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明け渡し訴訟とは?手続きの流れや費用・期間・必要な準備を弁護士が徹底解説

「契約違反を繰り返す入居者に退去してほしい」
「不法占拠している相手を法的に退去させたい」
このような賃貸トラブルは、オーナーにとって深刻な問題です。話し合いで解決できれば最善ですが、交渉が難しい場合は法的手段として「明け渡し訴訟」が必要になります。
しかし、訴訟と聞くと「手続きが複雑そう」「費用や期間はどれくらいかかるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、不動産トラブルにおける最終手段である明け渡し訴訟の概要や訴訟が認められるケース、訴訟前の準備から強制執行までの具体的な流れを解説します。また、必要な費用や期間についても説明します。
明け渡し訴訟について悩みを抱えている方は弁護士法人アクロピースにお任せください。
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明け渡し訴訟とは?基本情報を解説
明け渡し訴訟を実施するなら、明け渡し訴訟とは何か、どのような条件で認められるのかについて理解を深めることが大切です。
ここからは、明け渡し訴訟の概要や要件を詳しく解説します。
明け渡し訴訟とは|入居者を強制的に退去させる法的手続き
明け渡し訴訟は、物件の占有者(入居者)を法的な根拠に基づき退去させるための民事訴訟です。
オーナーが自分で鍵を開けて入室したり、荷物を運び出したりする行為は、判例上確立された『自力救済禁止の原則』により、原則として許されません(最高裁昭和40年12月7日判決)。
しかし、明け渡し訴訟で勝訴判決が確定すれば、法的な強制力を持つ「債務名義」を獲得することが可能です(民事執行法第22条)。
もし入居者が判決に従わず退去しない場合は、この債務名義に基づき裁判所の執行官による「強制執行」を申し立てられます。
弁護士 佐々木一夫明け渡し訴訟は、国家権力による強制的な退去を実現するために不可欠なステップといえるでしょう。
関連記事:不法占拠者に対する明け渡し請求とは?手続きの流れや注意点を徹底解説
訴訟が認められる法的要件
明け渡し訴訟が裁判所に認められるためには、単に「退去してほしい」というオーナーの希望だけでは不十分です。「賃貸借契約の解除が有効であること」が求められます。
そして、契約解除が有効と認められるためには、オーナーと入居者との間の「信頼関係が破壊された」と客観的に判断される事情が欠かせません。
具体的には、以下のような要件が求められます。
| 契約違反の事実 | 最たるものに、賃料の滞納が挙げられます。滞納期間のほか、賃借人の誠意や過去の支払状況、滞納に至った経緯等を総合的に考慮して判断されます(最高裁昭和39年7月28日判決)。 また、ペット禁止物件での飼育、無断での転貸、契約と異なる用途での使用など、契約条項への重大な違反も該当します。 |
|---|---|
| 契約解除の意思表示 | 滞納や違反に対し、相当の期間を定めて是正を求め(催告)、応じない場合に契約を解除する旨を明確に通知していることが必要です。 |
これらの要件が証拠によって裏付けられて初めて、裁判所は明け渡し請求を認める判決を下します。
関連記事:強制退去でアパートを明け渡してもらう条件は?手続きの流れや費用、注意点も解説
明け渡し訴訟を検討すべき具体的なケース
明け渡し訴訟は、時間も費用もかかる手段です。そのため、話し合いによる任意退去の交渉を尽くすことが大前提となります。
しかし、法的手続きへの移行を早急に検討すべきケースも存在します。明け渡し訴訟を検討すべき具体的なケースは、主に以下の3つです。
自身の状況が、これらに当てはまるかを確認してみてください。
ケース1|賃料滞納が続いている場合
典型的なケースが、賃料の滞納です。
賃貸借契約における賃料の支払いは借主の最も基本的な義務です。住居という生活に不可欠のものであることから、不払い期間が短期におさまるのであれば支払いが受けられることが期待できます。ただ、不払いが長期にわたる場合には賃貸借契約における信頼関係の破壊があったと評価されうるでしょう。
