兄弟での不動産共有名義は危険?起こり得るリスク・解消方法を弁護士が解説

兄弟での不動産共有名義は危険?
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属
東京弁護士会・東京税理士会所属

「兄弟で共有名義になった不動産をどう扱えばよいか知りたい」
「兄弟で共有名義にしている不動産を解消したい」

相続において、上記のような悩みを抱える人は少なくありません。

このような状況では、一つの判断が将来の大きなトラブルの火種になる可能性があるため注意が必要です。兄弟の共有名義は「兄弟だから大丈夫」という安心感が、逆に関係をこじらせる原因となります。

この記事では、兄弟で不動産を共有名義にする具体的なリスクや、その解消方法を徹底的に解説します。共有名義を解消する際の費用や相談先も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

弁護士 佐々木一夫

共有名義は、放置すればするほど問題が複雑化します。知識を身につけ、適切な対策を講じましょう。

兄弟間で共有名義にしている不動産についてのお悩みは、弁護士法人「アクロピース」にお任せください。

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目次

不動産を兄弟の共有名義にすることで起こり得るリスク

不動産を兄弟の共有名義にすることは、一見すると公平な遺産分割のように思えます。しかし、実際には多くの潜在的リスクを抱え込むことになるのが実情です。

ここでは、とくに発生しやすい5つのリスクを具体的に見ていきましょう。

以下、それぞれ具体的に解説します。

売却や活用で意見が対立し、不動産が「塩漬け」になる

兄弟で不動産を共有名義にするリスクとして、不動産の処分や活用に関する意見の対立が挙げられます。

たとえば、実家を相続した場合、兄弟間で以下のような意見の不一致が起こる可能性は少なくありません。

兄弟間で起こり得る不一致の例
  • 兄:「すぐに売却して現金化したい」
  • 弟:「賃貸に出して収益を得たい」
  • 妹:「思い出があるから、そのまま残しておきたい」

不動産全体を売却するためには、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すれば、売却はできません。

結果として、誰も活用できないまま放置され、不動産が「塩漬け」状態になってしまいます。管理コストだけがかかり、資産価値が下落していく危険性があるでしょう。

固定資産税や管理費用・修繕費の負担割合で揉める

不動産を所有している限り、毎年固定資産税がかかります。建物に住まず空き家にする場合には庭の整備など、管理するために費用がかかり、さらに、建物が古くなれば修繕費やリフォーム費用も必要です。

これらの費用は、原則として共有持分に応じて負担します。

しかし、現実には「実家に住んでいないのになぜ払うのか」と考える人も出てくることでしょう。また、「年収が高い兄が多く払うべきだ」といった感情的な対立も生まれがちです。

誰かが立て替えても、後で精算がうまくいかないケースも少なくありません。金銭的な負担の不公平感が、兄弟関係に深刻な亀裂を生じさせることになるでしょう。

兄弟のどちらかが実家に住み続け、占有・独占使用してしまう

兄弟の一人が実家に無償で住み続けるケースもあります。

他の兄弟がそれを容認しているうちは問題ありません。しかし、他の兄弟が「売却したい」と考え始めたとき、事態は複雑化します。

住んでいる兄弟は、他の共有者(兄弟)の持分を侵害している状態です。法的には、他の兄弟は住んでいる兄弟に対し、不当利得返還請求として持分に応じた賃料相当額を請求できる可能性があります(民法第703条704条)。

ただし、実際に請求すれば、感情的な対立は避けられません。「追い出すのか」と反発され、売却も賃料請求もできなくなる可能性があるでしょう。

将来の相続で権利関係が複雑化する

兄弟間での共有名義が長期化すると、将来の相続で権利関係が複雑化する恐れがあり危険です。

たとえば、3人兄弟(A・B・C)で共有していた不動産があったとします。

兄Aが亡くなると、Aの持分はAの配偶者や子に相続されます。次に弟Bが亡くなれば、Bの持分がBの家族に相続されるのが特徴です。

結果、当初は3人だった共有者が、甥・姪・兄弟の配偶者といった、より関係性の薄い人々へと分散します。共有者が10人以上になることも珍しくありません。

弁護士 佐々木一夫

話し合いに関わる人数が増えれば増えるほど、全員の合意形成は困難になるでしょう。

兄弟が自分の持分を第三者に売却し、知らない共有者が現れる

不動産「全体」の売却には全員の同意が必要です。しかし、自分の「持分のみ」を売却することは、他の共有者の同意がなくても自由に行えます

「すぐにお金が必要」と考えた兄弟の一人が、自分の持分を専門の不動産業者に売却するケースも少なくありません。ある日突然、見ず知らずの第三者が共有者として現れることになります。

