現金手渡しの贈与契約書の雛形を紹介!現金手渡しのリスクと対処法についても解説

現金手渡しの贈与契約書の雛形を紹介!現金手渡しのリスクと対処法についても解説

現金手渡しで贈与する場合でも契約書は必要です。

「現金手渡しなら税務署に見つかることもないだろう」
「契約書は後で作れば良いか」

など甘い考えを持ってはいけません。

贈与の際は、証拠を残しておかなければ想定外の贈与税や相続税が課される可能性があります。

この記事では、現金手渡しでの贈与を検討している方に向けて、次の内容について詳しく解説します。

節税のために現金手渡しの贈与を検討しているのなら、それは間違いです。

それでも手渡しで贈与をしたい方や正しい節税方法を知りたい方は、この記事をぜひ最後までご覧ください。

相続対策としての贈与契約書の作成方法について詳しく知りたい方は、相続問題に強い弁護士法人アクロピースにお気軽にご相談ください。

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目次

現金手渡しでも贈与契約書は必要?

契約書

贈与契約書の作成は、贈与契約が成立するための絶対条件ではありません。

贈与契約書は、あくまで贈与契約が成立したことの「証拠」なので、贈与契約書がなくても契約自体は成立します。

しかし、現金手渡しの贈与を行う際は、贈与契約書を作成すべきです。

現金手渡しの贈与では、贈与契約書を作成しなければ贈与契約の存在や内容を証明する手段がなくなってしまいます。

証拠がなければ、税務署や共同相続人に贈与がバレなくて都合が良いと考える方もいるかもしれません。

ですが、契約書を作成していないと、税務署や共同相続人から多額の贈与があったと疑われた場合に、反論する手段もなくなってしまいます。

現金手渡しの贈与でも、収入状況や通帳のお金の流れなどから税務署や共同相続人にバレる可能性は十分にあります。

贈与の存在や正確な金額を証明するためには、手渡しの贈与でも贈与契約書を作成するようにしてください。

現金手渡しの贈与契約書の雛形

雛形

現金手渡しの贈与契約書の雛形は、次のとおりです。

※第2条を次の内容に変更「甲は、第1条の現金を本日、乙に手渡した。」

ここからは、贈与契約書の記載事項と作成時の添付書類について詳しく解説します。

贈与契約書の書き方について、詳しくはこちらの記事も併せてご覧ください。

関連記事:贈与契約書の書き方と作り方【ケース別雛形付】

贈与契約書の記載事項

贈与契約書の記載事項は、次のとおりです。

  • 贈与の意思と受贈者の承諾
  • 贈与の対象物
  • 贈与の方法
  • 贈与の条件・受贈者の負担(あれば)
  • 契約日・贈与の履行日
  • 贈与者と受贈者を特定する事項(住所、氏名)

