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立ち退き裁判とは?手続きの流れや費用・期間についても解説【弁護士監修】

「何度話し合いを求めても、入居者が立ち退きに応じてくれない」
「法外な立ち退き料を請求されて、交渉が難航している」
このようなお悩みをお持ちのオーナー様も多いのではないでしょうか。賃貸経営において、立ち退きトラブルは精神的にも金銭的にも大きな負担となります。
話し合いで解決しない場合、最終手段として「裁判」を起こす選択肢もありますが、準備不足のまま踏み切ると、多額の費用と時間を浪費するだけで終わるリスクもあります。
この記事では、立ち退き裁判の手続きの流れや費用相場、そして「どのようなケースで裁判を検討すべきか」の判断基準まで、不動産問題に強い弁護士が解説します。
トラブルの泥沼化を防ぎ、最適な解決策を見つけるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
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立ち退き裁判(建物明渡訴訟)とは?
立ち退き裁判とは、正式には「建物明渡請求訴訟」と呼ばれる法的手続きであり、貸主が借主に対し建物の明け渡しを求めて提訴することです。
日本の借地借家法下では入居者の居住権が手厚く保護されているため、オーナー側の「物件を自由に使いたい」という都合のみで退去させることは容易ではありません。
裁判所が明け渡し請求を認めるには、請求の根拠により以下の異なる要件が不可欠となります。
| 請求のパターン | 概要と必要な要件 |
| 契約違反による解除 | 家賃滞納(目安3ヶ月以上)や無断転貸などにより、信頼関係が破壊されたこと |
| 解約申入れ・更新拒絶 | 建物の老朽化や自己使用の必要性など、借地借家法28条に基づく正当事由 |
契約違反の場合は「信頼関係の破壊」があれば足りますが、一方的な解約申入れの場合は厳格な「正当事由」が求められます。

後者の正当事由単独での立証はハードルが高く、不足する正当性を補うために「立ち退き料」の支払いが解決条件となるケースが多く見受けられます。
関連記事:立ち退きに正当事由があると認められるための要素
関連記事:不法占拠者に対する明け渡し請求とは?手続きの流れや注意点を徹底解説
立ち退きを求めるために押さえておくべき3つの法的観点


自身が所有する不動産であっても、借主を無条件で立ち退かせることはできません。
借主の立ち退きを求めるには、次のいずれかの法律上の根拠が必要です。
それぞれの内容について、詳しく解説します。
賃貸借契約の合意解除
賃貸借契約の合意解除とは、賃貸人と借主の合意で賃貸借契約を解約することを意味します。
合意解除については民法の明文はありませんが、契約自由の原則によって当然に認められます。
借主が立ち退きに同意して合意解除が成立すれば、他に借主の立ち退きを求める法律上の根拠は必要ありません。
実務上では、立ち退き交渉で立退料や退去までの猶予期間を決定したうえで、合意解除の契約が取り交わされるケースが多いです。
借主の契約違反を理由とする契約解除
借主に賃貸借契約の契約違反がある場合には、契約違反を理由とする契約解除が可能です。
借主の契約違反の例としては、次のようなものが挙げられます。
- 家賃の不払い
- ペット禁止や住居を店舗として利用するなどの用法違反
- 許可なしでのリフォーム
- 騒音や悪臭を発生させる など
ただし、貸主の契約違反を理由とする賃貸借契約の解除は、軽微な違反があるだけでは足りず、当事者間の信頼関係が破壊されたと言えるほどの違反がなければ認められません(信頼関係破壊の法理)。
たとえば、家賃の不払いを理由に契約解除するには、1か月分の不払いでは足りず、少なくとも3か月以上の不払いが必要です。
信頼関係の破壊が認められるか否かは、契約違反の内容や程度、借主の対応、契約の経過などを総合考慮して個別具体的に判断されます。
貸主としては、契約違反があったからといって直ちに契約解除できるわけではないということを理解しておきましょう。
貸主の都合による契約解除
貸主の都合で契約解除する方法には、更新拒絶または解約申入れのいずれかの方法があります。
更新拒絶は、期間の定めのある賃貸借契約について、期間満了日の1年前から6か月前までの間に借主に対して契約を更新しない旨の通知を行い、期間満了日に契約を終了させる方法です(借地借家法26条1項)。
解約申入れは、期間の定めがない賃貸借契約について、借主に対して解約の申入れをしてから6か月後に契約を終了させる賃貸借契約の終了原因となります(借地借家法27条1項)。
更新拒絶や解約申入れを行うには、いずれの場合でも「正当の事由」が必要です(借地借家法28条)。
「正当の事由」が認められるか否かは、条文に規定されているとおり、次のような事情で判断します。
- 貸主や借主が建物の使用を必要とする事情
- 賃貸借契約の経過
- 建物の利用状況・現況
- 立退料の有無・金額



