば、オーナーにとって精神的にも経済的にも大きな負担です。立ち退き交渉の進め方を熟知した弁護士は、入居者の状況を踏まえた適切な解決策の提案が可能で、迅速で効果的な解決が期待できます。
居座り続ける入居者の強制退去については、次の記事もご覧ください。
関連記事:居座り続ける入居者を強制退去させることはできる??流れや費用について解説
交渉の不安や負担を減らすことができる
立ち退き交渉を弁護士に依頼すれば、交渉の不安や負担を減らすことができます。
立ち退き交渉は、法的知識や交渉技術が求められるため、個人が自分で行なう場合の不安は極めて大きいものです。
入居者に立ち退きの必要性を納得してもらうためには、何度も足を運び理解を得る努力も必要で、時間と体力の負担も伴います。
立ち退き交渉を交渉のプロである弁護士に依頼すれば、精神的・肉体的・時間的負担をすべて軽減できます。
立ち退き要求が正当事由に当たるか否かわかる
立ち退きの正当事由の有無は個人では判断しにくいものですが、弁護士であれば判断が容易です。
弁護士に立ち退き交渉を依頼すれば、正当事由の有無を判断し、その後にとるべき行動を示してもらえます。
たとえば、正当事由が弱いと考えられる場合は、正当事由を補完する立ち退き料の額も提示可能です。
トータルでは経済的にもメリットがある
立ち退き交渉を弁護士に依頼すれば、それなりの費用はかかりますが、トータルでは経済的にもメリットがあります。
交渉を自分で行なう場合、話し合いが難航し長期化する可能性が高いです。
その結果、立ち退きが遅延すれば、余分な費用が発生します。
弁護士に依頼して交渉が円滑に進めば、追加的な費用を節減できる可能性が高く、立ち退き料の額なども合理的範囲内で折り合えるでしょう。



立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリットは大きいため、交渉が容易に進まないと判断した場合は、躊躇することなく、早急に弁護士に依頼すべきです。
立ち退き交渉に強い弁護士の選び方のポイント5つ


弁護士であれば、誰でも立ち退き交渉が得意なわけではありません。
立ち退き交渉に強い弁護士の選び方のポイントを5つ紹介します。
立ち退き交渉の経験や実績が多く精通している
立ち退き交渉の経験や実績が豊富で精通していることは欠かせない条件です。
立ち退き交渉に精通した弁護士であれば、知識だけでなく、立ち退きまでの実務の流れも熟知しており、円滑に交渉を進めることが期待できます。
弁護士経験が豊富あっても、立ち退き交渉の経験がない場合は、交渉が上手くいくとは限りません。
立ち退き交渉の実績の有無をしっかり確認しましょう。
柔軟な対応が可能
法律事務所が、オンラインや電話での対応など、柔軟な対応が可能なことも大事なポイントです。
オンラインや電話であれば、時間にしばられずにどこからでも連絡や相談ができます。
相手方との交渉に当たっても、依頼者の主張をきちんと聴き、依頼者の希望に沿った解決に向け、柔軟に対応してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
迅速に対応してくれる
対応スピードの速さも弁護士を選ぶ重要なポイントです。
いくら実績のある弁護士でも、案件を何件も抱えている場合は、立ち退き案件への対応が遅くなってしまうかもしれません。
弁護士の対応が遅れたために立ち退きが遅れるようなことがあれば、予定外のコストがかかります。
金銭的な負担だけでなく、立ち退きが遅れることで精神的にも不安が増し、ストレスが続きかねません。
最初の相談の際に、依頼案件に着手できる時期やその後の見通しを、きちんと確認しておくことが大事です。
解決に向けた方向性に食い違いがない
解決に向けた方向性が依頼者と弁護士で食い違いがないことも、確認しておくべきポイントです。
たとえば、入居者への対応についての考えが違う場合、弁護士が独自の判断で依頼者が望んでいない対応を入居者にしてしまう恐れもあります。
弁護士を選ぶうえで、立ち退き交渉の実績・手腕は大事ですが、弁護士と依頼者との相性も重要な要素です。
依頼者の考えを尊重してくれる弁護士であれば、交渉を安心して任せられます。
依頼前に解決方法の方向性や具体的な解決方法について確認しておきましょう。
無料相談がある
無料相談ができることも、大事なポイントです。法律事務所によっては、初回の相談を無料で行っています。
初回無料は通常30分程度です。時間の制約があるため、立ち退きを求める物件に関する情報や弁護士に確認したいポイントをあらかじめ整理しておく必要があります。