現金手渡しの贈与の場合、贈与の対象物は「現金●●円」、贈与の方法としては「手渡す」と記載します(現金手渡しの贈与契約書の雛形2条)。

贈与契約については、生前贈与の時期によって相続税の課税方法が変わる可能性があるため、契約日と履行日は忘れずに記載してください。

贈与者の介護やローンの負担などを贈与の条件とする負担付贈与の場合には、受贈者の負担の内容と負担を履行しない場合の解除方法を記載する必要があります。

添付書類

贈与契約書は2通作成して、贈与者・受贈者がそれぞれ署名・押印のうえ、各自が1通ずつ保管します。

氏名は、パソコンの記名でも契約書の効力に影響はありませんが、本人が契約書の内容を確認したことを明確にするためには、自筆での署名がおすすめです。

契約書の作成に使用する印鑑は、認印でも問題はありません。

しかし、契約書の証拠としての価値を高めるには、実印を使用して印鑑証明書を添付すべきです。

印鑑証明を添付すると、契約書の作成日付をごまかせなくなるので証拠としての価値が高くなります。

現金手渡しによる贈与のリスク

リスク

現金手渡しの贈与には、次のようなリスクがあります。

これらのリスクを考慮すると、贈与契約は、特別な理由がない限り手渡しではなく銀行振込で証拠が残る形にした方が良いでしょう。

リスクの具体的な内容について解説します。

税務署に隠し通すことはできない

現金手渡しの贈与が税務署にバレないと考えているのなら、それは大間違いです。

現金手渡しの贈与を税務署に隠し通すことはできません。

税務署は、贈与者と受贈者の口座の入出金、贈与者の収入状況、受贈者が高価な物を購入したなどの事実から、贈与の事実を認定します。

贈与契約書や銀行振込の履歴など、明確な証拠がなければ、実際の金額よりも多額の贈与があったと認定されてしまう可能性もあります。

贈与者・受贈者が贈与を意図的に隠そうとしていた場合には、重加算税や無申告加算税などのペナルティを課されることになるでしょう。

税務署に贈与の事実と金額を正しく説明するためには、贈与契約書を作成するのは当然のこととして、銀行振込の証拠も残しておくことをおすすめします。

贈与者と受贈者とのトラブルを引き起こす可能性がある

現金手渡しの贈与では、贈与契約書を作成したとしても、契約を履行した証拠が残りません。

そのため、贈与者と受贈者との間で「渡した」「全額は受け取ってない」などのトラブルになる可能性があります。

契約者間でトラブルになった場合、贈与者には、さらなる現金の贈与を求められる、負担付贈与の負担を履行してもらえないなどのリスクがあります。

受贈者としても、契約どおりの贈与を受けられなくなるリスクがあるでしょう。

受贈者と相続人とのトラブルを引き起こす可能性がある

受贈者から生前に現金手渡しでの贈与を受けていると、他の相続人から多額の贈与を受けていると疑われてトラブルになる可能性があります。

遺産分割協議では、生前贈与の内容も考慮して各相続人が遺産をどのように相続するのかが話し合われます。

生前贈与で多額の贈与を受けたことにされると、遺産の取得分を大きく減らされる可能性があるでしょう。

他の相続人とのトラブルを避けるには、贈与契約書と銀行振込で生前贈与の金額を明確に説明できるようにしておくべきです。

暦年贈与が認められなくなる可能性がある

現金手渡しの贈与では税務署に贈与の内容を証明できず、暦年贈与が適用されなくなる可能性があります。

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間の贈与額が110万円以下の場合には贈与税が発生しないという仕組みを利用した贈与方法のことです。

