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公道に直接面していない宅地は、公道につながる私道を周辺の所有者と共同で使用(私道共有)することがよくあります。
私道が共有されている宅地を購入しようとする場合、私道の管理や使用方法がどのようになっているのか気になる方も多いでしょう。
私道共有の場合、使用方法や管理方法を他の所有者(共有者)と合意できずにトラブルになることもあります。
私道共有の宅地を購入や売却するときは、トラブルが起こらないようにするため、あらかじめ権利関係や管理・使用のルールを把握しておくことが大事です。
私道共有で起こりやすいトラブルと対応策のポイントなどをわかりやすく解説しているので、私道共有のトラブルで悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
私道共有をめぐるトラブルで悩んでいる方は、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
弁護士法人アクロピースは、不動産問題に関する豊富な経験を活かしてサポートいたします。
24時間365日、LINEやメールからお問い合わせ可能です。
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私道共有とは、複数の敷地が接している私道を敷地所有者が共同で使用することです。
たとえば次のような場合に私道共有の状態になります。
一般の私人(個人や企業・団体等)が所有権を持っている道です。
私道の清掃や維持管理は、基本的に所有者である個人や企業等が行います。
国や自治体が所有し、不特定多数の人が利用する道路です。維持管理などは、国や自治体が行います。
私道共有には次のような特徴があります。
それぞれの特徴について、解説します。
私道共有には、次の2つのパターンがあります。
1筆の私道になっている土地を、複数人で共有している私道です。民法の共有の規定(民法第2編第3章第3節共有)が適用されます。
1本の道が各自が単独所有する私道の集合になっている私道です。登記上複数に分筆された私道を各自が所有し相互に利用させ合います。
共同所有型(持分共有型)の場合、私道に影響を与える行為については制限があります。
各共有者は、共有物全部について持分に応じた使用をできます(民法249条1項)が、共有物の形態や効用などに変化をもたらす行為については、内容に応じて一定の制限がかかるからです。
民法では、共有物の変更・管理行為についての意思決定ルールを次のように定めています。
変更行為 | 売却など(形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く) | 共有者全員の同意が必要(民法251条1項) |
管理行為 | 改良など(形状又は効用の著しい変更を伴わない変更等) | 持分の過半数の同意が必要(民法252条1項・251条1項括弧書き) |
保存行為 | 軽微な修繕など | 単独で実行可能(民法252条5項) |
上記の意思決定ルールは共有者間の調整を図るもので、私道を共有している場合にも当然適用されます。
共同所有型(持分共有型)の場合、私道の持分を持っている人が持分に応じて、私道の維持管理・修繕などの管理費や固定資産税などを負担する必要があります(民法253条1項)。
共有物の固定資産税・都市計画税は、共有者全員に連帯納付責任があるので、注意が必要です。
共有者に未納者がいる場合、他の共有者に対して未納付額の請求・差押えもあり得ます。
共有者が維持管理費や税の負担義務を1年以内に履行しないときは、他の共有者が相当の対価を支払ってその持分を取得することも可能です(民法253条2項)。
家が私道(相互持合型)に面している場合、私道の一部の所有者に通行を拒否されることや、ライフラインの引き込みができないなどのトラブルが起こりやすいです。
たしかに、私道の通行については、周りを他の土地に囲まれた囲繞地の所有者であれば囲繞地に接する私道を通行できますし、私道が位置指定道路であれば誰でも通行できます。
しかし、私道の一部の所有者には土地の所有者意識があるため、通行を全面的に妨害したり「人は通行してもよいが車は通さない」などと勝手な主張をする危険があります。
囲繞地通行権:公道に至るための他の土地の通行権(民法210条1項)囲繞地とは、他の土地に囲まれて公道に通じていない土地位置指定道路:建築基準法による道路位置指定を受けた道路(建築基準法42条1項5号)私道であっても、例外的に誰でも通行可能とされている |
共同所有型(持分共有型)の私道をめぐるトラブルとしては、主に次の3つがあります。
共有私道(私道共有状態にある私道のこと)の管理方法に異論があるため、トラブルになることがあります。