たとえば、1か月程度の滞納であれば、すぐに信頼関係が破壊されたとは認められにくい傾向にあります。
しかし、滞納が3か月分以上に達し、督促をしても支払いがない場合や連絡すら取れない状況では、信頼関係は破壊されたと判断される可能性が高くなります。
滞納額が積み重なるほど、入居者の支払い能力も低下し、回収が困難になります。任意での支払いが期待できず、滞納が常態化している場合は、損害拡大を防ぐためにも訴訟を検討すべきです。
関連記事:家賃滞納されたらどこに相談すべき?相談窓口や対応方法を弁護士が解説
ケース2|無断転貸・用法違反など契約違反がある場合
賃料は支払われていても、契約内容に重大な違反がある場合も、明け渡し訴訟の理由となります。契約内容に重大な違反がある場合は、物件の管理秩序や安全性が損なわれ、オーナーが受ける損害も大きくなるためです。
主な契約違反の例は、以下のとおりです。
| 無断転貸 | オーナーの承諾なく、第三者に又貸しする行為 |
|---|---|
| 無断増改築 | 物件の構造に影響を与えるようなリフォームを無許可で行う行為 |
| 用法違反 | 居住用として貸した物件を事務所や店舗として使用する行為 |
| その他の迷惑行為 | ペット飼育禁止物件での飼育、騒音や悪臭を繰り返し発生させ、他の入居者に多大な迷惑をかける行為 |
これらの違反を発見した場合は、まず是正を求め、応じない場合に契約解除と訴訟を検討しましょう。
関連記事:騒音を理由に強制退去させることはできる?条件や注意点、費用に関して弁護士が徹底解説
ケース3|契約関係のない入居者が居座っている場合
賃貸借契約関係がない人物が、物件を不法に占拠しているケースもあります。
たとえば、契約者本人が死亡したり、夜逃げ同然に退去したりした後、その同居人がそのまま居座り続ける場合です。
ただし 同居人が相続人である場合や、内縁関係にある配偶者に相当する人物である場合など、法律上一定の保護を受ける立場にあるケースも存在します。そのため、「契約関係がない=必ずしも居住権がない」とは言い切れない点に注意が必要です。
一方で、これらに該当しない人物については、オーナーとの間に賃貸借契約がないため、原則として正当な占有権を主張できません。
任意の退去に応じない場合には、最終的に 明け渡し請求(明渡訴訟) を提起して、法的に退去を求める流れとなります。
明け渡し訴訟の前にしておくべきこと
準備不足のまま裁判所に訴状を提出しても、勝訴はおろか手続きを進めることすらできません。訴訟を提起する前には、法的な要件を満たし、証拠を固めるための「準備」が重要です。
明け渡し訴訟の前にしておくべきことは、主に以下の4つです。
準備を丁寧に行うことで、訴訟を有利に進められるだけでなく、訴訟前の交渉で解決できる可能性も高まります。ぜひ参考にしてみてください。
契約関係・滞納状況などの信頼関係破壊を示す「証拠整理」
民事訴訟は「証拠」がすべてです。
オーナー側の主張が正しいことを客観的に証明する資料を、事前にすべて揃える必要があります。口約束や「たぶんそうだったはず」という記憶だけでは、裁判所は認めてくれません。
以下の資料は、明け渡し訴訟において必須の証拠となります。
| 証拠資料の分類 | 具体的な資料名 | 証明する内容 |
|---|---|---|
| 契約関係 | 賃貸借契約書 | 誰とどのような条件で契約したか |
| 物件の登記簿謄本 | オーナーが所有者であること | |
| 滞納・違反 | 賃料台帳、入金履歴(通帳) | いつから、いくら滞納しているか |
| 督促の記録(電話メモ、手紙) | 支払いを求めた事実 | |
| 違反状況の写真、近隣からの苦情 | 契約違反の具体的な内容 | |
| 解除関係 | 内容証明郵便(配達証明付) | 催告と契約解除の意思表示をした事実 |
これらの証拠がなければ、「信頼関係の破壊」を立証することは困難です。また、弁護士に相談する際も、これらの資料を持参することでスムーズに見通しを立てられます。
電話や書面による支払い催告と任意交渉
訴訟の前に、まずは話し合いによる解決(任意交渉)を試みるのが鉄則です。
電話や訪問、通常の郵便(督促状)などにより、入居者にコンタクトを取りましょう。任意交渉で解決できれば、訴訟にかかる費用や時間を大幅に節約できます。