業者は利益を出すために、他の共有者(残された兄弟)に対して、持分の買い取りや、不動産全体の売却を法的に迫ってくる可能性が高いです。

兄弟だけでなく外部も巻き込んだ、より深刻な紛争へと発展する恐れがあるでしょう。

共有名義の不動産のトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。

関連記事:共有名義の不動産売却はトラブルに要注意!回避策とスムーズに売る方法

兄弟で共有名義にするメリット

兄弟で不動産を共有名義にしておくと、遺産分割がすぐにまとまらない場合でも柔軟に対応でき、当面の公平性を保てます。

兄弟で共有名義にするメリットは、主に以下のとおりです。

以下、それぞれ具体的に解説します。

遺産分割協議がまとまらない際、「一時的な受け皿」になる

相続発生後、兄弟間で遺産分割協議がなかなかまとまらない場合、共有名義は一時的な受け皿として機能します。

本来、相続した不動産の扱いは「誰が取得するか」を決めない限り進められません。しかし、共有名義にしておけば、各相続人が法定相続分に応じて持分を持つ形にできるため、協議が長引いても不動産の名義空白期間を避けられます

また、固定資産税の納付や管理手続きなど、必要な事務作業をスムーズに継続できる点もメリットです。結論を急がず、各自の意見を整理する時間を確保しつつ、適切に不動産管理を続けられる「暫定的な解決策」として活用できます。

共有名義にすることで公平感を保ちやすい

兄弟で共有名義にする利点の一つに「相続の公平感を保ちやすい」ことも挙げられます。

兄弟それぞれが法定相続分どおりの持分を取得すれば、相続時点での「取り分」が明確になり、誰かが一方的に得をしたり損をしたりする印象を与えにくくなります。

とくに、不動産以外の資産が少なく、代償金による調整が難しい場合や不動産の評価額で揉めている場合には、共有にして持分でバランスを取る方法が有効です。

また、感情的な対立が生まれやすい不動産相続でも、共有にしておくことで「まずは公平に保有する」という共通認識を持ちやすく、協議を冷静に進める土台にもなるでしょう。

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公平性を確保することで、家族間の関係悪化を防ぎやすい点は重要なメリットです。

不動産をすぐに売却したくない場合の選択肢にできる

相続した不動産をすぐに売却したくない場合、兄弟で共有名義にしておくことは有効な選択肢になります。

たとえば、思い出のある実家を「今すぐ手放すのは気が進まない」というケースでは、共有名義にすることで売却の判断を先送りし、状況を見ながら今後の方針を検討できます。

また、市場価格が低いタイミングで無理に売る必要がない点もメリットです。兄弟全員が共有者として意見を持てるため、「価格が上がったら売りたい」「必要になったら売りたい」など、選択肢を広く検討できます。

急いで結論を出さず、精神的な整理や家族の希望を踏まえた意思決定ができるため、不動産を手放すか迷う局面でも柔軟に対応可能です。

不動産の利用頻度を公平に調整できる

共有名義にしておくと、不動産の利用方法や頻度について兄弟間で公平に調整しやすくなります。

以下のように、兄弟ごとに用途が重なる場合でも、共有者全員でルールを決めることで負担や利用機会を均等にすることが可能です。

  • 「実家を帰省の拠点として使いたい」
  • 「一部を倉庫代わりに使いたい」

また、一人が独占的に使う状況を避けられるため、兄弟間の不満やトラブルを抑える効果も期待できるでしょう。共有名義は、不動産を共同で管理しながら、兄弟全員が納得できる形で活用する際に有効な方法です。