現金手渡しの贈与の場合、「いつの贈与か」「金額はいくらか」を証明するのが難しく、暦年贈与が適用されるか否かの判断ができなくなってしまいます。

暦年贈与と認められるためには、贈与の度に契約書を作成する、振り込み履歴を残しておくなどの工夫が必要です。

現金手渡しの贈与を行う際の注意点

注意点

リスクを考慮しても現金手渡しの贈与を行うのであれば、次の4つの点には十分に注意してください。

それぞれの注意点について詳しく解説します。

必ず贈与契約書を作成する

現金手渡しの贈与を行うのであれば、最低限、贈与契約書は作成してください。

現金手渡しの贈与で贈与契約書すらないケースでは、後から契約内容を証明する手段がなくなってしまいます。

贈与契約書を作成する際には、印鑑には実印を使用して印鑑証明書を添付しておくのがおすすめです。

公正証書を作成しておくと、より証拠としての価値は高くなるでしょう。

税務署や共同相続人とトラブルになる可能性を下げるには、必ず贈与契約書を作成してください。

贈与契約書は贈与の度に作成する

贈与契約書は、契約の当初や後からまとめて作成するのではなく、贈与の度に作成してください。

「5年の間、1年に1度110万円を贈与する」内容の契約書を作成した場合、定期贈与と認定されるため、暦年贈与は適用されません。

暦年贈与と認定されるためには、贈与の度に契約書を作成して、金額も一律にはしないようにしてください。

契約書を後から作成すると、履行日に贈与が履行されたことを証明するのが難しくなってしまいます。

契約書には印鑑証明書を添付して、日付けを遡って契約書を作成したと疑われないようにしておくのがおすすめです。

生前贈与加算の対象期間に注意する

相続が開始する前の一定期間内の贈与は、暦年贈与の基礎控除額である年110万円以下であっても、相続税の持ち戻し(生前贈与加算)の対象となります。

生前贈与加算の期間は、次のとおりです。

相続の開始日相続の開始日
2026年12月31日まで相続開始前3年以内
2027年1月1日から2030年12月31日まで2024年1月1日から死亡の日までの間
2031年1月1日から相続開始前7年以内

出典:贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁

生前贈与加算の対象期間は、相続開始前3年以内から7年以内へと改正され、現在は移行中の期間となります。

暦年贈与の活用を検討している場合には、生前贈与加算の対象期間に注意してください。

贈与税の申告を正しく行う

年間110万円を超える贈与については贈与税の申告が必要です。現金手渡しの贈与であっても、贈与税の申告は正しく行ってください。

現金手渡しの贈与でも、税務署に隠し通すことはできないと考えるべきです。

「バレないから大丈夫」と考えていると、後からバレて無申告加算や重加算税などのペナルティを受けます。

暦年贈与の適用も認められず、ペナルティも受けるとなれば本末転倒の結果となってしまうでしょう。

現金手渡しの贈与では、契約者自身が正しい贈与額を証明するのも難しいため、税務署にバレたときのリスクは大きくなります。

現金の手渡しではなく正しく贈与税を抑える方法

ポイント

節税のために現金手渡しの贈与をしても、結局はバレて逆にペナルティを受ける可能性が高いでしょう。贈与税の節税を考えるのなら正しい方法で行うべきです。

ここでは、暦年贈与以外の節税方法を紹介します。

贈与税の控除・特例の制度を活用する

贈与税を節税するには、次のような控除・特例を活用すべきです。

  • 教育資金の贈与
  • 住宅取得等資金の非課税措置
  • 結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
  • 贈与税の配偶者控除
  • 相続時精算課税制度 など

暦年贈与とこれらの控除・特例を活用すると、贈与税や相続税が発生しなくなるケースも多くあります。

贈与税の控除・特例について、詳しくはこちらの記事も併せてご覧ください。

関連記事:孫への贈与契約書の書き方は?契約書を作成する際の注意点を解説

生活費や教育費として生前贈与する

扶養義務者が生活費や教育費のために贈与した現金には、贈与税はかかりません。

夫が妻に生活費を渡す、親が子どもに学費や教材費を渡すといった場合は、扶養義務の履行として贈与税の課税対象とはなりません。

扶養義務の履行として生活費や教育費を渡す場合は、まとめて渡すのではなく必要な分を渡して、名目と使途にずれが生じないようにしてください。

まとめ

今回は、現金手渡しの贈与における契約書の書き方やリスクなどを理解するために、次の内容について解説しました。

  • 現金手渡しの贈与であっても贈与契約書は作成すべき
  • 現金手渡しの贈与契約書の雛形
  • 現金手渡しの贈与には税務署にバレる、契約当事者や相続人との間でトラブルが起こるリスクがある
  • 現金手渡しの贈与を行う際は、贈与の度に契約書を作成して贈与税の申告を正しく行う

贈与契約書の作成方法がわからない方や相続対策として贈与を行うことを検討している方は、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談すれば、生前贈与を活用した相続対策をスムーズに進められます。

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この記事がみなさまの参考になれば幸いです
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この記事を執筆した人

弁護士法人アクロピース代表弁護士
東京弁護士会所属

私のモットーは「誰が何と言おうとあなたの味方」です。事務所の理念は「最高の法務知識」のもとでみなさまをサポートすることです。みなさまが納得できる結果を勝ち取るため、最後まで徹底してサポートしますので、相続問題にお困りの方はお気軽に当事務所までご相談ください。

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