共有不動産の名義を変更する方法とは?必要なケースや手続きの流れを紹介

共有名義の不動産を所有している方の中には以下のように悩んでいる方もいるでしょう。
「共有不動産を所有しているが手放したい」
「名義を変更することはできるのか」
「名義を変更するためにはどのように動けば良いのか」
共有不動産が抱えるリスクは、適切な名義変更を行うことで解消される可能性があります。
共有不動産の名義を変更したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
共有不動産の名義変更は、法的知識が豊富な弁護士への相談がおすすめです。
弁護士法人アクロピースでは、共有物分割請求だけではなく、不動産にまつわるトラブル解決全般に自信がございます。
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共有不動産の名義を変更する3つのケース

共有不動産の名義は、主に以下のケースで変更することがあります。
ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。
相続
共有不動産の名義を変更する1つ目のケースは、相続の場面です。
相続の場面では、だれがどのような割合で財産を相続するのかを話し合うことになりますが、1つの不動産を複数の相続人で共有するケースもあります。
しかし、場面によってはその共有不動産の名義を変更したいと考える相続人もいるのです。
たとえば、「相続分に応じた割合で相続人全員で相続したが、管理を行っている相続人の単独名義に変更したい」というケースや「相続により遠方の親戚と共有名義になってしまい、コミュニケーションを取るのが大変なため単独名義に変更したい」などのケースが考えられます。
法定相続割合の持分で共有名義にした後、遺産分割協議により単独名義に変更すると贈与税はかかりません。
しかし、遺産分割協議による登記をした後に単独名義に変更する場合は、売却や贈与などを行わなければならないため、贈与税や不動産取得税の課税対象となってしまいます。
相続の場面で名義変更を行う場合は、タイミングにも気をつけなければいけません。
離婚
離婚により共有不動産の名義を変更するケースもあります。
離婚をすると夫婦は赤の他人となるため、共有不動産にしておくとさまざまなトラブルが発生するおそれがあるからです。
たとえば、どちらか一方がローンを滞納して家が競売にかけられてしまったり、知らない間に第三者に持分を売却したりすると、トラブルの原因になってしまいます。
共有名義の不動産を売却して分配するのであれば問題ありませんが、どちらか一方が住み続ける場合は、共有名義から単独名義へ変更しておくほうが安心です。
ただし、住宅ローンが残っている場合は同時にローンの名義も変更する必要があるため、債務者変更手続きや借り換え、手放す側が一括返済するなどの方法を検討しなければなりません。
子どもへの譲渡
親子で購入した二世帯住宅などを子どもへ譲渡する場面でも、名義変更を行うことがあります。
親子の共有名義で住宅を購入したものの、親の病気や認知症の発症などをきっかけに子どもの単独名義に変更するケースがあるのです。
ただし、この場合でも贈与や売却の手段により単独名義にする必要があるため、贈与税や不動産取得税の課税対象となります。
その際に契約書を作成しないことがありますが、後にトラブルの原因となってしまうため、親子間の贈与や売買であっても契約書を作成することをおすすめします。
また、共有名義の住宅ローンを組んでいる場合は、債務者変更手続きや借り換えを行わなければないことに注意してください。
共有不動産の名義を変更する方法4選