借主の更新拒絶や解約申し入れに基づいて立ち退きを求める裁判では、「正当の事由」が認められるか否かが論点となるケースが多くなっています。
立ち退き問題で裁判を検討したほうが良いケース
立ち退き交渉が難航した際、どのタイミングで裁判へ踏み切るべきかの判断は非常に重要です。話し合いでの解決が困難で、法的手続きを検討すべき主なケースと必要な法的要件を整理しました。
| 検討すべきケース | 状況と法的要件 |
|---|---|
| 重大な契約違反 | 【賃料滞納】 3ヶ月以上が目安だが絶対的ではなく、個別の事情により判断が分かれる 【無断転貸等】 形式的な違反だけでなく、実質的な「信頼関係の破壊」の有無が争点 ※正当事由は不要だが「信頼関係の破壊」の立証が必要。 |
| 賃貸人側の事情【自己使用・建替え】 | 建物の使用必要性や、耐震診断(IS値0.6未満等)などの客観的証拠が必要。 ※借地借家法28条の「正当事由」が必須。立退料の提供などが総合的に判断される。 |
| 交渉が決裂した場合 | 入居者が対話を拒否、または相場を逸脱した要求を固辞する場合。 ※交渉決裂自体は立ち退き事由にはならない。上記の「契約違反」または「正当事由」いずれかの要件を満たす必要がある。 |
特に倒壊リスクがある場合は、事故を防ぐため早急な対応が必要ですが、適切な手続き(正当事由の立証、立退料の提供等)が不可欠です。



契約違反の有無により、必要な法的要件が異なるため、自己判断せず専門家に相談の上で法的措置を検討してください。
関連記事:立ち退きの正当事由として老朽化は認められるのか?トラブルを防ぐコツを紹介
立ち退きの通知から裁判を起こすまでの流れ【4ステップ】


立ち退き問題は、話し合いで解決できない場合、最終的に法的措置をとることになります。 通知から強制執行に至るまでの全体像を、以下の4つのステップに分けて解説します。
内容証明郵便による契約解除通知・催告
裁判の前提として、まずは借主に対し、立ち退きを求める理由(法律上の根拠)を明記した通知を行います
この通知は、「内容証明郵便」を利用することを強く推奨します。いつ、誰が、どのような内容を送ったかが公的に証明されるため、「言った言わない」のトラブルを防ぎ、将来の裁判で重要な証拠となるためです。
通知のタイミングや効力は、契約解除の理由によって異なります。
| ケース | 通知期限・猶予期間 | 効力発生 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 更新拒絶の場合 | 契約期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知 | 期間満了時 | 期限内に通知しなければ法定更新されます。 |
| 解約申入れの場合 | 通知から契約解除の効力発生まで6ヶ月の猶予期間が必要 | 6ヶ月の猶予期間満了時 | |
| 契約違反(滞納等)の場合 | 通知は不要 | 借主が通知を受け取った時点 | 自主的な退去を促すために一定の猶予期間を設けるケースもあります。 |
通知後は立ち退き交渉を行いますが、ここで合意に至らない場合や、借主が交渉に応じない場合は、次の「訴訟提起」へと進みます。
訴訟提起する
交渉が決裂した場合、建物の住所地を管轄する簡易裁判所または地方裁判所(または契約書で定めた裁判所)に「訴状」を提出し、裁判を開始します。
訴状には、立ち退きを求める法的根拠やこれまでの交渉経緯を詳しく記載し、以下の書類を証拠として添付します。
- 賃貸借契約書
- 送付した内容証明郵便
- 交渉の経過がわかる記録や書類
- (契約違反の場合)滞納履歴や違反事実を示す証拠
裁判は貸主本人が行うことも可能ですが、借主側が争う姿勢を見せている場合、法律上の「正当事由」や「信頼関係の破壊」を的確に立証するのは容易ではありません。
専門的な主張書面の作成が必要となるため、この段階で弁護士へ依頼するのが一般的です。
和解・判決による解決
訴訟が始まると、互いに主張と反論を繰り返しますが、必ずしも「判決」で終わるとは限りません。 実際には、裁判官から「和解」を勧められ、話し合いで決着するケースが非常に多いのが実情です。
立ち退き裁判では、貸主側の「正当事由」が認められるハードルが高く、判決まで進むと貸主が敗訴(請求棄却)するリスクも少なからずあります。 そのため、以下のような条件を調整し、双方が納得できる妥協点を探ります。
- 立ち退き料の上乗せ
- 退去までの猶予期間の延長
- 未払い賃料の免除
和解が成立すれば「和解調書」が作成され、これには判決と同じ効力があります。和解が不調に終わった場合は、最終的に裁判所が判決を下します。
強制執行(解決できない場合)
判決で「明け渡し」が命じられた、あるいは和解で退去が決まったにもかかわらず、期限を過ぎても借主が居座り続けるケースがあります。
この場合、貸主が勝手に鍵を交換したり荷物を運び出したりすることは違法(自力救済の禁止)となるため、裁判所に「強制執行」を申し立てます。
強制執行の主な流れは以下の通りです。
| 強制執行の流れ | 詳細 |
|---|---|
| 1. 申立て | 地方裁判所の執行官に申し立てを行う |
| 2. 催告 | 執行官が現地へ赴き、1ヶ月程度の期限を定めて明け渡しを促す |
| 3. 断行 | 期限までに退去しない場合、専門業者が荷物を搬出し、強制的に鍵を交換する |
強制執行には、執行官への予納金や荷物の搬出・保管費用などの追加費用(数十万円〜)がかかります。