そのため、単に支払いを求めるだけでなく、相手の状況や支払い意思を確認することも大切です。主に、以下の項目について尋ねてみましょう。
- なぜ支払えないのか(失業、病気など)
- いつまでに支払えるのか
- 分割での支払いを希望するか
- 支払いが不可能であれば、いつ退去できるか
もしこの段階で具体的な支払い計画や退去日が合意できれば、「合意書」や「念書」といった書面で残すことが重要です。
また、交渉の記録(いつ電話したか、どのような返答だったか)は、後の訴訟で「交渉を尽くした」証拠としても役立ちます。
関連記事:家賃滞納で1ヶ月遅れが生じた場合の対処法!NG行為や予防策も紹介
内容証明郵便による「契約解除」の通知
任意交渉に応じない、あるいは合意した内容が守られない場合、法的手続きの第一歩として「内容証明郵便」を送付します。
通常郵便でも有効ですが、後日の紛争に備え、送付日時と内容を公的に証明できる内容証明郵便(配達証明付)を利用しましょう。
内容証明郵便には、以下の2点を記載することが大切です。
| 1.催告 | 「〇年〇月〇日までに、滞納賃料〇〇円を支払ってください」という、相当の期間(通常7日〜10日程度)を定めた支払いの要求 |
|---|---|
| 2.契約解除の意思表示 | 「上記期限までに支払いがない場合、何らの通知をせずとも本賃貸借契約を解除します」という、期限を徒過した場合の自動的な契約解除の通知 |
内容証明郵便(「配達証明」付き)で送ることで、「いつ、どのような内容の文書を、相手が受け取ったか」を公的に証明できます。



訴訟において必須の証拠となるため、必ず実施しましょう。
出典:日本郵便|内容証明とは
占有移転禁止の仮処分
明け渡し訴訟の途中で、入居者が第三者に物件の占有を移してしまう(又貸しする、住まわせる)リスクがあります。
もし占有者が変わってしまうと、たとえ元の入居者に対する勝訴判決を得ても、新しい占有者に対してはその効力が及ばず、強制執行ができません。
この最悪の事態を防ぐため、裁判所に対して「占有移転禁止の仮処分」を申し立てます。これが認められると、執行官が現地に赴き、その時点での占有者を確定し、第三者への占有移転を禁止する旨の公示書を物件内に貼り出します(民事保全法第62条)。
また、占有者が不明な場合や、訴訟中に占有者が頻繁に変わる悪質なケースでは、『債務者を特定しない占有移転禁止の仮処分』(民事保全法第25条の2)を申し立てることも可能です。



訴訟提起と同時、またはその直前に申し立てるのが一般的です。
【ステップで解説】明け渡し訴訟から強制執行までの流れ
明け渡し訴訟の準備が整ったら、いよいよ法的な手続きを開始します。裁判所に訴状を提出してから、実際に物件の明け渡しが完了するまでには、明確なステップが存在するのが特徴です。
ここでは、訴訟提起から強制執行までの全体像を、5つのステップに分けて具体的に解説します。
各段階で何が行われるのかを正確に把握しておくことが重要です。
ステップ1|訴訟提起(裁判所への訴状提出)
まず、物件の所在地を管轄する裁判所に「訴状」を提出します。訴額(請求する金額や物件の固定資産評価額)に応じて、提出先が異なります。
主な提出先は、以下のとおりです。
訴状には、「誰に対し、何を請求するのか(建物の明け渡し、滞納賃料の支払い)」を明記します。併せて、ステップ3で準備した証拠書類(賃貸借契約書・内容証明郵便・賃料台帳など)の写しを添付しましょう。
また、訴状の提出時には、裁判所に納める「収入印紙(手数料)」と「郵便切手(書類送達用)」が必要です。
ステップ2|口頭弁論(答弁書の確認・主張)
裁判所が訴状を受理すると、被告(入居者)に対し、訴状の副本と第1回口頭弁論期日の「呼出状」を送達し、答弁書の提出を求めます。
期日当日は、原告(オーナー)と被告(入居者)がそれぞれ裁判官の面前で主張を行うのが特徴です(口頭弁論)。
逆に、被告が出頭した場合は、被告が欠席して答弁書も提出しない場合は、原告の主張をすべて認めたとみなされ、即日勝訴判決が出ることも珍しくありません。
また、裁判所から和解(話し合いによる解決)をすすめられることも多く、この段階で退去日や滞納賃料の支払いについて合意に至るケースもあります。
ステップ3|判決(勝訴判決の取得)