兄弟での共有名義がトラブルになりやすい理由

皮肉なことに、トラブルの原因は「兄弟だから」という特有の人間関係にあります。他人同士よりも、かえって問題を複雑化させる要因が潜んでいるといえるでしょう。

兄弟での共有名義がトラブルになりやすい理由は、主に以下の4つです。

以下、それぞれ詳細に解説します。

「兄弟だから大丈夫だろう」と契約を明文化しない場合が多い

不動産を共有する場合、本来は管理方法や費用負担、将来の売却方針について共有物管理契約書などを交わすべきです。

しかし、相手が兄弟だと「水臭い」「信用していないのか」と思われるのを避けるため、契約を交わさないケースも珍しくありません。

「兄弟なのだから、暗黙の了解でうまくやっていける」という根拠のない期待が、後々のトラブルを招きます。問題が発生したときに「言った」「言わない」の水掛け論になるのを防ぐためにも、明確なルールが大切です。

経済格差・生活状況の違いで不満が生じやすい

相続が発生する頃には、兄弟それぞれが独立し、異なる生活基盤を持っています。経済的に余裕がある兄弟もいれば、生活が苦しい兄弟もいるでしょう。

この経済格差が、不動産への対応の違いに直結します。生活状況が異なるため、なかなか利害が一致しない場合が多いです。

また、「兄貴は金があるからいいだろう」「弟はいつも金に困っている」といった不満や妬みも生まれやすくなります。結果、冷静な話し合いが難しくなるケースは多いです。

兄弟間の序列意識により感情的対立を生みやすい

長男・次男、あるいは兄・妹といった兄弟間の序列意識も、問題をこじらせる要因です。とくに実家の相続では、その傾向が強くなります。

以下のような感情論が先に立つと、法的に公平な持分や権利の話ができなくなるでしょう。

兄弟間で起こり得る感情的対立
  • 「長男である自分が実家を守るべきだ」
  • 「親の面倒を見たのは私なのに、兄が仕切るのはおかしい」
  • 「末っ子のくせに、口出しするな」

「誰が親の面倒を見たか(寄与分)」や「誰が多く生前贈与を受けたか(特別受益)」といった過去の問題まで蒸し返され、収拾がつかなくなることも多いです。

話し合いにくい関係性が続き問題が長期化・複雑化しやすい

他人であれば、利害が対立すれば弁護士を立てて交渉する選択肢が取りやすいです。

しかし兄弟間では、「裁判沙汰にしたくない」「親戚付き合いがある」といった心理的なブレーキがかかる人も少なくありません。

結果、問題が起きても、決定的な対立を恐れて話し合いを先送りにしてしまいがちです。その間に兄弟が死亡すればさらに相続が発生し、権利関係が複雑化していきます。

弁護士 佐々木一夫

問題を直視できないことで悪化すれば、解決が一層困難になるでしょう。

兄弟の共有名義でトラブルを防ぐために重要な事前対策

兄弟での共有名義のリスクを避ける方法は、そもそも共有名義にしないことです。

相続が発生した時点で、遺産分割協議を行い「誰か一人が相続する」または「売却して現金で分ける(換価分割)」のが理想です。

しかし、やむを得ず共有名義にする場合は、共有登記をする前に以下の4つの対策を実行しましょう。

以下、それぞれ詳しく解説します。

誰がどれくらいの割合で所有するのかを明確にする

まず、誰がどれくらいの割合(持分)で所有するのかを明確に合意することが大切です。

法定相続分通りにするのか、それとも親の介護などの貢献(寄与分)を考慮して割合を変えるのか、全員が納得するまで話し合う必要があります。

この持分割合が、固定資産税の負担や、将来売却した際の分配金の基礎となります。

弁護士 佐々木一夫

必ず、誰がどれくらいの割合で所有するのかを明確にしておきましょう。

利用・管理・費用負担のルールを文書で残す

「兄弟だから」という理由で口約束をしてはいけません。決定したルールは、書面(契約書や合意書)として残しましょう

弁護士に依頼し、法的に有効な「共有物管理に関する合意書」を作成することが大切です。

最低限、以下の項目については明確に定めておきましょう。

決定すべきルール具体的な内容例
利用方法誰が住むのか、賃貸に出すのか、空き家として管理するのか
管理担当者窓口となる代表者を決めるか(例:長男)
費用負担固定資産税、修繕費、火災保険料などの負担割合(通常は持分通り)
費用精算誰が立て替えて、いつ、どのような方法で精算するのか