たとえば、私道の舗装は管理行為に該当し、共有持分の過半数を持つ人の同意が必要です(民法252条1項)。
しかし、費用負担をするのが嫌で反対する人がいれば、実際には舗装は困難です。
4名が同じ共有持分を持つ場合、半数の2人が同意しても、残りの2人が費用の支払いを拒否すれば、過半数の同意がないため舗装できない
私道共有者が管理費などを負担しないためトラブルになることもあります。
私道の管理費や修繕費・固定資産税などは、共有者が共有持分に応じて負担するのが原則です。しかし、共有者が費用を払わない、あるいは滞納することがあります。
その場合、持分共有であれば、他の共有者が立て替えて払わざるを得ない場合もあるでしょう。
しかし、立て替え費用を請求しても、共有者が支払わなければ、法的手段を取らなければ回収できません。手間も時間も費用もかかります。
1年以内に共有者が費用負担義務を履行しないときは、他の共有者が相当の対価を支払って不払い者の持分を取得できる旨の規定もあります(民法253条2項)。
しかし、対価を支払ってまで私道の持分を取得するメリットがあるといえるかは、ケースによって異なるでしょう。
私道の共有者が行方不明でトラブルになるケースもあります。
たとえば、不動産の共有者が行方不明になることや音信が不通になるなど、相続登記や住所移転届がされないまま放置され、現在の権利者がわからない「所有者不明土地」が増加しているのです。
私道の管理に必要な負担金を支払ってもらえず、問題になっているケースも増えています。
共有私道の管理行為を行う場合も、共有持分の半数以上を持つ人が行方不明になっており、管理行為に必要な過半数の同意を得ることができないケースもあるのです。
この点について、2023年4月以降民法改正により、裁判所は「共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる」ことになっています(民法251条2項)。
相互持合型(分筆型)の私道をめぐるトラブルとしては、主に次の2つがあります。
相互持合型(分筆型)の場合、私道は各所有者の単独所有のため、自分の土地だから自由に使っていいと勝手に解釈して、通行を妨げる可能性があるのです。
たとえば、行き止まりの私道の入口部分の所有者が、車の出入りを妨害するポールを自分の私道に設置すると、奥の家に住んでいる方はマイカーを使えず困ってしまうでしょう。
水道やガス管などのライフラインを引き込む工事ができない問題もあります。
たとえば、建物を新築・増改築する場合などに、水道やガス管などを引き込むため、道路を掘削しなければなりません。
その場合、配管の位置によっては、他人の敷地が接する私道を掘削しなければならないケースもあります。
この場合、掘削箇所の私道所有者の承諾が得られないことや、法外な承諾料を請求されるなどのトラブルが起こる恐れがあるのです。
なお、2023年4月施行の民法改正により、ライフライン設備の設置権と使用権が規定されました(民法213条の2)。これにより、私道の所有権や共有持分がない人も、所有者に通知して工事ができることになりました。
しかし、実際に私道所有者から拒否されたときは、工事を強行することはできません。実行するためには裁判所の判決を待つ必要があるのです。
民法改正によって、規定は明確になったものの、トラブルになる懸念は残っています。
私道共有をめぐるトラブルの解決法を紹介します。
私道共有をめぐるトラブルがあるときは、まず当事者同士で誠実に話し合いましょう。
近くに居住しており毎日顔を合わせる共有者と争いごとになることは決して望ましいことではありません。
話し合いで解決できれば、それに越したことはないです。
ただし、話し合っても進展がないときは、早めに弁護士に相談する方がよいです。
弁護士へ相談すれば話し合いの進め方など適切なアドバイスをもらえます。
当事者同士の話し合いで解決できなければ、弁護士と相談しましょう。
弁護士に任せれば、相手方との交渉も代行可能です。
弁護士が代理することで、相手がプレッシャーを感じ話し合いに応じる可能性が高まることもあるでしょう。
特に私道共有に関するトラブルは、難しい法律知識が必要です。専門的な知識がないと感情的な議論だけで先に進まない恐れがあります。
弁護士であれば、私道の権利関係やトラブル内容に応じて法律的な観点を含め、最適な解決方法を提案でき、調停や訴訟を見据えて交渉を進めることが可能です。
当事務所では、私道共有問題の解決実績が豊富な不動産トラブルに強い弁護士が最適な解決方法を提案します。
初回60分の相談は無料、24時間365日受付中です。
LINEからも相談の問い合わせができますので、お気軽にご連絡ください。
私道共有に関するトラブルを未然に防止し、売却する方策を5つ紹介します。
土地の購入前に、前面道路など日常使用する周りの道路の権利関係を調べておくことが大事です。