和解に至らず口頭弁論が終結し、双方の主張と証拠が出揃って裁判所が判断できるようになると結審し、「判決」を下します。
オーナー側の主張が認められれば、「被告は建物を明け渡せ」という内容の勝訴判決が言い渡されます。
この判決書が送達され、当事者双方が判決書の送達を受けた日からの不変期間(控訴期間)である2週間以内に控訴の提起がなければ、判決は確定します(民事訴訟法第285条、第116条)。
この期間内に、原告・被告いずれも上級裁判所に不服を申し立てる「控訴」が可能です。



控訴がなければ、判決は確定し、これが強制執行を行うための「債務名義」となります。
ステップ4|強制執行の申し立て(判決が出ても退去しない場合)
勝訴判決が確定しても、入居者が任意に退去しない場合があります。判決は、あくまで「明け渡せ」と命じるものであり、自動的に退去が実現するわけではありません。
この場合は次のステップとして、裁判所の「執行官」に対し「強制執行の申し立て」を行います。
この申し立てには、以下の書類が必要です。
- 債務名義(確定した判決正本)
- 送達証明書(判決が相手に送達されたことの証明)
- 執行文(判決に強制執行力があることを証明する書類)
申し立てが受理されると、いよいよ国家権力による強制的な退去手続きが開始されます。
ステップ5|強制執行の実施と明け渡し完了
強制執行の申し立て後、手続きは執行官の主導で進められます。
主な流れは、以下のとおりです。
- 催告
- 断行(だんこう)
- 明け渡し完了
執行官が現地(物件)を訪れ、入居者に対し「〇月〇日までに任意に退去しなさい」と最終通告(催告)を行います。この期限(断行日)は、催告から約1か月後に設定されるのが一般的です。
期限を過ぎても入居者が退去しない場合は、断行日に執行官が鍵業者や荷物搬出の作業員と共に現地を訪れます。
入居者が抵抗しても、鍵を開錠して室内の荷物をすべて強制的に搬出します。荷物がすべて運び出された後、執行官が物件をオーナーに引き渡し、鍵を交換して強制執行は完了です。
明け渡し訴訟の期間はどれくらい?解決までの目安
明け渡し訴訟を検討する際、オーナーが懸念する点の一つが「期間」です。「一体、いつになったら解決するのか」という不安は当然のことでしょう。
明け渡し訴訟は、訴状を提出してから判決を得るまで、そして判決後に強制執行が完了するまで、複数のステップを踏むため、一定の時間が必要です。
入居者の対応や裁判所の混雑具合によっても変動しますが、ここでは標準的な目安を解説します。
内容証明の送付から判決まで|約3か月~半年
法的手続きの準備から、裁判所の判断(判決)が下されるまでの期間は、おおむね3か月から半年程度が目安となります。
ただし、これは入居者(被告)が裁判に出席せず、とくに反論もしない最もスムーズな場合です。
もし入居者が弁護士を立てて争う姿勢を見せたり、主張が複雑に対立したりした場合は、口頭弁論が複数回にわたります。結果、判決までに1年近くかかるケースも稀ではありません。
強制執行の申し立てから完了まで|約1~2か月
勝訴判決を得ても、入居者が任意に退去しない場合に実施する「強制執行」の申し立てから、実際に明け渡しが完了するまでの期間は、約1〜2か月が目安です。
強制執行は、裁判所の「執行官」が主導して進めます。手続きの各ステップにかかる時間は、法律や実務上の運用である程度決まっています。
主な期間は、以下のとおりです。
| 概要 | 目安期間 | |
|---|---|---|
| 1.申立て | 判決正本や執行文を揃え、裁判所に申し立てる | – |
| 2.執行官との面談 | 執行官と打ち合わせ、予納金を納付 | 申立てから約1週間 |
| 3.催告 | 執行官が現地を訪れ、退去期限(断行日)を告知 | 面談から約1〜2週間 |
| 4.断行 | 催告期限(通常、催告から約1か月後)に荷物を搬出 | 催告から約1か月 |
| 5.明け渡し完了 | 執行官がオーナーに物件を引き渡す | 断行日当日 |
全体の期間目安|トラブル発生から解決まで半年以上かかるケースも
賃料の滞納といったトラブルが発生してから、最終的に明け渡しが完了するまでの総期間は、最低でも半年以上かかると想定しておくべきです。
まず、滞納が始まっても、すぐに契約解除や訴訟はできません。信頼関係の破壊が認められる目安まで待つ必要があります。
