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共有名義の居住権はどうなる?配偶者居住権との関係やトラブル解決策を徹底解説
「実家を兄弟と共有名義で相続したけれど、自分だけ住み続けて問題ない?」
「離婚後も元夫との共有名義の家に住み続けたい」
共有名義の不動産に住んでいる人や、これから相続や離婚で共有状態になる予定の人にとって、「居住権」は生活の基盤に関わる重要な問題です。
「自分の持分があるから大丈夫」と安易に考えていると、後から高額な使用料を請求されたり、最悪の場合は退去を迫られたりするリスクがあります。
本記事では、共有名義における居住ルールの基本から、相続で重要となる配偶者居住権との関係、トラブルを未然に防ぐ解決策までを詳しく解説します。複雑な権利関係を整理し、安心して住み続けるための適切な選択肢を見つけましょう。
- 共有名義に「自動的な居住権」はないが、住むこと自体は原則可能:共有者には民法249条により「共有物全部を使用する権利」が認められているため、同意なしに住み続けても直ちに不法占拠にはならない。ただし、他の共有者の権利を無視した独占使用はトラブルの原因になる。
- 独占使用と判断されると「使用料(家賃相当額)」を請求されるリスクがある:一人だけが住み続け、他の共有者が利用できない状態が続くと、不当利得として使用料の支払い義務が生じる可能性が高い。「持分があるから無料で住める」と考えるのは危険。
相続でも共有名義だと「配偶者居住権」が使えないケースがある:被相続人が配偶者以外の第三者と建物を共有していた場合、配偶者居住権は成立しない。誰と共有しているかによって、制度が使えるかどうかが決定的に分かれる。 - トラブル回避の最重要ポイントは「書面化」と「登記」:誰が住むのか、税金等の負担をどうするのかは、口約束ではなく書面による合意で明確にすべき。配偶者居住権を利用する場合は、登記をしなければ第三者に対抗できない。
- 共有状態が限界なら「共有解消」を前提に考えるべき:持分の買取、持分売却、換価分割(全体売却)、リースバックなど、共有名義を解消する選択肢は複数ある。精神的・経済的な負担が大きい場合、早期に出口戦略を検討することが重要。
- 感情論でこじれる前に、専門家への相談が最短ルート:共有名義の居住問題は、法的権利と生活実態が衝突しやすい。話し合いが難航する前に、共有不動産に強い弁護士へ相談することで、不要な紛争を防ぎやすくなる。
共有名義の居住権に関するお悩みは、弁護士法人「アクロピース」にお任せください。不動産の共有名義トラブルに精通した弁護士が、個々のケースに併せて適切な解決策を提案いたします。初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
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共有名義の不動産に「居住権」はある?基本的ルールを解説
共有名義の不動産において、特定の「居住権」という強力な権利が自動的に発生するわけではありません。しかし、民法の規定により、共有者がその不動産を使用するためのルールが明確に定められています。
ここからは、共有者に認められている権利など、共有名義の不動産に関する基本的なルールを解説します。

共有名義の不動産は、「自分の持分があるから安心」と思われがちです。しかし、使用料請求や退去問題など、思わぬトラブルに発展しやすい領域といえます。
とくに相続や離婚が絡むと、権利関係は複雑になりがちです。本記事を通じて、誤解しやすいポイントと適切な予防策を理解し、安心して暮らせる環境づくりに役立ててみてください。
共有者には「共有物全部を使用する権利」がある(民法249条)
共有名義の不動産において、各共有者はその持分の割合にかかわらず、不動産の「全部」を使用する権利を持っています。
これは民法第249条で定められた法的な権利であり、持分が10分の1であっても2分の1であっても変わりません。
民法第249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
出典:e-Gov法令検索|民法
たとえば、兄弟で実家を相続し共有名義になった場合、持分が少ない弟であっても兄に対して遠慮することなく実家に住む権利が保障されています。
「持分が少ないからリビングしか使えない」「部屋の半分しか権利がない」といった制限はなく、物理的に家全体を利用することが可能です。
しかし、「自分だけが独占して良い」という意味ではありません。他の共有者の権利も尊重しなければならない点に注意が必要です。
同意なしでも不法占拠とはならない同意なしで住み続けても不法占拠にはならない
共有者の一人が他の共有者の同意を得ずに住み続けていたとしても、すぐに「不法占拠」にはなりません。前述の通り、共有者は共有物の全部を使用する権利を持っているためです。
最高裁判所も、以下のように判示しています。
共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然にはその占有する共有物の明渡を請求することができない
したがって、家に住んでいない他の共有者が「勝手に住んでいるから出て行け」と明け渡しを請求しても、法的には認められないのが原則です。共有者による使用は正当な権利行使とみなされ、明渡請求は棄却されます。
しかし、「住む権利」があるというだけで、無条件に何でも許されるわけではありません。他の共有者との協議や合意がないまま住み続けると、後述する家賃相当額の支払いが必要になる等、法律問題に発展します。