権利関係の詳細は法務局の登記事項証明書で、所有者と持分は公図でも確認できます。
私道に絡むトラブルの有無などについて、周辺住民などに聞き、問題が起こりそうな土地は購入を控えましょう。
不動産の売却時には、前面道路の権利関係(所有者と持分・通行権・掘削権など)や維持管理方法を買主にきちんと伝えておくことが大事です。
権利関係が不明瞭なまま売ると、後で私道の共有者や買主とトラブルになるおそれがあります。
私道の管理・使用の共通ルールの確認文書がある場合は、必ず引き継ぎましょう。
ない場合は売却後にトラブルとならないよう、たとえば、共同所有型(持分共有型)の場合、持分共有者全員の合意書を作るか、承諾書を得ておきましょう。
私道の共有者や近隣の居住者とは、日頃から良好な関係を築いておきましょう。
日頃のちょっとした行き違いから、私道をめぐるトラブルに発展する場合もあるからです。
近隣の方と良好な関係を築いておけば、トラブルになりそうな場合も、話し合いによって大きな問題にせずに解決できる可能性が高まります。
共有私道の場合は、私道の使用・管理ルールを書面にしておくことが大事です。
私道の使用・管理のルールが明確になっていないと、トラブルが起きた場合、解決に手間取ります。
たとえば、共同所有型の私道の場合、ライフラインを引き込むための掘削をするときに、持分共有者の同意が得られなければ手続きはなかなか進みません。
改正民法の施行(2023年4月)により、共有者の同意を得なくても掘削工事を実施できる権利が明確になりましたが、最終的には裁判をしなければなりません。
同意不要との規定があっても、相手が納得していなければ、いきなり強制的に工事はできないのです。
掘削承諾がない場合、買い手も不安になるでしょう。
不動産を売買するときに取り決めがない場合は、共有者の同意を得て、通行承諾書や掘削承諾書などの書面を作っておいた方がよいです。
共同所有型の場合、後のトラブルを避けるため、私道の共有者間で私道の使用方法や管理方法についてのルールを決めて、書面にしておきましょう。
たとえば、通行の妨げになる行為はお互いにしない、掘削工事などが必要な場合は協力し合う、などです。
私道の維持管理等にかかる費用を調べておくことも大事です。
たとえば、共同所有型(共有持分型)の私道の管理は公道と違って、共有持分を持つ者が持分に応じて諸費用を負担することになります。
共同所有型(共有持分型)の場合、私道の維持管理や補修などの費用は、私道共有者全員で負担すべきものですが、負担金額や支払い時期は明確でない場合も多いでしょう。
想定外の大きな出費が生じる可能性もあるため、私道の維持管理や補修などの費用は事前に確認しておいた方がよいです。
私道トラブルが発生しそうな場合は、共有不動産問題に強い弁護士に相談しましょう。
不動産をめぐる法律関係は難しい問題が多く、その上、共有に関する規定はこの数年で度々改正がなされています。
過去に解決が難しかったトラブルも、最新の法令では別の解決の可能性が出てくる場合もあるのです。
たとえば、私道の共有持分を有する人が所在不明の場合、民法改正により多様な解決が可能になっています。
私道共有に関するトラブルは弁護士へ相談すれば、解決の方向が見つけられる可能性が高いです。
私道共有をめぐってトラブルになりそうなときは、早めに弁護士に相談しましょう
私道共有をめぐるトラブルで悩んでいる方は、不動産問題に強い弁護士法人アクロピースにご相談ください。
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私道共有のトラブルと回避策についてまとめます。
私道共有の場合、道路の使用方法や管理をめぐってトラブルになりやすいものです。
私道共有をめぐるトラブルで悩んでいる方は、弁護士に相談することをおすすめします。
私道共有をめぐるトラブル解決のためには、きちんとした法律知識やトラブル解決の経験が必要です。
弁護士法人アクロピースは累計300件以上の相談実績があり、不動産トラブルに強い弁護士があなたに最適な解決方法をご提案します。
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弁護士法人アクロピース代表弁護士
遺産相続税理士法人アクロピース代表税理士
東京弁護士会・東京税理士会所属
私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」「最高の税務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、法務と税務の両面から最後まで徹底してサポートしますので、不動産問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。