共有不動産の名義の変更する方法には、以下の4つが挙げられます。
それぞれの方法を選ぶケースや、注意点を紹介します。
贈与
贈与により、名義を変更することができます。
不動産の共有持分の贈与とは、自分が所有している持分を他の人に譲ることです。
贈与は、当事者間の口頭による合意でも有効であり、有償・無償問わず成立します。
そのため、単独所有する側に資金力がないケースで利用されることがあります。
ただし、贈与の場合は、贈与を受けた側に贈与税が課税されることに注意しなければなりません。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさんの共有不動産を贈与によりAさんの単独所有に変更する場合は、Aさんに贈与税がかかります。
対象不動産の評価額の10%〜55%と、高額の贈与税が発生することを理解しておきましょう。
また、口頭のみで取引をすると後にトラブルが発生する可能性があるため、贈与を行う場合は贈与契約書を作成するのが一般的です。
もし複数の共有名義人がいる場合は、各共有者と贈与契約書を作成することとなります。
共有持分の放棄
単独名義にする人以外の共有持分を放棄することで、名義の変更ができます。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさんの共有不動産をAさんの単独所有にするために、BさんとCさんが持分の放棄を行います。
贈与や売却と違い、この方法は共有者が自由に行うことができるため、共有者間の関係が良くないときに利用することがあります。
しかし、他の共有者に告知することなく持分を放棄してしまうとトラブルになる恐れがあるため、スムーズに手続きを進めるためには事前に共有者に相談しておくことがおすすめです。
この方法は、法律上の解釈として原始取得(新たに権利を取得すること)と考えられているため、贈与にはなりません。
しかし、税法上は無償で移転したと取り扱われ「みなし贈与」となり、贈与税が発生するケースがあるため、税負担に注意が必要です。
売却
共有不動産の持分を売却することで、名義変更をすることができます。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさんの共有不動産を売却によりAさんの単独所有にするためには、BさんとCさんがAさんに自身の持分を売却することとなります。
不動産を譲る側に資金力があり、お金により平和的に解決したい場合に利用される方法です。
注意点として、持分を売却したことにより利益を得た場合、所有期間に応じて譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税の所有期間に応じた税率は、以下のとおりです。
所得区分 | 所有期間 | 税率 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 所有期間 5年以下 | 39.63% 所得税:30% 住民税:9% 復興特別所得税:0.63% |
長期譲渡所得 | 所有期間 5年超 | 20.315% 所得税:15% 住民税:5% 復興特別所得税:0.315% |
また、時価より著しく低い金額で売却すると贈与としてみなされてしまい、贈与税がかかります。
売却により名義変更する場合は、適正な価格に設定することを意識しましょう。
以下の記事では、共有持分の売却相場について詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
関連記事:共有持分売却相場はどのくらい?市場価格より安い理由・高く売る方法
財産分与
財産分与をすることで、共有不動産の名義を変更できます。
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を、離婚の際に分配することです。
婚姻中に共有名義の不動産を購入していた場合、財産分与を行いどちらかの単独名義にします。
財産分与の請求期限は、離婚が正式に成立してから2年間と定められています。
また、財産分与の登記を行うためには、遺産分割協議書や離婚調停証書、審判書などの財産分与の内容について記された書類が必要です。
財産分与による名義変更でも、共有名義の住宅ローンを組んでいるのであれば、ローンの名義も単独名義にしなければなりません。
単独名義にすることが難しい場合は、売却して現金を分配することも検討してみましょう。
共有不動産を名義変更するメリット

共有不動産の名義を変更するメリットは、主に以下の2点です。
それぞれを詳しく解説します。
共有者間のトラブルを回避できる
共有不動産の名義変更を行えば、共有者同士のトラブルを避けることができます。
共有不動産には持分が設定されているものの、その割合分しか利用できないというわけではありません。
たとえば、ある不動産をAさん、Bさん、Cさんが1/3ずつで共有していても、Aさんが不動産全体を利用することが可能です。
とはいえ、Aさんを強制的に追い出すことはできません。
また、離婚したにもかかわらず不動産を共有名義で所有している場合は、処分方法を巡って意見が合わないこともあるでしょう。
共有不動産を解消することで、他の一人の共有者のみが不動産全体を利用して、自分が不動産を利用することができない、処分方法を好きに決められない、などのトラブルを防ぐことができます。
共有状態が長引くと相続などで権利関係が複雑化し、不動産の有効活用ができなくなってしまうおそれがあります。
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共有持分が絡むトラブル事例やトラブルを避ける方法は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【共有持分の基礎知識】売却・相続・私道が絡むトラブル事例も紹介
共有不動産を処分する手間が軽減する
共有状態を解消することで、管理や処分の手間を省けるというメリットがあります。
共有不動産の場合、不動産を売却したり賃貸に出したりする際は、共有者全員の同意が必要です。
しかし、共有者間の意見が合わないと希望通りに不動産を活用できない可能性があります。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさんが共有している中古住宅の場合、AさんとBさんが売却したいと言っても、Cさんがそれに反対すると売却は実現しません。
その点、単独名義であれば、自分の意志のみで売却や賃貸などの処分方法を決めることができます。
不動産をスムーズに処分・管理したい方は、単独名義にするのがおすすめです。
共有不動産を名義変更するデメリット