法的に追い出されないからといって話し合いを拒否するのではなく、誠実な対応を心がけましょう。
「独占使用」と判断されると費用負担(使用料)が必要な場合がある
共有者の一人が不動産を独占して使用している場合、他の共有者に対して「使用料(家賃相当額)」を支払わなければならない可能性があります(民法第249条第2項)。
民法上の「不当利得」の考え方に基づくもので、一人が独占することで他の共有者が本来得られたはずの利益を侵害しているとみなされるためです。
具体的には、以下のようなケースで費用負担が求められます。
| 判断基準 | 具体的な状況 | 結果 |
|---|---|---|
| 独占性 | 特定の共有者のみが鍵を管理し、他者を入れない | 使用料請求の対象 |
| 合意の有無 | 「無償で住んで良い」という合意がない | 不当利得返還義務が発生 |
| 持分割合 | 自分の持分を超えて利益を得ている | 超過分の対価支払いが必要 |
親族間であっても、長期間の独占使用は金銭トラブルに発展しやすいため、あらかじめ使用料や管理費の負担について取り決めておくことが重要です。
【相続の場合は要注意】「配偶者居住権」と共有名義の関係
2020年4月から施行された「配偶者居住権」は、残された配偶者が自宅に住み続けられる権利を守る画期的な制度です。
共有名義の不動産であっても、条件を満たせばこの権利を活用できます。しかし、「誰と共有しているか」によっては使えないケースがあるため注意が必要です。
ここでは、配偶者居住権の概要や認められるために必要な要件を解説します。
配偶者居住権とは?住む権利と所有権を分ける仕組み
配偶者居住権とは、家に住み続ける権利を別枠で確保し、残された配偶者が、遺産分割において、生活資金として必要な現金を多く相続できるようにするための制度です。
従来の相続では、自宅の価値が高い場合は預貯金を十分に受け取れず、残された配偶者の老後の生活資金がない事態に陥りやすい問題がありました。
そこで、建物の価値を「配偶者居住権(住む権利)」と「負担付所有権(その他の権利)」の2つに分解することで、家の権利を安く抑えてその分の現金を確保する仕組みが作られました。
配偶者居住権と負担付所有権の主な特徴は、以下のとおりです。
| 配偶者居住権 | ・自宅に終身(または一定期間)無償で住み続けられる権利 ・所有権ではないため勝手に売却したり建て替えたりはできない ・固定資産税の負担などは発生しないケースが多い |
|---|---|
| 負担付所有権 | ・家を所有する権利 ・配偶者居住権の取得者が生きている間は、勝手に売ったり追い出したりできない |
たとえば、遺産総額が5,000万円(自宅2,000万円・現金3,000万円)で、妻と子ども1人が半分ずつ(2,500万円ずつ)相続するケースで考えてみましょう。
従来、妻が自宅に住むためには、自宅の所有権(2,000万円)を全て相続する必要がありました。この場合、子どもが受け取る現金2,500万円と価値を合わせると、妻が確保できる現金は500万円しかありません。
しかし、仮に配偶者居住権の評価が1,000万円であった場合、配偶者居住権を活用すると、自宅の価値2,000万円を「配偶者居住権(1,000万円)」と「所有権(1,000万円)」に分けられます。結果、妻は住む場所を確保しながら現金1,500万円を確保することが可能となるです。
配偶者居住権が認められる3つの要件
この権利は「配偶者なら自動的にもらえる」ものではありません。相続開始時に以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。
- 被相続人の配偶者であること(法律婚に限る。内縁は対象外)
- 相続開始時に、被相続人の財産に属した建物に居住していたこと
- 被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していなかったこと
出典:e-Gov法令検索|民法
まず、亡くなった人(被相続人)の法律上の配偶者に限ります。長年連れ添った内縁の妻・夫には認められません。
また、被相続人が亡くなった時点で、実際にその家に住んでいた事実が必要です。別居していた場合は原則対象外となる点に注意しましょう。
加えて、遺産分割協議や遺言で権利を取得することも重要です。「配偶者居住権を設定する」との遺言を用意し、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で合意する必要があります。
被相続人が第三者と共有名義だった場合は成立しない
被相続人(亡くなった夫や妻)が、配偶者以外の人と建物を共有していた場合、配偶者居住権は成立しません(民法1028条1項)。共有者である第三者の権利が不当に害されてしまうためです。