そのため、可能な限り前のステップ(和解)で、借主が任意に退去するよう合意を取り付けることが重要です。
立ち退き裁判にかかる費用・立ち退き料の相場


立ち退き裁判を進めるうえで、最も大きな懸念事項となるのが費用面です。
一般的に「弁護士費用」「裁判費用」そして解決金としての「立ち退き料」が必要となります。総額で数百万円単位の出費になるケースも珍しくないため、あらかじめ資金計画を立てておくことが不可欠です。
本章では、立ち退き裁判にかかる費用や立ち退き料の相場を解説します。
裁判費用と弁護士費用の内訳
まずは、手続きそのものにかかる費用の目安を確認しましょう。訴訟提起に必要な印紙代などの実費に加え、弁護士への報酬が発生します。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 印紙代・郵券 | 数万円〜 | 訴額(固定資産税評価額)により変動 |
| 弁護士・着手金 | 30万円〜40万円 | 依頼時に発生(結果に関わらず返金なし) |
| 弁護士・報酬金 | 経済的利益の10%〜20% | 解決時(明け渡し成功時)に発生 |
| 強制執行予納金 | 6万円〜 | 執行官の手数料など |
| 執行補助業者費用 | 30万円〜100万円 | 荷物の量や部屋の広さにより大きく変動 |
これらはあくまで一般的な相場であり、依頼する法律事務所や物件の規模によって金額は異なります。
特に注意すべきは、判決が出ても相手が退去しない場合の「強制執行」です。荷物の搬出・保管を行う専門業者への支払いで、さらに数十万円〜100万円近いコストが上乗せされるリスクがあることも想定しておきましょう。
「立ち退き料」の目安
裁判上の和解や判決における「立ち退き料」に法律に明確な計算式はありませんが、実務上は以下の要素を総合的に考慮して金額が決定されます。
- 移転実費(引越し代、敷金・礼金、仲介手数料など)
- 借家権価格(現在の家賃と周辺相場の差額の数年分)
- 営業補償(店舗の場合の休業損害や顧客喪失分)
- 慰謝料(住み慣れた場所を離れる精神的苦痛)
これらを踏まえた一般的な相場観は以下の通りです。
| 物件種別 | 立ち退き料の相場目安 |
|---|---|
| 居住用(アパート・マンション) | 賃料の6ヶ月分 〜 12ヶ月分 |
| 事業用(店舗) | 賃料の1年分 〜 3年分(またはそれ以上) |
| 事業用(事務所) | 賃料の6ヶ月分〜3年分 |
店舗や事務所などの事業用物件は、移転による営業への影響が大きいため、居住用に比べて高額になる傾向があります。



立ち退き料はあくまで「正当事由の不足分を補うもの」であるため、貸主側の事情の切実さによっても金額は変動します。
関連記事:立ち退き料の算出要素に基づく相場と過去の判例に見える特徴
立ち退きトラブルで裁判になったら期間はどのくらいかかる?
立ち退き問題の解決までにかかる期間は、事案によってさまざまです。立ち退き交渉については、すぐに合意が成立するケースもあります。
一般的には、交渉開始から3か月ほど経過しても合意が成立しないときには、裁判に移行するケースが多いでしょう。
立ち退き裁判については、和解や判決までに少なくとも半年はかかります。1年から1年半ほどかかるケースがほとんどで、それ以上に長引くケースも珍しくありません。
不動産における不公平や不動産関係者のトラブルでお悩みの方は、
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立ち退きの裁判を有利に進めるためのポイント