初回相談時に、いつ・どのような対応ができるのか、今後の見通しについても確認しましょう。
立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合の費用相場


立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合の費用項目や金額は、法律事務所やケースによって異なりますが、おおむね下の表のようになっています。
| 項目 | 内容 |
| 相談料 | 弁護士への法律相談に関して支払う費用一般的に30分で5,000円から10,000円程度初回相談は無料の法律事務所もある |
| 着手金 | 弁護士が案件に着手するときに支払う費用定額の場合と、依頼者が得る経済的利益の一定割合の場合がある |
| 成功報酬 | 依頼内容の全部または一部が成功した場合に支払う費用依頼者が得た経済的利益の一定割合とする例が多い額はケースによるが、マンション1室の立ち退きの場合は20万円程度 |
| 実費 | 通信費や書類作成費用など案件処理に直接関連する費用 |
立ち退き交渉を依頼する場合の弁護士費用の総額は、上記費用の合計です。費用総額は具体的な案件によって異なるため、事前に金額の目途や支払い条件を合意しておきましょう。



立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合の費用相場については、次の記事もご覧ください。
関連記事:【大家都合で退去】立退料の相場と交渉方法は?過去の判例も紹介
「立ち退き料」の相場と決まり方
立ち退き料には、法律で定められた明確な計算式や金額基準が存在しません。基本的には、オーナー側が主張する「立ち退きの正当事由」の不足分を、金銭によって補完するものと考えられています。
そのため、金額は個別の事情によって大きく変動しますが、実務上で一つの目安とされている相場があります。
| 物件種別 | 相場の目安 | 考慮される主な費用 |
|---|---|---|
| 一般住宅 | 家賃の6ヶ月〜12ヶ月分 | 引越し費用、仲介手数料、礼金、敷金差額、家賃差額補償(1〜2年分)など |
| 店舗・事務所 | 数百万〜数千万円(業種によって異なる) | 営業補償、移転告知費用、内装設備費など |
店舗や事務所の場合は、移転に伴う営業補償が含まれるため、一般住宅に比べて金額が高額になりやすい傾向があります。



最終的な金額はあくまで双方の合意によって決まるため、相場を把握した上で、無理のない範囲での上限額を設定して交渉に臨むことが重要です。
関連記事:立ち退き料の算出要素に基づく相場と過去の判例に見える特徴
弁護士費用をすぐ払えないときは?


立ち退き交渉を弁護士に依頼しようと思っても、相談料や着手金など必要な費用をすぐ払えない場合もあるでしょう。
弁護士費用をすぐ払えそうもないときは、次の方法を検討してみましょう。
無料相談できる事務所を探す
まず、初回の法律相談が無料の法律事務所を探しましょう。
無料相談は、通常30分程度と時間が限られます。あらかじめ何を相談したいのか、必要な情報をまとめておけば、短時間でも有益な法律相談ができます。
何が問題でどのように解決したいのか、ポイントを整理できるため、無料相談の活用は有効です。
無料相談で事務所の雰囲気や信頼感、弁護士との相性などを見定めることも可能です。無料相談を上手に活用すれば、以降の対応も無駄なくスムーズに進められます。
弁護士費用の分割払いをする
弁護士費用を分割払いにしてもらうのは、有効な対応策です。
法律事務所によっては、分割払いや後払いが可能な事務所があります。
分割払いや後払いは支払う総額が安くなるわけではありませんが、着手金などをすぐ用意しなくてすむため、安心して依頼できるでしょう。