たとえ遺言に「妻に配偶者居住権を遺す」と書いてあっても、この要件に該当すると無効となります。
現在、不動産を「誰と共有しているか」が判断基準となります。以下の表で、ご自身の状況がNGパターンに当てはまらないかを確認してみてください。
| 建物の名義状況 | 配偶者居住権の成否 | 解説 |
|---|---|---|
| 夫の単独名義 | ○成立する | 最も一般的なケース。問題なく設定可能。 |
| 夫婦の共有名義 | ○成立する | 妻自身が持分を持っているのでOK。 |
| 夫と「夫の兄弟」の共有 | ×成立しない | 第三者(兄弟)の所有権使用を制限してしまうためNG。 |
| 夫と「夫の父」の共有 | ×成立しない | 共有者が誰であれ、配偶者以外ならNG。 |
配偶者居住権が認められなくなる共有分割の方法
相続の場面では、「とりあえず全員で共有にしておこう」という判断が取られることがあります。しかし、共有分割が原因で配偶者居住権が成立しなくなるケースがあるため注意が必要です。
とくに注意したいのは、以下のケースです。
- 「とりあえず共有で相続して、あとから考えよう」
- 「名義を分けたほうが公平そうだから」
たとえば、被相続人が単独名義で所有していた自宅について、「配偶者と子どもがそれぞれ持分2分の1ずつ取得する」と共有分割した場合を考えてみましょう。
この場合、形式上は相続人同士の共有にすぎません。しかし、配偶者居住権を設定しようとする時点では、建物がすでに配偶者以外の者(子ども)との共有状態になっています。
配偶者居住権は、相続の「最初の分け方」で結果が決まる制度であり、後から修正するのが難しい点が大きな特徴です。配偶者が自宅に住み続けることを最優先に考えるのであれば、配偶者居住権を前提とした遺産分割を検討しましょう。
【状況別】共有名義で居住権トラブルになりやすいケース
共有名義の不動産は、良好な人間関係を前提に成り立っている不安定な状態です。関係性が変化した場合は、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
ここからは、共有名義で居住権トラブルになりやすいケースを以下の状況別に解説します。
トラブルの防止や早期対策のためにも、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:共有名義の不動産売却はトラブルに要注意!回避策とスムーズに売る方法
相続の場合|実家を兄弟で共有して一人が住み続けているケース
親の死後、実家を兄弟姉妹で共有相続するのはよくある状況です。しかし、特定の兄弟がそのまま住み続ける場合、他の兄弟から以下のような不満が出やすくなります。
- 「自分は家賃を払って別の場所に住んでいるのに不公平」
- 「固定資産税の負担だけ毎年請求されるのは納得できない」
- 「実家を売って現金を分けたいのに、住んでいるから売れない」
相続時は仲が良くても、それぞれの配偶者の意向や経済状況の変化により、数年後にトラブル化することも珍しくありません。
離婚の場合|夫婦共有名義のマンションに夫(妻)が残るケース
共働き夫婦がペアローンなどでマンションを購入し、その後離婚することになった場合もトラブルになりやすいケースです。
離婚後もどちらか一方が住み続ける場合、以下のようなリスクが残ります。
- 住宅ローンの返済滞納リスク
- 財産分与と使用料の対立
出て行った後も連帯債務者や連帯保証人のままの場合、住んでいる元配偶者がローンを滞納すると、督促が来たり信用情報に傷がついたりする可能性があります。
また、出て行った側は自分の持分に対する「家賃相当額」を請求する権利がありますが、養育費などと相殺するのか、別途支払うのかで揉めるケースも珍しくありません。
とくに、オーバーローン(売却額よりローン残債が多い状態)の場合は売るに売れず、共有名義のままなし崩し的に生活を続けるケースが多いです。再婚時などにトラブルの原因となる可能性があるため、注意が必要です。
親子共有の場合|二世帯住宅などで相続発生後に揉めるケース
二世帯住宅を親子で共有している場合、親が亡くなった後に「他の兄弟(同居していない子ども)」との間で争いが起きるケースは珍しくありません。
同居していた兄弟は「親の面倒を見てきたから家は自分が継ぐべき」と考えますが、他の兄弟にも平等な法定相続分があります。
結果として、以下のようなトラブルに発展する可能性があるでしょう。
- 他の兄弟から「代償金(持分相当の現金)」を請求される
- 現金がない場合、遺産分割のために自宅を売却せざるを得なくなり、住処を追われる