将来の売却・相続・持分譲渡時の対応を明確にする

不動産の共有名義では、出口戦略も重要です。「いつまで共有状態を続けるのか」をあらかじめ決めておきましょう。

たとえば、以下のようなルールを定めます。

兄弟間で決定するルールの例
  • 「相続開始から10年後に売却し、持分に応じて金銭を分配する」
  • 「共有者が自分の持分を売却したい場合、まず他の兄弟に買い取りを打診する」
  • 「共有者が亡くなった場合、その相続人ともこの合意書の内容を引き継ぐことを確認する」

将来起こり得る事態を想定し、その際の解決策を事前に合意しておくことで、いざという時の紛争を防げます。

専門家を交えて合意形成をし、公平性を担保する

兄弟間の話し合いは、どうしても感情論や過去のしがらみが入り込みがちです。利害関係のない第三者であり、法律と不動産の専門家に間に入ってもらいましょう。

専門家が法的な論点を整理し、公平な選択肢を提示することで、兄弟全員が冷静に判断しやすくなります。

また、合意書は法的な拘束力を持つため、将来の「言った・言わない」のトラブルを防ぐことが可能です。

弁護士 佐々木一夫

まずは事前相談を利用し、相性のよい専門家を探してみましょう。

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兄弟の共有名義を解消する5つの方法

すでに兄弟で共有名義になっており、トラブルが発生している、あるいは発生しそうな場合、どうすればよいのでしょうか。

共有状態を解消するには、主に5つの方法があります。

それぞれメリット・デメリットが異なるため、状況に応じて適切な方法を選択しましょう。

兄弟全員で合意して「不動産全体」を売却する

兄弟の共有名義を解消する方法の一つに、兄弟全員で合意して「不動産全体」を売却することが挙げられます。

この方法は、不動産という分けにくい資産を分けやすい現金に変えられるため、後のトラブルが少ないのが特徴です。

ただ、共有者全員の合意が必要な点には注意が必要です。一人でも「売りたくない」と反対すれば、この方法は取れません。

売却価格や時期についても、全員の足並みがそろう必要があります。

共有名義の不動産を売却する際のトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:共有名義不動産は売却できない?よくあるトラブルと持分売却方法を解説

兄弟間で持分を売買する

兄弟の一人が他の兄弟の持分を買い取り、不動産を単独名義にする方法も選択肢の一つです。

たとえば、実家に住み続けたい長男が、弟と妹の持分を買い取るケースなどがこれにあたります。この方法も、誰がいくらで買い取るのかについて、兄弟全員の合意が必要です。

持分の価格(評価額)をめぐって意見が対立することも少なくありません。また、買い取る側の兄弟に、他の兄弟の持分を買い取るだけの十分な資金力が必要となります。

共有持分の買取については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:共有持分の買取請求とは?3つの請求方法と買取成功のポイント・注意点も解説

自分の持分のみを専門業者に売却する

他の兄弟が話し合いに応じてくれない場合や、売却に反対している場合でも、自分の持分だけを売却することは可能です。共有持分を専門に買い取る不動産業者が存在します。

この方法のメリットは、他の兄弟の同意が不要で、自分の意思だけで共有関係から離脱して現金を得られる点です。

一方、売却価格が市場価格よりも大幅に安くなる点はデメリットといえます。市場価格の5〜7割程度になるのが一般的です。

また、自分の持分が第三者(業者)に渡るため、残された兄弟と業者の間で新たなトラブルが発生する可能性があります。

自分の持分を売却する際の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:共有不動産の持分を売却するとどうなる?起こりうるトラブルと注意点や費用を解説