分割払いの回数は、法律事務所やケースによって異なりますが、6回から12回程度の場合が多くなっています。
立ち退き交渉を弁護士に依頼してから強制執行までの流れ【5ステップ】
弁護士に依頼したからといって、いきなり強制的に入居者を追い出せるわけではありません。日本の法律では借主の権利が強く守られているため、正規の法的手続きを段階的に踏む必要があります。
ここでは、任意の交渉から始まり、最終的な強制執行に至るまでの標準的なプロセスを5つのステップに分けて解説します。全体の流れを把握し、解決までの見通しを立てましょう。
内容証明郵便の送付と入居者との任意交渉
まずは裁判所を通さず、弁護士による「任意の交渉」での解決を目指します。弁護士名義で内容証明郵便を送付し、契約解除の通知と具体的な明け渡し期限を通告するのが一般的です。
オーナー様個人の名前ではなく、法律の専門家である弁護士から通知が届くことで、入居者が事態の深刻さを理解し、この段階で退去に応じるケースも少なくありません。
交渉がまとまれば「合意書」を作成して退去を待ちますが、以下のような場合は次のステップへ進みます。
- 通知を受け取っても無視を決め込む
- 「絶対に退去しない」と頑なな態度をとる
- 提示条件に無理な要求を繰り返す
あくまで話し合いでの円満解決が理想ですが、相手に誠意が見られない場合は、時間を浪費せずに法的措置への切り替えを判断します。
交渉決裂した場合の「明渡し訴訟」の提起
任意の交渉で話がまとまらない場合、物件の所在地を管轄する裁判所へ「建物明渡請求訴訟」を提起します(実務上は地方裁判所に提起することが一般的です)。
訴訟となれば、オーナー様は原告として法廷に立つことになりますが、手続きや期日への出頭は基本的に弁護士が代理するため、負担は抑えられます。
また、訴訟と並行して「占有移転禁止の仮処分」を行うことが実務上の重要な対応策です。
| 手続き名 | 目的 |
|---|---|
| 建物明渡請求訴訟 | 公的に明け渡しを命じてもらうための本裁判 |
| 占有移転禁止の仮処分 | 裁判中に第三者へ部屋をまた貸しされるなどの妨害行為を防ぐ手続き |
占有移転禁止の仮処分を行わなけれれば、裁判で勝訴しても「今の入居者は別の人(第三者)だから判決は無効」という逃げ道を許してしまうリスクがあります。
このような複雑な対抗策を確実に講じられる点が、弁護士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。
裁判上の和解、または勝訴判決の取得
訴訟手続きが始まっても、すべてのケースで直ちに判決が下されるわけではありません。実務上は、裁判官の主導によって、判決の前に話し合いでの解決を図る「裁判上の和解」が積極的に試みられる傾向にあります。
和解のメリットは、退去時期の猶予や滞納家賃の減額といった柔軟な条件調整が可能な点です。双方が条件に納得すれば「和解調書」が作成されますが、合意に至らなければ裁判官による判決へと進みます。
以下の表は、裁判手続きにおける解決ルートの違いをまとめたものです。
| 結果 | 展開 | 法的効力 |
| 和解成立 | 合意内容に従い、期日までに退去する | 和解調書は判決と同等の効力を持つ |
| 和解決裂 | 裁判所が「明け渡し」を命じる判決を下す | 勝訴判決により強制執行が可能になる |
和解調書も勝訴判決も、強制執行を申し立てるために必要な「債務名義」としての効力に変わりはありません。
確実な退去を実現するためには、早期解決のために和解を受け入れるか、あくまで判決を求めて戦うか、弁護士と慎重に判断する必要があります。
強制執行の申立てと執行官による「明渡しの催告」
判決や和解調書が出ても入居者が居座り続ける場合、地方裁判所の執行官に対して「強制執行」を申し立てます。
申し立てが受理されると、いきなり荷物を運び出すのではなく、まずは執行官が入居者の部屋へ赴く「明渡しの催告」が行われます。これは、執行官という公的権限を持つ人物が現地へ入り、「〇月〇日までに退去しなければ強制的に執行する」と最終通告を行う手続きです。
執行官が現地で行う主な内容は以下の通りです。
| 実施内容 | 概要 |
|---|---|
| 占有状況の確認 | 誰が住んでいるかを確認し、室内の荷物量を把握する |
| 公示書の貼り付け | 部屋の壁などに「明け渡し期限」を記載した書面を貼る |
| 引き渡し期限の決定 | 通常は催告から1ヶ月以内の日が指定される |
この時点で観念して自主的に退去する入居者もいますが、それでも退去しない場合は、いよいよ最終的な実力行使へと進みます。
最終手段としての「断行」と荷物の搬出
催告で指定した期限を過ぎても退去しない場合、「強制執行の断行」が実施されます。これは文字通り、国家権力によって強制的に入居者を排除し、物件をオーナー様のもとへ取り戻す手続きです。
当日は執行官の指揮のもと、手配した執行業者(運送業者など)が鍵を開錠して室内に入り、家具や家財道具をすべて運び出します。
室内が空になった時点で鍵を交換し、執行官からオーナー様へ引き渡しが行われて完了です。
- 搬出した荷物は一定期間保管された後、入居者が引き取らなければ売却・廃棄される
- 執行業者への費用(数十万円程度〜)は原則として申立人(オーナー)が一時立て替える必要がある
「断行」は非常に強力な手段ですが、費用と時間がかかるため、あくまで最終手段と位置づけられています。