共有持分は相続財産に含まれるため、遺言書がない限り遺産分割協議の対象となる点に注意が必要です。
共有名義の居住権に関するトラブルを防ぐ・解決する方法
トラブルを未然に防いだり、解決したりするためには、曖昧な状態を解消して「ルール化」することが欠かせません。
主な方法として、以下の3つが挙げられます。
以下、それぞれ具体的に解説します。
誰が住むのか・費用負担はどうするかを「書面」で残す
「家族だから口約束で大丈夫」と考えるのではなく、賃貸借契約に近い形でルールを明文化することが大切です。合意書や覚書を作成することで、「言った言わない」の水掛け論を防げます。
書面には、以下4つの項目を必ず盛り込みましょう。
| 項目 | 決めておくべき具体的内容 |
|---|---|
| 1.使用者の特定 | 誰が居住し、誰が居住しないのか |
| 2.金銭の精算 | 家賃相当額(使用料)を払うのか、固定資産税と相殺にするのか |
| 3.契約期間 | 「〇年間」または「子どもが成人するまで」などの期限 |
| 4.解除・退去条件 | ルールを破った場合(使用料の滞納など)のペナルティ |
とくに、「固定資産税の負担」と「使用料の有無」はトラブルの火種になりやすいため、金額まで具体的に記載しましょう。
配偶者居住権を利用する場合は必ず登記を行う
配偶者居住権は、遺産分割協議で合意しただけでは不十分です。権利を確実にするためには、法務局での「配偶者居住権の設定登記」が必須となります。
登記がなければ、もし所有者(子どもなど)が勝手に第三者に売却してしまった場合、新しい所有者に対して住む権利を主張できません。最悪の場合、家を追い出されるリスクがあります。



安心して住み続けるためにも、専門家に相談して登記まで完了させましょう。
話し合いがまとまらない場合は早めに弁護士に相談する
当事者同士での話し合いが感情的になり、罵り合いや無視などの状態になった場合、自分たちだけで解決するのは困難です。無理に説得しようとせず、弁護士などの専門家を代理人として立てましょう。
弁護士が入ることで、以下のようなメリットが得られます。
- 法的な観点からの的確なアドバイスを受けられる
- 法的手続きによるトラブルの円満・迅速な解決が期待できる
- 煩雑な手続きや書類作成を任せられる
また、「弁護士が出てきた」となれば、相手も事態の深刻さを理解し、話し合いで解決できる可能性が高まるでしょう。