- 滞納発生〜催告・交渉期間(約3か月)
- 訴訟の準備〜判決(約3か月~半年)
- 強制執行の申立て〜完了(約1か月~2か月)
これらを合計すると、順調に進んだ場合でも7か月〜1年程度かかる計算になります。もし入居者との交渉が長引いたり、訴訟で争点が増えたりすれば、解決までの期間はさらに延びるでしょう。



早期に解決するためには、滞納が発生した初期段階での迅速な対応と、法的手続きへの早期着手が重要です。
明け渡し訴訟にかかる費用の内訳・相場
明け渡し訴訟を進める上で、期間と並んで重要なのが「費用」です。法的手続きには、残念ながら一定のコストが発生します。
これらの費用をあらかじめ把握しておくことは、訴訟に踏み切るかどうかの判断材料として不可欠です。
費用には大きく分けて、以下の3種類があります。
それぞれ、具体的に解説します。
裁判所に支払う費用|印紙代・予納郵券代など
訴訟を提起する際、裁判所に対して実費を納める必要があります。
主なものは「収入印紙代」と「予納郵券」です。占有移転禁止の仮処分を行う場合は、別途「予納金」も必要です。
裁判所に支払う主な費用を以下の表にまとめました。
| 費用の種類 | 概要 | 相場(目安) |
|---|---|---|
| 収入印紙代 | 訴状に貼付する手数料です。訴額により変動します。 ※明け渡し訴訟の場合、物件の固定資産評価額や滞納賃料の額に応じて計算されるのが特徴です。 | 数千円〜数万円 |
| 予納郵券 | 裁判所が書類を送達するための郵便切手代です。 | 5,000円〜1万円程度 |
| 仮処分費用 | 占有移転禁止の仮処分を行う場合にかかる費用です。 | 収入印紙:2,000円 予納郵券:1,000円程度 |
| 仮処分の予納金 | 仮処分の執行に必要な担保金です。 | 数十万円 ※多くの場合、後に返還されます。 |



これらの費用は、訴訟をする際は必ず発生します。
強制執行にかかる費用|予納金・執行業者費用など
強制執行は、訴訟とは別の手続きであり、費用も別途発生します。これは、明け渡し訴訟費用の中でも高額になりやすい部分です。
主な費用は、以下のとおりです。
| 執行官への予納金 | ・強制執行の申し立て時に納付 ・執行官の日当や交通費などに充てられる ・相場は約6万円〜10万円程度 |
|---|---|
| 執行業者費用 | ・断行日に、室内の荷物を強制的に搬出 ・運搬・保管するための費用・費用は物件の広さ、荷物の量によって変動 ・ワンルームでも20万円〜40万円、荷物が多い家庭では100万円を超えるケースも |
これらの費用は、最終的に入居者に請求できます。しかし、現実には支払い能力がない入居者が多いため、事実上オーナーの負担(損失)となることが多いのが実情です。
弁護士に支払う費用|着手金・報酬金など
明け渡し訴訟を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用も発生します。料金体系は法律事務所によって異なりますが、一般的には以下の要素で構成されます。
| 費用の種類 | 概要 |
|---|---|
| 法律相談料 | 正式に依頼する前の相談にかかる費用(無料の場合もある) |
| 着手金 | 依頼時に支払う費用(結果にかかわらず返還されない) |
| 報酬金 | 明け渡し成功時など、結果に応じて支払う費用 |
| 日当 | 弁護士が裁判所に出廷する際などに発生する費用 |
| 実費 | 交通費・印紙代・郵便代など、実際にかかった費用 |
これらの費用は、訴訟だけでなく、訴訟前の任意交渉や内容証明郵便の作成、占有移転禁止の仮処分、強制執行手続きの代理など、どこまでの範囲を依頼するかによって変動します。
自分のケースで具体的な費用を知りたい場合は、事前に弁護士へ見積もりを依頼し、費用対効果を明確にすることが重要です。
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明け渡し訴訟に関するよくある質問
最後に、明け渡し訴訟に関してオーナーからよく寄せられる質問に回答します。訴訟手続きに関する細かな疑問や、万が一の事態への対処法など、不安を解消するために役立ててみてください。
訴訟の途中で和解することは可能?