土地の場合は「分筆」してそれぞれの単独名義にする

共有している不動産が土地(更地)である場合に限られますが、土地を物理的に分割する分筆という方法もあります。

この方法では、土地を兄弟3人の持分に応じて3つに分け、それぞれを単独名義の土地として登記し直したりすることが可能です。

これにより共有状態は解消され、各自が自分の土地を自由に売却・利用できるようになります。

ただし、分筆するには測量や登記の費用がかかります。また、土地の形状や法規制(接道義務など)によってはうまく分割できない可能性もゼロではありません。

弁護士 佐々木一夫

共有者全員の合意も必要なため、弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

共有物分割請求訴訟で裁判所に判断を仰ぐ

兄弟間で合意に至らない場合、最終手段として裁判所に訴えを起こすことも可能です(民法第256条)。これを共有物分割請求訴訟といいます。

訴訟を起こすこと自体は、他の共有者の同意なく単独で行うことが可能です。

共有物分割請求訴訟では、裁判所が当事者の主張を聞いたうえで、分割方法を決定します。主な分割方法は、以下の3つです(民法第258条)。

共有物分割請求訴訟の分割訴訟
  1. 現物分割:土地を分筆するなど、現物を分割する(可能な場合)
  2. 代償分割:兄弟の一人が単独所有し、他の兄弟に持分相当額の金銭を支払う
  3. 換価分割:不動産を競売にかけ、売却代金を持分に応じて分配する

競売になると、市場価格より大幅に安い金額で売却されることが多いため、全兄弟にとって経済的なデメリットが大きくなります。もっとも、訴訟の場でも売却して、売却代金を共有持分に応じて分配する合意をすることも可能です。

そのため、任意の交渉ではまとまらなくても、訴訟の場で柔軟な解決が図られることもあります。

関連記事:共有物分割訴訟とは?共有状態解消が必要なケースと手続き・費用を解説

兄弟の共有名義解消にかかる費用・税金

共有名義を解消する際には、さまざまな費用や税金が発生します。

「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、どのようなコストがかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。

ここでは、兄弟の共有名義解消にかかる費用や税金を状況別に解説します。

持分売買・贈与で発生する税金

兄弟間で持分を売買したり、無償で譲ったり(贈与)する場合、税金が発生します。

主な税金は、以下のとおりです。

発生する税金概要
譲渡所得税(売主側)持分を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して課税されます。
贈与税(買主側)持分を無償、または市場価格より著しく低い金額で譲り受けた場合に課税されます。
不動産取得税(買主側)持分を取得(購入)した側に対して課税されます。(※相続人が相続または包括遺贈により取得した場合は非課税)
登録免許税(買主側)持分移転登記(名義変更)の際に必ずかかります。

兄弟間で不動産の持分を売買または贈与する場合、税金は「売主側の共有者」と「買主側の共有者」のそれぞれに発生する可能性があります。

計算が複雑になるため、具体的な費用が知りたい場合は弁護士に相談してみましょう。

専門家(弁護士・不動産業者)への相談費用

当事者間での解決が難しい場合、専門家のサポートが必要になります。弁護士にかかる費用は、主に以下の4つです。

スクロールできます
法律相談料トラブルについて法的な助言を求める費用です。一般的には30分あたり5,000円〜1万円程度が相場です。
着手金弁護士に正式に依頼する際に支払う初期費用です。10万〜30万円程度が目安です。
報酬金問題が解決した際に、結果に応じて支払う成功報酬です。解決内容や金額に応じて設定されることが多いです。
実費手続きに必要な交通費・郵送費・印紙代などの費用です。数千円〜数万円程度が目安で、実際にかかった分を予納して不足分は後日精算する形が多いでしょう。

また、不動産業者に買取を仲介してもらった場合は、不動産業者への仲介手数料も発生します。不動産仲介料の上限は、以下のとおりです。

不動産仲介料の上限
  • 売買価格が200万円以下の場合:売買価格 × 5%+消費税
  • 売買価格が200万円超400万円以下の場合:売買価格 × 4%+2万円+消費税
  • 売買価格が400万円を超える場合:(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税

※ただし、800万円以下の場合には、30万円(税別)とする特例もあります。

出典:国土交通省|<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ

他にも、持分の適正価格を算出するために不動産鑑定士に依頼する場合は「不動産鑑定費用」が発生します。土地を分筆する場合は、「測量・分筆登記費用」が必要です。

不動産の価格や状況によって、かかってくる費用が異なるため、自分のケースで具体的な金額を知りたい場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

兄弟の共有名義に関するよくある質問

ここでは、兄弟での不動産共有名義に関して、多くの方が抱く疑問について回答します。事前に確認しておき、いざというときに迅速に対応できるように備えておきましょう。

兄弟の共有名義の不動産で「ローン」は組める?