初回相談無料の弁護士事務所も存在します。まずは気軽に相談してみることが大切です。
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共有名義のまま住み続けるのが難しい場合の対処法
話し合いの結果、共有状態を維持することが難しい場合や、精神的ストレスが限界に達した場合は、共有名義そのものを解消する必要があります。
主な解消方法は以下の4つです。
以下、それぞれ詳細に解説します。自身の経済状況に合わせ、適切な対処法を選択しましょう。
他の共有者の持分を買い取って単独名義にする
住み続けたい人が他の共有者から持分を買い取り、自分の所有物にする方法も一つです。共有関係を完全に解消できるため、将来的なトラブルを根絶できる理想的な解決策といえるでしょう。
単独名義になれば、リフォームや建て替えや将来の売却を単独で決定することが可能です。複雑な共有状態を引き継がずに済むため、次世代に相続する際の負担も減らせます。
ただ、相手に支払う「買取資金」の用意が必要です。親族間の買取では通常の住宅ローンが使えない恐れもあるため、融資を受ける場合は事前に金融機関に相談しておきましょう。
関連記事:共有持分の買取請求とは?3つの請求方法と買取成功のポイント・注意点も解説
自分の持分を売却して引っ越す
家そのものへの執着がなければ、自分の持分を売却して現金化し、新居へ引っ越すのも効果的な選択肢です。売却方法には、以下の2つがあります。
- 相手に売る:他の共有者に買い取ってもらう(相手に資金力が必要)
- 第三者に売る:自分の持分だけを専門の不動産会社(買取業者)に売却する
自分の持分だけであれば、相手の同意は必要なく、自由なタイミングで売却可能です。
しかし、第三者(買取業者)に売却する場合、いわゆる「訳あり物件」扱いとなります。市場相場よりも価格が大幅に安くなる(50%〜70%程度)傾向があることを覚えておきましょう。
以下の記事では、共有持分の倍薬に関するトラブル回避のポイントについて詳しく解説しています。併せて参考にしてみてください。
関連記事:共有持分は売却できる?同意なしで売れる理由やトラブル回避のポイントを弁護士が解説
不動産全体を売却して現金を分ける
共有者全員が「家を手放しても良い」と考えているなら、不動産全体を売却し、諸経費を引いた現金を共有持分に応じて分配する方法がおすすめです。これを「換価分割」と呼びます。
通常の売却と同じように市場価格で売れる可能性が高く、全員が公平に現金を受け取れるため、後腐れがない解決策といえます。
売却の手順は、以下の通りです。
- 1.共有者全員で売却に合意する
- 2.不動産会社に仲介を依頼する
- 3.売買契約を締結し、決済を行う
- 4.諸経費を差し引いた残金を、持分割合に応じて振り分ける



全員の協力が必要不可欠ですが、資産価値を最大限に活かせるメリットがあります。
関連記事:共有名義のマンションを売却するには?売却方法や費用・注意点を弁護士が解説
リースバックを利用して売却後に賃貸として住む
リースバックとは、不動産会社や投資家に自宅を売却し、その後は賃貸借契約を結んでそのまま住み続ける仕組みのことです。所有権は手放しますが、家賃を支払うことで、売却後も引越しをせずに暮らし続けられます。



「共有名義は解消したいけど、引越しはしたくない」という人に適しています。
主なメリットとデメリットは、以下のとおりです。
| メリット | ・共有関係が解消される ・売却益を共有者で分配できる ・引越しの手間がない |
|---|---|
| デメリット | ・毎月の家賃が発生する ・家賃が相場より高くなる場合がある ・売却価格は相場より安くなる |
高齢でローンの借り換えが難しいケースや、住環境を変えずに資産整理をしたい場合に有効な手段といえるでしょう。
関連記事:共有名義の解消方法とは?手続きについてもわかりやすく解説
共有名義で居住権を守るための手続きの流れ
実際に権利関係を整理し、居住権を確定させるためのステップを具体的に紹介します。後々の紛争リスクを減らすためにも、順序立てて手続きを進めましょう。
ステップ1|共有者間での話し合いをする
まずは、共有者全員で「今後この不動産をどう管理・処分するか」について、膝を突き合わせて話し合うことから始めましょう。
この段階では、単に「住みたい」「売りたい」という結論を急ぐのではなく、お互いの事情や希望を洗い出すことが重要です。具体的には、以下の項目を漏れなく確認し、全員の認識をすり合わせる必要があります。
- 居住者と期間:誰がいつまで住むのか(期限を決めるか、終身か)
- 金銭負担:家賃(使用料)、固定資産税、修繕積立金を誰が払うか
- 将来の出口戦略:将来的に売却するのか、誰かが買い取るのか
共有者間での話し合いは感情的になりやすく、過去の確執が再燃して議論が平行線になることも少なくありません。
当事者だけで冷静な議論が難しいと感じた場合は、早い段階で弁護士などの専門家を交えて、論点を整理しながら進めることが大切です。
ステップ2|合意内容を「公正証書」などに記録する
話し合いで合意が得られたら、法的な効力を持つ書面に残しましょう。とくに、家賃の支払いや将来的な売却の約束が含まれる場合は、「公正証書」を作成することが大切です。
私的な覚書と公正証書には、以下のような決定的な違いがあります。
| 項目 | 私的な覚書(念書) | 公正証書 |
|---|---|---|
| 作成者 | 当事者同士 | 公証人(元裁判官など) |
| 証拠能力 | 比較的低い(偽造のリスクあり) | 極めて高い |
| 強制執行 | 裁判が必要 | 裁判なしで差押え可能 |
公正証書の最大のメリットは「強制執行認諾文言」を付記できる点です。万が一約束された金銭の支払いが滞った場合でも、裁判を起こすことなく給与や財産を差し押さえられます。