立ち退き交渉・裁判を行う際は、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
立ち退きを求めるハードルが高いことを理解する
建物の賃貸借契約では、借主の権利が強く守られています。
なぜなら、契約解除を容易に認めると、借主は生活の基盤である住居を失ってしまうためです。
そのため、貸主の立場としては、立ち退きを求めるハードルはそもそも高いことを理解しておく必要があります。
立ち退き交渉や裁判では、立ち退きを求める法律上の根拠を認めてもらうのが難しいケースも多いでしょう。
その場合、貸主としては、自分が不利なことを理解したうえで妥協点を探すことが重要となります。
法律上の根拠について検討が不十分で、自分が不利なことに気付かなければ、妥協点を見つけられずに借主の言い分が一方的に通ってしまうこともあるので注意が必要です。
交渉の経緯は書面に残しておく
立ち退き交渉の経緯については、書面に残しておくことを意識しましょう。
立ち退きの問題については、更新拒絶の期間や解約申入れから解約までの期間など、期間が明確に定められているものがあります。
更新拒絶や解約申入れを口頭で行うと、言った言わないの問題や、いつ通知したのかという問題が起こる可能性があります。
最初の通知を内容証明で送ったあとでも、重要な事項についてやり取りする際は、後に無用な争いが起こらないように書面でやり取りすることを心がけましょう。
関連記事:【大家都合で退去を求める時の立退料】不要となるケースと過去の判例
弁護士に相談・依頼する
立ち退きの問題については、信頼関係破壊の法理や「正当の事由」など、法律の専門的な知識を求められる場面が多くあります。
交渉や裁判を貸主自身で進めることもできますが、専門知識がなければ、本来は有利な場面でも知識がないことで不利に扱われる可能性もあるでしょう。
特に、立ち退き裁判にまで移行する場合に貸主自身が手続きを進めることは、おすすめできません。



借主がすんなりと立ち退きに応じてくれる場合でない限りは、専門家である弁護士に相談・依頼して手続きを進めるようにしてください。
立ち退き裁判に関するよくある質問
立ち退き料を支払わなくて良いケースはありますか?
借主側に重大な契約違反があり、当事者間の信頼関係が破壊されていると裁判で認められた場合、立ち退き料の支払いは原則不要です。
具体的には以下のケースが該当します。
- 家賃滞納(実務上3ヶ月以上が目安とされていますが、個別の事情により判断されます)
- 無断転貸
- 著しい迷惑行為 など
ただし、これらの行為があっても、信頼関係破壊と認められるかは個別のケースにより異なりますので、専門家への相談をおすすめします。
立ち退き裁判にかかった費用は敗訴した側が負担するのですか?
裁判所の手数料(印紙代・郵便切手代)などの「訴訟費用」は、原則として敗訴した側が負担します。
しかし、最も高額になりがちな「弁護士費用」は、日本の民事訴訟では原則として各自が負担することになっており、勝訴しても相手方に全額請求できるわけではありません。そのため、弁護士費用はあらかじめ自己資金として見込んでおく必要があります。
ただし、不法行為に基づく損害賠償請求の場合など、例外的に弁護士費用の一部が認められることもあります。
入居者が立ち退きに応じない場合はどうすればいいですか?
どんなに正当な理由があっても、勝手に鍵を変えたり荷物を運び出したりする「自力救済」は違法となり、逆に損害賠償を請求される恐れがあります。
交渉で解決しない場合は、裁判所に訴訟を提起し、判決(または和解)を得た上で、「強制執行」の手続きを申し立てるのが唯一の法的な解決手段です。
まずは弁護士に相談し、手続きの準備を進めましょう。
まとめ|立ち退き裁判は早期の判断が大切。まずは弁護士に相談しよう
今回は、立ち退き交渉と裁判の流れ、費用や期間の目安、立ち退き交渉や裁判のポイントを解説しました。
- 立ち退きを求めるには法律上の根拠が必要
- 立ち退きのハードルは高いので弁護士に相談・依頼する
- 立ち退き問題の解決までには1年から1年半ほどかかる可能性もある
民法や借地借家違法では借主の権利が守られているため、貸主にとって立ち退き交渉はハードルの高い手続きです。
交渉で解決せず裁判にまで発展したときには、解決までに1年以上は覚悟しなければなりません。



立ち退き問題でお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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