しかし、悪質な居座りに対しては最も確実な解決策であり、このゴールを見据えて弁護士と連携することが重要です。
立ち退き交渉を弁護士依頼に関するよくある質問
立ち退き交渉は違法ですか?
大家の都合だけで退去させることは可能ですか?
原則として、オーナー様の都合だけで一方的に退去させることはできません。
借地借家法により入居者の権利が強く守られているため、契約を解除するには建物の老朽化や自己使用の必要性といった法的な「正当事由」が不可欠です。
正当事由が不足している場合は、相応の「立ち退き料」を支払うことで要件を補完し、合意を得るのが一般的です。正当な理由や補償もなく、一方的に契約を打ち切ることは認められません。
立ち退き交渉における非弁行為とは何ですか?
非弁行為とは、弁護士資格を持たない者が報酬を得る目的で法律事務を行うことです。
例えば、管理会社や不動産業者がオーナー様に代わって「立ち退き料の金額交渉」や「法的な退去の説得」を行うことは、弁護士法第72条に違反する非弁行為となる可能性が高いです。
これらが発覚すると、非弁行為者と依頼者との間の委任契約が無効になったり、関係者が刑事罰(2年以下の懲役または300万円以下の罰金)を受けたりするリスクがあります。交渉の代理は必ず弁護士に依頼しましょう。
まとめ|立ち退き交渉は信頼できる弁護士に依頼しよう!


立ち退き交渉を弁護士に任せるデメリットとメリット、費用相場や弁護士の選び方のポイントについてまとめます。
- オーナーから立ち退きを求めるためには正当事由が必要
- 立ち退き交渉を弁護士に依頼するデメリットは、弁護士費用がかかること・入居者との関係悪化の懸念
- 立ち退き交渉を弁護士に依頼すれば、交渉の不安や負担が軽減・早期解決が可能になりトータルでは経済的にもプラスなどメリットが多い
- 弁護士の選び方のポイントは、経験・実績が豊富で、柔軟かつ迅速に対応でき、無料相談があること
- 弁護士費用をすぐ払えときは、無料相談の利用・費用の分割払いを検討
立ち退き交渉を円滑かつ迅速に進めるためには専門的知識が必要で、交渉のプロである弁護士に任せるのがおすすめです。



弁護士に依頼すれば当然費用が発生しますが、交渉を弁護士に任せるメリットはそれ以上に大きなものがあります。
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