作成には手数料がかかりますが、将来のトラブルを防ぐ保険料と考えれば高くない出費といえるでしょう。
ステップ3|必要に応じて居住権の登記をする
配偶者居住権を利用する場合や、賃貸借契約としての権利を第三者に対抗(主張)したい場合は、法務局での登記手続きが欠かせません。
とくに配偶者居住権は、遺産分割協議で合意しただけでは不十分です。登記簿に記載されて初めて、第三者に対して「自分には住む権利がある」と法的に主張できるようになります。
もし登記を怠ると、以下のようなリスクに直面する可能性があるでしょう。
- 所有者が勝手に家を売却した場合、新所有者に対抗できず退去を迫られる
- 所有者が借金をして家が差し押さえられた際、居住権を主張できない
- 相続発生時に権利関係があやふやになり、次世代でトラブルになる
登記手続きには、登録免許税(固定資産税評価額の一定割合)や司法書士への報酬といった費用が発生します。
必要書類も多岐にわたり手続きも複雑なため、弁護士や司法書士に依頼し、確実かつスムーズに進めることが大切です。
共有名義の不動産の居住権に関するよくある質問
共有名義の家から追い出されそうになった場合の対処法は?
他の共有者が合鍵を使って勝手に入ってきたり、「出て行け」と脅してきたりする場合でも、出ていく義務はありません。
共有者である以上、物件を使用する正当な権限(持分権に基づく使用収益権)があるためです。
法的に住む権利があることを伝え、退去を拒否しましょう。身の危険を感じる場合は、鍵を交換することも選択肢の一つです。



暴力や暴言がひどい場合は警察へ相談し、DV防止法に基づく保護命令などを検討しましょう。
共有者が勝手に家を売却してしまうことはある?
共有者の一人が、あなたの同意なしに「家全体」を売却できません。売却の移転登記には、共有者全員の実印と印鑑証明書が必要になるためです。
しかし、その共有者の持分だけであれば、勝手に売却できます。共有者が自分の持分だけを、見ず知らずの不動産会社や投資家に売却することは自由です。
見知らぬ不動産業者や投資家が突然共有者となり、共有物分割請求訴訟を起こされるリスクがある点は理解しておきましょう。
固定資産税は住んでいる人が全額支払うべき?
固定資産税には、共有者全員が支払責任を負う「連帯納税義務」があります。代表者に納付書が届くものの、本来は持分割合に応じて負担するのが原則です。
しかし、居住者と非居住者の間には「不動産を利用できるか否か」という利益の差が生じます。バランスを取るため、「居住者が固定資産税を全額持つ代わりに、家賃を免除する」という運用が一般的です。
明確な合意がない場合、非居住者から税金の分担と家賃の双方を求められる可能性があるため、事前の取り決めが欠かせません。
まとめ|共有名義の居住権問題は専門家に相談し、早めの対処を心がけよう
共有名義の不動産における居住権は、法的な持分と現実の生活がぶつかりやすいデリケートな問題です。法律で定められた権利を理解し、適切に対処する必要があります。
ただ、親族間の話し合いだからこそ、感情的になって話し合いが難しくなる可能性も高いでしょう。当事者だけでの解決が難しいと感じた場合は、できるだけ早めに共有不動産の問題解決に詳しい弁護士に相談することが大切です。



自身の権利を適切に主張するためにも、まずは専門家に相談してアドバイスを受けてみましょう。
共有名義の居住権に関するお悩みは、弁護士法人「アクロピース」にお任せください。不動産の共有名義トラブルに精通した弁護士が、個々のケースに併せて適切な解決策を提案いたします。初回60分の無料相談も実施しているので、まずはお気軽にご相談ください。
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