一方、共有不動産の名義変更には以下のデメリットが考えられます。
それぞれのデメリットを見ていきましょう。
変更費用がかかる
共有不動産の名義を変更すると、変更のための費用が発生してしまいます。
名義変更することで、トラブルの回避や手間の軽減などのメリットがあるものの、費用負担に気をつけなければいけません。
名義変更の際にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 贈与税
- 不動産取得税
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 司法書士報酬
不動産取得税とは、不動産を購入したり贈与されたりした際に課税される税金で、登録免許税とは不動産登記を申請する際にかかる税金です。
また、登記手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬も発生します。
名義を変更する不動産の評価額や取引価格が高いほど、各費用も高額になる傾向にあります。
共有不動産の名義変更を行う際は、事前に見積もりを取っておくと安心です。
手続きが大変
共有不動産の名義変更には、手間のかかる手続きが必要です。
名義変更登記を行う場合は、新たに名義人になる方と名義を失う方が法務局に出向き、共同して申請する必要があります。
手続きの負担を軽減するために、司法書士などの専門家に手続きを代行してもらうという方法があります。
依頼には司法書士報酬が別途必要ですが、手続きにかける時間がないという方は、専門家へ相談してみると良いでしょう。
また、申請時には所定の書類が必要です。
準備するべき書類は、次の章で詳しく紹介します。
共有不動産を名義変更する4ステップ

共有不動産の名義を変更する流れは、以下の4ステップです。
各ステップを詳しく解説します。
ステップ1:必要書類を収集する
まず、名義変更登記を行うための書類を集めます。
登記に必要な代表的な書類は以下のとおりです。
- 登記原因証明書情報
- 登記済権利証または登記識別情報
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 固定資産評価証明書
- 実印
- 免許証などの必要書類
- 離婚協議書、財産分与契約書、戸籍謄本(離婚による財産分与の場合)
ただし、ケースによって必要書類が異なるため、事前に司法書士などの専門家や法務局に確認しておくと安心です。
ステップ2:登記申請書類を作成する
次に、登記申請書類を作成します。
登記申請書類とは、登記を申請する際に法務局へ提出する書類です。
登記申請書類は、専用の用紙があるわけでありません。
自身で作成する場合は、法務局のホームページで公開されている申請書の様式や記載例を参考にしてください。
しかし、登記申請書類に不備があると手続きがスムーズに進みません。
書類の作成に不安がある方や手続きを行う時間が取れない方は、専門家への依頼を検討しましょう。
登記申請書類の作成は、法律に詳しい専門家のサポートがあれば安心です。
弁護士法人アクロピースは司法書士など他士業と連携してサポートを行っているため、面倒な手続きもすべて一括して対応させていただきます。
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ステップ3:法務局へ名義変更登記を申請する
登記申請書類の作成が完了すれば、法務局に登記申請を行います。
登記申請を行う方法には、以下の3つがあります。
- 窓口申請
- 郵送申請
- オンライン申請
このうち、オンライン申請は主に専門家が利用する方法のため、自身で申請を行う場合は、窓口または郵送で申請しましょう。
ステップ4:登記識別情報を受領する
申請書を法務局へ提出したあと、一般的に1週間から10日ほどで登記手続きが完了し、登記識別情報が発行されます。
登記識別情報とは、従来の権利証に代わるもので、不動産の登記名義人であることを証明する12桁の符号が記載された書類です。
登記識別情報は登記完了日以降に窓口で受け取れる他、事前に申請すれば自宅や勤務先に郵送してもらうことも可能です。
まとめ|共有不動産の名義変更は状況に応じて使い分けよう
この記事では、共有不動産の名義を変更するケースや方法、メリット・デメリットなどを紹介しました。
- 共有不動産の名義を変更する主な場面として、相続や離婚、子どもへの譲渡などが挙げられる
- 名義変更を行う方法は、贈与や共有持分の放棄、売却や財産分与があり、場面に応じて使い分ける必要がある
- 共有不動産の名義を変更すると、共有者間のトラブルを回避したり、処分する手間を軽減したりするメリットがある
- 一方、変更に費用負担が発生する、変更手続きに手間がかかるというデメリットも存在する
- 名義変更は、必要書類を集め、登記申請書類を作成し申請した後、登記識別情報を受領する流れで行われる
不動産の共有状態は、共有者間のトラブルを引き起こす可能性を秘めています。
そのため、場面に応じて適切に名義変更することで、精神的負担や金銭的負担から解放されるでしょう。
スムーズな共有不動産の名義変更には、法的知識が豊富な専門家に相談することをおすすめします。
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