訴訟の途中で和解することは可能です。むしろ、裁判所は訴訟のあらゆる段階で、和解を積極的にすすめてくれます。
明け渡し訴訟の目的は、物件を明け渡してもらうことです。判決まで行かなくとも、当事者同士が話し合いで合意に至れば、それが最速の解決となります。
裁判所で和解が成立すると、その内容は「和解調書」に記載されます。この和解調書は、確定判決と同じ効力(債務名義)を持つのが特徴です。



万が一、和解で約束した退去日を過ぎても退去しない場合は、この和解調書に基づき強制執行を申し立てられます。
訴訟中に自主退去した場合、「取り下げ」は必要?
訴訟の目的である「建物の明け渡し」が入居者の自主退去によって達成された場合、「訴えの取り下げ」は必要です。明け渡しが完了した以上、裁判所に判決を求める必要がなくなる(訴えの利益がなくなる)ためです。
もし、明け渡しと同時に滞納賃料の支払いも請求していた場合は、滞納賃料の支払い部分だけ訴訟を維持することもできます。
被告(入居者)がすでに訴訟で反論(答弁書の提出など)をしていた場合、訴えの取り下げには被告の同意が必要となります。被告と連絡が取れない場合、手続きが煩雑になることもあるため注意が必要です。
自主退去の申し出があった場合は、退去の確認と引き換えに訴えを取り下げる旨を弁護士に相談するとよいでしょう。
訴訟にかかった費用は相手から全額回収できる?
訴訟にかかった費用を入居者(被告)から全額回収できるかどうかは、費用の種類によって異なります。
具体的な解説を以下の表にまとめました。
| 費用の種類 | 回収の可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 訴訟費用 | △(一部可能) | 勝訴判決が出れば、裁判所が「訴訟費用は被告の負担とする」と命じます。 ただし、実際に回収できるかは別問題です。 |
| 弁護士費用 | ×(原則不可) | 弁護士費用は原則として各自負担(自己負担)とされており、勝訴した場合でも相手方に請求できません。 不法行為による損害賠償請求事件では、例外的に弁護士費用の一部(損害額の約1割程度)が損害として認められる場合があります。 ただ、明け渡し訴訟で認められることはまずありません。 |
| 強制執行費用 | ◯(理論上は可能) | 入居者(債務者)に請求する権利はあります。 しかし、実際には相手に支払い能力がなく、回収できないケースがほとんどです。 |
このように、明け渡し訴訟にかかる費用の多くは、最終的にオーナーの負担となる可能性が高いです。だからこそ、滞納が長期化して費用が膨らむ前に、迅速に法的手続きに着手することが重要になります。
まとめ|明け渡し訴訟は、迅速かつ適切な手順で実施しよう
本記事では、明け渡し訴訟の手続きの流れや期間・費用、弁護士に依頼する必要性について詳しく解説しました。
入居者トラブルが発生した場合、まずは任意交渉を試みることが基本です。それでも解決が見込めない場合は、損失の拡大を防ぐためにも早急に明け渡し訴訟を検討しましょう。
明け渡し訴訟は、賃料滞納などのトラブルを法的に解決するために認められた正当な権利です。しかし、その手続きは専門的かつ厳格であり、多くの時間と費用を要します。



適切な手続きを実施するためにも、早期に専門家である弁護士へ相談することが大切です。
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