兄弟の共有名義の不動産を担保にローンを組むことも可能です。

ただ、共有名義の不動産全体を担保にしてローンを組むには、共有者全員の同意が必要となります。

そのため、兄弟の一人でも反対すれば、ローンを組むことはできません。

これに対して、自身の共有持分に対してのみに抵当権を設定する場合には、他の共有者の同意は必要はありません。

共有名義の固定資産税は誰が払う?

法律上は、共有者全員が「連帯して」全額を納付する義務を負います(地方税法第343条)。

ただ、市町村から送られてくる納税通知書は、通常、共有者の代表者(登記簿の筆頭者など)一名宛に届きます。

共有者間の内部的な負担割合は、行政には関係ありません。そのため、誰かが立て替えて支払った後、他の兄弟に持分相当額を請求(求償)することになります。

共有名義の不動産(実家)に住む兄弟に家賃を請求できる?

共有名義の不動産(実家)に住む兄弟に家賃を請求することは可能な場合があります。

他の共有者の同意なく実家に住み続けている兄弟は、他の共有者の持分を侵害(不当利得)していることになります。そのため、他の兄弟は、その兄弟に対して自分の持分に応じた賃料相当額(家賃)を請求することが可能です。

もっとも、従前から共有者が単独で使用していても、黙認していたような場合に使用貸借が成立したとして、家賃が請求できなくなる可能性もあります。

いきなり家賃の請求をすると、共有者間で感情的な対立を招きやすいため、まずは話し合いのテーブルに着いてもらうための交渉材料として提示するのが現実的です。

法的に請求するには、賃料相当損害金がいくらになるかの算定や、交渉や訴訟が必要になる場合が多いでしょう。

弁護士 佐々木一夫

専門的な知識が必要となることも多いので、弁護士に相談しながら進めるのが良いでしょう。

共有名義の兄弟と連絡が取れない場合の対処法は?

連絡が取れない場合や、意図的に無視されている場合は、当事者間での解決は不可能です。弁護士に依頼し、法的手続きを進める必要があります。

弁護士に依頼すれば、戸籍や住民票を調査することができ、その上で内容証明郵便で法的な要求(売却の提案や共有物分割の意思表示など)を送付できます。

それでも応答がない場合は、共有物分割請求訴訟を提起しましょう。

訴訟になれば、相手が欠席しても裁判所の判断で共有不動産をどう処理するか判決が下されるため、問題を法的に解決することが可能です。

まとめ|兄弟の共有名義トラブルは早めの対策と専門家への相談が大切

兄弟間での不動産の共有名義は、「兄弟だから大丈夫」という油断から、将来の深刻なトラブルにつながる大きなリスクを抱えています。

もし、これから相続を迎えるのであれば、安易に共有名義にしないことが大切です。遺産分割協議でしっかり話し合い、兄弟全員の合意を得ましょう。

すでに共有名義になってしまっている場合は、問題を先送りにしてはいけません。関係性がこじれる前、あるいは権利関係が複雑化する前に、解消に向けて動き出すことが重要です。

兄弟間での話し合いが難しい、あるいはすでにトラブルになっている場合は、ためらわずに専門家へ相談しましょう。状況に応じて、法的な観点から公平な解決策を導き出してくれます。

兄弟間で共有名義にしている不動産についてのお悩みは、弁護士法人「アクロピース」にお任せください。

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この記事の監修者

弁護士 佐々木 一夫 KAZUO SASAKI

弁護士法人アクロピース 代表弁護士
東京弁護士会所属
明治大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了

当事務所は家賃滞納や立ち退き交渉といった不動産トラブルの解決に注力しております。豊富な経験に基づき、ご依頼者様の正当な権利を迅速に守るサポートを提供します。初回のご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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